ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話   作:CVn-α:コル・カロリ

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おや?サブタイトルの様子が……???



5周目分岐後
火を点けろ 燃え残った全てに


 

Side 612

 

 

──ぐっ……聞く耳すら持ちませんか。ならば……』

 

 

 コイツ(オールマインド)がどんな戯言を吐こうが関係ない。ウォルターの"仕事"を完遂するために、ここで決着を付ける。

 

 シールドでギリギリ持ちこたえたか。反撃のためにアサルトアーマーを使おうとしているが、それは完全な悪手だ。

 

 背中からパルスの奔流が見えた瞬間には後方QBをしていた。もう一度後方QBで範囲外に出る。

 アサルトアーマーが起動した瞬間にSONGBIRDSを発射。ギリギリ掻き消されないタイミングで撃ち込んだ以上、これは回避不可能だ。

 砲弾が直撃して……コアが大きく破損。ジェネレーターが露出した。

 

 

『まだここで死ななければ機会は伺える。対処を──

 

 

 何を企んでいるか分からない以上、ここで息の根を完全に止めてやる。HAL 826を回収できなくなってしまうのは残念だが、機体のすぐ側へQBで寄ってアサルトアーマーを使う。

 ……仮に回収できる状態だったとしても、内部の何かしらのパーツに予備プログラムを残しているかもしれない。例えば、オーバーシアーのサーバーにハッキングを仕掛けるためのものだったりを。

 

 

──っ!ここでそれは!私が"焼き切られて"しま』

 

 

 アサルトアーマーが発動。パルスの奔流にHAL 826が呑まれた。

 ジェネレーター内部のコーラルに引火したのか、そのまま機体が内側から爆散した。

 

 

 ……再起動する様子は無い。少なくとも、リリースプラントを巡る戦いについては決着だ。

 

 それにしても、"焼き切られる"……か。この機体に"本体"があったのか?あるいはこれまでの記録などのクリティカルな情報を保存していたか……これはエアに調査してもらうしかないな。

 

 

「こちら612。……今回の一件の首謀者はオールマインドだ。機体は撃破した。」

 

『……そうか。予備の隔壁を起動して、コーラルが漏出する可能性を下げてくれ。』

 

「了解。」

 

 

 送られてきたマーカーまで向かい、そこにあった予備隔壁動作機構にアクセスする。

 ACの腕部を開口部に突っ込んで中の物理レバーを操作。隔壁が落とされた。

 

 

『聞こえているかい?その予備隔壁はあくまでも一時凌ぎだ。ウチの方から交代要員が向かっている。それまではそこの見張りを任せたよ。』

 

「任された。」

 

 

 本来なら一刻も早く解放戦線の援護に行くべきだが、そのために移動した隙を突かれて再び破壊工作を仕掛けられたくはない。なるべく早く交代要員が到着するのを待とう。

 

 

 


 

 

 

 あれからRaDの交代要員が到着を確認してから見張りを引き継ぎ、解放戦線の援護にACの巡航モードで向かっている。機体操縦はオートパイロットに任せて、そのままブリーフィングを通信で済ませてしまおう。

 

 

「リリースプラントの防衛は成功した。このまま解放戦線の援護に向かう。」

 

「まずは封鎖機構の突出部を根元から切る。その後はレッドガンが切断部分に入り、解放戦線と共同で包囲殲滅をする。」

「ハウンズはレッドガンに包囲網を引き継ぎ次第、次の突出部へ向かう。この2つ目の包囲網に関しては、ハウンズと解放戦線で殲滅する。」

「最後の突出部については、レッドガンとハウンズが包囲殲滅を完遂次第即座に向かう。根元を切断して包囲殲滅は同じだ。」

 

「あまり時間を浪費しすぎると3つ目の突出部が手に負えなくなる可能性がある。スピード勝負の電撃戦だ。幸い、ザイレムに積まれていた弾薬類は全て無事だ。弾の出し惜しみはするな。弾薬不足に苦しんでいる解放戦線の代わりにハウンズで片付けるぞ。」

 

 

 ハウンズとレッドガンでSGを1000機程度は破壊しないと、今回の封鎖機構による侵攻は排除できないだろう。

 特に、包囲網を形成した直後は死に物狂いで突破口を作りにくるはずだ。それを押し返せずに合流を許してしまえば、敵の消耗ペースが低下して解放戦線全体での弾切れまでに殲滅しきれない可能性が出てくる。

 ……まさかとは思うが、私が常々言っていた"兵站線の大事さ"をオールマインドも学習していたのか?だとすれば弾薬庫や軍需工場を襲撃したのも納得できる。

 

 その辺りはエアの調査待ちだな。

 

 

「質問は……無いか。横槍は入ったが、半世紀近く見ているだけでサボっていた役人共にそのツケを支払わせるぞ。」

 

 

 

──────

────

──

 

 

 封鎖機構の突出部1つ目に到着した。

 どうやら、市街地の建造物を遮蔽にして根元の切断を防いでいるようだ。特に、LCの機動性を活かして解放戦線のMTを次々と撃破しているようだ。

 しかし、ハウンズから見て市街地の反対側では既にレッドガンが作戦を開始している。LCの撃破数も増えており、このペースであれば30分もせずにLCを狩り尽くし、市街地の掃討は概ね完了するだろう。

 

 

「解放戦線、聞こえているか。これよりハウンズも援護に入る。市街地から撤退して外縁部へと移動しろ。巻き込まれても責任は取れん。」

 

 

 100機は下らないMTが市街地の大通りを移動している。

 どうやら、一部のベテランMT乗りを5機1組の分隊長とし、そこに新米のパイロットを配備しているようだ。ベテランは自分の戦闘に加えて新米の面倒も意識する必要が出てくるから、あまりオススメはできない。……だが、深刻な人材不足を考えるとそれも致し方なしか。少なくとも、今に限って言えば撤退にかかる時間は短縮できるから良い方向に作用しているが……

 

 

『ハウンズが来たぞ!』

 

『HC部隊が削って消耗しているはずだ!確実にEN武器で削れ!!』

 

 

 正確にはオールマインドの手駒に削られた分の消耗はあったが、それは補給して解決済みだ。後は大駒の無くなった盤面を平らげるだけだ。

 

 

「617,618、先行して敵部隊の分断を任せる。619はそれを後方から援護だ。620と621は私と共に行動。617たちの切り開いた傷を確固たるものにする。レッドガンの所まで一気に突き抜けるぞ。」

 

 

『『『『『了解(ですわ)(よ)』』』』』

 

 

 618はジェネレーターの容量と回復スピードを活かして、上空から攻撃を叩き込んでいる。建物を遮蔽物にして戦おうとしていた封鎖機構からすれば誤算だろう。

 617は大通りから進み、盾での軽減とQB回避を駆使しながら敵を殲滅している。

 そして619は垂直ミサイルのマルチロックで撃ち漏らしを確実に排除。垂直ミサイルであることがここで大きく活きている。

 620と621は包囲網の解囲を目論んでいる敵を排除している。

 

 

「ミシガン、聞こえているか。」

 

『ああ。』

 

「ハウンズ3機でそちらまで切り通す。傷口をさらに抉る準備を頼んだ。」

 

 

 レッドガンのMT部隊も市街地に突入する準備を整えている。ここの包囲網は確実なものになるだろう。

 HCを失った封鎖機構にハウンズを止める術は無い。戦い方を間違えなければ負けることの無い戦いだ。詳細はカットだな。*1

 

 

──────

────

──

 

 

 あれから突出部の切断は上手く行き、包囲網の維持,殲滅はレッドガンと解放戦線にパスできた。

 速やかに2つ目の突出部に向かおう。

 

 

「ウォルター、3つ目の突出部はどうなっている。」

 

『どうやら解放戦線の整備拠点を目標として進軍しているようだが、RaDの戦力で足止めをしている。2つ目の突出部を片付けるまでは持つだろう。』

 

「わかった。」

 

 

 2つ目の突出部は街道に沿っている。平野部だから面積だけで見れば1番大きい。

 敵軍の密度で言えば1番スカスカだが、平野部故に遮蔽が無いから真正面からの撃ち合いは避けたい。ヒットアンドアウェイで着実に減らしていこう。機動力を最大限活かす形だな。

 

 

「ハウンズ、2つ目の突出部はヒットアンドアウェイで叩いて浮いた駒から狩る。纏まっている場合は遠距離からミサイル、SONGBIRDSで叩く。真正面からの撃ち合いには持ち込ませるなよ。」

 

 

 2つ目の包囲網も包囲殲滅できた。途中の様子?特筆すべきことは無かったからカットだな。*2

 

 

──────

────

──

 

 

 3つ目の包囲網に到着した。味方の識別が付いているあの機体は……

 

 

『来たか。待ちわびたぞ。』

 

「チャティか。足止め感謝する。」

 

『この程度なら楽な仕事だ。引いて削るだけで良い。』

 

 

 RaDからの足止め戦力にはチャティも含まれていたか。軽タンクの機動力に加えて、遠距離からの攻撃手段としてミサイル、纏まっている敵には腕部のグレネードと今の戦場にピッタリだ。

 ただ、無人MTなんかの損耗はそこそこだな。撃破されても作れば良いだけだから大した損害ではないのが救いだ。

 

 この包囲も、数こそ1番多かったために時間は掛かったがキッチリ包囲殲滅できた。無論、見どころは無いからカットだ。*3

 

 

 


 

 

 突出部の包囲殲滅が完了し、その後は宇宙港近辺のSGやLCを適当に排除して帰投した。

 撃破数は……もう途中から数えるのを止めた。ハウンズが1人あたり150機ちょっとを撃破していれば目標は達成できている。多分それ以上はやったと思うが。

 

 617たちには休息を取らせ、私とウォルター、カーラ、エアでオールマインド絡みの話し合いを始めた。

 

 

「オールマインドについてですが、私の方での調査が終わりました。」

 

 

 ハウンズが戦っている裏で、エアはオールマインドの調査を進めてくれていた。現地に放置しておいたHAL 826の残骸やその他機器をハッキングし、痕跡を収集,分析してもらっていた。

 

 

「まず、オールマインドの正体ですが……技研の作ったAIではなく、Cパルス変異波形でした。」

 

「Cパルス変異波形だと?……だとすれば、最後に言っていた"焼き切られる"の意味も通るか。」

 

「だが、普段はCパルス変異波形の気配を感じなかったのだろう。それはどう見ている。」

 

 

 確かに、ウォルターの疑問もその通りだ。エアが同胞たるCパルス変異波形の存在をこれまで見落としていたとは考えにくい。何かカラクリがあるのだろう。

 

 

「実際は自己の意識を複製したAIを作成し、本体サーバーとの通信を行うことで"自己の記憶"へと還元しているようでした。」

 

「つまり、AIとしてのオールマインドと、Cパルス変異波形としてのオールマインドが存在していた。そして、大元はCパルス変異波形の方だが、オーバーシアーとの接触は全てAIの方でしていたと。」

 

「はい。その認識で合っています。」

 

 

 2つの存在を上手く使い分けていた訳か。

 まさかとは思うが、ポンコツをやらかしていたときはAIとしての思考とCパルス変異波形としての思考に齟齬が生じていた……のかもしれない。その整合性を取るためにガバガバに見えるプランとなってしまったのだろう。

 

 

「そうなると、Cパルス変異波形の方のオールマインドだが……動機やその他にわかっていることは無いのか?」

 

「Cパルス変異波形の方ですが……オールマインドではなく、かつては"セリア"と呼ばれていたようです。」

 

 

 セリア……ドルマヤンと"交信"していたCパルス変異波形か。コーラルリリースを企んでいたのも、ドルマヤンに反対されたが強行しようとしていた……と考えれば辻褄が合う。

 

 

「BASHOのさらにもう一世代前のコアパーツが保管されており、その中に音声データが残されていました。解放戦線の指導者、帥父サム・ドルマヤンのものです。」

 

「そこにセリアの名前があったと。」

 

「はい。セリアと会話をしている……と思われる録音データです。コーラルリリースについて話し合っているようでした。」

 

 

 ウォルターが怪訝な顔をしている。コーラルリリースと聞いてからだが……ああ、そうか。

 

 

「エア、その"コーラルリリース"だが……オーバーシアーが進めている計画とは全くの別物で合っているか?」

 

「…………はい。その通りです。すみません、その事を失念していました。」

 

「それで、そのドルマヤンが話していたコーラルリリースはどんな計画なんだ。」

 

 

 ウォルターはコーラルを宇宙へ解き放つ方のコーラルリリースを知らなかったか。

 カーラであれば知っているか?……いや、知っていた場合は、それの危険性をハウンズにも話してくれているはずだ。最悪中の最悪の事態だからな。よって、カーラですらもコーラル(を宇宙へ)リリースの概要を知らないと考えて良いだろう。

 

 

「コーラルが真空中で増殖することは既に知られていますが、極端に密度が高くなった場合にも特徴的な現象が起こります。……それが"相変異"。」

「相変異を起こしたコーラルを、宇宙という広大な真空環境へ解き放ちこの宇宙を満たす計画のようでした。」

 

「コーラルで……宇宙を……だと……」

 

「はい。その向こう側に人類の新たな可能性がある……記録の中ではそう話されていました。」

 

 

 ウォルターが苦虫を噛み潰したでは済まされない顔をしている。これまで想定していた最悪の事態──即ちアイビスの火の再現──を遥かに上回る規模の事態が裏で進められていたからだ。

 ハウンズがオールマインド……いや、セリアか?とにかく、そのCパルス変異波形を排除してなかったらそうなっていた。

 

 

「そうか……612、良くやってくれた。お前がオールマインド──いや、セリアか?を止めていなければ、これまで想定していた最悪の事態を遥かに超える事態を引き起こされていた。」

 

「結果だけ見ればそうだが、オールマインドを多少怪しむことはあっても騙され続けていたんだ。……正直、運が良かったとしか言いようがない。」

 

「だとしても、だ。……本当に良くやってくれた。」

 

 

 ……正直に言えば、今は凄まじい罪悪感に襲われている。私の持っている"ゲーム"としての記憶を話していれば、ここまで事態が切迫したものにはなっていなかったはずだ。

 

 ウォルターやカーラ、それと617たちにも話さなかったのは、この世界が"作り物"だと知って傷付いて欲しくなかったから……だと自分を騙していたが、結局のところはこれまでの関係が崩れるのが怖かっただけだ。

 

 ウォルターに話したとしても、恐らく

「だが、俺はここに生きている。お前から見れば作り物の世界かも知れないが……お前もここで"共に"生きている。」

とでも返してくれるだろう。

 

 

 ……そうだ。この世界は"作り物"なんかじゃない。小指の先程度の銃弾が一発当たっただけでも死ぬ可能性がある"本物の命"で生きているんだ。

 この世界で目覚めたばかりの私は、それこそ"ゲーム"の新しいルートが遊べるようになった……その程度の感覚しか持っていなかった。MTを撃破して自分が人を殺したと認識したときも、心のどこかでは"自分は死なない"と漠然とした意識を捨てられないでいた。あるいは、死んだとしても"RESTART FROM CHECKPOINT"ができるんじゃないかと思っていた。……まるで自分が主人公にでもなったようだな。

 

 

 

 

 だが、その甘さが613たちを喪う結果に繋がった。

 

 

 

 今の私に、そんな甘ったれていた"前世の私"は不要だ。

 

 もう今度は間違えない。

 

 今の私は……C4-612だ。前世の────(捨てた名前)ではない。

 

 

 

 

 

火を点けろ(消し去ってしまえ)燃え残った全てに(前世の私という存在を)

 

 

 

 

 

*1
……ハッ?!私は一体何を……??

*2
……ハッ?!また私は一体何を……??

*3
……ハッ?!またまた私は一体何を……??





サブタイトルを「火を点けろ 燃え残った全てに」にする予定は無かったのですが、脳内にコーラルをリリースされてしまったので思いついてしまいました()

正直に言うと、サブタイトルが中々決められなくて苦労していたので助かりましたね()

ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)

  • C4-617
  • C4-618
  • C4-619
  • C4-620
  • C4-621
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