巨神聖戦記2024 108と108   作:Genbu108

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#25 最終章-それぞれの旅立ち- (完)

「正直もう歳だから今年中に逝っても構わないと思っていたが、あの甲高い咆哮を聞きあの龍と再び巡り会うまで何としてでも生きてやるという思いが湧いてきたよ。」

 

「そうですよ。まだまだ隊長から学ばないといけないことが沢山ありますし、隊長には長生きして欲しいです。」

 

「私だってジョナさんからもっと沢山お話聞きたいです。これからは私も皆さんとサバイバル生活することになりますし。」

ジョナ本人は勿論、藤崎をはじめジョナの部下全員一ノ瀬の仲間入りは大歓迎だ。

 

さてゴジラの戦いを見ていこう。まだ関東全域を暴風雨が覆いキングギドラがカイザーギドラと激闘を繰り広げる中、10体以上のガイガンが都心上空に飛来し地上のゴジラを睨む。このガイガン達は現在ガイガンレクスの指揮下にあり、ゴジラ殲滅のため世界各地から呼び寄せられたのである。

 

ガイガン軍団は上空からゴジラ目掛けて一斉に破壊光線を撃ち込み、キングギドラの登場後再び単身ゴジラと戦うことになり劣勢気味なガイガンレクスに助太刀の役割を果たす。今のガイガン軍団が事実上ガイガンレクスの操り人形状態なのを踏まえると、不利な戦況を挽回するためガイガンレクスが助太刀させたと記述した方が正確か。

 

ガイガンレクスの咆哮に伴いガイガン達の腹部から巨大丸鋸が半分以上露出し、丸鋸の中央にはこのサイボーグ巨獣の動力源と思しき核が橙色の輝きを放つ。この痛々しい形態は身体の殆どを機械化され自我を失い操り主の命令通りにしか動けないサイボーグ巨獣ならではと言える。ガイガン軍団が上空から代わる代わるゴジ ラを襲い巨大丸鋸の刃を浴びせる中、その軍団に交じり飛行するガイガンレクスが時折破壊光線を撃ち込む。この波状攻撃に晒されたゴジラは放射熱線を吐き反撃したものの惜しいところでかわされてしまう。

 

ゴジラ側が不規則な集団攻撃に対し攻め手を欠く中そのゴジラの背中目掛けて破壊光線を撃ち込み、間髪入れずにゴジラの全身に覆い被さるガイガン4体、このまま巨大丸鋸の刃を浴びせ続け一気に細切れにするつもりか。

 

突然関東全域を覆う巨大な積乱雲が消え、晴れ間が戻った夜空に響き渡る甲高い咆哮、そう、キングギドラがカイザーギドラを葬り元の世界に帰ったのだ。

 

夜空に響き渡るキングギドラの咆哮に反応するかの如く体内放射を放ち覆い被さるガイガン4体を消し飛ばしたゴジラ、その天地鳴動の咆哮は「わかった、後は任せろ!」という元の世界に帰ったキングギドラへの返答を含む。

 

ここでガイガンレクスが奥の手を使う。破壊を免れたガイガン全個体から奪った核を2本繋げ円形に展開した鞭状チェーンソーに組み込み、腹部から従来の黄みを帯びた破壊光線を遥かに凌ぐ赤黒い超高出力破壊光線を発射したのだ。遠隔操作により体内の核を抉り出された途端にガイガンの全身がボロボロ崩れ、配下全員を平然と使い捨てにするガ イガンレクスはまさしく冷酷無比。

 

ゴジラもまた渾身の力を振り絞りながら放射熱線を吐き、奥の手を使ったガイガンレクスを迎え撃つ。ゴジラに力を託したティアマトの思いが宿る青色混じりの紅梅色の放射熱線に対し、使い捨てにしたガイガン軍団から奪ったエネルギーが満ち溢れる赤黒い超高出力破壊光線、実に対照的な2発の光線攻撃が激しくぶつかり合い夜空を明るく照らす。

 

不意にゴジラの背中にしがみついたのは何と先程瓦礫から這い出てきたばかりのムートーだ。この満身創痍の巨神は自分の代わりに戦うゴジラの勝利を願い、先程地球防衛軍本部を破壊した際に摂取した核ミサイル3本分のエネルギーを全て渡すという。瀕死のムートーからエネルギーを受け取るのを躊躇うゴジラではあるものの、そのムートーの熱意に押され泣く泣く受け取りを承諾した。

 

放射熱線の威力の急上昇を察知したガイガンレクスは額からも破壊光線を撃ち超高出力破壊光線に重ねるも、結果から言えば焼け石に水。結局ガイガンレクスはゴジラとの撃ち合いに押し負け、放射熱線を浴び全身が消し飛んだ。司令官、統制官、尾崎、そしてガイガンレクスと次々主役が交代した地球侵略に終止符が打たれた瞬間である。

 

ゴジラがふと振り返るとそこにはムートーが倒れていた。まだ息があるとはいえ、このまま放置すれば朝日が昇る前に命の灯が尽きるだろう。何か思い立ったゴジラは前傾姿勢になりながら顔をムートーに近づけ、優しく息を吐きかけた。

 

突然ムートーの全身が翡翠色に輝き、みるみるうちに身体中の傷が完治していく。先程藤崎がゴジラに渡したモスラの力を、今度は ゴジラがムートーに渡したのである。復活したムートーが起き上がり、夜明けが近付く都心の空に2体の巨神の咆哮が鳴り響く。

 

石香炉が見せてくれた映像により巨神達の戦いの一部始終を見届け、一ノ瀬達は感極まっている。

 

「これは単に侵略者を滅ぼしただけじゃない。巨神同士の絆の深さを見せてもらったよ。私は生物学者としてアリとアリマキ、ハゼとテッポウエビ、菌類と藻類の共生生物である地衣類等自然界における数々の共生を学んだけど、巨神達も共生関係なのかも。」

 

「由衣みたいに博識な人が同志になってくれて本当に心強い。ガイガンや巨神達が大暴れし各国政府も地球防衛軍も瓦解したから反政府活動は一旦終了、巨神達の研究に本腰を入れられるしね。」

 

夜が明けた途端に巨人楠木の裸体が映り、 映像を観ていたジョナが嫌な顔をした。どう やら轟天砲発射後に意識を失った後瓦礫に埋もれつい先程這い出てきた模様。

 

「ゴジラ、貴様!生きていたのか! しぶといな!大阪に来た時とはまた姿を変えたようだ が無駄だ。隣にいるのはムートーか。X星人に撃退された癖に懲りん奴だ!ところでゴジ ラ、この楠木が貴様と目線の高さが同じになったことに気付いたか? 確か貴様の身長は 108mだった筈。つまり今のこの楠木の身長も同じく108m! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()『108と108』()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()巨人楠木は意識を失っている間により一層巨大化し、本人が言った通り現在の身長は108m。 映像では観られないとはいえ楠木の声は聞こえるため藤崎も一ノ瀬もジョナ同様嫌な顔をした。石香炉が音を加減してくれているので 先程の巨神達の激闘時の爆音同様鼓膜が破れる心配は無いが。

 

ゴジラが左腕を突き出し血気にはやるムートーを制止する中、巨人楠木は再び股間のものを著しく怒張させ、今度は太さ35m、長さに至っては210mと最早轟天号のそれを凌ぐ。

 

「グハハハハ! これぞ楠木の究極形態、シン・轟天号! さっきよりまたデカくなってしまったな!怪物共、ビビれ! 狼狽えろ! 特に ゴジラ!貴様20年前南極でこの楠木のイチ モツにビビって小便漏らしただろう! あの時とは大きさの次元が違うぞぉ!」

 

巨人楠木の意に反し巨神2体は全く怯えた様子を見せない。

 

「フン、やせ我慢か。それなら貴様ら2人にこの楠木の轟天砲を味わわせてやる!消し飛べぇゲガギョバゴジャ!」

 

先程同様股間のものを紫色に輝かせ轟音を伴いながら轟天砲を撃つも誘爆性光子の塊が直撃した巨神達は無傷のまま、むしろ巨人楠木自身がまたもや発射時に股間のものを大火傷し珍妙な悲鳴を上げ転げ回る始末。

 

「やってくれたな、貴様ら!だがこの楠木には靖国の英霊達と次なる天皇陛下のご加護がある! だから必ずか...う、うわぁあああ!!」

 

既に皇統が断絶し靖国神社も瓦礫の山と化したのに一体何を言っているのだろうか。この時巨人楠木が粋がっている途中に怯え始めたのは何とゴジラの姿が麻生に、ムートーの姿がマンデラにとそれぞれ楠木が心底恐れる2人に変化したからだ。

 

楠木貴様ぁ! 汚い束子みたいな髭を生やし!フリチン姿とは何たる醜態! 貴様!それでも楠木正成公の末裔かぁ!

 

楠木閣下、貴方を殺人と性的暴行で刑事告発します。証拠は全て揃えてありますので。

 

思考が恐怖一色になった途端に蓄積している膨大な煩悩並びに精気が体外に抜け出て消滅し、己の巨体を維持する力を失った巨人楠木は自重により全身が潰れ死亡した。血肉の塊と化し原型をとどめていない楠木の遺体はすかさずゴジラが放射熱線を撃ち込み消滅させている。魂の方は冥府に行った途端に火車が美味しく頂いた。

 

「確かに美味いが長い間待たされてこの程度だと物足りないな。というわけで閻魔サン、 吾輩はこれからも楠木武の魂を頂くぞ。」

 

「是非ともそうして欲しい。楠木武が生きている世界はまだ沢山あるからな。もう楠木武だらけの地獄は懲り懲りだ。」

 

楠木の末路を見届けたジョナが何故ああなったのかを尋ねると、石香炉曰く「イビ」に戻れて霊力が完全復活したため夥しい煩悩に覆われた楠木の心の奥底に横たわる恐怖が見えるようになり、その恐怖を楠木に幻影として見せたところ、あの末路を迎えたとのこと。

 

「さてそろそろ久高島を退去しようと思う。島の人間でもないのにここに居座り続けるのは現地の方々に迷惑だからな。」

 

「隊長、鹿児島を発った同志の機があと20分で到着との連絡が入っていますのでその機に乗りましょう。楠木武による数々の犯罪行為の公表、内通者を含め生き残った同志達の確認等これからやることが沢山あります。由衣、これからも私達はずっと一緒だよ。」

 

「これから志保先輩やジョナさん達との長い旅が始まるんだね。そう考えただけで凄くワクワクする。」

 

ゴジラがムートーに見送られ東京湾へと泳ぎ去ったのとほぼ時を同じくして鹿児島を発ったUS-2が到着し、一ノ瀬達は久高島を後にした。またいつの日かこの島を訪ねたいとの思いを抱きながら。(終)

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