ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話   作:CVn-α:コル・カロリ

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遅れました(切腹済み)

……バイトのデスマーチ期間中なんです。ユルシテ…ユルシテ。



612… お前に… 友人はできるのか…

Side 620

 

 

 惑星封鎖機構との前哨戦も終わり、私たちはザイレムでベリウス地方へと戻っています。敵の降下地点がクリフォード旧宇宙港に変更されたと予想したからですね。バートラム旧宇宙港を使おうとすれば、エアがハッキングした衛星砲による狙撃をされますから。

 

 あの後お兄様は目を覚まし、身体や脳には何の異常も無いことを確認できました。開口一番が

「……シャワーを浴びれた訳でもないからな……その……」

と恥ずかしそうにしていました。可愛い……私たちへの気遣いを常に忘れないお兄様らしいですね。

 そのまま私たちとの時間を少しだけ楽しんだ後は、シャワーを浴びて、直ぐにお父様たちとの仕事の方に向かってしまいました。あと1日くらいはずっと一緒にいたかったのですが……今の状況を考えればやむを得ません。終わった後にまとめてするとしましょう。

 

 

「さて、私たちも私たちで、前回の戦闘の反省会と行きましょう。」

 

「そうだね。……まだまだ私たちは弱いから。」

 

 

 お父様たちにだけ任せるなんてことはできません。私たちもできることはやりましょう。ですので、こうして集まって反省会を開いています。

 

 

「結局、今回もお兄様におんぶにだっこされていましたわ。敵のターゲットをほとんど受け持っていて、私たちは横槍を入れるだけのような状態でしたから。」

 

「ええ。そんなことは許されませんから。私たちがお兄様を守れる(甘やかせる)ようにならないといけません。」

 

「620姉さん……何か言ってることと思っていることが違う気がするのだけど……」

 

 

 何も違っていませんよ?お兄様をただただ甘やかして私たちに全てを任せてくれるようにしようと思えば、お兄様抜きでも全てに勝てるくらい強くならないといけませんから。

 

 

「さて、現状の私たちの課題ですが……最前線で攻撃を引き受ける役割を遂行できないことです。お兄様であれば、いつもの機体か軽量4脚で攻撃を回避することでターゲットを受け持っています。」

 

「私たちの脚だとクイックブーストに頼った回避が難しい……617のBASHO脚なら良いかもしれないけど、ガトリングとクイックブーストの噛み合いが良くない。」

 

「そうですわね……ただ、私たちが今さら機体構成を変えるのはナシですわ。慣熟訓練が次の戦いには間に合いませんし、パーツの噛み合いを調整する試行錯誤の期間も確保できませんわ。」

 

 

 お兄様や621であれば機体構成を変更してもすぐに使いこなせますが、私たちではそうも行かないですね。

 お兄様は私たちの戦闘訓練のときに様々な機体で戦っていたので、そのときの経験値から。621は"これまで"の経験からでしょう。

 

 

「不本意ではありますが、あの女狐を前線の耐久タンクとして使うのはどうでしょう。」

 

「……多分、兄さんに言っても却下されるわよ。あの機体はタイマン特化だから、前線で耐える仕事には向いてないって。」

 

「仮に通ったとしても、お兄様もあの重量2脚に変えて最前線の耐久タンクを2枚に増やすと言い出しかねません。」

 

 

 会議は踊らず、されど進まず……ですね。

 もはや、私たちの小手先でどうこうできるお話では無さそうです。何が悪かったかと言われれば、私たちが一番最初に決めた機体構成が悪かった……としか言いようがないですね。

 

 もしも機体構成を変更する機会があれば、私がナハト脚にエツジン2丁持ちで最前線の回避タンクになれば良いのかもしれませんが。

 

 

「それでも、あんな機体は例外だから考えなくても良い……と思いたいけれども。」

 

「それも一理ありますわ。カーラが装甲板の解析をしていますが、"随分苦労しそうだね……組成が分かっても作り方までは特定できなくてもおかしくない"と言っていましたわ。」

 

「カーラを以てしてもそう言わせますか。流石は惑星封鎖機構……まともな政府組織と言ったところですね。」

 

 

──────

────

──

 

 

 結局、普段の訓練をこなして地力の底上げに努めるしかない……そんな何の面白みも無い結論にかなりませんでした。いえ、機体変更のような小手先に頼るよりは健全な結論ではありますが。

 ですが、それではいつまで経ってもお兄様に追いつけないのも事実です。……どこかそれに安堵している私もいれば、お兄様を守りたいと現状に満足していない私もいる。乙女心複雑怪奇、ですね。

 

 

 


 

 

Side ウォルター

 

 

「……全員揃ったな。ブリーフィングを始める。」

 

 

 先日の強襲艦隊襲撃は、まあ成功に終わったと言って良いだろう。だが、あくまでも前哨戦に過ぎない。本番は……これからだ。

 

 

「まず、先日の襲撃は……良くやった。強襲艦や補給艦の撃破数だけで見れば当初の予定に達していないが、最大の障害を排除したと言える。」

 

「そうだな……エアの衛星砲による狙撃が無ければ、ハウンズはあそこで大ダメージを貰っていたはずだ。結果だけ見れば、LOCステーション31で迎撃して正解だった。」

 

 

 612の言う通りだ。衛星砲の狙撃で装甲を破壊できたから何とかなったが、地上で投入されていれば……対アイスワーム用に作ったアレで対処するしか無かっただろう。それでも威力は十分ではなく、何度も当てる必要があっただろうが。

 

 

「だが、依然として敵の大部分が健在だ。これがベリウス地方のクリフォード旧宇宙港を狙っている。」

「ここを確保されると、補給艦による補給が容易となり地上に大部隊を展開される。そうなれば、質で劣るルビコン解放戦線の部隊では戦線を支えきれず、ルビコン各地が再び支配下に置かれるだろう。」

「最悪の展開としては、封鎖機構は現地生産拠点を手に入れ、ルビコンの総力で以てしても対処できなくなる可能性がある。」

 

 

 ほぼ確実に、補給艦には各種工作機械が搭載されている。下手をすれば、SGやLC周りの生産設備すら搭載されている可能性すらあるだろう。

 一度はアーキバスに追い払われた以上、封鎖機構も"政府"組織の体裁を保つために確実なプランを練ってきているはずだ。その中に、ルビコンでの現地生産が組み込まれていても驚きはしない。

 

 

「よって、封鎖機構の侵攻を頓挫させる最後の機会が次の戦いだ。ここで敗れれば、これまでの苦労が全て水泡に帰す。」

 

 

 水泡に帰すとは言った以上、612たちは何がなんでもやり遂げようとするだろう。だが、ここで誰か一人でも欠けてしまうくらいなら、"仕事"が失敗に終わったとしても構わない……そう思ってしまっている。

 

 

 

「612、仮にこの作戦中に……──

 

 

 

 

 

 だが、

「この作戦中に誰かの死が避けられないのであれば、俺たちの"仕事"が失敗しても構わないから撤退しろ。」

と伝えてしまっても良いのだろうか。

 ……寧ろ、612だけが犠牲となって"仕事"を完遂できるのであれば、それを選びかねない。そんな危うさを感じている。

 きっと、俺に残された全てを託して。

 

 612であれば、仮に最善の結果を出せないとしても、次善の結果を出すためにすぐに切り替える。そして、612は617たちの"兄"であろうとし続けている。

 誰かの死が避けられないのであれば、"兄"として妹を庇う。それが612の中での"次善"になっているはずだ。故に……そうなったときにどんな行動をするのか、それは予想が付けられてしまう。

 

 

 

 

 

──この作戦中に不測の事態が起きた時は、お前の判断に全てを任せる。政治が絡むようなゴタゴタは気にするな。お前たち"全員の生存"だけを考えろ。」

「それこそ、解放戦線やレッドガンを囮にしようと構わない。後は全て俺が何とかする。」

 

「それが、俺の……

ハンドラーとしての役割だからだ。」

 

 

 


 

 

 ここからは戦闘面での説明だ。話を612に代わろう。

 

 

「さて、封鎖機構部隊の迎撃だが……ザイレムには再び強襲艦隊の相手をしてもらう。また、ハウンズはザイレムで敵の迎撃を行う。これには2つの狙いがある。」

 

・上空にいる強襲艦,補給艦の排除

・HC,LCをハウンズに引きつける

 

「強襲艦の排除は言わずもがなだ。ACでの空中機動戦は、流石に分が悪い。……ENが無尽蔵なら話は別なんだがな。」

「2つ目の方だが……ザイレムは当然だが上空にある。故に、敵はLCとHCのみでザイレムを落としにかかるだろう。無論、艦底部レールキャノンによる撃墜も狙ってくるだろうが、本命はHC,LCによるザイレムの制圧,無力化のはずだ。」

 

 

 解放戦線やレッドガンには、SGやLCまでを任せる取り決めになっている。無論、例外もあるが発生しない方が好ましい。

 こうして上空に強襲艦隊の脅威を配置することで、高機動なLC,HCをハウンズに引きつける算段だ。これなら敵としては罠だとしても飛び込まざるを得ないだろう。

 

 

「恐らくだが、敵は艦底部レールキャノンでザイレムの対空砲や迎撃ミサイルを破壊、その後にLCやHCの集中投入による掌握を試みるだろう。よって、そのLC,HCの迎撃で敵の突破力を大きく削ぐ。」

「また、レッドガン部隊のACもザイレムで待機する。ザイレムは広いからな。封鎖機構が中枢部の破壊とラムジェットエンジンの破壊で二手に別れたりすれば対応できなくなる。それを防ぐためだ。」

 

 

 先日の戦いで、ザイレムの脅威度は引き上げられているはずだ。それを逆手に取り、敵の主力を引き付けてこちらもさらに戦力を集中させる。

 1番嫌な手は、ザイレムを強襲艦隊に任せて残りの全戦力を地上に投入することだが……そこまでの博打には出ないだろう。仮にそうなったとしても、612がLAMMERGEIERで出撃して強襲艦隊と後方の補給艦隊を荒らす手筈になっているのだが。

 

 

「基本的には、敵を迎え撃つ"受け"の姿勢だ。だからこそ、引き際は間違えるなよ。ザイレムで負けたとしてもまだ地上で戦える。解放戦線とレッドガンが、敵の数的主力であるSGを粗方排除するまでの時間稼ぎ……それが我々の役目だ。」

 

 

 いくらハウンズと言えども、圧倒的な数的不利で戦うのは望ましくない。例え相手がSG……ACに比べれば赤子の手をひねるような相手だとしてもだ。

 ……いや、普通のACはSG10機に囲まれでもすれば落とされるような兵器だ。それを圧倒的な練度で覆しているだけで。

 普段から見ているACの動きに引っ張られているな。ルビコンでは上澄み中の上澄みであるハウンズが"ACのスタンダード"に見えてしまっている。

 

 

「最悪の場合は、強襲艦のレールキャノンに晒されながらHCと戦うことになる。各員、自身の生存を最優先に行動しろ。戦闘面での尻拭いは私がやる。気にせず動け。」

 

 

 やはり、"全員の生存だけを考えろ"と言って正解だったな。617たちを庇って612が犠牲となる……その展開は防げただろう。

 

 後は……俺の"仕事"を終わらせて、本当の意味で612たちを自由にしてやるだけだ。俺が"ハンドラー"・ウォルターではなく、"ただの"ウォルターになる日は近づいている……はずだ。

 

 

 


 

 

 

 封鎖機構が大規模な降下を開始したのを確認したため、オーバーシアーも動き始めた。HC,LCを迎え撃つために配備されたACを乗せて、ザイレムでクリフォード旧宇宙港へと向かっている。

 

 どうやら解放戦線所属のACが接近しているようだ。こちらへの増援だろうか。

 まだ目視できる距離ではないが、通信が入った。あの機体からだろう。

 

 

『なるほど、ハウンズ全機が勢揃いか。それに加えてレッドガンのACも一部いると。随分と派手に集めたものだな。』

 

『なるほど、お前もここに配置されたか。なら、遊撃戦力として火消し役に回るか、浮いた駒を狩れ。』

 

『了解した。地上のルビコニアンを1人でも多く生き残らせるためにも……ここで全力を尽くそう。』

 

 

 アーキバスを裏切った……いや、アーキバスから元の所属に戻ったラスティも来たか。612曰く、"フロイトにやや劣る程度"の技量らしい。そう考えれば心強い援軍だろう。

 

 

『しかし、どういう風の吹き回しだ?お前は解放戦線の一員として地上に投入されるものと思ったが。』

 

『スティールヘイズは機動性特化だ。とは言え、回避が意味を成さない程の膨大な数に囲まれれば脆い。それなら、上の方が効果的に働ける……上がそう判断したのさ。』

 

『……なるほどな。まぁ、HCを撃破したりしてくれれば御の字だ。』

 

 

 だが、実際のところは監視役のような扱いでもあるはずだ。オーバーシアーが、"解放されたルビコン"を実現したあとでも信頼に足る組織であるかどうかの。612もそう考えているからなのか、若干冷たい対応をしているように感じられる。

 

 本音を言えば、外部の人間とも健全な交友関係を築いて欲しいとは思っている。だが、612は……俺たち以外の人間との関係をどこか拒んでいるように感じられる。

 

 脳を焼かれ、記憶を失い、その上で再び得た"家族"。そして、周りには金や情勢次第で敵味方が目まぐるしく変わる勢力。これで外部の人間を信頼しろと言う方が難しいのはわかっている。

 ましてや、613たちを喪ってもいる。617たちにとってどうなのかはさておき、少なくとも、612にとって"家族の死"は有り得る結末の1つのはずだ。

 

 

 俺の"仕事"が終わり、敵か味方かで人間を判断する必要が無くなれば──あるいは、最低でも"命のやり取り"が非日常になれば、612も外部の人間とも信頼を築けるかもしれない。

 

 願わくば、このルビコンで"友人"と呼べる人間ができれば良いのだが……

 

 

 

 考えていることが"父親"のようになってしまったな。短くはない時間を俺の"仕事"のために使わせ、無数の人殺しの咎を背負わせた俺にそんな資格は無いが……それでも、幸せを願う程度なら罰は当たらないだろう。

 いや、俺に罰が当たる程度で許されるなら安いものだな。*1

 

 

 

 

『本来であれば、これまでの戦いはルビコニアンたる私たちだけで成し遂げなければならないことだったはずだ。そんな中で、君たちがルビコンのために戦おうとしているのに私が手を抜いていてはルビコニアンの名折れだ。全力を尽くすと約束しよう。』

 

『別にルビコニアンのために戦っている訳ではない。我々の目的を達成するための一時的な共闘だ。そこは勘違いするな。』

 

『……そうか。随分と手厳しいな。』

 

 

 

 ……大丈夫だ。俺の"仕事"が終われば……しっかりとした人間関係を築ける……はず……だ。

 

 

 


 

 

Side ???????

 

 計画の修正案を立案……

 

 封鎖機構によるルビコン再封鎖作戦の成功率……小さすぎる。

 

 手持ちの戦力による介入をした場合……現在の派遣部隊と同規模の部隊が再び派遣されれば見込みアリ。

 

 

 リリースプラント上層部の設計図をリークすることでルビコニアンによる積極的な宇宙進出の意思があると誤認させ、さらなる封鎖戦力の派遣へと誘導。それに合わせて行動を開始。封鎖機構相手に消耗した────を撃破、目標を達成するプランを採用。

 

 

 やはり──の戦力が 大きすぎる……

 

 

 

 まだ秘匿している戦力は発見されていない。また、捜索範囲からも外れている。戦力の隠蔽と保全は完璧でしょう。

 

 

 ──から誰か一人でも"こちら側"に引き込めれば楽な話になりますが、それはほぼ不可能。やはり、中心人物たる────の排除は必須。

 

 

 まずは、封鎖機構に対する情報戦から始るとしましょう。

 

 

*1
カーラ:そんなことを思っているとはね……全く、アイツ(612)も一体誰に似たんだか。





最近Side お兄様が無いとお気づきになりましたか?
(外部視点による)お兄様掘り下げシーズンだからですね。

えっ、もう物語も終盤に差し掛かっているのに今さら掘り下げって正気ですか?!?!
……逆に考えるんだ。ここまでの積み重ねがあったからこそ、その掘り下げに"説得力"が生まれるんだと。

ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)

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