貞操観念逆転世界で低レベルな女子野球部を指導してやろうとしたら逆に分からされた 作:伊つき
『ショウコ。ピッチャー交代だ』
「えっ!?私!?もう!?てかアリア……!?」
驚愕4連続。
プルペンにアリアから電話がかかってきて吉田さんは困惑する。
まだ3回表なのに先発ピッチャーが降りるなんて……正直全くないとは思わない。
スコアは吉田さんにも見えてる。
でも、投げてるのがあのアリアだと思うと、そう簡単に交代とはならないと思っていた。
そんな彼女にアリアの切実な声が届く。
『……頼む。すまん、私が作れなかった試合を……頼む。ショウコ』
「……!」
アリアの弱々しい声に吉田さんは目の色を変えた。
一気に臨戦態勢に気持ちを切り替える。
「……わかった。でも、謝ったのは取り消して?誰も悪くないから。一緒に……勝とうね」
『……っ。……あぁ、勝つぞ』
そこで電話は切った。
吉田さんはプルペンのメンバーと顔を見合わせる。
「う、嘘……もしかしてとは思ってたけどホントにもう交代ですか?アリア先輩が……?」
「うん。そうみたい」
アリアを慕っていた山田さんが一番衝撃を受けていた。
そんな彼女の手を吉田さんはそっと包み込む。
「……!」
「……大丈夫。リレーは繋がるから。全員で……勝とう」
「先輩……」
吉田さんに見つめられて、山田さんは落ち着きを取り戻す。
そして、プルペンには彼女達の他に田中さんと
「……じゃあ、行ってくるね。多分皆も出番があると思う」
「……っ!だ、大丈夫でしょうか……アリア先輩が打たれた相手に私なんて通用するのかな……」
「マジそれな~!あー……ごめん。あーしも正直ポジでいられないや。りあちぃーが打たれるとか、ぶっちゃけ王皇怖すぎっしょ」
「う、うひひ……私はクローザーだから……負けてたら出番ない……やった」
「ちょいちょい!最後は問題発言でしょ!」
「ひぃ!?ごめんなさい……!」
「あはは……」
目の前で繰り広げられるコントに吉田さんは苦笑いする。
彼女はプルペンを出る前に、不安を抱いていた田中さんとるきあに歩み寄った。
「2人とも、大丈夫。獅ノ宮は負けない。凄いんだよ?獅ノ宮って。私、去年からの大ファンなんだから……!……だから、自信もって言えるの。獅ノ宮は、私達は負けないって」
「……!ショコちゃん……」
「そ、そうですよね……!私もファンだったからわかります!確かに!今は獅ノ宮!そう思ったら力湧いてきた!うおおお!絶対抑えるぞ!!」
「これから登板するのは私だけどね……」
励ましたらなぜか自分よりも燃え上がってしまった田中さんにまたしても苦笑いする吉田さん。
彼女はプルペンを後にした。
「代える投手はどうします?」
「そうね……」
数分前。
ベンチの前で成城先輩と廣目が相談し合っていた。
アリアを降ろすまではよくても、誰に代えるかも大事だ。
「……とりあえず変化球ピッチャーというのは決まってるんですけど」
「ウチにはいないわね。速球とカット系で三振をとるピッチャーばかり集めていたから……強いて言うなら、"彼女"かしら?」
「そうですね。私も同じことを考えていました」
2人は獅ノ宮のプルペン状況を見て、頷きあった。
そして、場内にコールが響き渡る。
『獅ノ宮のピッチャー オイゲン サン に 代わりまして ――― ピッチャー