ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話 作:CVn-α:コル・カロリ
おかしいな……本来なら今回の戦闘シーンは1万文字強で終わるはずだったのに……1万5000文字行くな???
ということで前後編に別れます。
Side 612
さて、セリアかオールマインドかどっちで呼べば良いかはさておき、コイツの始末は3分も経たずに終わった。
"ゲーム"だったころのカラサワに相当するものを秘密裏に開発できていたのは驚いたが、所詮はそれだけだ。今の私からすれば道端の小石程度の障害にしかならない。
『我々の…いえ、私の計画が……』
『人類と生命の可能性が……』
「ハナからそんなものに興味は無い。お前も裏切るプランを練っていたのは知っている。お互い様だ。」
「まあ、コーラルリリースのトリガーは私が引こう。──
『あなたはCパルス変異波形と交信していない……故にトリガーを引くことはできない。』
コイツはそう思っていただろうな。だからこそ、私が裏切れないと思ってお粗末な計画に甘んじていたのだろうが。
相変異したコーラルに人の意思を伝えるために、それを取り持つCパルス変異波形が必要なのはそうだろうな。だが、既に一度似たような経験をしていればどうだ?
私には既に一度コーラルリリースを引き起こした経験がある。……正確には"ゲーム"でミッションをクリアしたときに何故か巻き込まれただけなのだがな。だが、それでもリリースプラント深部での作業によってコーラルを浴び、コーラルの声を見ることができるようになった。故に、コーラルリリースを"この世界"においても成し遂げられると確信している。
──旧型の脳深部コーラル管理デバイスを埋め込まれた強化人間でもあり、コーラルに乗ってこの世界に
『……!まさか、コーラルを浴びることで存在そのものがCパルス変異波形に似──
「もう617たちが来たからお喋りは終わりだ。」
頭部を踏みつけて完全に破壊する。
……これで完全に沈黙したな。
「……来たか。」
機体を振り返らせて617たちを視界に収めれば、気分はさながら宇宙港防衛での
シチュエーションだけを考えればコーラルリリースだが、足元に転がっているポンコツと同じ末路を辿るのはごめんだ。
『お兄様……どうしてこんなことを……』
何の相談も無しにここまでのことを仕出かしたんだ。真っ先にそれを聞いてくるだろうな。
「自身のことは金や名誉には無欲な人間だと思っていたが……その分、ここまで強欲になれるとは正直思っていなかった。」
「613たちはまだ感情を一部しか取り戻せていなかったが、それでも確かに芽生えているものがあった。」
脳裏に過ぎるのは613たちと過ごした日々だ。
617たちとの日々を積み重ねても色褪せることの無い日々。私の"兄"としての原点。
「613は、私を頼りながらも下の弟や妹の面倒を見てくれるようなしっかり者に育っただろう……」
ああ、どこか617と似ている。真面目なところは特にそうだ。
「614は無口だったが、私たち全員で過ごす時間が大好きだった。いつも、気が付けばいつの間にかそばにいたな……」
618と似ている。感情があまり表に出てこないのも。
「615は明るくて活発な子に育っただろう……4人の中では、一番感情が表に出ていた。」
もはや言うまでも無いな。
「616は末っ子として甘え上手だった。時々イタズラをして私に構ってもらおうとしていたな……」
620がどこかサディスティックなところと根は同じなのかもしれない。
もちろん、613たちと617たちを重ねることは無い。それをすれば、喪った613たちを"代わりの存在"で満たそうとしていることになるし、617たちを"代わりの存在"として見ることになる。
だが、どこか心の片隅には「成長していればこんな姿に……」との思いがこびり付いていた。
「……だが、私が死なせてしまった。ミシガンとナイル、混成部隊が相手だったからだなんて言い訳はしない。」
「私がもっと強ければ全員生きていた。」
「ウォルターの目的を考えれば、お前たちも加わっていて今頃は大家族のようになっていただろうな……」
そう。どこか似たもの同士なんだ。だから、皆で仲睦まじく暮らす姿は想像に難くない。
だから……
「今の私にはそれができる。」
『お兄……一体何を?!』
「
「コーラルをこの宇宙に満たし、平行世界と繋げ、そして統合する。そうして……もう一度"やり直す"んだ。」
だから、"想像"でなんか終わらせるものか。
私は"兄"なんだ。弟妹のためなら何だってやり遂げてみせる。
「……そうだ。私は"ビジター"だ。可能性に縋り付き、幾つもの世界を訪れんとするビジター。」
「私は、兄として弟妹の幸せを願う義務がある。そして私の望むことでも……自由意志の向かう先でもある。」
「617,618,619,620,621、私を止めてくれるな。大丈夫だ、コーラルリリースを経ても私たちは一緒にいられる。だから……だから……」
617たちが退く気配は無い。
だが、これも元より覚悟していたことだ。
「…………そうか。退くつもりはないんだな。」
「なら、初めての兄妹喧嘩といこうか。私のワガママを通させてもらうために。」
「安心しろ。その可愛い顔と陶磁器のように真っさらな体に傷をつけたりはしない。」
「そう、これはACでの殺し合いなんかじゃない。ただの兄妹喧嘩だ。」
617たちに振り回されることの方が多かったが、私の方からここまで振り回すのは初めてだな。
これまでは兄として振舞ってきたが……まあ、たまにはワガママを言っても許して欲しいところだ。
『兄さん……父さんが止めたとしても、それを振り切ってでもしたいことなのよね?』
「そうだ。ウォルターがこんなことを望んでいないのは知っているとも。だが、私は兄として成し遂げてみせる。」
『そう。……それなら、ウォルターの猟犬として……何より、兄さんの妹として、それは止めさせてもらうわよ。』
それじゃあ……初めての兄妹喧嘩と行こうか。
さて、相手は617たち全員だ。621との1対1ですらも勝率は3割を下回っている私に、まともに戦って勝ち目は無い。
そう、まともに戦えば……な。
「COM、機体操縦,FCS,ACSの全てをマニュアルモードに。」
『了解しました。神経応答速度規定値内、
機体が自分の体になるような感覚。
頭部のカメラは自分の目に。機体各部のアクチュエーターは自分の筋肉に。伝達ケーブルは神経に。
今や、私の体は鋼鉄でできている。
そう、この際出し惜しみは無しだ。私の持てる全てを使い尽くそう。そうでもしなければ、617たち5人を相手にして拮抗状態にすることすらできない。
セリアとの戦闘の終盤で、私は致死量にやや足りない程度のコーラルを浴びた。その影響で脳が無理やり活性化させられ、結果として情報処理能力が向上した。
あれ以来、機体の完全な手動操縦を試み、そしてそれができるようになった。ACSまで手動にした場合はやや被ダメージが増加するが、スタッガー時の直撃に比べればかなりマシだ。何より、スタッガーを気にせずに済むのが最大の利点だ。この被ダメージ増加を補ってもお釣りは十二分に返ってくる。
さて……まずは619のミサイルからか。回避のタイミングに合わせてSONGBIRDSが6発にプラズマミサイルが12発。散らばっているからどの方向に避けたとしても何かしらには当たりそうなものだが……通さんよ、それはな。
『SONGBIRDSの隙間を抜けた?!620,621は交代しながら前衛を、617,618は横から射線を!』
『『『『了解(よ)』』』』
正面12時の方向からは621が、2時と10時の方向からはそれぞれ617と618が。620は621の後ろに控えて、621の衝撃値が溜まったら交代する算段だな。
この陣形なら私が取るべき選択は……前進あるのみだ。
621はプラズマミサイルやガトリングの隙を埋めるようにパイルキャンセルで圧を掛けてくる。617と618も621の動きを先読みして、誤射になるかならないかスレスレのタイミングまで火力を投射してくる。近接格闘機体が混ざった連携はこの先読みとタイミング管理がシビアで困難を極めるが、それを然も当然かのようにしてくる。
QB回避の多用でENが枯渇し、ここで621がパイルキャンセルからの慣性チャージパイルを捩じ込んでくる。本来なら回避できないはずの一撃だが……こちらは完全手動操縦故に対処可能だ。
パイルバンカーが打ち出されるタイミングに合わせて左脚部のみで跳躍するように動き、右脚を軸に回転。杭は装甲を撫でて塗装を少し剥がしただけだ。
そのままパルスブレードを起動し1段目。621の硬直が解けて回避する前提でSONGBIRDSが撃ち込まれているのを確認して、2段目は振らずに飛び退く。
ここまでの攻防で被ダメージは1000程度。621を3000程削れたか。
『まさか兄さんその動きは……!』
「ああ。お前たちをまとめて相手にするんだ。これくらいできなければ、スタートラインに立つことすらできない。」
流石にタネには気付かれるか。フロイトとの戦いで30秒限定とは言え使ったものだ。今なら、その時間制限も無しに使える。
621は衝撃値が7割程度溜まったため620とスイッチ。このまま強引に621を攻めても、迎撃チャージパイルを避けるために後方QBで飛び退いたところに火力を集中されて削り負けるだろう。
それなら……
『私狙い……か。こんなに本気のお兄とやるのは初めてだけど、勝たせてもらう。』
618にターゲットを変更。QBを織り交ぜた引き撃ちにAQBで追い付き、蹴りで動きを固めてブレードを当てる。617のガトリングは距離と相対速度の関係で当たらず、620と621のランセツとミサイルもAQBで大方躱せている。
618はプラズマミサイルでダメージゾーンを作り出して確実に削ろうとするが、その削りよりも私がダメージを与えるペースの方が遥かに速い。
ここでチャージパルスブレードを決められれば確実にスタッガーを取れるが……
『618!』
620がブレードキャンセルで割り込んでくる。それを待っていた。
チャージブレードで618に斬りかかる……と見せかけて、直前でクイックターン。そのまま急接近してきていた620に当てる。
『……っ!釣られましたか!!』
チャージブレードで体勢を崩し、慌てて後方QBで下がろうとしたところに蹴りを差し込む。これまでの撃ち合いでAPが削れていたこともあり、私からの追撃に備えて620がリペアキットを使用。そこにマニュアルエイムになっているSONGBIRDSを当ててスタッガー。冷却が間に合ったパルスブレード2段で追撃。
620は再びリペアキットを使用して、残り1個と8000程度のAP。このまま620に圧を掛けて、この喧嘩からは降りてもらうとしよう。
ダケットの射撃は、コア部分の角度を調整して可能な限り跳弾させる。こちらのランセツは620のQBリロード時間に差し込んだりして確実に当てていく。1対5を補給無しで捌き切る必要があるから、無駄弾1発が後々の命取りになりかねない。
軽2双対やエツジンにしていたら、恐らく弾切れで最後まで戦えなかったはずだ。汎用性と継戦能力を重視したのがこんな形で生きるとはな。
『姉さん!』
621が横から無理やりチャージパイルで割り込むが、機体を前傾させてから跳躍とQBの複合で前宙。その最中に621へSONGBIRDSを当てて牽制する。
そのまま620を追い、620の機体背部からパルスのスパークが見えた瞬間にこちらもAAを起動。AAに対するAB受けはさせない。
『反応が速すぎる?!AB受けも間に合わなっ──
カウンターのAAでスタッガー。620のAPは残り5500程度か。パルスブレードの通常2段で3500程度削って残り2000程度。620が最後のリペアキットを使って残り8000。
このまま620の至近距離を維持し続けて617と618からの射撃を封じる。
620のQBに合わせてこちらもQB。いつもなら逆関節のQBで大きく跳びすぎてしまうが、関節部分の解放量を調整して貼り付きを維持する。
『お兄様がこんなにベッタリしてくるなんて……私に甘えたくなりました…か……!!』
「甘えた動きをしてくれれば楽だったが……流石は620だ。この状況でも的確に当ててくるか。」
『それなら…この喧嘩が終わったら仲直りの膝枕でもしてあげますよ!』
「なら、私が勝ったら私が膝枕をする側になるとするか。」
620の余裕は無さそうだな。いつもの大人な態度が崩れている。
至近距離に貼り付くことで援護射撃は封じられたが、621がパイルで圧を掛けて引き剥がそうとしてくる。ここでQBで大きく跳べば617たちの思うツボだ。片脚を軸にした旋回や飛距離を抑えたQBで圧を捌く。
『その動き……護身用の格闘術とCQB射撃術の合わせ技よね?!』
「ああ。まさか生身での訓練がこんな形で活きるとは……な。まあ、機体を完全に手動操縦しない限り使う機会は無いが。」
『ある方がおかしいわよ?!?!』
621の左腕関節部分に右腕を当ててパイルを防ぐ。挟み込むように振られていた620のブレードは、左腕を沿わせて外側に受け流す。
そのまま620に左脚を当ててQBの容量で関節を解放。擬似的な至近距離での蹴りにして後ろへ押しやり、空いた距離を利用してチャージパルスブレードを起動。そのままSONGBIRDSの追撃まで繋げる。これまでのランセツでの射撃やミサイルの直撃もあり、これで620のAPは3000をやや下回った。
「620、リペアキットも使い切って残りAPは3000を切ったんだ。それ以上は機体が持たない。下がりなさい。」
『……わかりました。617,618,619,621、後は頼みました。』
まずは620が離脱。621との前衛2枚スイッチをこれで封じることができた。
ここでリペアキットを使って、残りはリペアキット2つとほぼフルのAP。620が降りて被ダメージが減ったと考えれば、ギリギリ勝てるかもしれない程度の削られ方だ。
ここからは、617と618が歩調を合わせて引き撃ちをし、619がさらに後ろから支援、621が接近させないように圧を掛ける陣形になった。
ABで詰めようとすれば、621が即座に前に出てチャージパイルのモーションで圧を掛けてくる。
あくまでもただの見せ札だろうが、こちらの残りAPと当たり方次第では機体が撃破されかねない。これが"兄妹喧嘩"である以上、万が一、億が一だろうと事故を起こしてはならない。621ならその辺りの調節も可能だろうが、それでも"チャージパイルを直撃させない"ために私は動きを制限せざるをえない。
さて、次は……残りAP的にも618*1に降りてもらうとしよう。
引き撃ちに徹している以上、どこかで切り返してスペースを確保する必要がある。仕掛けるならそこだ。
618のレーザーライフルと617のガトリングを機体を左右に振って可能な限り躱し、プラズマミサイルのダメージゾーンはQBで確実に避ける。機体を左右に振るときは、脚関節の曲げ伸ばしで中心軸をさらにズラして効果を増幅させる。
『この距離だとガトリングがほとんど当たりませんね……』
『機体の振り方が大きくなってる。……けど、脚の位置はそこまでズレてない。狙うならコアと脚の付け根辺り。』
『わかりました。COM、狙う位置の調整を。』
切り返すならそろそろだろう。619は断続的なミサイルの発射を止めて、一度完全にリロードしているだろう。621も、弾倉内に弾が残っていてもランセツをリロード。切り返しに合わせて全火力を投射して隙をカバーするつもりだな。
619がミサイルを全斉射した。初弾の弾着まで約3秒。
621が前に出る。617たちとの距離感から察するに、切り返しのタイミングで詰めたらアサルトアーマーで迎撃するつもりだな。
618と619がABを始動。621を中心にして時計回りの迂回で切り返そうとしている。私の両側をそれぞれ通り過ぎて切り返そうとすれば、621がいない側の2人が私からの圧力に晒される。そう考えれば最善手だ。
だが、ここは少しばかり無理をしてでも618に喰らいつく。一番接近しやすい機会を見過ごしてなるものか。
『行かせないわ!!』
618は私の正面10時方向を右へ向かって進んでいて、621は1時方向に陣取って進路を遮っている。ここで読み通りアサルトアーマーを起動したが、左側のスペースから範囲外に出ようとすれば切り返しを成功させられてしまう。リスクを背負ってでも右側から抜けて先回りしないといけない。
AQBだと推力は足りないな。それなら……
『ターゲットロックをしていないのに虚空へブレードキャンセルを?!?!お兄様がとんでもないことをしていますわ?!?!』
『619!良いから618の援護を!撃てるものは全部撃って下さい!!』
KIKAKUブースターならブレードキャンセルに限る。ターゲットロックしていなければ猶予はわずかなものだったが、ブースターも手動で管理している今ならそれは踏み倒せる。
618に追いついた。EN回復のために着地しているが、その隙もたかだか1.5秒程度だ。そこで起点を作らないといけない。
ブレードキャンセルをQBではなくABで。そのまま蹴りでABの始動を止めて、チャージパルスブレードで衝撃値を危険域まで溜める。この至近距離だから銃口の跳ね上がりを気にせずにランセツのチャージ撃ち。脚部に1発、コアに2発当たってスタッガー。
背後から621がパイルで詰めてきているのを察知して、2回目のアサルトアーマーをここで切る。618への追撃も兼ねている。618の残りAPは6000程度だから、残り1500程度で耐えるので問題は無い。
スタッガーの硬直から回復した瞬間に618が最後のリペアキットを使用。残りAP7500程度。ただ、動けるようになっただけでACSは再起動していない。ACS再起動前に冷却が完了したパルスブレードを2段入れて、残りAP4000程度。追加のSONGBIRDSとミサイルの追撃で3000程度まで削れた。
『ここまで削られちゃったらもう危ないか。……618、離脱する。617,619,621、お兄をお願い。』
私の方もリペアキットを使って、残り1個とほぼフルのAP。
617はリペアキットを3個残してAPは半分程度。621は2個残して8000程度。619はほとんど無傷だ。
残りAP3000程度で降りるのであれば、私に残されたAPは12000程度で、617たちは3機合わせて60000程度、619を除いても35000強は削る必要がある。
これまでに削ったAPの交換比率だけで考えれば可能性はあるかもしれないが、人数が減ればその分621が自由に動けるようになる。まだ油断は微塵もできない。
613,614,615,616、待っててくれ。あと少し……あと少しで、お前たちとまた会えるんだ。
本当は機体の完全手動操縦は最後の切り札にして621との1対1になってから使うつもりだったんです……(去年10月頃の想定)
617たちもお兄様も想定より遥かに強くなっちゃっていまして……仕方ないですね(開き直り)
ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)
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C4-617
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C4-618
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C4-620
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C4-621