ハウンズ美少女概念の世界線で重い感情を向けられる話 作:CVn-α:コル・カロリ
あの……9000文字、超えちゃいました。
Side 612
620と618がこの喧嘩から降りたが、それでも617たち3人がまだ残っている。この3人でも前衛,中衛,後衛で連携は取れるため、対集団の戦い方を徹底しなければ勝ちの目は無い。
次に降りてもらうとすれば……617しかないな。619は最後列で狙いに行くまでの被弾が許容できない。621は言わずもがなだ。621からの援護がある617と、617からの援護がある621では後者の方がより強力だ。
617の引き撃ちを主な火力に、621の近接と619の火力支援の形と先程と似たような戦況が続いている。ただ、617が残弾を気にせずに火力を投射して、冷却の隙を619のミサイル斉射と621の格闘で埋めてくる。617への攻撃も、シールドのIGを適宜活用されながら防がれてしまう。
617のガトリングがオーバーヒートする頃合を見計らい、621が詰めようとするタイミングを狙ってSONGBIRDSを撃つ。やや手前気味に着弾させて621の視界を遮り、何度も使ったブレードキャンセルで617に詰め寄る。
617がQBによる位置調整で、私を中心にして包囲する陣形を組もうとする。619もランセツが跳弾しない位置まで詰めてきて射撃戦に加わる。621も私が617の方へ抜けたことは察知しているので、3方向から銃撃に晒される。
一瞬、近づいてきた619に切り替えるべきかと思った。だが、途中で少し削ったとは言えリペアを3つ全て残しているので粘られ、その間に冷却が完了した617のガトリングで一気に削られる可能性が高いと判断してそのまま続ける。
生当てブレード2段はどちらも盾のIGで防がれる。その後の蹴りもだ。貼り付きを維持しようとしても、617の"FCSを助ける射撃"でガトリングの弾幕を完全に躱しきれない。
だが、盾で受けた以上は衝撃残留として溜まっている。ランセツやミサイルで維持しつつ、決定的な瞬間にブレードを使えるようにしなければ。
……そうだ。617はパルスアーマーも残している。アサルトアーマーは621からのパイルをさせないために残す必要があるから……実質的にスタッガーは3回キャンセルされるか。
『SPDと盾の悪いところが出ましたね。QB回避で衝撃値をリセットする時間を稼げません。……仕方ありません。』
617がパルスアーマーを展開。ここでアサルトアーマーを切れば621のパイルに対する牽制札を失うためそれはダメだ。
ならば、この5秒を何とかしてやりすごすしかない。離れればまた引き撃ちの陣形で粘られてしまう。
617のQBに合わせてこちらも片脚だけでQB。ガトリングの取り回しが追いつかない程の至近距離を維持し続ける。照準を合わせられそうになっても、ランセツの銃身で弾いてそれを阻止する。
『なるほど、ようやく合点がいきました。コーラルを浴びたことによる脳の活性化……それがあったからこうして機体の完全手動操縦ができている訳ですか。』
「そうだ。……それが無ければ、こんな無謀な賭けには出なかったさ。」
『それだけでは無いでしょう?お兄様はあの時にナニカを見た。違いますか?』
私の妹たちは察しが良いな。それこそ、今日まで私の"ワガママ"を見抜かれていなかったことが奇跡だと思えるくらいには。……兄である私のことを信頼して、何か引っ掛かることがあっても好意的に解釈してくれていただけかもしれないが。
「あの戦いでコーラルを浴びたときに……私は見たんだ。」
「613たちも一緒になって、私から622までの11人全員が揃っているハウンズの日常を。」
「コーラルが見せた幻覚だとは割り切れなかった。いや、これは"有り得たかもしれない
『それなら、オールマインドに唆されてこんなことをした訳ではないんですね?』
「ああ。それどころか、あの瞬間からオールマインドを逆に利用して"私のコーラルリリース"を実現する方法を考えたさ。」
あの時は私もAPが残り1000台まで追い込まれていたから、セリアの方から話を持ちかけてきたのは僥倖だった。一切怪しまれることなく、"利用"するために近づけたからな。
『それなら良いんです。脅されたりしていても、私たちが弱いから頼れなかった……なんてことでしたら悔やんでも悔やみきれませんでしたから。』
「そうか……そう言ってくれるか。」
『はい。……ですが、お兄様に道を譲る気はありません。お父様からお兄様を頼むと言われましたから。』
こうして話したりしている間に、617はパルスアーマーを使い切った。リペアキットは2個を残して残りAP約5000。実質14000くらいか。
私は3000程度を削られて残りは実質9000。盾とパルスアーマーで粘られて戦闘時間が伸び、その分大きく削られたか。
ただ、ここからはスタッガーを誤魔化す手段が無くなっている。スタッガーと追撃パルスブレード2段を2セットで足りるはずだ。
『正直に言うと、こうしてお兄様の本心を聞けて嬉しいんです。いつも私たちのことばかりを優先して、ずっと我慢をさせ続けてしまったんじゃないかと不安でしたから。』
「そうか……不安にさせてしまっていたか。」
『あまりにも"兄"として完璧すぎましたから。……でも安心して下さい。完璧でなくなったとしても、どれだけ欠点があったとしてもお兄様を愛し続けることは変わりませんから。』
そうか。……ああ、今ほど神経接続なことに感謝したことは無いだろう。コックピットのモニターで外を見ているとしたら……きっと、霞んで見れなくなっていただろうから。戦闘中だから目元を拭うために手を離すこともできないしな。
弾を残すためにも蹴りとブレードの比率を上げる。ランセツが残り80発程度になっていて、まだ621と619がいることを考えればあまりにも心許ない。SONGBIRDSも残りは10発だ。いくら継戦能力を重視していたとは言え、流石にAC5機は無理がある。だが、今だけはその無理を通さないといけない。
スタッガーからのブレード追撃を1セット入れられて、617はリペアキットを使い切って残りはほぼフルのAP。無理にスタッガーを狙わずとも、チャージパルスブレードと蹴りを主軸に削りきっても良さそうだ。
619からのミサイルが着弾するタイミングに合わせて617が後方QB。ミサイル回避のために斜め前方へ跳ぶことを予想しているのか、617の左右へ散らしたSONGBIRDSが621から飛んでくる。617もSONGBIRDSを撃つ体勢に入っていて、前宙で上から背後に周りこもうとしても当てられるだろう。
それなら、617の機体を横からスレスレで抜けるしかないか。
右脚だけの跳躍で左側から抜ける。真横を通り過ぎる瞬間に左脚でもう1回跳躍。617の真後ろを取る。そのままクイックターンからのパルスブレードのチャージ斬りを起動し、SONGBIRDSの発射硬直で動けない617に当てる。そのまま後方QBで距離を取りながらSONGBIRDSを当ててスタッガー。蹴りとランセツ、ミサイルで追撃を入れた。617の残りAPはほぼ3000か。……何とかなったな。
『ごめんなさい。私はここで離脱します。』
『619、621、お兄様をお願いします。』
私はリペアキットを使い切ってほぼフルのAP。使えるのは実質6000程度。619と621を相手にすると考えれば頼りなさすぎるが、まだ私は負けていない。まだだ、まだ戦える。
『お兄様が強すぎてキツいですわ!!ハウンズ5人でかかって後は私と621……これがお兄様の覚悟……えぇ、任されましたとも。』
『お兄様が覚悟を決めているのなら!妹の私たちも決めない訳には行きませんわ!!』
『……今の619ほど頼もしい619はいませんでしたよ。』
『その通りね。……兄さんには私たちに道を譲って貰うわ。』
「すまないが、兄だからと言ってそう簡単に譲れるものじゃない。いや、兄だからこそ譲れないんだ。」
「まだ喧嘩は終わっていない。例えどれだけ細い勝ち筋でも……手繰り寄せてみせる。」
さて、次は619だ。
『んひぃ!やっぱり次は私に来ますわよね!!お兄様からの熱烈なラブコールは大歓迎ですわ!!!やってやりますわよ!!!!』
619のリペアキットは残り2個。621に撃たれないように射線管理を徹底して接近戦で戦う。
『お兄様に迫られるのなら!ベッドの上が良かったですわ!!』
「そうか。なら壁ドンは嫌いか?」
『……もちろん好きですわ!ただ生身でやって欲しいですわね!!』
ミサイルの斉射と同時にダケットとランセツの射撃をしながらAB突撃。ミサイルの弾着に合わせて蹴りを叩き込み、その硬直で当てるつもりだな。蹴りを躱されても、QBで距離を空けて621とスイッチすれば隙は無くなる。
かといってこちらも蹴りで迎撃すれば結局当たってしまう。ならば……
上空に向かって時限信管にしたSONGBIRDSを撃ち出す。その爆発にミサイルを巻き込んで破壊する。
安全を確保して迎撃の蹴りを入れ、チャージブレードで衝撃値を溜める。後はランセツ数発でスタッガーを取れるな。
『んえっ?!お兄様それは流石に反則ですわ!!』
「お前たちの強さは私が一番知っているからな。このくらいでもしないと勝てる見込みが見えないんだ。」
『それだけ認められているのは嬉しいですわ…ね!!ご褒美はナデナデ2時間を要求しますわ!!』
「気が済むまでいくらでもやってやるさ。」
621からの攻撃は619を間に挟むように機動して躊躇わせる。こうしてブレードの冷却時間を稼ぎ、終わるタイミングを見計らってランセツでスタッガー。パルスブレード2段を入れて残りAP約2000。リペアキットで回復されて約8000と残り2つか。
味方撃ちを避けて横に回り込んで来た621からの射撃が再開されるが、キック追撃をしなかったお陰でENは回復しており、619を間に挟むような機動を再開する。
ランセツとダケットの射撃はやはり脅威だが、レッカー腕のため照準が追いついていない。
時間をかけると射撃で削り切られるため一気に畳み掛ける。
ABを一瞬だけ吹かし、それに合わせてQBも同時使用。そこにパルスブレードも起動することで全てのブースターと逆関節の特性までもを総動員し距離を詰める。これまで感じたことの無い暴力的な加速度に一瞬ブラックアウトしかけるが、次の行動は体が無意識的に入力していてその間に回復する。
619がカウンターの蹴りを繰り出してくるが、それは読んでいた。都合がいい事に621もパイルを捩じ込みに来ている。
ブレードモーションの途中で、最後のアサルトアーマーを切る。621は619を巻き込みかねないのでカウンターのアサルトアーマーを撃てない。タイミングとしては最良だ。
621は後方QBで回避。619は回避しきれずにスタッガー。ここは接近戦の練度がモロに出たか。
ブレードモーションをアサルトアーマーで中断したので冷却の必要は無く、このままブレード2段。オマケのキックで残り3割まで削った。
619がリペアキットを使用して残り1個。こちらの削られたAPは800程度。5000強は残っている。
ミサイルは全て621への牽制で撃つ。軌道は全て手動で入力し、擬似的な包囲ミサイルにする。それでも最低限の軌道で回避される。
619に貼り付いて621からの射撃の脅威を減らせていたが、619が回避する前提でSONGBIRDSを撃ち込んでくるようになった。619もそれはわかっていて、味方撃ちは微塵も期待できないな。
ランセツでじわじわと衝撃値を溜めて、時折QBからの蹴りで大きく圧力を掛けることも忘れない。衝撃値が7割以上溜まったからか、無駄なQBが増えたな。
ランセツを上げてQBを誘発。QBがブースターに頼っている以上、常に同じ動き方になる。寧ろQB機動中の方が動きを読めるな。トップスピードからやや遅くなるくらいのタイミングでランセツを撃つ。当たる。QBを吹かさないなら蹴りで攻め立てる。
『クイックブーストまで使っているのにランセツを当てられてますわ?!……そうでしたわ。撃墜されたときでも生存するために生身での射撃訓練もしているんでしたわね。それをアーマードコアでも活かしているのは流石お兄様ですわ!』
『ちょっと!そんなことを言ってる場合じゃないわよ?!これで負けたらコーラルリリースをされちゃうのよ?!』
『
……そうだな。それこそ、コーラルリリースを起こすことだけを考えれば、もっと秘密裏にやれば簡単にできていたはずだ。
それでも、こうして止められる可能性が高い道を選んだのは……"計略"として成功させようとしたからではなく、私のワガママとして叶えようとしたからだな。
『ここに私が立っているのも、コーラルリリースの果てにお兄様と一緒にいられなくなってしまうかもしれない、お兄様がお兄様でなくなってしまうかもしれない……それが怖いからですわ。』
『ある意味、"今のままのお兄様でいて欲しい"とワガママをぶつけようとしているわけですから。』
「随分と可愛いワガママだ。……私が負けたら好きなだけそのワガママを聞いてやるさ。」
こんなことを話している間にも喧嘩は続いていて、スタッガーからのパルスブレード追撃をワンセット入れられた。619はリペアキットを使い切って残りAP6000程度。スタッガーを取ってブレード2段の追撃をしたら削りきってしまいかねないラインだ。ターミナルアーマーがあるとは言え、そこまで削れば些細な事故でも機体がイカれるかもしれない。それはダメだな。
『……大層なことを言いましたが、私はそろそろ降りるしかなさそうですわね。喧嘩な以上、負ければただの戯れ言ですから。』
「戯れ言だなんて言うんじゃない。……こんな機会でもない限り、互いの本心をぶつけることなんて無かったからな。」
『そう……ですわね。これまではお兄様が私たちを全部"受け入れて"くれましたから。お兄様と"ぶつかる"ことはありませんでしたわ。』
619がABで大きく引く。そこに621が割り込んで1対2を維持する狙いか。
それなら……621を間に割り込ませて、621にチャージパルスブレードを振りかぶる。迎撃チャージパイルを見て、直前で跳躍とQBの合わせ技でまた前宙。パイルを打った後隙の硬直にSONGBIRDSを当てて、そこからチャージパルスブレードと蹴り。621をスタッガーさせる。
621へ追撃しようとしても火力は無い。だから、この硬直時間を使って619を降ろすしかない。
瞬間ABとQBでブースター2種を最大出力で吹かす。
619にすぐに追い付き、ミサイルで包囲して回避QBを強要する。わざと一方向を薄くしてそこへ誘導……には乗らなかったか。蹴りが外れる。それでも、パルスブレードの冷却は完了しているから、チャージパルスブレードで怯ませる。マニュアルエイムで散らしたSONGBIRDSでスタッガーを取り、残りAPを見てランセツ2発で追撃を終わらせる。これでAPは3000を下回った。
『お兄様相手には詰められたら負けでしたわ。621、後はあなただけが頼りです。』
『任されたわ。』
私に残されたAPは6000と少し。実質的には3000程度だ。このAPで、ほぼフルのAPとリペアキット1つを残した621に勝たねばならない。そのためには、ダメージ交換比率を4:1にしてもギリギリ足りない程度だ。しかも、ランセツは残り45発、SONGBIRDSは6発、中双対は残り36発。これで621に勝たないといけない。
『それにしても……兄さん、こんなに強かったのね。私と"本気"でやったシミュレーターでも私の方が勝ち越していたはずよね?』
「そうだな……きっと背負っているものの違いだろうな……」
『兄さんにとって、613先輩たちはそこまで大切な存在なのね。私たちを相手にしても、1歩も引かない所に押し上げるまで。』
「あぁ。その通りだ。」
「私は、心に空いた穴を忘れた日は1日たりとて無い。」
「あの頃の私は、613たちを守れなかった後悔に取り込まれた幽霊のようなものだった。」
「長い月日が過ぎ去ろうとも、私の心はどこか遠くに囚われたままでいる。」
「だが、あの敗北の後にまた守りたいものがまたできた。」
「そう、お前たちと過ごす幸せだ。」
「だからこそ、私の魂はあの敗北からずっと彷徨い続けている。」
「幸せに満ちた"
「あぁ、あの日から一体どれほど遠くに来てしまったのだろうか……」
「だが、それでも変わらずに、"過去"の私にも、"
「戦場だ。戦いだ。そして……戦う理由だ。」
「失ったものを取り戻すために……何より、失いたくないものを守り続けるために。」
「私はもう負ける訳にはいかない。誰にも、何にも。」
「……続けようか。勝たせてもらうぞ、621。」
AB,QB,近接のブースター全てを総動員してブレードで詰める。
迎撃のSONGBIRDSは
迎撃のチャージパイルは直前で機体を急停止させて空振らせる。そのままチャージパルスブレード……の前に621がABを始動。蹴りで迎撃するつもりか。右へ跳んで回避する。
だが、それを読まれていたのか、AQBで私の横を取り直して蹴りを叩き込まれる。
チャージパルスブレードを起動。QBで躱される。ブレードキャンセルでもう一度詰める。QBで躱される。もう一度ブレードキャンセルで詰める。QBの回避方向を読んでクイックターンとの複合で軸を合わせる。良し、当てられた。
怯んだところに後方QB中のSONGBIRDSと追撃の蹴り……の直前にパルスの奔流が見えた。ABを即キャンセルして後方QBで大きく距離を取る。アサルトアーマーの回避に成功する。ACSを切っているから直撃してもスタッガーにはならないが、APを2000は削られるだろう。そうなれば敗北が確定的なものになる。
ランセツをアサルトアーマーの後隙に捩じ込んでスタッガー。蹴りとパルスブレード2段の追撃で削る。621がリペアキットを使ってフルAPに。私も1000程度を削られていて、実質的な残りは2000程度か。
弾もほぼ枯渇状態、APもギリギリ。その上、無茶な機動でブースターと関節部の状態が悪化している。
もう長くは持たないだろう。
『兄さんは以前言っていたわよね、⑨を背負いし者を。』
「そうだな。どういう因果か分からないが、9に縁のある者が大きな力を持つ……昔からよくある話だ。」
「特に私と621は、ランクのように変動するものでもなく"名前"として己に刻み込まれ、一生背負い続けるんだ。」
きっと、私も"イレギュラー"の1人になれたのだろう。だが、それだけでは足りない。今、私の目の前に立っている621もまた"イレギュラー"なのだから。
「今の私が背負っているものは、C4-612としての⑨の運命だけではない。無念の中に散っていった613たちも背負っている。617たちも……無論、621、お前もだ。」
「ハウンズ⑨人も背負っているんだ。」
これは、私が622も迎え入れて"10"人の兄になるために乗り越えるべき壁だ。9人の兄になってやれないで、どうして10人目を背負うことができるだろうか。
『兄さんは全部1人で背負い込みすぎなのよ。それに、私たちは守られるだけの存在なんかじゃない。……兄さんの背中を守ってみせるわ!』
「頼もしい言葉だが……実力が伴っていなければただの空論だ。私の背中を守ると言うのなら……ここで私に勝つことだ。」
『そのつもりよ。背中に背負ったもの……私たちに任せてくれないのなら力ずくでも貰っていくわよ!!』
「そうか。この
発射アラーム無しにSONGBIRDSの砲塔が動くのを見逃さなかった。マニュアルエイムの射撃だな。
QBで左斜め前に躱す。追撃のミサイルは引き付けて右斜め前QB。ランセツの射撃を躱すために自由落下や左右脚部ブースターの出力変更を駆使して等速直線運動を可能な限り排除する。
とは言えども、射撃を全て躱すのが難しくなってきている。やはりこの動きにはすでに適応されているか。このままでは1分ほどで……あるいは大きな1発を貰っても兄妹喧嘩は私の負けで幕を閉じるだろう。
だが、こちらもスタッガーからパルスブレードをキッチリ当てれば私の勝ちになる。
マニュアルエイムされたSONGBIRDSを、機体を前のめりに倒れさせるような挙動で回避。前方QBで姿勢を無理やり元に戻す。
ここで勝負を決めるために、ランセツの偏差撃ちを
ブレードキャンセルを使い急接近。それに合わせたカウンターの蹴りを片脚だけで跳躍して躱し、そのまま頭部への蹴りに派生させる。頭部に強い衝撃が加わって怯んだ。
このままパルスブレードで──
──ここでパイルバンカーから爆発音が聞こえ、合金製の杭が射出された。パイルバンカーだけをマニュアル操作にしたのか、腕の振りを伴わずに不意打ちで打ち込まれた杭はACSを切っていた私の機体に突き刺さり……鋼鉄で作られている左腕を吹き飛ばして残りAPを2割まで削り取った。
ここまで来て621に兄殺しの咎まで背負わせる訳にはいかない。潔く負けを認めて残った武装を全パージする。
「そうか……私はウォルターの猟犬でありたいと、あり続けたいと願っていた……」
「今の私を私たらしめているものの奥底にはそれがある。だが、その手綱を引きちぎった以上私が負けるのは……道理か……」
「強くなったなぁ……お前たちは。もう私は、兄としての責務から……下りても良いのか……」
『そんなことはありません!お兄様にはこれからも私たちのお兄様でいてもらいます!!』
『今更お兄がお兄じゃなくなるなんて考えられない。最後まで一緒にいてもらう。』
『そうですわ!私たちの脳を焼いた責任を取ってもらいますわ!!』
『弱かったとしてもお兄様はお兄様ですよ?寧ろその方が都合が……いえ、なんでもありません。』
『兄さん、私たちは"家族"なのよ?こうして本心をぶつけ合ったのなら、もうそれは"私たちのもの"よ。』
『ああ。612、帰ってこい。617たちが……"俺たち"が待っている。』
作中では何回か「ここたま!」のような描写こそありましたが、セリフはありませんでしたよね?
そうです、全てはここで使いたかったがために、4周目からここに至るまで《ここたま!だと"解釈できる"程度に留めていた》んですね。終わらせ方がかなり早期に固まったからこそできた展開です。
ハウンズシスターズで1番好きなのは?(1位になると、お兄様との単独添い寝権が(お兄様に無断で勝手に)与えられます。)(あらすじにイメージ画像があるので是非参考にして下さい。)
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C4-617
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C4-618
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C4-619
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C4-620
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C4-621