貞操観念逆転世界で低レベルな女子野球部を指導してやろうとしたら逆に分からされた 作:伊つき
今日は、6月1週目の末。
中龍学園野球部の吉田
向こうは4人全員参加とのことだ。
こっちは成城先輩の入院期間が終わって、あとはリハビリに通院という形になったので、彼女が部活に顔を出し廣目と役割を交代した。
当初は廣目が対応する予定だったが、グランドで
あと不在なのは、原田先輩と中宮先輩だ。
中宮先輩も野球と外野手について学ぶことが沢山あるので、原田先輩を指導役としてグランド練習組として残っている。
なので、学校のコンピュータールームを借りて、中龍助っ人ズと話すことになったのは、5人を除く野球部のメンバー。
つまり、成城・津川・美山・霧島・長門・アリアの6人だ。
「加入してもらうなら全員投手登録になるわ。こちらとしては貴女達を本格的に投手転向して戦力にと考えているのだけれど、どうかしら?」
『あ、それは全然!私達、獅ノ宮のSNS見て私達でも助けになれればって一か八か連絡したから、コンバートでも何でも獅ノ宮の為になるなら喜んでするって1年生も言ってて……!』
「そう。そう言って貰えて助かるわ」
『あっ。でも、私とバッテリー組んでるた、
『はい!あ、私が田島です!吉田と組んでた捕手です!私は獅ノ宮に転校できそうなので、野手のままでも大丈夫かなって思ってる!』
「あら。そうなの?だったら無理に投手転向する必要はないわね」
吉田さんと成城先輩がやり取りする。
まずは投手転向といったところは受け入れて貰えたようで、とにかく安心だ。
ただ、練習試合1日目でも助っ人D/吉田
田島さんだけは、転校という形になるそうだ。
「じゃあ1年生の2人は、投手転向してもらう可能性が高いというのを頭に入れておいてくれると助かるわ」
『はい!全然何でもやります!獅ノ宮の為になるなら……!ねっ?』
『う、うん!私も……!成城先輩がいた獅ノ宮のブルペンに仲間入りできるなんて、寧ろ光栄です!』
1年生2人もかなり乗り気のようだ。
ビデオ通話の向こう側で、直接応対する2年生の後ろからやる気をアピールしている。
ちなみに練習試合の時、外野に入ってくれていた助っ人Bさんは
つまりは、
助っ人A(捕)→
助っ人B(外)→
助っ人C(内)→
助っ人D(投)→
ということになる。
「あっはっは!面白ぇ、全員田んぼじゃん。田んぼガールズだな!田んぼズ!」
『変な纏め方しないで!?ていうか誰!?』
名前を聞いてアリアが指さして大爆笑する。
そうか、助っ人ズもとい田んぼガールズとアリアは初対面か。
初めて名前を聞いてそういう反応になったんだな。
俺は覚えてなかったけど、名前を見たのは練習試合の時が初めてだ。
ただ、あの時はそんな感想抱くよりも違うことに夢中になってたから……あんまり気にしてなかったな。
確かに言われてみればみんな名前に田んぼがついている。
田んぼガールズ、吉田さん達が否定してるから公には言えないが、わかりやすいので俺も内心ではそう呼ぼう。
「私はアリア・オイゲン様だ!最強のピッチャーだ!私以外は雑魚!!」
『なんかまた我の強い人が入ってきたね……』
「そうね」
しれっと否定しない成城先輩に噴きかけた。
やっぱ成城先輩でもアリアの性格には多少思うところがあるんだな。
ちなみに、田んぼガールズは、容姿も性格もみんな大人しく真面目で元気がある感じ。
体格は全員ほぼ共通。身長160前後だ。
そんな彼女たちに成城先輩は告げる。
「もう大会まで1ヶ月ないわ。今月のうちに合同練習がしたいわね」
『あっ!だったら、月末にそっちいくよ。そのまま地区大会に参加したら、移動少なくて済むと思うの!』
「そうね。それがいいわ。交通費は部費で負担するわね」
『ありがとう!あっ!あとそれと、佐藤先生にも、ウチの監督と色々やり取りしてくれて……後で自分達でも言うんですけど、お礼言っておいて!』
「わかったわ。伝えておく」
そんな感じで今後の予定を大まかに立てた。
地区大会がある日の前の週に全員集まって数日ほど集中的に全体練習をする。
場所はこっちの方で、全体練習の後は休みを挟んでそのまま地区大会に突入するということになった。
田んぼガールズは合同練習から地区大会まで2週間~1ヶ月ほど岐阜から関東圏に長期滞在することになるが、こっちに実家がある田島さんに泊めてもらうので生活のことは心配しなくていいらしい。
田島さんのご実家に感謝だ。
「いやぁ、まさかウチの野球部に来るとはなぁ。練習試合の時は思いもしなかったぜ」
『わ、私達もSNS見るまで全然考えてもなかったよ!』
「部員少ないから……助かる。ありがとう」
『こちらこそ!獅ノ宮に加われて嬉しい!受け入れてくれてありがとう!』
「あは~!賑やかになるね~」
『美山さんもよろしくね!』
それぞれがやり取りする。
大体話が纏まったので、通話は終了となった。
彼女達は既に中龍野球部は辞めていて、入部届けも佐藤先生が書いて受理してるからもう獅ノ宮野球部の一員だ。
ただ、距離が離れているから、合流するのは2週間ほど後となる。
中龍田んぼズが加わり、これで部員は選手じゃない俺を除いて14人。
チームとして形にはなってきたけど、正直もう一押し欲しい。
と、いうのも大会に出るだけならこの人数で申し分ないんだが、獅ノ宮は甲子園優勝を目指している。
それはつまり地区大会を除いても6試合を想定しなきゃいけない訳で、その試合数をこなしていくとなるとまだ不安な選手層だ。
だから、通話後解散となってグランドに向かう成城先輩を俺は追いかけて声を掛ける。
「成城先輩!すみません、急かす訳じゃないんですけど……元部員を呼び戻す件、進捗はどうなっていますか!?」
「……そうね」
成城先輩の隣に並んで一緒に歩く。
隣に来た俺を一瞥した彼女は、いつもの無表情で答えてくれる。
「一応話がつきそうな人は2人だけいるわ」
「……っ!そうなんですか?やりましたね!」
「えぇ」
「あっ。ごめんなさい!手術とか入院とかあってそれどころじゃなかったのは分かってるんですけど……」
「構わないわ。私に任された役目だもの。それに、もう大会まで時間ないから貴方が気にするのも当然よ」
寧ろ、貴方が問題や期限を正しく認識し、部のことを考えてくれているのは、部に高い意識を持って参加してくれていて有難いわと成城先輩は付け加えてくれた。
俺に対するフォローもちゃんと入れてくれる。
さすがは部長で、完璧と呼ばれる人だ。
そして、そんな成城先輩が呼び戻すことが出来そうな2人。
一体どんな人たちなんだろうか。
「さっき言ってた2人ってどんな選手なんですか?」
「……そうね」
俺が尋ねると、成城先輩はグランドに向かう足を止めて、視線だけ窓から空を見上げながら、物思いに耽けた。
去年を想起してるんだろう。
やがて、彼女は端的に述べてくれる。
「2人は姉妹で、どちらもタイプの違う究極の器用貧乏……といった感じね」
「究極の器用貧乏……?」
成城先輩の説明に疑問符を浮かべる。
野球における器用貧乏といえば、便利屋リリーフやユーティリティプレイヤーで不完全といった惜しい人材を思い浮かべるが……。
でも、どちらも野手という話だし、野手でタイプが異なるつまり2パターンというのは思い当たる選手像がないな。
果たして、どんな選手達が来るんだろうか。
中龍学園のコンセプトは、『2006年ドラゴンズにTakahasi Hirotoがいたら』。
橋本 真広が宏斗。
練習試合の時はセカンド田中幹○だったけど、甲子園編に突入したら二遊間アライバにする予定。
谷 繁那(たにはんな)の苗字と名前をそのまま引っつけると谷繁になるのがお気に入り。
鴎坂の都熾 哉宵(とし やよい)とかも引っつけると(念の為に漢字換えたけど)都志哉になる。