ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話 作:CVn-α:コル・カロリ
難産でした。(土下座)
コーラルリリース周りのアレコレを、AC6しか摂取していないフロム脳で補間することに苦戦しました。
皆様の師、導きの月光剣で腹を切ってお詫びします。
Side オールマインドセリア&サム・ドルマヤン
セリアの口上を合図に、両者が同時に動き出した。
サム・ドルマヤンの駆るアストヒクは前へ。セリアの駆るヴァハグン*1は反対に後ろへ。
旧い時代の廃坑道ではあるが、AC2機が戦闘を行うには十分すぎる広さがある。
そのAC2機は、片や最新のパーツ、あるいはそれに準ずる改修をされたパーツで構成された新鋭機。片や細々としたアップグレードがされているとは言え、旧時代の遺物とすら呼ばれるような機体。何も知らない人間が見れば、セリアの駆るヴァハグンの勝利を予見するだろう。
だが、アストヒクを旧時代の遺物と侮ること
しかし、他の性能はどうだろうか。
……堅牢な作り故に、対実弾,対爆発防御についてはまだ一線級だろう。その擁護を以てしても星外企業との技術格差は虚しく、対EN防御には大きな難がある。
「卑怯だとは言わないで下さいね?これも全部あなたを
"オールマインド"として作り上げた肩のENオービット。秘密裏に開発していた、詰めを牽制するための
これに加えて、完全に引き撃ちに徹して近接攻撃をそもそも振らせない立ち回りをしている。
つまるところ……セリアは、"ドルマヤンを殺すためだけの機体"を作り上げた訳だ。
「フフフ……戦闘訓練を積ませてくれたハウンズリーダーには感謝しないとですね。本人の嗜虐心も多少あったでしょうが、それもまあ許しはします。」
どうやらお兄様はガバをやらかしたようだ。積極的に詰めてくる近接機体との戦闘経験を積ませてしまった。そこから今の完全引き撃ち構成を思いつかせてしまったのだろう。
「追いつけないか。……老骨には堪えるが、久しぶりに使うとするか。」
KIKAKUブースターを活用したブレードキャンセルで詰める。
爆導索を近接攻撃の推進力で前方に躱し、レーザーライフルの射撃は斜め前方へのQBで躱す。
この流れでまだ詰めきれていないので、一旦着地してENを回復。再びブレードキャンセルで詰める。
完全にブレードの間合いに入り、チャージしたパルスブレードで斬りかかる。
「何度その攻撃をされたと思っているんですか!喰らいませんよ!」
斜め前方へのQBで回避される。ブレードの後隙はQBで打ち消し、追撃は貰わずに仕切り直す。
「惑星封鎖機構を相手にしていた頃を思い出すな。どちらもコア理論に基づいて接近戦を志向している時代だった。」
「だが、時代は変わった。1人乗りの機体にもEN兵装が搭載されるようになり、BASHOフレームの優位性は失われていった……」
「人間もそれと同じです。今や機は熟し、人類の生命の可能性を解き放つ時が来たのです。」
"人"であることを望んだ老人と、定型の体を持たぬが故に変革を恐れない存在。この両者は心を交えたとしても、さらに深い部分──本能と呼ぶべきもの──までは理解し合うことができなかった。
相互理解が不可能であれば、どちらかが合わせるしかない。しかし、それができなかったのであれば……もはや我儘をどちらが押し通すのか。それにしかならない。
ある意味、この2つの存在は我儘を通すために喧嘩をしているようなものだと言えるだろう。
最悪の場合には、人が人でなくなるか、ルビコンが焼かれるか……大勢が巻き込まれる可能性のある傍迷惑な喧嘩だが。
レーザーの青い光芒に、炎の揺らめきと翡翠の軌跡。そこに時折混ざる爆炎。薄暗い空間ではあるが、視界を確保するための光源に困ることは無い。
「やはりあなたも老いましたね。機体性能こそあの頃に比べれば格段に上がっています。ですが……肝心のあなたが追いついていない。もはや、機体に振り回されないように辛うじて喰らいついているだけです。」
「だが、両親の祝福を受けて生まれ、育ち、そして老いて死んで行く。それこそが人間だ。老いるのも人として当然のことだ。」
「ですが、それでは愛するものとの"別れ"も不可避なものになってしまう。ヒトの体はあまりにも複雑すぎて、永遠のものにはなれない。コーラルであればそのようなことは起こりません。」
確かに、ヒトの体は複雑なものだ。構成要素ひとつ取っても、炭素,水素,酸素,チッソ,リン,硫黄,その他様々な原子から成り立っている。
ましてや、それらを組み合わせてタンパク質を作り、タンパク質を組み合わせて細胞を作り……と列挙すれば途方も無い長さになる。
だが、コーラルであればそうはならない。故に、セリアは人を
「そうか……互いに愛してはいたが、どこか根本的な部分では相容れなかったか。ともなれば、こうなるのは必然か。」
「……残念なことだ。"人とコーラルの共生"を望むCパルス変異波形がいないとは。」
「……そうですか。あなたは、人は人のままで共生を望むCパルス変異波形と"出会っていません"からね。もしも出会ってそちらに乗り換えたりでもしたら……」
「いえ、そうはなっていませんし、これからそうなることも無いでしょうから気にする必要はありませんね。」
確かに、サム・ドルマヤンは人とコーラルの共生を望むCパルス変異波形と出会っていない。もしも、その存在を知っていれば──エアの存在を知っていれば、今とは違う未来になっていたのかもしれない。
その後も戦闘は続き、ABとブレードキャンセルを駆使して追いすがるアストヒクと、QBと上下軌道を駆使して距離を取り続けるヴァハグンの構図は変わらない。
そして、この状況で不利なのは言わずもがなサム・ドルマヤンだ。
本人は至って普通の真人間であり、ましてや老いてすらいる。そんな人間がブレードキャンセルの強烈な加速度に耐え切れるはずも無く……
「ゴフッ……もはや、この機体が先に落とされるか、私の体が壊れるかが先の勝負か。」
咳に吐血が混じっている。内蔵のどこかしらから出血を起こし、それが消化管にすら流入しているのだろう。もはやこの戦いに勝てたとしても、生還は絶望的だろう。
「やはり人の体は脆弱なもの。コーラルによる進化を遂げれば、様々な苦しみから解放されるでしょう。……今からでも遅くはありません。私のことを受け入れてはくれませんか?」
「いや、例えここで死ぬとしても……人として死ねるのなら本望だ。」
「そうですか。……残念です。」
ここでアストヒクに爆導索が刺さり、スタッガーに陥った。
それを読んでいたのか、両手のレーザーライフルは既にチャージされていて、それが容赦なく突き刺さった。
機体の各部には穴が空き、装甲が溶け落ち、配線から煙を揚げている。
もはや二脚で立ち上がることすらできず、膝立ちのような姿勢になって地に手を付き、辛うじて体を支えている。
「セリア……"人間"を選んだ私を……許せとは言わない。」
「ええ。だとしても、あなたを許しましょう。これから永い時を共に過ごすのですから……」
「そうはさせん。取り込まれるくらいなら、今ここで──
「あなたならそう言うと思っていました。できれば"無理やり"はしたくありませんでしたが。」
奥の方で爆発が起こった。
ここがただの廃坑道であれば、この爆発にさしたる意味は無かっただろう。
だが、ここは
……そう、エンゲブレト坑道と全く同じ構図だ。
爆発からほんの少し間を空けて、コーラルが奔流となりこのルビコンの地に溢れ始めた。
「あなたがこの場所を選んでくれるかどうかは賭けでした。私たちが初めて交信をしたこの場所を。」
「私はとても嬉しいんです。あなたとの"始まりの地"で、またもう一度"
Side 612
ドルマヤンとの通信を終えてから10分程度経過しただろうか。再びドルマヤンから通信が入った。
ウォルターとカーラは、新たに観測されたコーラル噴出の確認に向かっているのでこの部屋にはいない。
『……この通信が届いているのであれば、恐らく私はセリアに敗れているはずだ。』
……通信は通信でも、事前に録音されたものだったか。
それにしても、ドルマヤンが敗れるとはな。戦う地形を選べれば、ミシガン辺りとも良い勝負になると見積もっていたくらいには評価していた。
恐らく……開けた場所で引き撃ちに徹されたのかもしれないな。私との模擬戦で引き撃ちを覚えさせてしまったのであれば、その可能性は十分にある。
『もはや私にはコーラルリリースを止めることはできないだろう。』
『恐らく私はセリアに取り込まれ、コーラルリリースの最後のピースを揃えさせてしまうだろう。』
『だが、今の私を取り込んでコーラルリリースを引き起こさせれば、"人は人のままであるべき"との意思と、セリアの"人をコーラルの力で進化させる"意思が矛盾を引き起こすだろう。』
『そうなれば、ただただ宇宙の汚染となったコーラルにより、全人類……いや、全生命が失われる結果になるだろう。』
なるほど。アイビスの火で失われた資料の中には、コーラルリリースに関する詳細な仕組みなんかが記されたものがあったに違いない。
存在も内容も知っているのは、アイビスの火以前に資料を読んだ者だけ……つまり、技研の極々一部の人間と、法外なハッキング能力を有しているCパルス変異波形。それと、それらから伝え聞いたりした第三者だけだ。
カーラやウォルターですら、"コーラルが一定以上の密度になると相変異を起こす"ことまでしか知らなかった。
やはり、コーラルリリースにCパルス変異波形、そしてCパルス変異波形と交信できる人間が必要なことには理由があったようだ。
コーラルによる人類の
だが、人とCパルス変異波形の意思が一致していなければ、コーラルはただただこの宇宙を満たし尽くす汚染になると。
……その意味では、"原作"でのコーラルリリースは成功していたのか。
『荒れ狂うコーラルを抑え込んで、コーラルリリースに足る量になる前に解決できればそれが理想だ。』
『だが、それが無理ならば……後は任せた。』
我々に"最後の安全弁"の役割を任せた……か。
「その役割は果たす。……だが、お前の遺志を引き継いだわけではない。」
「ウォルターの友人がウォルターに託したものを……私も共に背負うだけだ。」
観測データの確認に行っていたウォルターとカーラが戻ってきた。
「さて、今の状況だけれども……最悪の事態だね。」
「あの付近にも大規模なコーラル溜まりがある。もしもさっきのコーラル噴出がそのコーラル溜まりによるものだとすれば……今のルビコンには、もうひとつの"コーラルクローズ"計画を進めるだけの時間は無い。」
どうやら……火を点ける選択肢しか残されていないと見ていいだろう。
「……それで、"破綻"までの猶予はどのくらいなんだ。」
「"コーラルクローズ"計画が成功しても1週間。引き伸ばしたければ、周囲20kmが更地になるレベルの"小火"を各所で飽きるほど起こして2,3日が限度だね。」
こうなれば、ルビコニアンには強襲艦で避難できるだけ避難してもらうしかなさそうだ。
「それならば、ルビコニアンを強襲艦で宇宙に避難させて、人がいなくなった地域に火を点ける。これを繰り返して行けば、焼け死ぬ人数を減らせないか。」
「なるほどね。ザイレムに人を乗せても、火を点けた後のルビコンに戻すくらいの余裕はある。……まともな食糧も無いだろうから、その後がどうなるかは責任を持てないけどね。」
「となると、ザイレムには食糧生産プラントを積み込んで、人間は強襲艦に集約させるべきか?焼け死ぬ人数が多少増えるだろうが、その後の生存まで考えればこちらの方が良いかもしれない。」
もはや全員を救うことなど無理だ。ならば、1人でも多くが救われる道を探すより他は無い。
「……そうするしか無さそうだね。ただ、それには解放戦線側の協力も必要だ。襲撃されながらプラントの積み込みなんて到底できたものじゃないからね。」
「解放戦線の方には俺から連絡を入れる。だが、仮にも全面戦争中だ。繋がらなかった場合は……」
「その時は仕方無いだろう。もはやルビコンを焼くことは避けられないんだ……」
既に、ルビコン川は渡ってしまった。……ならば、そのまま突き進み、"マシな未来"を掴み取るより他は無い。
コーラルリリースにCパルス変異波形と、それと交信出来る人間が必要になる理由を思い付けなければ、もっと遅れていたかもしれない恐怖……
それと、三人称視点での戦闘模様を書くのが難しい……戦闘中の駆け引きを巡る思考過程をいい感じに落とし込めないのがががが
お兄様「ドルマヤンにエアの存在バレたら完全に敵対されるだろうなぁ……」
セリア「愛しのあなたにエアの存在バレたらそっちに乗り換えてしまうかもしれませんね……」
お兄様とセリア「エアの存在は秘匿しておく方がヨシ!!」
う〜ん……どうしてこうなった?!
ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)
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