「情報には聞いていましたが彼女たちが第二世代フェアリーテイルモデルですか」
「あぁ、筆頭のシンデレラ含め行方不明となっていたがまさか人間の手に渡っているとはな…おまえが居なければ気付かなかったよ」
「お役に立てて何より。旅に出た介があったと言うもの」
旧V.T.C研究所の1つ、古いなりにもきっちりと整備されていた研究所の壁には穴が空き、掃射された銃弾の弾痕が刻まれている。
研究所内ではソーンの指示を受けた親衛隊RFケンプファーたちが生き残りを処理しその悲鳴が聞こえてくるが話していたナユタとソーンは気にせずに話を続けていた。
「言われていた兵装を確保しました。損傷が激しいですが持ち込めばなんとかなるでしょう」
「…間違いない。魔女の釜だ」
カスペンが持ってきた武器を眺め満足そうに頷くソーンは輸送班に丁重に運ぶように指示する。
解体され意識を失っているヘンゼルとグレーテルを見送るとぐちゃぐちゃになった死体をチラリと見る。
「止めるつもりはありませんでしたが発見の経緯などを聞きたかったですね。まさかソーンが問答無用でミンチにするとは思いませんでしたので」
「すまないな。二人を見て感情を抑えきれなかった」
「責めているつもりはありません。ですが…無理をなさらぬよう。今は私が居ります」
「…そうだな」
「ソーン様!ラサ基地より緊急入電!」
ーー
「第2軍は順次撤退。殿は我々に任せろ!」
ラサ基地より緊急出撃したランス率いる黒の槍先は殺到するラプチャーの大群に正面から激突、先走るラプチャーを素早く分断し進軍の鼻先を折る。
展開していた第2軍は進軍するラプチャーと撤退するアーク軍の間に挟まれ、危険な状態に陥っていたが事前に予定されていた撤退計画に基づき順調に部隊を退かせていく。
「ランス、まもなくイェーガー隊が到着する。2時間ほど待ってくれ」
「お抱えの部隊の癖に遅いな!?」
「活動限界まで使い倒して悪いが救出部隊の編成に手間取っている。第2軍のを再編成しているからな」
「アークの状況は?」
「不明だ。ヘビーフォークが消滅したことぐらいしか」
「200m級の陸上戦艦だぞ!?」
「当該地域で高エネルギー反応を確認した。おそらく大罪級のラプチャーだ」
「厄介な…」
「ア・バオア・クー、ソロモン、アクシズからも戦力を抽出している。持ちこたえろ」
ランスはショット・ランサーでウルトラのコアを破壊すると飛び上がりバスター・ランチャーで小型ラプチャーをなぎ払う。
「お前ら、いつも通りだ。出し惜しみするなよ!」
「了解!!」
ーー
「状況は?」
「おそらくゲメント副司令は戦死だろうな。陸上戦艦の反応がない」
情報を精査していたフレナの言葉にヨハンは頭に手を添える。
「必然的に満載していた補給物資も消えたわけか」
「でもラプチャーの動きが予測より遅いわ」
各所から挙がる報告を静かに聞いていたヨハンは静かに呟く。
「撤退だ。戦線を大きく下げる」
「既にさせているわ。退かせる」
シフタの合図と共に付近にいた部隊は一斉に動き出す。ラプチャーの侵攻が思ったより遅いのは幸いだ。このお陰でほとんどの部隊は逃れられるだろう。
「ニケトピアか…」
ヨハンのこの判断により展開していたほとんどの部隊が逃れられることになるが、束の間でも取り戻した大地を諦められない上層部によってその後の作戦にてそのほとんどが戦死することになるのだった。
ーー
「状況は理解した。作戦展開はキリーに一任する。俺は一旦ラサ基地に…」
「九時に高エネルギー反応!」
ラサ基地に急行していたソーンの部隊めがけてビームが放たれる。奇襲であったが咄嗟にケンプファーは避け、致命傷を避けるが高速で迫ってきた巨大な鳥に蹴り飛ばされ地面を転がる。
「ミレ!」
「見たことないラプチャー!」
「8時から6時の方向からラプチャー出現、こちらに向かってまっすぐ来る」
「嵌められましたか…」
「かもな。それにしてもハシュマルか…」
ケンプファーを踏み抑えたハシュマルの胴体からヘレティックが生え、それがソーンを嬉しく見つめる。
「姉さん、やっと会えた!」
「姉思いの良い妹ですね」
「お前、そう言う所だぞ!」
錫杖を構えるナユタをジト目で見ながらソーンもサザビー装備のビームショットライフルを構える。
ハシュマルの口が開き、ビームが放たれるが全員、避け全方位から攻撃を加えるがダメージを与えてもすぐに修復してしまう。
「厄介な…」
「カスペン、後方のラプチャーが!」
黒いラプチャーたちが護衛の親衛隊たちに襲いかかる。
「なんだコイツら、素早い」
「虫かよ!」
ケンプファーたちがインコムを展開し迎撃、カスペンは両腕のヒートロッドで小型ラプチャーたちを細切れにする。
「素早い…ソーン様!」
「カスペン、そっちは任せる!ナユタ!」
「お任せください」
ーー
「やられた...」
ラサ基地ではキリーが作戦地図を見ながら頭を抱える。
第2軍は撤退中、後退支援のランス隊の活動限界が近く、直属部隊のイェーガー隊を援護にいかせるしかない。
ソーンの護衛は必要最低限、ヘレティックパリスと戦っているのはソーンとナユタだけ。
「私が行くしかないだろう」
キリーに声をかけたのは最期の手段として待っていたヘクトール。
「単独でか?」
「そうだ。パリスが相手なら尚更にな」
「分かった。頼む」
ーー
「ゲメントが戦死?」
「そのようで」
遅れながら地上の報告を聞いたクラウディアスは微笑む。
「ふむ、現場が混乱していると言うのは良いことです。ニケトピアも対応に追われているでしょう」
「向こうが我々の地上進行にあわせて動いていればですが…」
「ニケを憂いるなら動いているはずです。計画通りに事を進めましょう。目障りなゲメントも居なくなって清々しました。これで、V.T.C.も動きやすくなる。私の評価も上がることでしょう」
先日とはうって変わり、上機嫌そうに紅茶を読む彼女を見てスカルクは静かに呟く。
「V.T.C.から離れられたのになぁ」
ーー
「決め手に欠けますね。ダブルコアは?」
「調整中だ。使えん」
ソーンの体は日々更新を続けており、ダブルコアシステムもその一つだがイジれば不具合が出るもの、体に負担をかけるシステムは封印中であった。
ハシュマルの尻尾をナユタがいなし、ソーンがビームトマホークで背中から生えているパリスを狙うが斧に阻まれる。
「簡単にはいかせないよ。姉さん!」
「お前の姉はヘクトールだろうが!」
パリスを蹴りながら後退するも着地をビームで狙われ体勢を崩すソーン。
「それ反則!?」
「世話の焼ける友人だ」
ナユタの錫杖が別れ、高出力のビームサーベルが形成されるとそのままハシュマルの左脚を切り飛ばし、その勢いでパリスの頭部を掴む。
「これが、ゴッドフィンガーと言うものです」
頭部が爆発しパリスの動きが止まる。
ヘレティックがコアから体を生成すると言っても指令を出す脳を失っては動きが止まるのは必然。
ソーンの顔を見るために巨大化した体から本体を出していたのが裏目にでた。
「そら!」
それと同時に体勢を崩しながらソーンは全火力を注ぎハシュマルを破壊する。原作と違いにビーム耐性がなくて助かった。
「ええぃ、姉さんとの仲を裂きやがってこのゴキブリ僧侶が!」
「ご、ごき…」
「うわぁ…」
「許さんぞ…。プライド、何してるとっとと来い!」
「クジャク!?」
小型ラプチャーを押し止めていたカスペンたちの目の前に巨大なクジャクが姿を表すとその鋼鉄の尾根を広げエネルギーをチャージする。
開かれた尾根からエネルギー弾が無数に生成され豪雨のごとく降らそうと構えをとる。
「このエネルギー反応、まさかヘビーフォークをやったのは!」
「姉さん以外は消えろ!」
パリスの叫びと共にクジャクことプライドが咆哮をあげると同時にプライドの顔面が驚く速度で右に吹き飛びそのまま体も吹き飛ばされ崖に激突、下にいたラプチャーたちを踏み潰しながら倒れた。
「ソーン!」
先ほどまでプライドの顔があった空中で身を翻し叫んだニケを見てソーンも叫んだ。
「ドロシー!?」
様々な設定が明らかになっている原作ニケですが、本ストーリーと原作の致命的な解離に関しては作者が許せない場合のみサイレント修正します。
ですが小説のゴールは既に決まっておりますのでそこは変える気はありませんのでよろしくお願いします。