ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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第二次地上奪還作戦 前編

 

 アークによる第二次地上奪還作戦が開始。

 その情報はサイド3も完全に把握しており敗残兵軍の第2軍がその作戦に従事していた。

 敗残兵軍の第2軍は主に地上における調査、物資回収等、地上任務が最も多い部隊でありその装備も特殊であった。

 

 第2軍所属のニケたちの外見はアークのニケと相違ない姿であることが特徴である。

 地上任務が多い第2軍はアークのニケたちと意図せず接触する可能性があるためであるが身に纏った装甲の材質や武器の性能はアークのニケに比べてかなりの差があるものであったが。

 

「しかし100倍の戦力ね。アークにそれだけニケを生産する能力があるとは思えないが」

 

「戦力はニケだけではないが、かなりの数が量産されているだろうな。死んだらニケにされるんだから」

 

 予備戦力としてラプチャーの拠点であった蟻塚を改造して作られたサイド3の前線基地《ラサ基地》に駐屯していたヘクトールは同じく待機していたランスの言葉に疑問を覚える。

 

「女性だけの話だろうがそんなこと許されるのか。体を墓に弔って脳だけ持ってかれるのか?」

 

「墓?墓なんてアークにあるわけないだろう」

 

「墓がない?」

 

 アークは作り出された地下空間に出来る限りの人間を押し込んで出来た最後の場所。土地的に場所を取る墓地なんて作ってるスペースなどあるわけない。

 

「男は灰すら残さず焼却、女はニケの適合実験…って言うが既に検査は生前から行われてる。死んだ途端、すぐにニケにされる。非適正者は男と同じだよ」

 

「生活物資すら貧しいアークなら仕方ないか…」

 

「まぁ、それより。作戦は順調のようだな」

 

 第2軍はアークの作戦領域の外からこっそりとラプチャーの数を減らし進軍の手伝いをしていた。そのおかげで第二次地上奪還部隊は苦戦しながらも着々と進軍を進めていた。

 

ーー

 

「よし、予定より遅れているが順調に進めているな」

 

「ラプチャーとの接触も概ね予想通りの頻度だし今回は中々だな」

 

「でもエブラ粒子のせいで本部と連絡とり辛いのは嫌だけどな」

 

 前線に展開していた部隊は数度に渡る戦闘を終えて一服する。ラプチャーとの通信を阻害するためにエブラ粒子を作戦領域に散布されているのだがこのせいで味方との通信も妨害されてるのだ。

 

「新星の戦術はいいさ。小集団で動いて作戦を遂行するのは機動力を生かせて良いけど。こんなにエブラ粒子を撒かれちゃ、壁の向こうにいる味方の位置すら分からんよ」

 

 プロダクト08が軽く岩壁を蹴る。

 

「こんな状態で本部は私たちの位置を把握してるのでしょうか?」

 

「さぁね」

 

ーー

 

「ったく。手当たり次第にエブラ粒子撒きやがって。アークは何考えてるんだ!」

 

 エブラ粒子で苦戦しているのはアークだけではなく第2軍も同じであった。長距離通信用の有線回線を敷設するために工兵が昼夜問わずに駆けずり回っていた。

 

「えーと。15キロ、サキ、ラプチャー、チュウキボ、ソウトウ、ミユ」

 

 だがアークとは違い、エブラ粒子濃度の深さによる通信不能エリアの対応を第2軍はしっかりと取っていた。

 日中は基本的に手旗信号、夜間や長距離になると発光信号にて簡易的な意志疎通が組まれていた。

 

「ぞうえん、おくる。しばし、まて…っとめんどくさいなぁ」

 

「隊長、本部より有線通信。P2エリアの進軍速度が想定より20%速いとのこと」

 

「そんなにか。第16小隊をP6まで後退させろ」

 

 敗残兵軍、第2軍司令官マナは最前線に指揮所を置いて指揮を行っていた。

 

「凄まじい進軍速度ですね」

 

「例の新星って奴か」

 

ーー

 

「状況終了、各員損害状況を報告しろ」

 

 ニケの中でリーダー的な存在であるシフタは全員の無事を確認すると少し後ろに立っていた指揮官に歩み寄る。

 

「指揮官、どうする?」

 

「目標の合流地点まで戻って他の部隊が合流するまで待つ」

 

「せっかくここまで進んだのに?」

 

 シフタ意外の部隊員たちも戻って来て不満を漏らすが指揮官であるヨハンは気にしない。

 

「ラプチャーの数は司令部が観測したデータをもとに算出したデータだ。俺自身も確認したから間違いない、その想定どおりの数としか交戦していない」

 

「え、いいことじゃないか?」

 

「いえ、おかしいわ。ラプチャーは様々な機能で人間とニケを関知する。コーリングシグナルまで発している個体がいるのに作戦領域外から増援が来ないのがおかしいのよ」

 

 シフタの言葉に部隊員もハッとする。

 

「でもなんで?」

 

「分からない。その正体を探ろうとかなりの速度で進軍してみたが見えてこなかった。こちらはしっかりと監視されているようだ」

 

「その様子だとアテはあるってことね」

 

「お前もあるだろう」

 

「…ニケトピアって奴らでしょ?」

 

 作戦前に呼び出されたヨハンはクラウディアス副司令と面会しニケだけの楽園について話を受けていた。

 可能であればと言い、その調査も依頼してきた訳だが。

 

「ニケだけの楽園か。俺には関係ない話だ」

 

「興味はあるけど…アーク以外の生き方なんて存在しないと思っていたから」

 

「作戦行動中の行方不明は良くあることだ」

 

「冗談いわないでよ」

 

「…そうだな」

 

ーー

 

「多少の損害はあれど想定範囲内とのことです」

 

 クラウディアスは副司令室で優雅に紅茶を飲みながら報告を聞く。

 

「そうですか。各方面に配置した者たちからは?」

 

「エブラ粒子のせいで多少の時間的誤差はありますが問題なしとのこと。ニケトピアに合流しようとする部隊の兆候は捉えていません」

 

「私としては離反者が出た方が都合が良いのですが…上手く行きませんね」

 

「そもそも離反行為が大規模であるなら他の副司令たちも気付くはずです。巧妙かつ多くない数だからこそ公になっていないのかと」

 

「だから忠告したというのに…特にゲメント副司令は頭が固い。NIMPHは万能ではないと言うのに、私が前線を知らぬM.M.R.出身だからと下に見ているのだから」

 

 紅茶を静かに置いたもののクラウディアスの態度には明らかに苛立ちが見える。

 そんな様子を見てスカルクは内心、ため息をつく。本人は冷静沈着な態度を取ろうとしているが実際は心の感情を隠しきれていない。

 

「前線を知らないのは事実ですし我々はどちらかといえば裏方仕事です。状況の改善は難しいでしょう」

 

「それは貴方の長所でもありますが私の嫌いな所です」

 

「どうも」

 

 実際にM.M.R.と軍部の折り合いは悪い。やはりV.T.C.が源流と言うこともあっていまだに宗教色が抜けぬ秘密主義のM.M.R.に対して軍部が良く思わないのは当然であり、その出身であり出世を待ち望んでいた者たちを追い抜かし副司令という立場に座っているクラウディアスを良く思わない人間の筆頭が副司令官たちの実質トップであり、今回の2次の責任者であるゲメント副司令である。

 

ーー

 

「どうだ、状況は?」

 

 第二次地上奪還作戦の総責任者であるゲメント副司令は分厚い腹の脂肪を揺らしながら席に座る。

 

「作戦予定通り、アイリス工場地帯の制圧を終えました」

 

「うむ、15年前に遂げられなかった事を我々は作戦開始からたったの3ヶ月で成し遂げた」

 

「ですが、工場地帯には予想されていた物資はありませんでした」

 

「なに?」

 

「施設が徹底的に破壊され使えるものはほとんど無いそうです」

 

「うーむ、補給部隊を増員しろ。前線を維持して、次の資源回収ポイントに向かわせろ」

 

「はい」

 

 ゲメントは部屋から去る副官を余所にモニターに映る地上戦艦を見る。ブロックごとに分割されエレベーターに積み込まれているのはソーンが残したヘビーフォーク級地上戦艦であった。

 

ーー

 

 地上、アークとサイド3の部隊が展開している遥か先、赤黒いラプチャーの集団がガスマスクを着けたヘレティックを中心に陣形のようなものを形成し待機していた。

 

 そんな集団の中央に鎮座するのは巨大な鳥、流線型でしなやかな形状、最も特徴的なのは尾のような巨大な鋼鉄の羽、明らかにクジャクを模した巨大なタイラント級ラプチャーの頭部、傲慢を象徴する王冠があった場所につけられた椅子、そこに鎮座するパリス。

 

「そうか」

 

 小型のラプチャーが機会音を鳴らすとパリスはボロボロの本を読みながら返事をする。

 その姿は第一次地上奪還で見られた機械の体は納められ、一見して普通のニケと変わらない姿であった。

 

「人間の書いたものなど読んで、何になるというのですか?」

 

「お前には分からんだろう。ヘレティックとやらの誇りしかないお前にはな」

 

 その言葉に眉をひそめながら隣に立つのは同じくヘレティックであるインディビリア。ヘレティック同士では珍しくインディビリアとパリスはそれなりの交流とやらを持っていた。

 

「全く、雑魚を集めたり、本を読んだり。理解に苦しみます」

 

「お前ごときに理解できるものか。私を理解し、私が理解するのは姉さんのみ」

 

 パリスはかち割られた頭頂部を愛おしそうに撫でる。 

 

「さぁ、私をまた殺しにいらっしゃい。姉さん…」

 

 パリスは呆れた様子のインディビリアと対局であり、心底楽しそうな声を出すのだった。

 

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