神秘?あぁ、魔術的に必要なやつでしょ?   作:衝動書きする人

6 / 9
6

 

「何を見てるの?」

 

 授業が終わった教室の中。普段ならすぐにオカルト探しか生徒会の手伝いをするかヘルメット団の動向を調べるかをしているのだが、今日は教室からは出ずに携帯端末を眺めていた。珍しいと思ったのかおチビはいつものようにショットガンを担いで教室から出ようとしていたのを止めて俺に声をかけてきた。

 

「新聞。新しい賞金首や要注意人物、それらの行動範囲が書かれてるやつを見てる」

 

 そう言って画面に映っている情報を見せるために画面をおチビの方に向ける。おチビも興味があるのか教室の出入り口から俺の方に向かって来て画面を見る。

 

「……これ、信じられるの?」

 

「真偽はわからん。正直嘘としか思えんものもあるのは事実だけど、それでも頭の片隅に入れておく方がいいだろう」

 

 まぁ、これに関しては趣味であるオカルトの方に関する情報を仕入れるのも兼ねているのが正直なところだ。この新聞はそれなりに広範囲の情報を扱っているせいか有名どころ以外の情報内容が薄いし、真偽も定かではない。細かい情報を得ようとするのならアビドス内で散策して情報を集めることに集中したほうがいいだろう。

 しかしこれは新聞だ。確定事項であることも情報として載っていることも多々ある。さっきも言ったように、賞金首や要注意人物に関する情報に関してはさすがに慎重に扱っているらしく、更新された場合はヴァルキューレ警察学校のリンクを張った上で情報を出している。だからそういった情報を素早く見るのなら新聞を見たほうが早いのだ。

 

「賞金首に関しては、更新はないようだな。目撃情報にも大きな変更はないみたいだから、いつも通りに注意していけよ」

 

 ずらっと並んでいる情報を流し読みしている中、新規情報欄に注意事項についての新規が載っていた。リンクを踏んで内容を確認すると、中身は俺たちが注意したほうがいい情報だったことに思わずしかめっ面が浮かぶ。

 

「なんか最近【暁のホルス】なんてのが闊歩してるみたいなんで注意しろよ」

 

「ブッ」

 

 記事の見出しには大きく【暁のホルス】現る、と書かれていた。内容はまだ読めてないが、そろそろ賞金稼ぎに出ていくだろうおチビに最低限でも注意をするために声をかけると、おチビから喉から空気がひねり出されたような汚い声が出て来た。

 

「どした?」

 

「くしゃみが出ただけ」

 

「そうか」

 

 まぁ確かにくしゃみを出すのは恥ずかしいって思うのは女の子としては普通のことだしな。急に出てきそうなものを抑えようとしても少なからず出てしまうのは仕方ないわな。

 

「どうもこの【暁のホルス】、ヘルメット団だけじゃなく結構な高額の賞金首を狩っているらしい」

 

 【暁のホルス】に壊滅された組織は推定でも10を超える可能性が高い、か。これが組織だったものならそこまで強く警戒することもないかと思ったが、個人によるもの?情報ソースとしては、風紀委員会へのインタビューによるもの、か。

 

「一度風紀委員とも相対したことあり、か。危険思想持ちなのか、それとも標的が被ったからなのか。どちらにしろあの風紀委員とやりあってもこういった書き方をしてるってことは特に損害もなく終わったみたいだな」

 

 詳しい内容は書かれてないが、被害は当時出動していた風紀委員の7割が戦闘不能状態になっていた、と。日付は、結構最近だな。おチビが結構しんどそうにしていた日に近いか?

 

「エリアもアビドスが含まれている可能性は大いにあり、か。下手すれば商売敵になるな」

 

 戦闘が発生したの場所もアビドス内。それも外側でもなく中心部に近い場所か。あぁ、ここは確かに結構な戦闘跡があったな。ヘルメット団の連中もいまだにここには近づいてないのかほとんど見かけることはなかったっけか。

 

「【暁のホルス】は小柄でショットガンを持ち、常軌を逸した動きで風紀委員を圧倒。風紀委員会の新人空崎ヒナとの激しい戦闘の末、痛み分け。なるほどなぁ」

 

 低身長にショットガンを操る強いやつか。まるでおチビみたいだな、とは思うがさすがにおチビがわけもわからず暴れるはずもない。さすがに似た別人だろう。しかし、似ていると言うことはおチビに【暁のホルス】を名乗らせてヘルメット団の行動を鈍らせるか?そんなことをしたら本物に襲われる可能性があるか。

 

「空崎ヒナの意見は、『まるで猛獣を相手していると錯覚するほどのどう猛さを感じ取った。自分以外で相手をするのは難しいと思われる』、か」

 

 空崎ヒナの情報は、書いてあるか。小柄な背丈に相反して自身の背丈と匹敵するほどの機関銃を軽々と持ち上げては乱射する。1年生でありながらその実力はすでに風紀委員会でもトップクラスの有名人。

 

「空崎ヒナ、ね。背が高いイメージなはずの【天使】に似た肉体を持つのが【聖人】だったはずなのに、おチビといい小柄なのがやけに強いのが多いな。小柄なほど【神秘】が籠りやすいのか?」

 

 【神秘】が溢れている世界が故か一般的な高校生ぐらいの少女でも【聖人】としての力を発揮しやすい世界だが、こうも高校生に見えない小柄な奴ほど戦闘能力が高いとなるとこの世界の【天使】は小柄だという言い伝えがあるのかとすら思えてきた。浅く広く調べていたのがここで仇になったか。今度時間が空いている時に調べてみるか?

 

「とりあえず、当面は【暁のホルス】とかち合わないようにするのが先決か。おチビ、お前アビドスで暴れてるときに【暁のホルス】とかち合ったことか、遠くからでも見たことはないか?」

 

 画面から目を離しておチビの方に視線を送る。何もなければいいんだけど、知っていた時は情報を聞けるだろうから念のため確認しておこうとすると、おチビはドアの方に顔を背けてこっちを見ようとしていなかった。

 

「おチビ?」

 

「だ、大丈夫。今まで会ったことはない」

 

「そうか?」

 

 なんか声が震えているような気もするが、まぁさすがに危険な情報を出さないとかそういう嘘はつかないだろうし、【暁のホルス】って名前の厨二具合に笑いをこらえてるだけかもしれんしな。いや、こいつそういうことで笑うような性格だったっけ?

 

「しかし、砂の学園都市で【暁のホルス】とはなぁ。若干運命染みているように感じるのは気のせいかね」

 

 おチビの様子は気になるが、今は気にせずに情報を集めることにする。【暁のホルス】に関する情報を眺めつつ、ホルスかぁと頭の中でエジプト神話の神についてがふと思い浮かんでくる。

 

「なんで?」

 

「砂の国の神話に出る神にホルスってのがいるんだよ。目に太陽と月を持つ天空神だ」

 

 おチビが俺の言葉が気になったのか首を傾げていたのを見て、砂漠や砂に関する神話や言い伝えを調べていた時に知ったことを伝える。

 

「ホルスで有名なのはその目の力だな。大まかに言えばホルスの目は別名ウジャドの目とも言われていて、左目が知恵や癒しを、右目が殺戮を象徴しているってところだ」

 

 厳密に言えば右目はラー神の目だとされているのだが、まぁホルス神が持つ目ということでは間違いではない。調整必須の欠陥品ではあるがホルスの目に関する道具も作ったこともある。作って欠陥品だとわかってから調整もせずに次の研究に移って放置したままだけど、今度時間があるときに調整するのもいいかもしれんな。

 

「暁ってのも太陽と月の目から来てるんだろうな。ってことは多分オッドアイなのかもしれんな。太陽と月ってことは、右目が黄色かオレンジといった暖色系統で左目が青や白といった寒色系統とか。まぁそんな人物滅多にいないだろうから会ったらわかる……。…………ん?」

 

 ふと、くるりと顔をおチビの方を向けるとおチビは顔を壁の方に向けていた。ジッとおチビを見ようとしても、おチビはピクリとも顔を動かすことなくこっちを見ようともせずにいた。

 

「…………」

 

「…………」

 

 椅子から立ち上がっておチビの顔を覗き込もうとするが瞬時に顔を背ける。右、左、右、左と見せかけて右のままと何度も顔を見ようとすると頑なにこっちを向こうとしない。それどころか絶対に見せてやるもんかと言わんばかりに目を力強く瞑っている。

 

「おい、おチビ」

 

「なに?」

 

「ちょっと目見せろ」

 

 ガシッとおチビの顔を力の限り掴み、俺の方を向くように力を込める。おチビも抵抗して俺の手を掴んで離そうとするが、さすがに力を入れすぎると俺の骨を折るかもしれないと思っているのか中途半端な力しか込めてないおかげで放されてはいない。

 

「ちょ、やめ、やめろ変態!」

 

「オメェみたいなつるぺったんに興味はねぇ!誰が悲しくて女児の体に発情なんかするグボラッ!」

 

「誰が女児だこの変態野郎!」

 

「そのちんちくりんの体を見て言え!もういいからさっさと目を見せろ!」

 

 おチビが自分から離そうと俺の胴体を蹴り殴りと好き放題してくるが、俺としては事実が気になって仕方ないので痛みを我慢して顔から手を離すことなく目を開けようと両頬をつぶすように押し込める。そんな攻防を続けていると、さすがにお互いに体のバランスが悪くなってしまい体勢が大きく崩れてしまった。

 

「あっ」

 

「ぶっ」

 

 もつれあってお互いにバランスを崩した結果、俺がおチビに覆いかぶさる形で倒れていった。さすがに急に重心が崩れてしまったらどうすることもできなかったのかおチビは背中から倒れてしまってせき込んでいる。俺は変な風に手が地面に落ちたせいで手首を痛めてしまったせいで手でつっかえることができず、肘と腕で体を支えるようにするしかなかった。

 

「…………」

 

「ちょ、ちょっと、近い……」

 

 さすがにどういう状況なのかを知るためにか、おチビが目を開いた。キス寸前の距離、なんてことはさすがに無いがそれでも結構近い距離におチビの顔があり、顔を赤らめながらオレンジ色の目と青い目が俺を見ていた。

 手首に負担をかけないようにスッと上半身を上げ、おチビからどくようにゆっくりと離れる。そして顔に両手を当て、心の底からの叫びをあげる。

 

「おじさんは悲しいよ!いい子だと思ってたのに、風紀委員会に喧嘩を売るなんて!おじさんはそんなこに育てた覚えはありません!」

 

「あんたに育てられた覚えはない!」

 

「ゴヒョゥ!」

 

 俺の叫びにおチビは顔を真っ赤にして殴りかかってきた。それを俺は両手を顔に覆っていて見えなかったせいで避けることができず、吸い込まれるように小さい拳が胸へと叩き込まれて空気を吐き出しながら悲鳴にもならない声を上げて殴り飛ばされた。

 さすがに騒ぎが聞こえていたのか、梔子先輩が慌てて教室内に入ってきたのだが、そこからまたひと悶着あったのはまた別のお話となった。そういうことにしてくれ。




ホシノたそを抱っこしながら大き目の椅子に座ってお互いに支えあうように体重をかけあってお腹に体温を感じながらパソコンいじりたい。肩に顎を乗せて囁き声でも問題なく会話できるような距離でB級恋愛映画を見たい。
背中にユメパイセンを背負って背中に温かくて大きい柔らかいものを感じながらB級ホラー映画見たい。ホラーシーンでビクってなって抱きしめてくるユメパイセンに笑いながら櫛を通す感じで頭をなでてなだめたい。

そして事故でいなくなってから、仲直りしたホシノたそとユメパイセンが持ち主のいなくなった椅子に無意識に重なるように座ってよく見ていた映画を見てここで騒いでいたな~って思い出しながら涙を流してほしい。
B級ホラーの怖いシーンに驚いて腕に力を込めるもあの時の感触じゃなくホシノたその細く柔らかい感触を感じて怖さとは違う涙を無言で流すユメパイセンの姿はどんな絵画でも描き表わせないほどの美しさがあるよ。
ユメパイセンに抱きしめられながらも、いつもならくだらない囁きにうんざりしてたのにユメパイセンのどうして、ごめんなさい、私のせいで、と涙を流しながら自分を責める囁きがダイレクトに聞こえてきて自分が間に合えばと自罰的な考えが頭を支配して涙は流さないものの目の光が徐々に失っていくその様はとても映像では表現しえない幻想さを感じるよ。

誰か書いて
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。