ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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歩調

 

 

「もうこのボディは駄目だ。ブレインシェルターに移そう」

 

「武器や装備は全て外して指定の場所に置いてください」

 

「第63独立機動小隊は知りませんか。ニケトピアで合流しようと言ってたんですけど」

 

「もうこの子は駄目だ。供養室に運んでくれ」

 

 サイド3、ラサ基地。

 そこの一番大きな格納庫にはアークから亡命してきたり、敗残兵軍に助け出されたニケたちの中で希望者のみが運ばれ集められていた。

 

「美味しい…こんなのアークじゃ食べられないよ」

 

「いつもパーフェクトバーだけだったもんね」

 

 ひとまずとして避難してきたニケに振る舞われたのは野菜と燻製肉を大鍋に入れ、纏めて煮たもので日持ちのよいものを集めて煮込んだありあわせの食事ではあったがアークから来たニケたちはまるでご馳走かのようにゆっくりと味わって食べていた。

 

「食料より鍋が足りんのです、あと塩、塩が足らんのです」

 

「サイド3に問い合わせてみる。在庫はあるはずだ」

 

「大丈夫なんですか。食料問題?」

 

「未稼働の農業プラントも稼働を開始したらしいがな。今までのペースを崩せば土が傷むしで難しいそうだ」

 

 農業区画も担当しているミレイナが頭を抱える姿が浮かぶ。

 

「どんな土地でも育ち土を傷めず連作に強い作物なんてありませんもんね」

 

「あるにはあるが…」

 

ーー

 

「ハイパーフード?」

 

「栽培には広い作付面積が必要だが、どんな土地でも育ち土を傷めず連作に強い。成長も早いため短期間で容易に収穫でき、収量も期待できるというまさに夢のような作物。我々ニケにはあまり関係ないが栄養価も高く人類の食糧問題を解決できる次世代食品として開発されていたものだ」

 

 アークの情報を盗み見していた頃の記憶を思い出していたソーンの言葉にミレイナは救世主だと目を輝かせる。

 

「そんなものがあれば、食料問題は解決します。畜産用の作物が枯渇しそうなんです。作物も人口増加を見込むと余裕がありませんし」

 

「確かどこかに保管されてたと思うんだけど...どこだったか…」

 

 しばらく思案した後に電話を取り出すとカスペンが2コールで出る。

 

「どうされましたか?」

 

「人類連合の旧サーバー地点は把握してるな?」

 

「はい、いまだに稼働しているポイントは数ヵ所あります」

 

「そこからハイパーフードに関する情報を収集してくれ、まだ稼働してる保管庫があるはずだ」

 

「分かりました。最優先で調べます」

 

 カスペンとの通話を終えるとミレイナは感心する。

 

「我々の技術力はトップクラスだと思っていましたが。人類も様々な分野で長けていますね。しかしハイパーフードなんてものがあればアークの食料事情も改革できるでしょうに…」

 

「より良いものが最善ではない。人間がもっと効率的であれば様々な技術は今と比べて大きく進化していただろう。感情や利権がそれを阻む。ニケだって、本来なら人道的観点で生まれる筈のない技術だったはずだ」

 

「矛盾の塊ですね」

 

「そんなものさ。生きたいと願いながら殺しあってきた人間が人類の存亡如きで変わるものか」

 

「ソーンは人類の事が嫌いなんですか?」

 

「嫌いだよ…でも愛してもいる」

 

「それが感情と言うものですか…」

 

「ニケも所詮は人間の延長線上でしかないさ」

 

ーー

 

「ブレインシェルターの貯蔵量がラサの限界を越えます」

 

「補給部隊の帰りに運ばせろ。サイド3に運ぶんだ」

 

「サイド3に持っていたところでどうにもならんだろ」

 

「サイド3製のボディに展開した際に空になったアーク製ボディがまだ保管してあったはずだ。それにサイド3で移してもらうしかない」

 

 ラサ基地司令部ではキリーが前線の部隊配置、補給部隊の統括、負傷者の後送、全てを行っていたため1ヶ月近く寝ていなかった。

 ランスも装備品管理や避難ニケ情報の集積などてんやわんや、戻ってきたヘクトールは最前線指揮をとっているため動けず。

 サイド3側も莫大な避難ニケのせいで居住区を含む全ての機関がフル稼働して悲鳴をあげている。

 

 だがその中で一人とて止めようなんて事は言わない。彼女たちは知っている。

 地上に取り残された時の絶望を

 

 希望を求めて歩いたあの時を

 

 この先にたどり着いた時の喜びを

 

 だからこそ必死に避難してきた者たちを助けるのだ。

 

ーー

 

 そんな中、ソーンは第3層の研究施設にて治療を受けていたニケのもとへと向かっていた。

 

「「ソーン」」

 

「ヘンゼル、グレーテル。体の調子はどうだ?」

 

「ヘンゼルとグレーテルはまだ少し動きづらいわ」

 

 先程とはうってかわって優しい顔で二人の頭を撫でてやるとヘンゼルとグレーテルは少し笑う。

 

「すまないな。エイブレベルのボディの用意は簡単ではなくてな…それと、軌道エレベーター付近はラプチャーが多くてな。捜索はしているが痕跡を探そうにも時間がな」

 

「ヘンゼルとグレーテルも知っているのは軌道エレベーターまでだから」

 

 ヘレティックとして覚醒したシンデレラとクイーンが戦い。宇宙ステーションは切り離された。

 以前に修復した天文台からのデータを確認すると宇宙ステーションは地球軌道を回り続け、依然として存在するが詳細は不明だ。

 何か液体金属のようなものがステーションの周りに点在しているせいで観測が難しいのだと言う。

 

 この情報をスノーホワイトたちに報告するかは実に難しい。宇宙ステーションが確認されただけで中にクイーンが居るかは不明だ。もしかしたら本体だけ地上に降りてきているかもしれない。

 

「クイーンも厄介だがグラトニーも厄介だからな…」

 

 グラトニーの存在のせいでこちらは戦略兵器を失ったと言っても過言ではない。

 クイーンに対する強力な兵器があったとしてもグラトニーがいれば覆ってしまう可能性もある。

 ひとまずの課題はグラトニーの排除を考えるべきだろう。

 

「アークをどうするの?」

 

「なにもしないさ。だがちょうどいい機会だからな。エニックと秘密協定を結ぼうと考えてる」

 

 





次回から少し遡ってアークの星編をやります。
原作よりかは幸せになる予定です。
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