貞操観念逆転世界で低レベルな女子野球部を指導してやろうとしたら逆に分からされた   作:伊つき

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第63話:去年の雪辱、兎は夏合宿にて待つ

 

 さっそくクレアを含めて、部活動が始まる。

 今日は大会前夏合宿の打ち合わせだ。

 教室を借りて、ミーティングを開く。

 

「大会まであと3週間。なんとかエントリーまでに部員は集まりました。改めて、入部してくれた皆さんは、ありがとうございます」

 

 廣目が教卓に立つ。

 ぺこりと頭を下げた。

 

「部員は18人。内、選手は17人。ここから先は増えても登録していない選手は大会には出せません。なので、ここにいるメンバーが試合で戦う獅ノ宮球児です」

 

 そう言って、廣目はホワイトボードに改めて構成メンバーをポジション別に書き連ねる。

 

 SP:アリア、吉田

 RP:山田、田中、(成城)

 SU:山崎

 CL:面平良(めたいら)

 

 C:廣目、田島

 

 1B:クレア

 2B:原田、ソユン、(成城)

 SS:霧島

 3B:ソヨン

 

 OF:美山、長門、中宮、(成城)

 

 こんな感じだ。

 ……この書き方だと"成城"が3人くらいに分身するんだよな。

 

「大会の二週間前となる再来週の週末三連休。そこで中龍学園の助っ人の方々とも合流して夏合宿を行います。場所はここ、獅ノ宮学院高校。泊まり込みですので丸1日グランドを使えます」

 

 合宿の概要をホワイトボードに書き連ねる廣目。

 中龍の助っ人が混じって総勢17人で行う全体練習は、地区大会前はその合宿の時だけだ。

 廣目はその貴重な三日間で必ずやっておきたい練習、抑えておきたいことだけを書いていく。

 

 ①徹底的な初心者組の育成(中龍助っ人ズを含む)。初心者には座学による勉強会も。出来れば丸1日使いたい。

 ②紅白戦。今のメンバーを試合で稼働させる上で個々をどのように起用するかを判断することが目的。

 ③全体の合わせ練習。紅白戦では2つに分けたが、ここでは本番を想定とした17人構成で連携とナインの組み方を考察する。紅白戦で明らかになった個々の起用法を組み合わせる作業。

 

 この3点を三日間で全てクリアしたい、というのが廣目が考える合宿の要点だ。

 尚、③に関しては他校との練習試合も考えているらしい。

 つまり最後の項目は必然的に最終日になる。

 試合を除いても、内容的に合宿で発覚させたことの集大成となるから、最終日の予定は間違いなく確定だ。

 

「大会直前のこの時期に試合を組んでくれる相手となると、大会前に試合勘を掴んでおきたいチーム……つまりもう大会に向けてそれくらいしかやることが残ってない強豪校に必然的になると思います」

 

 さらに、既に試合は組んであると廣目はいう。

 相手はもう決まっている。

 その相手校を廣目は発表する。

 

「相手は、甲子園優勝回数8回。これは歴代全国高校の中で最多回数です。中龍が王者となる前に優勝常連と言われ王座につき続けた栄冠の覇者。元祖の王者です」

『……っ!』

 

 廣目の説明を聞いて、去年からの古参組と俺は相手が誰かもうわかった。

 そして、廣目がその高校を()()()ことに驚いた。

 間違いない。

 廣目はわざとこの対戦カードを組んでいる。

 その相手は―――。

 

「相手は、兎美徳(とびと)学院高校野球部です」

 

 東東京代表常連高にして、強豪の女子高。

 私立のお嬢様高校で、『獅ノ宮ベストナイン』集めの時に成城先輩が引き抜きを目的に目をつけた学校。

 

 そして、何より……去年の夏の甲子園大会で獅ノ宮野球部を下し、彼女達をベスト8止まりにした因縁の相手だ。

 

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