ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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初対面の再会

 

「いやぁ、実に良い街だ」

 

「そうだな」

 

 蟻塚の攻略は特に問題なく終わり、大破するニケは居たものの損失は0、精鋭ばかりではあったが奇跡的な数字に凱旋したサイド3ではお祭り騒ぎであった。

 これも途中参加したスノーホワイトと紅蓮あってこそだ。

 量産型と言えど装備のスペックは既にゴッデスに匹敵する程の性能を誇る筈だが実際に比べてみると天と地ほどの戦力差がある。

 やはりゴッデスは特別なのだと改めて思い知らされる。

 

「またソーンとお酒が飲める日が来るとは…」

 

「あぁ、俺もだ」

 

 ソーンの邸宅に作られた個人BARでは15年ぶりに集まったゴッデスたちが揃っていた。

 

「しろちゃ…スノーホワイトも立派になったな。見違えたよ」

 

「貴方にそう言われると不思議な気分になるな」

 

 ラプンツェルとソーンは顔を会わせるなり感極まって抱き合ったがその後に合流したスノーホワイトと紅蓮については向こうが初対面と言った感じで接してきたのでソーンも落ち着いた態度で二人と接した。

 正直、ソーンとしても二人の様子にショックを受けたが顔に一切出さずに乗り切ることに成功する。

 その様子を見ていたラプンツェルは複雑そうな顔をするが何も言わなかった。

 

「スノーホワイトは立派になったが紅蓮はかなり親しみやすくなったな…」

 

「ラプンツェルとドロシーにも同じことを言われたよ。しかしこの酒は旨いね。素晴らしい純米酒だ」

 

 対して紅蓮とスノーホワイトから見ればソーンは初めて会った筈だがドロシーやラプンツェルから話を聞いていたのと顔を見た瞬間、知らない筈なのに即座に名前と顔が一致したのはやはり無意識下で記憶に残っているのだろう。

 

「温泉も素晴らしかったですね。男湯は無いのですか?」

 

「…ここにはニケしか居ないからな。残念ながら女湯だけだ」

 

 ラプンツェルもラプンツェルでどうやら見ないうちに卑猥度がさらに進化したらしい。

 

「まぁ、スノーホワイトも紅蓮も俺の事はソーンと気軽に呼んでくれ。君たちへの支援は惜しまないからな」

 

 ひとまず食事に満足したスノーホワイトは酒を持って風呂に向かう紅蓮に着いていき、それを見届けるとラプンツェルに向き直る。

 

「俺の聞きたいことは分かるな?」

 

「はい、ドロシーの事ですね」

 

「可能な限り、全て教えてくれ」

 

ーー

 

「…そうか。レッドフードも来ていたのか、しぶとい女だ」

 

 シンデレラと戦った時の話を聞いたソーンは心底嬉しそうな顔をする。

 願わくば最後に会いたかったが仕方ないと割りきるしかない。

 

「レッドフードはいつも私たちを驚かせてくれます。ですが...それからは…地獄でした」

 

 ラプンツェルは言葉を続ける。

 それからは耳を塞ぎたくなるような悲惨なアーク防衛作戦の全容が語られる。

 

「私たちと分かれてから何があったかは分かりませんが。あれからドロシーはアークへの復讐のために行動しています。ですがソーンなら、なにか説得できるのではないかと」

 

 ソーンはグラスを空にすると瓶のまま酒を口に運ぶ。

 

「こればかりはドロシーと会わないと分からないな」

 

「そうですよね…」

 

 アークに対する不信感と言うのは大なり小なり全員が感じていることだ。特にドロシーはゴッデスの中でも人一倍プライドが高かった。

 一人になったタイミングで何か心がポッキリ折れてしまうことがあったんだろう。

 

「ドロシーにピナが居たように。俺はまだ覚えてる…トウカの事を…本気で弟子にするつもりだった」

 

「エプタ島に避難していたの少女ですね」

 

「あぁ、アイツは人間の愚かさで死んでしまったがトウカもまた人間だ。だから俺は人類全体に絶望していない。ニケにも様々なように人間全てが己の事しか考えていない愚か者ではない」

 

「ドロシーも…」

 

「アイツもそれは分かってる。たぶんアイツの厄介な所はそれら全てを分かってもなお、アークへの憎悪を止められないんだろう。ある意味、ドロシーはゴッデスの中で一番人間らしいのかもな」

 

 過去を忘れろなんて言うつもりはない。自分もまたリリスやレッドフードの幻影を追いかけている。

 サイド3建国なんて大それた事をしたのも彼女たちの影響を受けたかと言えばおそらく、そうなんだろう。

 あの二人のように自分の背中を追いかけて人類を前へと進ませようとするニケが生まれて欲しいなんて考えているのだから。

 

《どうやらゴッデスの皆さんは自己評価がとても低いのですねぇ》

 

 そうなことを言った時のナユタの言葉が頭をよぎる。

 

「一応、ドロシーと会ったら説得してみるが。難しいだろうな」

 

 ドロシーはいろんな意味で賢すぎる奴だ。そんな彼女がありきたりな説得で心動くほどではないと思ってしまう。

 

「…人生。上手く行かないもんだな」

 

ーー

 

「なるほど、クイーンの所在を確かめるために」

 

「あぁ、ラプンツェルが言うには昔、軌道エレベーターの先にある宇宙ステーションに居ると言われていたらしいが万が一にもと思って地上のありとあらゆる所を探そうと思ってな」

 

 裏の温泉ではスノーホワイト、紅蓮、ナユタの三人が会話を交わしていた。

 

「クイーンの所在地は我々の方でも調べていますが不明です。言われた通り軌道エレベーターは最有力候補として考えていますがあそこはラプチャーの数が多く後回しになっています」

 

「1つ聞きたいのだが。お嬢ちゃんは私と会ったことがあるかい?」

 

「恐らく私の分身でしょう。現時点でそれなりの数を地上に送っていますので」

 

「やはりか、崖の上で瞑想しているのを見かけてね」

 

「分身…便利な力だな」

 

「ただ放浪するだけの影に過ぎません。非力なものですよ」

 

 掴み所がないと言った印象のナユタであったが紅蓮は酒を傾けながら話を続ける。

 

「それで、ここで長風呂までして待っていた理由はなんだろうね?」

 

「かの名高いゴッデスの皆様と話すのに労は惜しみません。ソーンの仲間であった貴女方に興味を持つのは当然では?」

 

「嘘はついていないが全部ではない…」

 

「…地上をさ迷う貴女方がどのような事を成しているのか気になったと言った所でしょうか」

 

「まるで新しい道を模索しているかのような言い草だね。お嬢ちゃんはソーンの腹心なのだろう?」

 

 紅蓮の言葉にナユタは首を小さく横にふる。

 

「いえ、私はただの居候です。ソーンに命を…心を救われ少しでも恩返しをしようと心掛けてきました。ですがあの人は全てにおいて私の遥か先を歩んでいる。」

 

 実際にナユタは先進技術局代理局長として素晴らしい働きを見せているがそもそも技術面ではソーンが頭を何個か飛び抜けすぎていてナユタ含め他のメンバーたちも自分達は必要なのだろうかと思うときは度々ある。

 だがソーン自身、後進の育成にかなり力をいれており、先進技術局の技術力はメキメキと上がっているわけだが。

 

「ソーンを超えるためにはソーンの背中を追うばかりで不可能だと言うことか」

 

「はい、ですのでソーンと肩を並べた貴女方と話して何か掴めるのではないかと…」

 

「なら共に来るか?」

 

「え?」

 

 今まで黙っていたスノーホワイトの言葉にナユタは驚く。

 

「ラプンツェルから聞いたんだが。ソーンはラプチャーの支配下の中で一年以上も研究と開発を続けていたらしい。そんな状況だからこそ常識にとらわれない性格になったんじゃないかと」

 

「褒められてるのか貶されているのか分かりませんね」

 

「来るなら構わない」

 

「少し考えても?」

 

「あぁ、少しの間ここにいるつもりだ」

 

 

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