悪い大人が悪い大人を締め上げる話   作:合体魔人トム・ブラソン

2 / 2
第二話 知らない天井

 死んだと思ったらなんか二度目、いや三度目の人生が始まった。

 

――アルェェェ!? ナンデ!? ここ天国じゃないの!? じゃあ目の前の天使みたいな美女はいったい!?

 

 身体は未だ鈍い反応を示しているが、脳内は大混乱を起こしている。

 だが前世? で天国に行けるほどの善行を積んだわけでもないし、むしろ悪行しか積んでねぇな? と思い至り少しだけ冷静になった。

 

 じゃあここは何かしらが原作の世界なんだろうと考えたが、俺は女の子がキャッキャする可愛いもの系とは無縁の硬派なプレイヤーである。

 ガキの頃から大人になるまで血生臭いゲームや対人戦しかやってきておらず、またアニメや漫画も"漢の義務教育"と呼ばれる作品しか見てこなかった。まぁプリキュアも妹と一緒に見ていたくらいだが…

 

 俺の心には常にカッコいい兄貴たちが背中を見せ続け、俺を漢として鍛えてくれたんだと自負している。筋トレ最高だぜ...

 俺の中で一番好きな作品はやっぱりドラ〇ンボールだな。亀仙人の教えは今でも根付いているし、キャラとして好きなのは孫〇空。一番好きな形態はSSJ4で次点にはゴジータである。

 ベジットも捨てがたいけどGT見た時のあの姿は心惹かれたし前世へ転移する直前に映画の予告が来てブ〇リーとゴジータが高画質で見れると聞いて興奮してたけど全然見れんかった取り敢えずネタバレ勘弁でカッコ良かったかどう――

 

 

 閑話休題。

 

 

 そんなサブカル文化に触れてきた俺だが、一切触れたこともない作品世界故、目の前の美女を前にどう対応をすれば良いのか分からなかった。

 取り敢えず彼女の言葉は理解できるし治療をしてくれてるっぽいので、下手なことはせず、ただされるがままに大人しくておく。

 

「それにしても、良く生きてたわね」

 

 そうなのか? と口を開こうとして上手く体が動かない。

 

「無理に話そうとしなくていいわ。今は安静が一番。これだけ重傷を負ったんだから、回復には時間がかかるわね」

 

 彼女にそう言われて、浅くため息を吐きながら目を閉じる。

 いわれるがままに体を休めるべく呼吸に集中する。

 

「さっきあなたの荷物を検査させてもらったわ。無断で悪いけど、安全のためそうさせてもらったの。悪かったわね」

 

 彼女の言葉に「ん。」 と返事をしておく。まぁ突然俺みたいな大男が倒れてたら誰だって警戒はするだろう。

 それにしても俺の鞄の中全部見られた(・・・・・・)のか? という疑問が湧いたが、彼女の振る舞いから察するに見えるものだけ(・・・・・・・)見られたみたいだ。

 

「あぁ貴方を助けてくれたのは私じゃなくて、別の子だけどね。あなた、森で倒れていたのを見つけられてここまで運ばれてきたのよ」

 

 そうだったのか。

 ならその別の子とやらにも後でお礼をしなくちゃならんな。 と考えていたら――

 

「いや本当にあなた、よくこんな状態で生き延びたわね。嘘か本当か知らないけど、空から降ってきてらしいしそれ以外の傷を鑑みても正直、即死でもおかしくなかった。助かるとは思わなかったわ」

 

 え、俺空から降ってきたの? と頭の中で宇宙が広がったが少しずつ状況を把握し始める。

 布団の中で静かに能力(・・)を使い、異常がないかを確認。一切の淀みなく発動できる事実に安心し、後はこの世界の世界観を知り能力を使っても問題ないかの確認だけである。

 

 そう頭の中で予定を立てていると、今いる部屋の扉の向こう側から軽やかな足音が聞こえてくる。

 美人な女医さんがやれやれと言いながら扉の方へ行き、来客を招き入れた。

 

「あ、起きたみたいですね。良かった…」

 

 目を開けると部屋にやってきたのは所々包帯や湿布が張られた女の子だった。女医さんと比べるとやや幼く感じるが、しっかりとした雰囲気を感じ取れる。

 どうやら彼女が私を見つけ、ここまで運んできてくれた人物らしい。

 

「彼まだしっかりと喋ることはできないみたいだから、あんまり刺激しないようにね」

 

 そう女医さんが彼女に耳打ちしたようだが、能力(・・)のおかげでその内容がしっかりと聞こえた。

 女の子はそうなんですね と答え、俺は「ん。」 と答えて瞳を閉じる。

 

 その様子に女の子は安心し、女医さんが彼女を連れて俺から少し離れたところへ行った。

 声はあまり大きくなかったから少し聞き取りずらかったが、能力(・・)を調整ししっかりと聞き取れるようになった。

 

「はい、もう怪我や痛みは引いてきました。ありがとうございます。」

 

「良いのよ。それで、あっち(・・・)の様子はどうなの?」

 

アリウス(・・・・)の様子は前と変わらず、内戦が続いたままで以前逃げてきた時と、何も変わっていません。それどころか悪化の一途をたどっていて...」

 

「そうなのね…貴女が逃げ延びてこられたのは幸運だったわ」

 

「ええ…。私は、どうすればいいのでしょうか?逃げ出したとはいえ、あの地を捨てることはできません。私は…どうにかしたい。でも、戦いが終わらない限り、どうすることも…」

 

「難しいわね。今の状況だと、すぐに戻ることは無理でしょう。少なくとも、回復するまでの間はここで身を隠すしかないわ」

 

――この世界そんな重たいの…?後アリウスって何…?

 

 知らない土地の名前が出てきたが、記憶を探ってみてもパッと思い浮かばず、内心どぎまぎしながらも彼女たちの会話に耳を傾けていた。

 だがそこで話は終わったのか話題を変え、今日の夕飯について話し合っていた。

 

 夕飯が食べられる二人に若干いいなぁと思ったが、この状態じゃ食べれるもんも食べれんなと断念し眠りにつく。

 

 取り敢えずこの調子なら明日にでも復活できそうだし、今はゆっくりとしておこう。

 行動を起こすのは明日からだな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。