リアルサムライ、シャンフロへ 作:誉れは浜で○にました……!
「どけ! 俺はサクラ様のファンだぞ!」
「私こそがファンだ!」
「あ、あははは……皆さん、元気ですね……」
「……あれ本当に咲希か? いやでもあれは咲希だよな……」
集合場所に着いて早々、おそらく咲希と思われるプレイヤー……『サクラ』が他のプレイヤーに囲まれている。
というかサクラ様ってなんだよ。あいつシャンフロでなんかやらかしたのか……?
気になってしまった俺は、野次馬の中でも俺の隣にいたプレイヤーに声をかけてみることにした。
「なぁ、あんたちょっといいか?」
「ん? あ、あぁ……あれ? その装備……君、もしかしてシャンフロ新規プレイヤーなのかい?」
「あぁ、さっき始めたばかりでね。名前は『サムライ・リョーマ』、よろしく」
「リョーマ君か。僕の名前は『ウリナス』。よろしく頼むよ」
突然話しかけて来た俺に対して気さくに答えてくれたのは20代後半といった外見の男性プレイヤー『ウリナス』。
初手から心優しいプレイヤーに出会えてよかったと、内心安堵したが、それよりも先にサクラのことを聞いてみることにした。
「なぁ、さっきシャンフロ始めたばかりだから全く分かってないんだけど、あそこのサクラってプレイヤーの人、もしかして有名人?」
「ふぅむ、始めたばかりなら知らなくても仕方ない、か……クランについての説明もいるかい?」
「くらん? すまない、そこも教えてもらえると……」
「分かったよ。彼女、『サクラ』というプレイヤーはだね……」
そうして俺はウリナスから説明を聞いていく。
気になったところなどを質問すれば、ウリナスはその都度答えてくれるためかなり話が理解しやすかった。
そんなこんなで話を要約するとこういうことらしい。
・『サクラ』というプレイヤーは、『シャングリラ・フロンティア』の中でも最上位のクラン――『
・彼女は『黒狼』の中でも、その誰にでも優しく接してくれる姿から様々なプレイヤーから尊敬の念を向けられる『アイドル』的存在。
・もちろんファンが多い。
・そんな彼女が
「……ということなんだ。わかったかいリョーマ君?」
「へ、へー、ソ、ソウナンデスカー……」
……なんか、俺の知らないところでアイドルやってた妹の姿を見つけてしまった感覚って実際にあるんだな……。
なんか下手に絡むと面倒なことになりそうだと一瞬思ってしまう。
このままファンの波が退くのを待つべきか……と思っていたら……
「!! お、お兄ちゃん助けてー!!」
「あ」
サクラの方も俺のことを見つけられたようだ。
ガッツリ俺の方を見てファンの声にも負けない声量で声をかけながら、人混みをかけ分けてこっちに向かってくる。
やっとこれで案内してもらえるとは思ったんだが……それをするには、正直タイミングが滅茶苦茶悪い気がする……
「え、お兄ちゃん!?」
「サクラ様のお兄様が実在したのか!?」
「ぐぁああああああああああ!! サクラ様一人っ子説が打ち砕かれたぁああああああああ!!」
「お兄様! 妹さんを僕にください!」
ほらやっぱり()
兄貴目線を抜きにしても、リアルの時から美人で優しい咲希が同じムーブをここでもやってたらそうなるよねって、もう納得するしかねぇや。
「なんか、もう、こうなるなんてなぁ……って思うしかないな……」
「ご、ごめんお兄ちゃん! 一先ず離れよう! 私が運ぶから!」
「頼んだぞー」
そうして、妹にお姫様抱っこされるという子供の頃とは真逆の立場で、熱狂的なファンから逃げるために町中を駆け抜けていくのであった。
「あらら、行っちゃったか。どうしようかな……『キョージュ』に報告しておこうかな……」
「――噂で聞いた『サクラ様の、リアルなら誰よりも強いお兄ちゃん』が実在したってこと」