ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話   作:CVn-α:コル・カロリ

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AC6のオーケストラコンサートの京都公演(9/15)までか、その当日に完結させられればいいな……と思い立って執筆ペースが上がっています。
1日3000文字くらいをキープできれば、20話程度は投稿できるので行ける……か……??と言った感じです。



ひとりで 10機ぐらい撃破すれば いけるか?

Side 621

 

 

 あれから訓練は毎日のように続き、惑星封鎖機構の増援が1週間以内に到着してもおかしくない時期になった。

 レッドガンやルビコン解放戦線とも合同の戦闘訓練をして、全体的な底上げはできたはずよ。

 

 

『それで、封鎖機構が戦力を投入するとしたら──

 

『いや、宇宙港は警備が厳重だと予想してずら──

 

『それなら、半島に橋頭堡を築くためにこの地──

 

 

 今は父さんと兄さん、ミシガンやフラットウェルと言った代表者たちが集まって会議をしている。

 私?護衛としてACに乗って待機しているだけよ。

 

 封鎖機構がどこに戦力を集中投入するか。その予想が外れたとしても、戦力をどう配置しておけば対処できるか。異なる所属間での指揮系統はどうするのか。そんな事が話されているわ。

 カーラたちが作った宇宙観測用レーダーである程度の方向はわかっている。だけれども、まだ詳細な地点を確定させられる程正確なデータではないわ。だから会議が長引いているのだけれども……

 

 

『それなら、"どの敵を対処して欲しいか"は、ハウンズから指示を出す。具体的な戦力割り振りやその他細かい指示は、元の所属に従う。これならどうだ。』

 

『追加の指示などが短時間に出された場合に対応できない可能性がある。ハウンズも我々解放戦線の指揮下に──

 

『いや、そちらに任せるのはLCまでとする。HC,特務機体,その他大型兵器については基本的にこちらで受け持とう。』

 

『基本的に、か。例外──

 

 

 多分だけれども、兄さんは"ハウンズから死者を何がなんでも出したくない"。解放戦線は"自軍の損害を減らして、あわよくばハウンズとレッドガンに消耗してもらいたい"なんて考えているのかしら。それか、自分たちに損害を押し付けられないか心配しているとか。

 

 

『封鎖機構の中将を尋問した記録には目を通したな?HC6機を同時に相手取るには、我々ハウンズからは最低でも4機必要になる。その例の兵器が確認された場合は、ハウンズ全機でもって当たる。』

 

『その間はHCやバルテウスなどもこちらに投げると?』

 

『そうするより他は無いだろう。ハウンズが崩れれば、戦線を突破するための衝撃力が無くなるぞ。』

 

 

 やっぱり"政治"って面倒ね。軍事的な最適解はあっても、それぞれの勢力の利益や損失の調整でそれを実行できない。でも、父さんは"これまでの3周"で、それを一人(かカーラと一緒に)捌いていたのよね……

 待って?"今回"は、私たちはAC6機でさらに大きな影響力を持っているから……もっと面倒なことになっている?

 

 ……兄さんがいて助かったわね。

 戦闘も私に少し劣る程度で、軍事や政治は父さんを支える……どころか、父さんから頼りにされるレベルでできている。ちゃんと休めているのかしら?*1

 

 

『それと、ザイレム並びに強襲艦の指揮権は……』

 

『ザイレムについては、発見、確保した我々が使う。何より、カーマン・ライン近傍あるいは、必要に応じて宇宙空間まで上昇して封鎖機構の強襲艦隊を落とすつもりだ。その中にLCやHCがいれば、戦力として動く前に無力化できる。これを逃す手は無い。』

 

『だが、解放戦線としてもMTの安全な移動手段は確保したい。輸送ヘリだけでは量も速さも足りない。』

 

『それなら、RaDでリバースエンジニアリング,製造した強襲艦を譲渡する。後2,3日もあれば、第1陣の4隻が完成する。習熟訓練は諦めて、MTの積み込みと荷降ろし、それと飛ばして着地する。この4つさえできれば何とかなるだろう。』

 

 

 本来ならルビコンの勢力である解放戦線が主導権を握るはずでしょうけど、オーバーシアーが主導権を握っているわね。

 兄さんが前に言っていたことだけれども、

「RaDの規模を拡大できるのならしておきたい。オーバーシアーは、情報,軍事だけでなく、技術,工業力の面からも発言力の"厚み"が増す。」

の効果がバッチリ出ているわ。

 

 

 何となくだけれども、父さんは"コーラルに関する後始末"を見据えて動いていて、兄さんは"戦争に勝つ"ことを見据えて動いているんじゃないかしら。

 

 父さんのやり方だと、余計なところまで手を広げないからオーバーシアーとしての身動きは取りやすい。けれども、影響力は兄さんのプランと比べて小さいから、主導権を握ることはできない。

 兄さんのやり方だと、いざとなったときの強硬手段も含めて対応の手札が増える。その代わり、オーバーシアーとしての一挙手一投足に気を遣わないといけない。

 

 どちらのやり方にもメリットとデメリットはある。

 けれども、技研都市……正確には、そこにあるプラントを確保できたから、兄さんのやり方の方が良いって判断されたと思っているわ。だって、バスキュラープラントをリリースプラントに改造するなら、私には想像できないほどの物やお金、人手が必要になるもの。

 

 

 もしかしたら、"これまで"の兄さんの周回の中に、バスキュラープラントの管理を解放戦線に任せて"詰んでしまった"ものがあるのかもしれない。封鎖機構や企業に奪還されたか、工事が後回しにされて"破綻"が先に来てしまったとかで。

 

 

 

 兄さんは、"これまで"のことを頑なに話してくれない。聞いたとしても、はぐらかすようなことすらせずに、「……お前たちに聞かせていい話ではない」って拒んでしまう。私たちの頼みなら時間やモノが許す限り大体聞いてくれる、あの兄さんが。

 

 

 今の兄さんを形作っているであろう、隠された過去(これまでの周回)

 きっと、私たちが上手くやって、円満に解決させることができたら……その時は話してくれるわよ……ね?

 

 

──────

────

──

 

 

『621、待たせたな。会議は終わった。帰るぞ。』

 

「了解よ。」

 

 

 ようやく終わったみたいね。

 暇だったから周辺警戒はCOMのオートスキャンと画像分析システムに丸投げして、シミュレーターでHC相手に戦闘訓練をして時間を潰していたわ。

 

 

「それで、私たちの配置はどうなったの?」

 

『部隊の規模にもよるが、今のところはバートラム旧宇宙港の近海にザイレムを配置し、そこで待機することになった。』

 

「わかったわ。」

 

 

 敵の来る場所がある程度わかっているのは大きいわね。こうして備えられるから。

 

 バートラム旧宇宙港に直接来ないのは、守りを固められていると予想してのことよね。

 そして、その半島を足がかりにしてバートラム旧宇宙港を制圧。補給線を確保してから大規模な部隊を送り込んで、再びルビコンを封鎖するために各地に進軍……ってところかしら。

 もちろん、陽動や戦力分散のために別の場所にも送り込むでしょうけれども、一番多いのはバートラムよね。

 

 クリフォード宇宙港*2は周辺の地形が開けた土地だから防衛に適していない。だから、戦力が投入されたとしても本命ではなくて撹乱程度と判断したみたい。

 

 ただ、敵の戦力がまだ詳細に判明していないのが気がかりね。"例の兵器"の存在もあるし。

 "1周目"でアーキバスが鹵獲していた強襲艦隊の数から考えると……強襲艦が100隻くらい来てもおかしくはないわよね。私とカーラで撃墜したのは……確か20隻にはギリギリ届かなかったはず。鹵獲前に撃破されたりしていたことも考えれば、そのくらいは割と妥当なはずよ。

 

 

 


 

Side ウォルター

 

 

 封鎖機構の再進駐は、もはや秒読みの段階まで来ていると言えるだろう。派遣された艦隊が分離し、それぞれの目標地点と思われる所へ向かい始めたからだ。

 レーダーによる観測もより高精度なものになり、全容をある程度明らかにすることができた。

 

 今はそれらを踏まえ、最後の戦力調整をレッドガン,解放戦線の代表者と共にしている。

 

 

「さて……レーダーの情報から予測される敵戦力はこんなところかね。」

 

 

・SG:推定5000機*3

・LC:推定500機*4

・HC:推定60機*5

・その他特殊大型兵器:推定20機

・強襲艦:200隻

・その他補助艦艇*6:推定100隻

※エクドロモイなどの執行機は、該当または最も近いカテゴリーでカウント

 

 

「……HCの各個撃破に注力すれば何とかなるだろう。ただ、HCが20機程度まとまって行動していた場合は正直お手上げだ。」

 

「待て。この戦力差で、お前は……"オーバーシアー"は勝てる見込みのある戦いだと思っているのか?!」

 

「上手くやれば、な。」

 

 

 612の返答に、フラットウェルが信じられないものを見るような目をしている。

 

 無理もないだろう。これまでの解放戦線であれば、SG1機を撃破するのに、平均してMTが2,3機、LCの場合は15機程度、HCに至っては最低でも50機必要になると見積もっていた。

 そして、現在保有しているMTはおよそ1万機。これでも急ピッチで製造した方だ。そのせいで、まともなMT乗りですら貴重なレベルになっている。モノはともかく、ヒトが追いついていない。

 そのため、実情としては……MTは5000機程度の戦力と見積もることになるだろう。そこにACが50機程度加わるが、雀の涙程度にしか考えていないはずだ。

 

 

「まず、これだけの強襲艦を停泊させる場所が無い。上空で待機、あるいは交代交代でSGやLC,HCを降ろすことになるはずだ。よって、これらの戦力が同時に運用されることは無い。」

 

「次に、ザイレムにも武装は施されている。元から搭載されていた主砲、それと急造だが対艦ミサイルも搭載している。SGやLCは強襲艦もろとも撃破する。」

 

「それと……そうだな。エア、この部屋に盗聴器なんかの類は無いよな?」

 

『はい。不審な電子機器等は一切ありません。』

 

 

 恐らくだが、"アレ"を伝えるつもりだな。

 仮に、フラットウェルがここで勝てないと判断して"可能な限り敵をすり潰す"方針に切り替えれば、ハウンズやレッドガンを使い潰す可能性が出てくる。そのため、"勝てる戦いだ"と思わせる必要がある。

 

 

「それと、フラットウェル以外の解放戦線の人間、ミシガン以外のレッドガンの人間は退出してくれ。万が一、億が一だろうと封鎖機構に漏らしたくない。」

 

「……わかった。お前たち、少し席を外してくれ。」

「聞いていたな?外で待っていろ。」

 

 

 部屋の中には、オーバーシアーからの3人と、フラットウェル,ミシガンの計5人になった。それでもなお、紙に書いてあの情報を開示することにしたようだ。

 

 

"衛星砲の一時的なハッキングをする準備はできている。"

"封鎖機構の一部戦力をそれで削る算段だ。"

 

 

 フラットウェルとミシガンの顔色が変わった。フラットウェルにとっては星外との交易で、ミシガンにとっては星外へ出る際に最大の障害となる衛星砲に手を掛けたからだ。

 

 

"あくまでも、一時的なハッキングに過ぎないだろう。"

"そのため、銃身部分を爆破して使い物にならないようにする仕込みもしてある。"

 

 

 2人が読んだのを確認して、その紙を燃やして情報の痕跡を消した。

 これなら、フラットウェルは勝機を見出すだろう。そうすれば、"今後"のことも考えて、ハウンズやレッドガンに負担を押し付けるような作戦は取れなくなる。それこそ、レッドガンに負担を押し付ければサボタージュのような形でしっぺ返しを喰らうだろう。

 

 

「……わかった。確かに勝機はあるようだ。」

 

「それと、"コレ"の効果を最大化するためにも、ハウンズの配置は変えさせてもらう。……なに、上手く行けば解放戦線とレッドガンの負担は大きく減る。」

 

 

 


 

 

 

「ハウンズ。ブリーフィングを始める。」

 

 

 こうしてブリーフィングをするのは一体何回目だろうか。

 願わくば、これ程の緊張感のあるブリーフィングは最後になって欲しいものだ。

 

 

「数日前にはバートラム旧宇宙港近海での待機と言ったが……状況が変わった。」

 

「まず、強襲艦隊の迎撃をLOCステーション31を簡易的な拠点として行う。無論、ザイレムでも補給はできるようにするが、万が一ザイレムが落とされた場合はこちらで補給するように。」

 

「……ああ、安心しろ。俺とカーラは常にACに搭乗したままだ。ザイレムが落とされても死ぬ訳ではない。」

 

 

 617たちの顔が一瞬苦痛に歪んだが、一先ずは安心してくれたようだ。

 理想を言えば、技研の残したアイビスシリーズ──欲を言えば、有人操縦が可能なHAL826──を確保したかったが、未だに見つけられていない以上は仕方ない。仮に見つけられていたとしても、操作に慣れる時間は足りなかったかもしれないが。

 

 

「ここで封鎖機構の戦力を削り、可能な限り地上の負担を減らす。ただ、最優先の目標は補給艦だ。あくまでも、補給艦撃墜のために邪魔な敵を排除する認識を持て。」

 

 

 これに関しては、612から言われたことだ。とは言っても、俺も補給線の重要性は認識している。612に言われなくてもそうしていただろう。……ただ、補給線の重要性を認識できたのは612のお陰なのだがな。

 

 

「仮に"例の兵器"が確認された場合は、全力で合流を優先しろ。ハウンズ全機でまとめてかかる。いざとなれば、衛星砲による狙撃も視野に入れる。」

 

「ザイレムと衛星砲がある限り、敵に多大な出血を強いることができるだろう。……だが、最優先はお前たちの命だ。危なくなれば迷わず撤退しろ。ここで負けても、まだ"次"はある。」

 

 

 そうだ。あくまでも、これは敵の戦力を減らすための戦いだ。殲滅戦の段階に移るのは地上に引き込んでからとなる。そして、生き残れればその殲滅戦でも戦える。

 

 

「ブリーフィングは以上だ。各員、準備を整えろ。」

 

 

 

──────

────

──

 

 

「ウォルター、あの機体の準備はできているか?」

 

「ああ。シュナイダーから機体は納入されて、カーラたちがジェネレーターの取り付けをしている。完成は明日の見込みだ。」

 

 

 あの機体とは、シュナイダーの開発したLAMMERGEIER(あの軽量4脚)だ。612の要望で、頭部パーツはKASUARに換装されているが。

 その際、シュナイダーとは一悶着あったらしい。しかし、612の

「そもそも宇宙空間で使う想定だ。空気が無いから空力も何も無いだろう……」

の言葉に押し切られたらしい。

 

 

「わかった。完成したらすぐに慣らしで乗りたい。シミュレーターで加速度も擬似的に体感しているが、実機で確認する。」

 

「その手配は付いている。安心しろ。」

 

「助かる。」

 

 

 ただ、懸念点が1つある。コーラルジェネレーターを積んでいることだ。

 

 未燃焼の──つまり、増殖能力を持った──コーラルが放出されることはまず無い。そこはカーラがブースターなどのパーツに対策を施している。

 しかし、ジェネレーターが破壊されるような事態になれば話は別だ。そのときは、ジェネレーター内部にあるコーラルが宇宙空間に散らばる可能性がある。

 

 ……その最悪の事態を防ぐために、ジェネレーターのすぐ側には自爆装置が付いている。機体が撃破されたときに、未燃焼のコーラルを全て燃やし尽くすために。

 このことを知っているのは、俺とカーラ、そして何より最大の当事者たる612だけだ。617たちに知られたら……一体どうなるだろうか。想像もしたくないな。

 

 

「それと、シュナイダー社からも宇宙空間での迎撃戦力を出すそうだ。"宇宙空間なら空気抵抗も無いから加速し続けられる"と言っていた……」

 

「……シュナイダーらしいな。だが、地上でLCやHCを相手にするよりはそっちの方がまだ相性は良いだろう。」

 

「今は、対空砲火の弾幕を潜り抜ける訓練をしているらしい。時間があったらお前も顔を出してやってくれ。」

 

「了解。」

 

 

 正直に言えば、シュナイダーからの増援要請を聞いた時はどこか安堵した自分がいる。……機数が増えれば、それだけ612が撃破される確率が下がるからだ。

 ただ、これは他の人間を囮にしているだけに過ぎない。……いや、他の人間を囮にしてでも生き残って欲しいと願っている俺がいる。

 

 ……やはり、俺はどこまで行こうとも悪人なのだろうな。

 自分の目的のためにどれだけの人間を殺してきたのか……いや

直接殺した人間はいないが、612たちに殺させている分余計に質が悪いだろう。あまつさえ、俺たちとは関係の無い人間を身代わりにしようとする考えすら浮かんだ。

 

 

 

 

 

地獄に堕ちるのは俺だけで良い。

いや、俺だけでなければならない。

 

 この思いは今でも変わっていない。

 

*1
お前たちを吸ったりしているから大丈夫だ。……それは3割冗談で、しっかり睡眠時間は確保しているからな。心配しなくても良い。

*2
本作オリジナル(?)の宇宙港。12話で名前が登場している。

*3
強襲艦1隻に40機程度が配備

*4
強襲艦1隻に10機程度が配備

*5
強襲艦1隻に5機程度が配備

*6
補給艦など





サブタイトルの元ネタはもちろん『ひとりで 10体ぐらい倒せれば いけるか?』です。

ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)

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