ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話 作:CVn-α:コル・カロリ
今回のタイトルの元ネタは……YouTubeのshort動画で有名な「これが球体最も完璧です」です。
多分ですが、英文で
This is a sphere that is the most perfect.
を日本語に機械翻訳したのが原因なのかな〜と思ったりしています。"a sphere"の後ろに"that is most perfect"と追加の説明をしているような感じで。
アレです、that節というヤツですね。
Side 612
『こちら解放戦線のラスティ。レッドガン部隊へ加勢する。』
『こちらオーバーシアーのエリー。同じく加勢するわ。』
担当していたHCを片付けた2人が合流した。機体も乗り換えており、最前線を貼らせても問題は無いだろう。……エリーはタイマン特化機体だから無理だが。
「G5、お前はもう下がれ。ラスティと交代だ。」
『ケッ、ようやくか。最後に美味しいところだけを掻っ攫っていくとはなぁ?』
『G5、貴様が与えたダメージはHC1機が精々だ。そこの狼は2機をガラクタに変えている。自分のケツすら自分で拭けないお守りを必要としているのが貴様だと自覚しろ!!』
相変わらずのミシガン節だ。予めミシガンからの音声には音量のリミッターを設定しておいて正解だったな。
『……なるほど、残りは5機だけだったか。私が出しゃばらなくともレッドガンだけで片付けられていただろうな。』
「だと思うが、現状でACパイロットから死者が出ることは何がなんでも避けるべき状況だ。贅沢な人選だろうと構うものか。」
『さて、俺も前線に出てやっても良いが必要か?』
ミシガンもこちらに向かってきているのはわかっている。2分もしない内に戦線に加われるだろう。
「そうだな。ミシガン、お前が加わったらG4以外は全員下げても構わん。疲労からミスをして、運が悪ければ落とされかねない。」
『そんな甘ったれた訓練はしていない……と言いたいところだが、わかった。どうせ猟犬たちもこのまま来るんだろう?』
「ああ。安心しろ、レッドガンで削っていた分はしっかりそちらの撃破数として計上する。」
あれから617たちも合流し、残りのHCは全機撃破された。
……正直に言えば、最後の1機まで抵抗し続けたのは少し予想外ではあった。何度か降伏を促す通信は入れていた*1が、それは受け入れられなかった。機体を鹵獲されて解析されないように、パイロットが勝手に降伏したら自爆するような仕込みがされているのかもしれない……そうとすら思えるような頑固さだ。
ルビコン陣営の損害は、機体の損傷(一部は修理が難しく新品を作る方が安上がりになるレベルのものもあったが)、固定砲台や無人兵器の損耗程度で済んだ。
一方、封鎖機構はHC30機を失い、戦線の突破力を大きく失った。もはや、LCの機動力による撹乱が精一杯だろう。……それでも、地上にいる解放戦線のMT部隊には大きな脅威だが。
「こちらハウンズリーダー。地上で戦っているルビコニアンに告ぐ。上空での戦いは我々の完全勝利だ。残されたLC,SGを殲滅すれば、再びルビコンに平穏が訪れるだろう。」
『ミドル・フラットウェルだ。良くやってくれた。』
『……私からもルビコニアンに告ぐ。今や最大の脅威は排除され、残されたのは数が頼みの機体ばかりだ。諸君らの奮闘があれば、灰に塗れたルビコンが解放されることは間違いない。諸君らの奮闘によって自由を勝ち取ることができるだろう!』
『我々の手で自由を勝ち取るぞ。──
──ルビコニアンよ、ルビコンと共にあれ!』
『『『ルビコニアンよ、ルビコンと共にあれ!!』』』
……なるほど、警句を一部変えるだけに留めて馴染みやすくしたか。
深読みをし過ぎているかもしれないが、ある種のコーラル神秘主義者であるドルマヤンの影響力も削ごうとしているかもしれない。"コーラル"ではなく、"ルビコニアン"へと意識を移させることで。
フラットウェルが野心家だとは思わない(思えない)が、ルビコン統一政府となった後のことを考えてドルマヤンに同調する人間の影響力を減らそうとしている……と考えれば辻褄は合う。もちろん、深読みのし過ぎで外れている可能性も大いにあるが。
「地上は……すぐに戦線が崩壊するような事態にはならないだろう。ハウンズ、これより帰投する。次は地上での戦いだ。短いかもしれないが休息を取る。」
機体を乗り換えての連戦と考えれば、今は戦闘の緊張感から疲れを感じていなくとも実際には疲労が溜まっているはずだ。もちろん、損傷した機体でこのまま戦いに行くのも避けたい。
機体の修理と疲労回復も兼ねて休息を取ろう。
ちょっとした閑話
「総長、質問よろしいでしょうか。」
「どうしたG6。」
「私をハウンズリーダーの僚機に付けるよう言った時に話して下さった、"以前評価していた"のことです。」
総長に言われたハウンズリーダーによる俺の"評価"だが、戦闘が終わってからそれが気になっていた。
「それか……前にアーキバスが基地に襲撃をかけて来たことは覚えているな?」
「はい。」
忘れるはずも無い。あの戦いでレッドガンはG7 ハークラー、G8 ドニエプル、G10 ライン、G11 ワジの4名を失った。ナンバー持ちの僚機──次期ナンバー候補の筆頭でもある──も失っていて、あれは大きな損失だった。……戦力としてもそうだが、良き先輩、良き友、良き後輩でもあった。
「あの時に、"腕の方はまだまだだが、士気の上げ方を心得ている。"と評価していた。」
「そんな事が。」
あの時は、とにかく弱みや狼狽えを見せないように必死だった。上の人間の動揺はすぐに下へと伝わる。だからこそ、ミシガン総長のように構えていようとした。
きっと、それは正解だったのだろう。
「ああ。それで、アイツの僚機として動いてどうだった。レッドガンに評論家はいらんが……実際に手を動かした人間の言うことは信用に足る。」
「……確かに、"ハウンズのリーダー"としては優れているでしょう。ですが、"レッドガン部隊の指揮官"としては総長が優れているかと。」
「ほう?」
確かに、ハウンズリーダーは強い。僚機として共に戦ったが、俺の実力を見た上で、最大限使い倒す動かし方をしていた。
戦い方の指示も簡素で、俺の機体の状態も常に把握しながら戦っていたように思える。それどころか、戦況全体を把握していてもおかしくない……そう思わせる動きだった。
「少数精鋭を最前線で共に動かす"リーダー"と、大軍の指揮を執る"総長"としての違いです。」
「少数精鋭を失うことなく運用することに関しては、本人の戦闘力も相まってこのルビコンで右に出るものはいないかと。しかし……」
「言いたいことはわかる。"死者が出る前提の作戦"にヤツは向かん。そう言いたいんだな?」
「はい。」
レッドガンでもハウンズの戦闘映像は保有している。それらを見る限り、余程の戦況でもなければリペアキット2つを使用したら後方へ下がらせていた。極端なまでにパイロットの喪失を避けているように思われる。
「確かに、レッドガン部隊のMTは、1機で解放戦線のMT3機分の働きをするだろう。だが、MTであることは覆らん。どれだけ注意深く運用したとしても、撃破されるパイロットは出る。」
「アイツもまだまだ青二才だ。恐らく、ハウンズから死者が出た日には……俺も予想が付かん。そのまま"リーダー"としての務めを果たすのか、地獄の果てまで追い回す復讐者となるか……あるいは、完全な抜け殻になるやもしれん。」
「ですが、ハウンズから死者は出ています。6年と少し前に。」
「ああ。死者は出ているな。……いや、他ならぬ俺が殺した訳だが。」
そう、ミシガン総長は先代のハウンズを撃破……いや、殺している。
それからしばらくの間は、ハウンズリーダー単機だけのはずだったがベイラムは大きな被害を被った。"あの"上層部が名指し依頼の報酬を引き上げて、アーキバスへ矛先を逸らさせたほどだ。
「はい。ですから、身近な人間であろうと死ぬことを経験し──
「圧だ。」
──ているはず……圧、ですか。」
俺はルビコンに来てからのハウンズリーダーしか知らない。ルビコンに来る前に直接見たことがある、あるいは戦ったことがあるのはレッドガンでも限られた人間だけだ。……無論、戦った上で"帰ってくることができなかった"人間の方が多いが。
「ああ。木星戦争で戦った時は、ただ他の奴らと比べて強いだけのパイロットだった。」
「だが、ルビコンに降り立つ半年前に直接見る機会がまたあった。……あの時はエリーの紹介でパイルバンカーとダケットを買いに来ていたな。」
あの時はミシガン総長と五花海先輩が直接出向いていたと聞かされている。それと、パイルバンカーを仮想標的に打ち込んでいるハウンズリーダーの映像が撮られたのもこの時だとか。
アサルトブーストやクイックブーストの慣性を活かして懐に滑り込み、そのままチャージしたパイルバンカーを放つ。
何人かのACパイロットが触発されて真似しようとしたが、スタッガーを取ることに意識を割きすぎて敗北したり、ハンガーから持ち替えるロスタイムのせいでスタッガーの硬直時間に間に合わなかったりと散々な結果になった。
「表面上は、ベイ太郎の着ぐるみを着たG3と武器の性能について話し合っていた。」
「待ってください総長。五花海先輩がベイ太──
「今は関係の無い話だ。気になるなら直接本人に聞け。」
──はい。」
五花海先輩がベイ太郎の着ぐるみを……?いや、武器の性能を話していたそうだから、きっと自然に話をするための工作だったのだろう。そこまでして下さった先輩に感謝するべきだ。
「その様子を影から見ることができたが……あんな若造が出せる雰囲気ではなかった。そうだな……五花海に迫る腹芸があの段階でできていた。そう言えば異質さは理解できるな?」
「……そんなことが。」
五花海先輩は、その経歴からレッドガン部隊の参謀のような立ち位置にいる。"ような"と付けたのは、担当しているものが主に"裏での工作"だからだ。
ナイル副長が"表"の実務を取り仕切り、五花海先輩がその"裏"を支える。そしてミシガン総長がそれをレッドガンとして纏める。それがいつものやり方だ。
そして、その五花海先輩に迫っていたとなれば……一体どこでそんなことを覚えたのか。それが新たな疑問になる。
「ウチにも、アーキバスへの復讐のために入ったヤツは何人もいた。……その末路は言うまでもないな?」
「はい。陣形から突出し、その隙に殺されていました。」
「"他人"を基準にしたヤツに見られる危うさ……それがあの時のアイツには既にあった。そして、ルビコンで何度か顔を合わせたが、それは強まっていた。」
「だが、その"他人"は敵意の矛先ではない。寧ろ、守るべき者だ。その違いはあるが……根本的な部分はどこか似ている。」
アーキバスへの復讐を目的として入った奴らは、そのほとんどが敵意を抑えきれずに突出していった。無論、アーキバス側にも明らかに突出してきたヤツはいた。どちらも、敵へ大きな殺意を持っていたはずだ。
しかし、基準が"他人"になっている、か……
俺は自分のことを自分勝手な人間だとは思っていない。自己中心的でないと言っても良いだろう。……こう言えば自画自賛となってしまうが、日々"レッドガンのために"できることをしている自負はある。
「お言葉ですが総長、それは我々レッドガンも同じなのではないですか?他人とは少し違いますが、"レッドガン"という1つの組織のために動いている。"自分"を中心としていないという点であれば同じではないかと。」
「良い質問だ。……そうだな、訓練でも業務でも何でも構わん。部下や俺に頼ることはあるだろう?」
「はい。日々、己の至らなさを実感するばかりです。」
特に訓練はミシガン総長に頼りっきりだ。俺自身が強い訳ではないからだ。
こんな俺でもG6に選ばれているのは、恐らく愚直さからだろう。頭や技量ではそこまで貢献できていなくとも、戦場に立つ兵士の手本として選ばれているのだと思っている。
「その反省は後回しだ。……つまり、誰かに頼られることもあれば、誰かに頼ることもある。」
「自分のケツくらいは自分で拭けるようにならないといけないが、背中を掻くのは辛いだろう。だから、誰かにやってもらう代わりに、自分も同じことを他人にする。それが集団の存在意義だ。」
「互いに助け合うのが集団だと。」
「ああ。だが……アイツは助けられるのを良しとしていない。一方的に助けるだけだ。それどころか、助けられるのを避けるべきことだとすら考えているだろうな。」
さっきの"自分のケツくらいは──"の例えがあったお陰で、それが異質なことだと理解できた。自己犠牲を美徳としている訳ではない。ある種の"義務"であるとすら考えているのだろう。
そして、それに何の疑問も抱いていない。まるで、"かくあるべし"と誰かに定められているかのような──
「いいか、G6。アイツのようにはなるな。"組織の上に立つ"人間としては、あれは失格だ。……もしも貴様が"少数精鋭のリーダー"になるとしても、あれ程極端になる必要は無い。」
「こんなことは言いたくないが、レッドガンは"軍人"の集まりだ。人の死に慣れろとまでは言わん。だが、時には受け入れる余裕すら無い状況だろう。あるいは、大勢を生かすために少数に死ねと命令することもあるだろう。」
「そんな状況だとしても、頭の片隅に利害と損得だけで動く"冷血な自分"を持て。上に立つ以上、死んで逃げることなど許されん。例えどれだけの恨みを一身に背負おうとも、その務めを果たせ。」
「……貴様であれば、レッドガンの奴らは付いてくるだろう。だからこそ、その責任は重い。」
「俺が生きている間に、貴様なりの"総長としての在り方"を見つけろ。これの意味を理解できんとは言わせん。」
総長は俺に期待して下さっているようだ。
人の上に立つ者としての在り方。一朝一夕で見つけられるものではないのは確かだ。
そして、俺は自身の"弱さ"にばかり目が行き、その期待から逸れかけてしまっていたのだろう。ハウンズリーダーからの評価と聞いて、どこか"戦いで伸びる余地がある"なんてものを期待していた俺がその証拠だ。
『G6 レッド、了解致しました!!』
感謝しよう、ハウンズリーダー。貴様のお陰で俺は成長できそうだ。
閑話休題して再び
Side 612
「……戦線が抜かれただと?!」
ハウンズが休息を取っていたのも束の間、信じ難い報告が飛び込んで来た。ベッドに倒れ込んで仮眠を取っていたが、眠気が吹き飛ぶどころか寝起きに耳元でEARSHOTが撃ち込まれたような衝撃だ。
「……ああ。どうやら複数の弾薬庫で同時に爆発が発生、最前線に届けられる弾薬が不足したことが原因のようだ。」
「LCが別働隊として動いていた……いや?先の戦いに姿を見せなかったHCがやったか?」
「それが未だに判明していない。監視の歩哨による報告も、レーダーに捉えられた機影も無い。オーバーシアー、並びに解放戦線の上層部が掴んでいる情報はこれだけだ。」
レーダーに捉えられた機影が無い……まさか?!?!
「現在の戦況図は。」
「少し待て……今表示した。」
突破された戦線は3箇所か。いずれも兵站線が比較的長めの場所だ。弾薬欠乏の影響が1番先に出たからだろう。
「……カーラ、RaDの弾薬庫と爆薬製造プラントは。」
「……弾薬庫をやられた。それと、雷管*2*3の製造設備もだ。ただの爆薬ならまだ残っているって程度だね。まったく、笑えない手を打ってきたよ。」
「それなら、爆薬を即席の地雷原として利用して遅滞戦術をさせよう。何もやらないよりはマシだ。いざとなれば、残された砲弾の爆発で誘爆させたりして無理やりにでも使えば良い。」
火薬に関連するものがやられたとなれば、今ある備蓄でやりくりするしかない。後は……火薬を使わなくても良い武器で対処するのも手だな。
「シュナイダーに連絡は?あそこならアーキバスから回収したEN兵装をそれなりに持っているはずだ。」
「済んでいる。在庫を全て使うどころか、修理できるものは修理して投入すると言っていた。」
助かった。初動の遅れは最低限で済みそうだ。
ハウンズでLCを片付けて収集を付けなければ。それと、この一件の首謀者(推定)も片付──
『ボス、緊急事態だ。リリースプラントが破壊工作を受けている。』
「何だって?!敵の規模は?!」
『不明だ。リリースプラントの
内側……なるほどな。そう来たか。
どうりで、技研都市をいくら探しても手がかり1つ見つからない訳だ。灯台もと暗しの諺がこんなにピッタリなことになるとは。
『工事は進んでいたからコーラルの漏出はまだ起こっていない。だが、このまま外まで開通させられるとコーラルが復旧工事の障害になり手遅れになる可能性がある。』
「オーバーシアーで動かせる戦力は何を使ってもいい。時間稼ぎを頼んだよ。」
『任された。』
技研都市の内側……いや、地下か?とにかく、盲点となっていた場所に戦力を蓄えていたようだ。
元々はバスキュラープラントだったが、そこの調査はRaDの人員とエアが念入りにしてくれたものだと思っていた。だが、大規模なコーラル溜まり……つまり、バスキュラープラントのさらに地下までは探せていなかった。
まったく……仕事を増やすんじゃない。殺すぞ。
ゲーム本編でレッド君と総長が直接会話をしているシーンが無かったので、2人が会話する時の口調だったりは完全に私の幻覚()です。
ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)
-
C4-617
-
C4-618
-
C4-619
-
C4-620
-
C4-621