ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話   作:CVn-α:コル・カロリ

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(多分)過去最長です。1万字超えました。

この戦いでは最初から入れたいセリフが決まっていて、そこにどう持っていくかで少し悩みましたね。
逆に、それ以外は全くのノープラン(オマちゃんのガバチャーよりも酷い)だったので書き上がって一安心です。

……えっ、次も戦闘描写メイン回って正気ですか?!

できらぁ!!




お前の動き……まさに───だ。

 

Side 612

 

 

 622がゲルニカにされたと聞いた時は大分取り乱してしまったが、すぐに冷静さを取り戻すことができた。

 

 ここからは……アーキバスとの総力戦だ。

 ラスティの裏切り込みで頭数はこちらが有利。

 しかし、私はエースと指揮官を兼任しなければならない。向こうはフロイトを好きに暴れさせて、あの陰険クソメガネカタツムリが後方指揮に徹すれば良い。私の脳がパンクすれば、1機程度の数的有利は覆されるだろう。

 

 

 それと……本格的な交戦に入る前に、やるべきことは済ませておかないとだな。

 

 

「621、聞こえているか。」

 

『聞こえているわ。』

 

「1つ、頼みたいことがある。」

 

 

 ……本来なら、これは私がやるべきことだ。だが、今の状況ではそんなことは言っていられない。だから、これは621にしか任せられないことだ。

 

 

「622を頼んだ。……私は622の兄になってやることはできない。だから、お前に"姉"として任せたい。」

 

『兄さん……わかったわ。"姉"としてやってみせるわ。』

 

「すまない。……そして、ありがとう。」

 

 

 これで心残りは無い。後は落とし前を付けさせるだけだ。

 

 

 

 

 

「行くぞ……ハウンズ、戦闘開始!」

 

 

 

 

 私と617,620のSONGBIRDSをまとめてスウィンバーンに叩き込む。フロイトを狙っても躱されるだろうから、落とせそうな奴をより落としやすくする。

 

 

『なっ?!不意打ちとは何たる卑劣!指導だ!指導!』

 

 

 降伏勧告を拒否した時点で騙し討ちにはならないだろう。そもそも騙し討ちをしたとしても、どちらかが全滅するまで戦うことになるだろうから関係無いが。

 

 

『各員、フロイトに横槍を入れられないように援護しなさい。』

 

『ハウンズリーダー、お前とまたやり合えるのを楽しみにしていた!すぐに終わってくれるなよ!!』

 

 

 やはりそう来たな。

 

 ……待て。"すぐに終わってくれるなよ"だと?前の交戦では私と同程度の実力だったはずだ。それなのにまるで大きく成長したかのような……

 

 まさか?!

 

 

「ハウンズ!フロイトからは距離を取れ!!接近されそうになったら全力退避!!」

 

『ほう?勘が良いな。僅かな動きから察したか?』

 

 

 やはり何かある。そして622のことも考えれば、その"何か"は予想できる。

 

 

「お前、強化人間になったな?」

 

『そうだ。これでお前と同じステージに立てた。今のこの体(ロックスミス)なら……お前と存分にやり合える!!』

 

 

 手始めにチャージされたレーザードローンが飛んでくるが、プログラムされた動きではなく、直接操作しているような動きだ。……いや、実際に直接操作しているんだろうな。2つだけなら神経接続でどうとでもなるのだろう。

 意識を散らす目的でレザドロにミサイルを撃つ。回避のために意識を集中させれば、その間にランセツの銃撃を通したり、ブレードキャンセルで詰めるフリをして圧力をかけたりできる。

 

 

『これで驚いたりはしないか。……最後にやり合ったときはターナーをマニュアルエイムで撃っていたからな。これくらいは想定内か。』

 

 

 フロイトからの射撃だけでなく、垂直プラズマミサイルやレーザー系の射撃も飛んでくる。617たちに3、私に1くらいの割合で割り振っているか。火力だけで言えば2機をまとめて相手するくらいだな。

 一方、617たちの投射火力は、スウィンバーンとクソメガネを中心に割り振られている。司令塔であるクソメガネに負担をかけ、スウィンバーンを落として数的有利を作る。この戦い方で問題無いだろう。

 

 ラスティは……射撃戦に参加してはいるが、SAMPUの有効射程外だからランセツだけだ。

 裏切るタイミングを見計らっているのか……最悪の場合は裏切らないことも視野に入れるべきか。

 

 

『グゥッ……害獣どもが鬱陶しい!V.IV、前線で撹乱しなさい。』

 

『撹乱だな?了解した。』

 

 

 まさかラスティは裏切らないのか?

 有り得るとすれば、解放戦線がオーバーシアーとアーキバスの共倒れを狙っている?コーラルをルビコンから出さないことよりも、輸出して利益を得る方向に舵を切ったのであればその筋書きも想定される。

 

 そのままこちらに突っ込んで来て……ホーキンスを追い越すタイミングでアサルトアーマーを起動した。

 

 

『ラスティ君!やっぱりそう来ると思っていたよ!!』

 

 

 裏切るタイミングを見計らっていただけか。確かに、敵陣ど真ん中でアサルトアーマーを起動しただけだと回避されて、そのまま袋叩きにされかねない。

 それと、クソメガネからの撹乱指示も、いつ裏切るかわからないラスティを体良く遠ざけるためのものだろう。

 

 

『さて、撹乱はこんなものか。私にはこのルビコンで為すべきことがある。解放戦線所属のラスティとして加わろう。』

 

「助かる。だが、撹乱はまだ続けてもらうぞ。最前線で回避タンク役だ。」

 

『随分と人使いが荒い。私の機体を見てそれが……いや、君も同じ軽量機だったな。』

 

 

 これで5対6から6対5と頭数は有利を取れた。

 ここからは、ハウンズから死者が出ないように戦いを進めれば良い。ラスティ?617たちに比べれば優先度は言うまでもないだろう。

 

 

「ラスティ、お前は死にそうになっても助けるつもりは無い。死にたくなければ死ぬ気で奴らを殺せ。」

 

『随分と無茶を言う。……まあ、君にはフロイトを任せているんだ。それくらいはやってみせるさ。』

 

 

 さて、ラスティには……右翼前方で圧をかけさせよう。

 そこには既に620と618がいる。しかし、618は主にスネイルとオキーフを狙っていて、最右翼でスウィンバーンを牽制している620は中距離以降の火力に乏しく、現状では陣形の弱点になってしまっている。ラスティのランセツと3プラで敵左翼*1のスウィンバーンに圧を大きくかけさせる狙いだ。

 

 

「なら、右翼に展開してスウィンバーンに圧をかけろ。ハウンズの陣形の弱点を補え。」

 

『了解した。』

 

 

 敵右翼のホーキンスには左翼の617が。後陣中央のクソメガネとオキーフには618がさっきよりもさらに圧をかけている。619の全体援護もあり、戦局はこちらが有利に進められるだろう。

 但し、それには"私がフロイトを止める"という条件が必須だが。

 

 今の私の役目は、とにかくフロイトをフリーにさせないことだ。617たちが敵を落とせば、その分私への火力援護がやりやすくなる。フロイトを落とすのはそれからだ。

 

 

『やはりお前は面白い……俺の方が強くなれたはずだが、このままウカウカしていると"アーキバスの"負けになりそうだ。』

 

「強いだけの奴を寄せ集めた集団と、連携を前提にした"猟犬"の差だ。集団戦を挑んだ時点でお前たちの負けは決まっている。」

 

『それはそうかもな。だが、お前を落とせば後は子犬の群れだ。』

 

 

 確かに、今の617たちの技量では……間違い無く、強化人間となったフロイトに苦戦する。ましてや、私が落とされた──いや、殺された──ことによる精神的動揺も加われば、蹂躙される可能性すらあるだろう。

 

 

「お前を相手取るにはまだ未熟だが……それはそっちも同じだろう?」

 

『そうだな。お前1人でもスネイルとオキーフ……それと手負いのスウィンバーンくらいならまとめて落とせる。なるほど、俺たちの勝敗が全体の勝敗になる訳だ。』

 

 

 そうだ。617たちも交戦しているが、あくまでも"私への横槍を妨害する"のが一番の目的だ。それは向こうも同じだろう。

 

 

「そういうことだ。だから、私に負けは許されない。」

『だがそれはどうでも良い。俺はお前に勝ちたいだけだ。』

 

 

 もはや言葉は不要だな。

 

 

 ターナーの射撃をある程度食らうのは必要経費として受け入れる。一番危険なのは、やはり拡散バズーカだ。至近距離でフルヒットすれば、衝撃値0からでもスタッガーにされかねない。

 

 

 拡散バズーカの砲口がこちらを向いた。アラームは鳴っていないがQBを吹かす。

 予想通りマニュアルエイムで撃っていた。

 

 拡散バズを切らせたところでブレードで接近。

 カウンターのチャージレーザーブレードは読んでいたから後方QBで回避。回転中にSONGBIRDSを撃ち込むが、モーションを無理やり中断させてQBで躱される。……"ゲーム"ではできなかったことだな。

 

 

 QBを吹かし続けるのにも限界はある。ミサイルで動かし、ランセツでじわじわと衝撃値を溜める。こちらもターナーとプラズマ兵装のカス当たりで衝撃値を溜められる。

 ただ、ダメージレースで見れば1:2で私の不利だ。強いて言えば、617たちとクソメガネ共のダメージレースは3:2程度とやや有利なくらいか。

 

 早く手を打たないと、私の負けからハウンズの負けに繋がりかねない。

 

 

「COM、左腕とミサイル軌道の権限委譲要請。」

 

『神経応答速度規定値以内。権限を委譲しました。』

 

 

 ミサイルを完全な手動操作に切り替える。双対ミサイルの長所である包囲性能をさらに伸ばす狙いだ。

 

 6包囲を囲んで、1発被弾するか大きく上に飛ぶかの択を押し付ける。

 

 

『ミサイルを手動操作にしたか!!嫌な手だ。だが、続けていればお前の脳もパンクするはずだ。どっちが先なんだろうな?』

 

 

 まだ脳に余裕はある。全体の戦況把握の精度も落ちていない。617たちが私の指示無しでも最善の動きをしてくれているのが大きいが。

 

 ダメージレース自体はそこまで変わらないが、衝撃値の維持が格段にやりやすくなった。

 スタッガーが目前になり、PAの前兆であるスパークが見えて……

 

 

『フロイト!下がりなさい!!』

 

 

 私が突っ込んでアサルトアーマーを起動したが、ここで陰険クソメガネにチャージレーザーランスでスイッチされた。

 カウンターのアサルトアーマーは躱せたが、衝撃値を冷やせないままフロイトの相手を再開するのは拙い。それに、フロイトが617か620の方に向かうのもまずい。

 

 なら、

 

 

「ラスティ!」

 

『スネイルは引き受けよう。フロイトの足止めを続けてくれ。』

 

 

 スウィンバーンはかなりの手負いだ。620が牽制するだけで完全に封じられる。ラスティをこき使うとしよう。

 

 

 フロイトは……今は引いて全体を見ているな。

 それなら、衝撃値も冷やせたことだ。その間に敵右翼*2のホーキンスをさらに削るとしよう。

 

 

『こちらに来ちゃったか!これはかなり頑張らないとだ。』

 

『そう来るか。ホーキンス、援護しろ。』

 

『助かるよ。』

 

 

 フロイト&ホーキンスのコンビと、私と617のコンビになったな。

 それと、ラスティとスネイルが近接戦をして、そこに618と620、オキーフとスウィンバーンが横槍を入れる形になっている。もちろん、619は全体を見て援護をしてくれている。

 

 

 フロイトが時折617を狙うような動きを見せ始めた。十中八九ブラフだろうが、仮にブラフでなかった場合……あるいは、ブラフのつもりだったが本当に行けそうになって狙われることも考えれば、私は動く選択肢しか無い。

 

 

 


 

 

 

 ホーキンスが全火力を私に集中させるようになった。フロイトへの巻き込みも考慮して手数は若干減っているが、それでも私への圧力はさらに増した。

 

 流石に2対2ともなると衝撃値を回復する隙を見つけられない。ただの乱戦なら抜け出せば良いが、そんなことをしたらフロイトをフリーにしてしまう。

 私の衝撃値が溜まりかけて、すかさず617が前に出てきてカバーをしてくれた。パルスシールドで的確に防ぎ、衝撃値を冷ます時間稼ぎをしてくれている。

 

 

「ナイスタイミングだ。次もまた頼む。」

 

『お兄様から"また頼む"……ふふふ……その言葉だけで戦い続けられそうです。』

 

 

 ……戦闘中なのも相まって随分とハイになっているのかもしれない。ここまで上機嫌な617はそうお目にかかれない。

 

 

『集団戦を仕掛けたのがそもそもの間違いと言ったが……本当にその通りだな。』

『まさか、ハウンズのアセンはお前が全て組んだのか?こうも噛み合うと、最初から連携を前提に組んだと言われても頷ける。』

 

「まさか。本人たちの自主性に任せたさ。……それでも噛み合うのがハウンズのハウンズ(猟犬)たる所以だがな。」

 

『そうか。……やはりお前は面白い。お前がスネイルの立場にいれば、もっと面白かったんだがな。』

 

 

 陰険クソメガネの立場か。死んでもお断りだな。

 どうせ中間管理職だ。ロクなことにはならないだろう。

 

 

 今度はフロイトが下がってホーキンスが前に出てきたか。

 4脚の蹴りを利用して、私にブレードを振らせないように牽制しているな。実際、こちらも下手に蹴りやブレードで詰めれば止められるだろう。

 

 ホーキンスは肩キャノンのチャージを始めて……ここでフロイトが前に戻ろうとする。

 アラートが同時に2つ。肩キャノンと拡散バズーカからだ。

 

 これは……アラートから発射までが短いホーキンスの肩キャノンを躱わせば、アラートから発射までややタイムラグのあるフロイトの拡散バズを喰らうな。スタッガーは避けられない。

 この2つなら、フロイトの拡散バズでスタッガーに陥る方がまだマシだな。エルカノコアにレーザーはマズい。

 そして、スタッガーしてから追撃を喰らえば一気に劣勢に立たされる。だが、私は一人で戦っている訳ではない。

 

 

「盾!」

 

 

 私が頼むよりも先に動き出している。617が私の前に踊り出た。

 

 私がスタッガーした瞬間に合わせて、まずはホーキンスのチャージしたレーザーブレード。617がイニシャルガードで2撃とも防ぐ。

 そのまま続けざまにフロイトのチャージレーザーブレード。これもイニシャルガードでしっかり防ぐ。

 

 

「助かった。最高のアシストだ。っと、619も……ナイスタイミングだ。」

 

 

 617がマニュアルエイムのSONGBIRDSでホーキンスに爆風を入れ、後方QBで下がる。そのタイミングを見計らって619のミサイル斉射も弾着し、交替で生まれる隙を完全に打ち消す。

 

 

『お兄様の背中ではなくて正面を守れました。お兄様を守るこの感覚……ゾクゾクしますね。』

 

 

 新しい扉を開いているような気がするが、まあそれは後で受け入れるとしよう。

 こちらの衝撃値は回復できた。これはリスクを犯して衝撃値の溜まっているホーキンスを狙うか。

 

 

『それはちょっとまずいかな。』

 

 

 ホーキンスが大きく退き始めた。このまま中央の乱戦地帯に誘導して袋叩きにするつもりだろう。なら、フロイトに狙いを戻すまでだ。

 ここでターゲットをフロイトに戻せば、617と挟み撃ちをする形になる。フロイトが617にターゲットを移した場合は、死に物狂いで私がタゲを引き受け直す必要に迫られるが……

 

 

『仔犬を狙えば、その間に俺が落とされるか。まあ良い。どうせお前しか眼中に無いからな。』

 

 

 私狙いは変わらずか。それなら良い。

 互いに挟み撃ちをしているし、されている状況だ。そうなれば、必然的に接近戦になる。

 距離を離せば味方撃ちを気にしない最大火力の応酬になる。そうなると、レーザーキャノンがある向こう側が有利になるだろう。だが、フロイトはそれを選ばない。

 

 接近戦ではチャージレーザーブレードが最大の脅威だが、逆関節の跳躍を噛み合わせれば回避は可能だ。ただ、落下中であれば躱しきれないかもしれない。跳躍のタイミングは選ばないとだな。

 

 

『この間合いは俺ではなくお前の距離か。逆関節の機動力で撹乱される一方だな。』

『なるほど。そのアセン……どの距離でも対応できるアセンと見せかけて……本命は接近戦だな?コア理論は過去の遺物にされたと思ったが違ったようだ。真人間に扱いきれる代物じゃなかっただけだ。』

 

 

 ドルマヤンは真人間でありながらKIKAKUブースターを使ったアセンを組んでいた。そう考えると、ひと握りの才能──加速度に耐えられる体型や骨格──に加えて、文字通り血反吐を吐く訓練に耐えてきたのだろう。

 頑丈な機体で身を守り、同じような相手を崩すために至近距離から高火力を叩き込む。これが根底にあるのだろうが、真人間にはそれを実現するだけの"性能"は無かったという訳だ。

 

 

 至近距離での削り合いは、パルスブレードを叩き込もうとする私とそれを蹴りで迎撃しようとするフロイト、チャージしていないレーザーブレードを叩き込もうとするフロイトとそれをQBで躱す私の構図になった。

 私も蹴りで迎撃する選択肢はあるかもしれないが、逆関節ではモーションによる隙が大きく、確実に見切られるだろう。

 

 

『ああ……やはりお前との戦いは楽しい。』

『どの距離でどう戦おうとも読みを通してくる。反応速度だけなら俺の方が上のはずだが、お前は俺の呼吸を読んで的確に潰してくる。』

 

 

 確かにフロイトの反応速度は驚異的なまでに向上した。そして、それを戦術に落とし込むまでに操縦技術に馴染ませている。

 だが、どこか単調なようにも感じられる。戦術を反応速度に頼りきって組み立てているような……

 

 

『やはり人間と戦わないとダメだな。ゲルニカとばかり戦ったせいで、読み合いが疎かにしてしまった。』

『負け続けてムキになったのもあるだろうが、あれなら残りのヴェスパーをまとめて相手にする方が有意義な訓練になった。……今更遅いが。』

 

 

 フロイトが負け続けた?……マズイな。621に伝えねば。今ならギリギリ間に合う。

 

 

「621、622は強化人間手術を受けたフロイトよりも強いことがほぼ確定した。最大限に警戒しろ。」

「ウォルター、RaDのカタフラクトを621のところへ。」

 

『了解よ。』

『わかった。』

 

 

 ランセツとミサイルで衝撃値を溜めて、SONGBIRDSと蹴りとブレードで無理やり動かす。

 EN補充性能周りで見れば、こちらのYABAが優れている。さらには逆関節でQBの使用回数自体も減らせる。EN消費にものを言わせた機動戦に持ち込めば有利はこちらのものだ。

 

 ENが尽きかけたのか、チャージレーザーブレードで無理やり引かせようとする。だが、目論見通り跳躍で回避できた。後隙にSONGBIRDSを叩き込んでさらに衝撃値を溜める。

 

 

『お前のその動き……まさに猟犬だが、それは連携を取るためだ。もっと根本的な部分は違うな。』

 

 

『鳥か?それなら"跳"ばずに"飛"べば良い。』

 

『なら人間か?だとしたら逆関節に馴染めない。』

 

『四本脚の動物は全て違う。二足歩行の動物も違う。なら一体何だ?』

 

 

 フロイトは戦う相手をいちいち例えないと気が済まないのか?

 私から言わせれば、お前はバトルジャンキー……いや、"ゲームプレイヤー(生き死により勝ち負けに拘るやつ)"だがな。

 

 

『わかったぞ。お前のその動き……ただ戦いのためだけに作られたその(機体)……お前は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──アーマードコアだ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『戦い方が先にあって、それに見合った機体を組んでいる。そして、お前がその機体に合わせてポテンシャルを十全に引き出している。』

 

『アーキバスと違って、パイロットのポテンシャルを引き出す機体じゃない。その辺の独立傭兵とも違って、機体に振り回されているなんてこともない。』

 

『そんなお前を形容するのは……アーマードコア以外に無い!!』

 

 

 パイロットのポテンシャルを引き出すために機体を組む……か。

 確かに言われてみれば納得の考え方だが、私の頭からはすっかり抜け落ちていた。

 

 NESTに潜れば、自分のやりたい戦い方に合わせて機体を組むことになる。ゲームだから、そこには"パイロット"の都合なんて無い。ただひたすらに"プレイヤー"の理想を追い求めていた。

 

 

 この世界で2度目の人生を歩み始めてから、

 

 ブレードキャンセルの暴力的な加速度に耐えてきたのも

 人間の身体構造からかけ離れた逆関節を使ってきたのも

 

 どれも、(プレイヤー)の理想とする戦い方を実現するためだった。

 

 

『お前となら……俺はまだ強くなれる!もっと!もっとだ!!俺を楽しませて(と戦い続けて)くれ!!!』

 

 

 フロイトからの攻撃がさらに苛烈になった。もはや、APを温存することなんて考えていないだろう。……それこそ、ここで私に勝てれば、その後に617たちに殺されても良いとでも言わんばかりだ。

 

 

「私にそんな暇は無い。……今は、ただ仕事を、役目を果たすだけだ。」

 

『仕事?役目?そんなつまらないものはどうでも良いだろう?そんなものに縛られていない……好きに飛び回れるお前ともやり合いたい!』

 

 

 つまらないもの、か。

 

 

「617……10秒だけ時間を稼いでくれ。ここで終わらせる。」

 

『わかりました。』

 

 

「できるのか」、なんて聞き返してこない。それどころか、「どうやって」とすら聞かない。私が言うならば……と全幅の信頼を寄せてくれているのだろうな。

 

 617はパルスアーマーを展開し、両手のガトリングをオーバーヒート寸前まで撃ち続ける。残弾は気にせず、私からの指示に全力で応えてくれている。

 

 

「COM、機体操縦権限委譲要請。対象は……全部だ。」

 

『脳への負荷が膨大なものになります。推奨できません。』

 

「30秒経過で元に戻せ。」

 

『脳への負荷は許容範囲内と推定。権限を委譲しました。』

 

 

 脳に膨大な情報が流れ込む。

 機体の損傷は擬似的な痛みとして。EN残量は擬似的な疲労感として。

 

 そして、逆関節が故のどうしようもない気持ち悪さも。

 

 だが、この機体()は思うように動かせる。

 私をアーマードコアだと例えたんだ。……なら、それを文字通りにしてやろうじゃないか。

 

 

「スイッチ!」

 

 

 617が後方に下がると同時に私が前に出る。

 

 チャージブレードのモーションを再現して距離を詰める。

 チャージレーザーブレードでの迎撃か。リーチの長さを活かして、私の攻撃が当たる前に体制を崩すつもりだろうな。

 

 だが、それは叶わんよ。

 

 

『……ハハッ!そうか!お前は……本当にアーマードコアになってみせたのか!!』

 

 

 逆関節の跳躍力を活かして前宙で回避。

 その時にSONGBIRDSも叩き込む。FCSを制御下に置いているので、自動的にマニュアルエイムになっている。

 

 ここでフロイトがスタッガー。

 着地するよりも先に近接ブースターとパルスブレードを起動。フロイトの背後に急転直下しながら斬りかかる。

 1撃目。右側の背面ブースターに大きな損傷。

 膝立ちのような姿勢で着地。そのまま横方向へ薙ぎ払う。

 2撃目。左側の背面ブースターを完全に斬り飛ばす。

 

 APこそ無くなっていないが、機動力の大半を削ぎ落とされた。もはやまともな戦闘は不可能だろう。

 

 

『まだだ!まだこの体(ロックスミス)は動く!!』

 

 

 それでも、残された腕部や脚部のブースターを頼りに無理やり戦闘を継続する。腕部ブースターを使った左右方向へのQBが最後の生命線だろう。

 だが、もはやフロイトに勝ちの目は残されていない。

 

 

 マニュアルエイムの拡散バズを回避。チャージパルブレで斬り込む。レーザーブレードでの迎撃……のフリをして、クイックターンで横を向いてQBですれ違おうとする。

 クイックターンの時点で狙いを察し、フロイトのQBに合わせてこちらも後方へQB。

 

 フロイトを正面に捉えた段階でABから即蹴りに移行。当てて怯ませる。

 追撃のブレードをQBで躱そうとするが、KIKAKUブースターの推力の前には無意味な足掻きだ。ブレードキャンセルで追い付いてそのまま2撃。蹴りの衝撃値と617からの援護射撃もあり、これでスタッガー。

 

 2撃目を当てたことでフロイトの機体が弾き飛ばされるが、距離が空いたのならABからの即蹴りだ。

 PAを展開して追撃を防ごうとするが、それは完全な悪手だ。蹴りで接近できたから、そのままアサルトアーマーを起動する。

 

 ……なるほど。パルスアーマーを貼ったのは、ホーキンスの肩チャージキャノンで巻き込まれないようにか。

 アサルトアーマーに衝撃値を冷やす機能は無い。ここで喰らえば、私がスタッガー1歩手前の状態*3になり、そのままライフル1発でもスタッガーになる。そこをフロイトのレーザーブレードで撃破する算段か。

 

 これが1対2だったらそうなっていただろうな。だが、今は2対2だ。

 私には最高のパートナー()がいる。

 

 

『させません!!』

 

 

 617が肩のパルスシールドで完全に防ぐ。ホーキンスが肩キャノンをチャージした段階で狙いに気付き、私をガードできる位置に付いてくれていた。

 

 そのままアサルトアーマーが発動してフロイトを再びスタッガーにし、SONGBIRDSで追撃。ブレードの冷却は僅かに間に合わなかった。

 フロイトはQBで距離を取り、チャージレーザーブレードを叩き込もうとしてくる。

 だが……私の方が1手早い。冷却が終わった直後のパルスブレードを起動し、距離を詰めて一閃。

 ロックスミスのAPが全損した。

 

 

『動け!俺の体(ロックスミス)!!』

 

『そうか。もう無理なのか。……ああ……お前との戦いは……面白かった。』

 

 

 ロックスミスがジェネレーターを起点に爆散した。フロイトが緊急脱出した様子も無い。

 

 ここで、これまで感じていた痛みや疲労感が消え去った。

 機体の操縦権限がいつも通りに戻ったな。

 

 

「V.Ⅰフロイト、撃破。ハウンズ、最後まで気は抜くな。誰一人として死なずにこの戦いを終えるぞ。」

 

 

『なっ?!フロイトが?!』

『……強襲艦隊に通達。直ちに指令書Kを開封し、その指示を実行せよ!』

 

 

 私の大きな役目は終わった。……戦況に余裕はある。補給を手早く終わらせてまた戻るとしよう。流石にリペアキットが無いのは心許無いしな。

 それに……どこぞの陰険クソメガネが何か企んでいるようだしな。

 

 おっと、補給要請をする前に既に送ってくれていたか。流石ウォルター。気が利くな。

 

 

 そして何より気になるのは621の方だ。

 

 621の戦況は……

 

*1
アーキバス視点で左翼なので、ハウンズ右翼と正面からぶつかる

*2
ハウンズから見て左側

*3
アサルトアーマー中に衝撃値が溜まりきっても、その時点でスタッガーにはならない。次に1でも衝撃値を与えられたらスタッガーになる。(公式の仕様)





今回の言わせたかったセリフ

「お前の動き……(中略)アーマードコアだ。」


これは、割と初期からフロイトに言わせたかったセリフです。
5周目で622(くんorちゃん)と戦うのが621になったのは、お兄様とフロイトを戦わせないとこのセリフを使えなかったからというのもあります。



……6/21に何か記念小説(日常のワチャワチャ回みたいなもの)を投稿したいなぁ(後書きを書いている最中の突発的な思い付き)

何ならフロムさん、DLCを「サプライズです!ご友人!」の音声と共に発売してくれませんかね。
例え正史から大きく逸れたIFのルートだとしても、公式のごす生存ルートが欲しいんです……

ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)

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