悪い大人が悪い大人を締め上げる話   作:合体魔人トム・ブラソン

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――私はまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た


第一話 異世界へ

 世界がぐらついている。目の前の光景が揺れ、ぼやけていた。

 喉に金属のような苦味が広がり、全身が鋼の鎖で縛られたように重く感じる。耳に響くのは、自分の息遣いと、どこか遠くで聞こえる低い笑い声。

 

 

――あれ…俺、何してたっけ…

 

 

 意識が漂っている。

 

 

――確かカップラーメンを作ってて、いや違う。映画を見てて、あれ?何してたっけ

 

 

 血の味が口の中に広がり、体の痛みは遠のいていくように感じる。視界はぼんやりとした霧の中に包まれ、周りの音もかすかにしか聞こえない。

 

 混乱した思考の中で、自分が何をしていたのかが一瞬わからなくなる。朦朧とする意識の中、頭の中で様々な映像が記憶が、今の現実と交わりながら押し寄せてくる。

 

 インスタントラーメンを作る音、仲間と過ごした時間、夜空に瞬く星の数々。映画のように断片的な過去の一瞬一瞬が、今この場で溶け込むように現れては消える。

 

 ぼんやりと浮かぶ、懐かしい景色。海風の匂い。友の笑顔。だが、それはまるで別の人生の断片のように感じられた。

 

 

――……いや、俺は……

 

 

 そこで聞こえてくるのは、低く響く嘲笑だった。

 

 次第に、視界が少しずつクリアになっていき、再び現実が迫ってくる。周りの騒音、風の音、そして自分を包む絶望感が一気に押し寄せる。

 足元に広がるのは荒れ狂う大地、そして目の前に立つ圧倒的な巨体。カイドウ。彼の嘲笑がはっきりと耳に届いた。

 

 

「……ウォロロロロロ!まだ死んじゃいねェか!大したもんだぜ、全力の一撃を耐えるどころかこの俺に傷をつけやがったな!」

 

 

 混乱が消え去り、今この瞬間が鮮明に感じられるようになる。体の痛みが戻り、目の前の巨大な存在が現実のものとして認識される。

 

 

「……そうか、俺は……カイドウと戦ってたんだ……!」

 

 

 全身の力を振り絞り、ようやく思い出す。カイドウの圧倒的な力に押されながらも、立ち上がり続けていた自分の姿を。自分がここにいる理由、戦い続ける意味が再び胸の奥に蘇ってくる。

 

 

「笑ってんじゃねえよ、カイドウ……!まだ、終わってねえ!てめぇの血は奪った(・・・・・)!これでまだ力は出せるぜ!!」

 

 

 拳に残る僅かな力を集め、全身に残るわずかな力を振り絞る。意識が完全に覚醒した今、目の前のカイドウとの決着をつける覚悟が固まる。カイドウもまた、巨体を構えていた。その顔に浮かぶのは、侮りと期待が入り混じった狂気の笑み。

 

 全身に巡る血が熱く煮えたぎり、体は異形の姿へと変貌していく。

 

 

「……これで決めるぞ……!」

 

 

 カイドウもまた笑いながら、全力の技を繰り出そうとしている。巨大な龍の姿となり、空気が張り詰める。二人の間には一瞬の静寂が訪れ、そして同時に互いの大技がぶつかり合う。

 

 轟音が空を裂き、大地を震わせる。衝撃で大地が揺れ、空が歪む。だが――

 

 

「……ぐっ……!」

 

 

 だが、力の差は覆らなかった。全力を尽くしたにもかかわらず、カイドウの力は圧倒的だった。

 

 その衝撃に耐えきれず、体は崩れ落ち、血が口から溢れ出す。視界が再び暗くなり、全身の感覚が徐々に消えていく。

 

 何度心の中で喝を入れても力は入らず、一瞬で体が鉛のように重くなり、全ての力が抜けていく。

 

 全身が崩れ落ちる感覚。カイドウの笑い声が遠くに響き、その声さえも次第に消えていく。

 

 視界の端に、かすかに見える影。麦わらの帽子。彼の存在を感じた瞬間、なぜか口元に微笑みが浮かぶ。

 

 

「…楽しかったぜ、あんたとの冒険…」

 

 

 その言葉がかすれた声で漏れた瞬間、全てが暗闇に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 この二度目のろくでもない人生を思い返せば始まりは唐突だった。

 

 長年勤めていた海外での仕事を終わらせ平和な日本で昼寝を楽しんでいた時、その異変は起こった。エアコンの効いた部屋にいるのにうだつが上がるような暑さ、思わず飛び起きたら目の前には視界を埋め尽くすほどの青色だった。

 

 はて、レポートを書いていたのは夢で実は趣味の釣りに出かけていたのか?と思ったが、小型の木船を見ていやそんなはずはないと思った。では友人たちのいたずらか?とも思ったが、あたりを見渡してもクルーザーらしきものはなく遠くに見える小さな島らしきものだけだ。

 

 さてこれは参ったぞと海へ顔を出すと、毎朝見慣れた顔ではなく別人が間抜け面を晒して見つめている。その顔に向かって手を伸ばすと冷たい感覚が手から全身へ走った。

 

 夢でもなければいたずらの再来でもない。

 

 余りの情報量に何が何だか分からない状態だが、とにかく海の上に居続けるのはマズいと判断し遠くに見えた島へ向けて舟を漕いだ。

 

 そうして漕ぎ続けて何とか島の近くにたどり着いたが、すぐに上がることはしなかった。

 

 島の周りをぐるぐると漕いで人が生活しているかどうかを探ったが、そんな気配はなく動物が数頭駆け回っているのが見えた。

 

 その中でふと、その島の中で大きく成長した木を見ると何とも不思議で禍々しい果実を実らせていた。

 

 その果実の模様に妙な既視感を覚え、そしてその果実に心から惹かれていった。

 

 思えばそれが運命との出会いだったのかもしれない。

 

 目にした木の実を求めて島に上陸し、あれこれと知恵を働かせて高いところにあった木の実を手に取ることに成功した。

 

 その木の実を手に取るとあまりに禍々しく捨てようかと迷ったが、引き寄せられるような魅力と空腹で我慢できず大口を開けてかぶりついた瞬間、あまりのまずさに吐きそうになった。

 

 そしてその果実の禍々しさと不味さで思い出した。「あ、これワンピースの悪魔の実じゃん」って。

 

 

 そんなこんなで紆余曲折あったわけで二度目の人生超頑張って生きた。最初の一週間くらいは現実を受け入れられず放心しきっていたが。

 それでも腹は減り、餓死なんてしたくなかったから魚を釣りその日を凌いでいくと次第に もうやるしかないのでは? と腹をくくった。

 

 それでもまぁ、食べた悪魔の実の能力を把握したり、能力と体を鍛えたり、たまに来る嵐を超え、野生動物を喰らい、通りかかった船を襲ったり、それはもう出来る限りのことを超頑張った。

 

 最終的には海軍に捕まって、投獄されたり脱獄したり、海賊襲って狙われて人を助けて身を隠し、手を出した船が天竜人の食料を運ぶ運航船で運悪く捕まり奴隷になった。

 

 奴隷時代は後ろの穴を開拓され、傷つけられ焼印をつけられたりとひどい仕打ちを受け生きる気力を無くしかけたが、それでも死にたくないの一心で脱獄に成功し、ついでに他の奴隷たちも連れて逃げ出した。

 それだけでも相当にヤバイが、逃げる途中に天竜人を殴っちゃったもんだから、大将達がずっと追いかけてきてもう大変だった。

 

 悪運に助けられ命からがら逃げだし、悪魔の実の能力で完全な動物の姿へ擬態し長年潜伏した。そこからなんやかんやと見つかっては逃亡、海賊船襲って逃亡、能力鍛えて大将に挑んで敗走、覇気を鍛え天竜人にちょっかい掛けて逃亡…。

 

 奴隷生活の中で頭のネジとボルト全部落としちゃったんだろうね、命が軽すぎるこの世界に順応していくと段々とスリルを求めるようになった。そんな生活を長年続けていると、いつしか能力は覚醒し能力の真価を垣間見た。

 

 それからはある共通点を持った能力者だけをターゲットに世界中を旅し、彼らの血を奪い自分の力にしていった。

 

 結果、疑似的な不老不死が誕生し自分は最強だと天狗になっていた。欠点として常に能力を使い続けているからそのエネルギーを補充するために大食漢になったが。

 

 実際、あの時代は誰も俺に勝てる奴なんていなかったしマジで天狗になってた。まぁ俺の最強伝説は十数年で終わりを迎えるんだけど。

 

 なんてことはない。俺以上に強い奴が突然ぽこじゃが増えてきた。ご存じ海賊王たちだわな。

 

 あいつらが派手に暴れ始め、俺の噂を嗅ぎつけるとボコボコにされ体を引きずりながら逃げ出したところを海軍に見つかり天竜人の奴隷に逆戻りになった。

 

 警備は厳重になり、そして過激な罰を受け続け心身ともに疲弊して、すぐに脱走することはできなかったが隙を見て逃げ出した。以前と同じやり方で。笑えないね…。

 

 そうして脱獄に成功した俺は、海賊王達の登場で物語が動き始めたことを実感し次に自分がするべきことを考えた。長い時間をかけて考えた結果がやりたいことをやろうでまとまった。

 

 あれこれ考えても仕方ないし、俺と言う異分子が過去好き放題やったから今さら気にしても仕方ないと思い、以前と同じように特定の能力者を襲い、天竜人の住処を襲撃し続けた。

 

 そうして好き放題やりまくって、色んな大海賊たちや主要人物達と旧い縁を持ち、最終的には麦わら帽子の少年に捕まりともに冒険をしてきた。

 

 主人公たちの物語を間近で見続け、音楽と料理を学び、最後は幼いころから縁を持っていた最強の子との約束を果たすため、その最強に挑んで俺の物語は一旦終わりを迎えた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…はずだったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あるぇぇぇぇぇ...? ここどこぉ...?」

 

 

 

 気が付いたらベットの上にいて、ベッドの傍には様々な医療機器?が並ぶ病室。

 

 の中で何故か俺のベッドの傍で佇む、頭上に真っ白な天使の羽のようなものと天使の輪のようなもの頂く人間の少女がこっちを凝視していた。




衝動に身を任せ書いた。先の予定はたっていない。



チャウネン...チャウネン...
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