貞操観念逆転世界で低レベルな女子野球部を指導してやろうとしたら逆に分からされた 作:伊つき
中宮にファインプレーによって出塁の天才、クレアは出塁を阻まれた。
クレアを刺した中宮先輩は、自らの才能を初めて実感し、噛み締める。
「何?この感じ……」
視界が恐ろしく広い。集中が恐ろしく深い。思考が恐ろしくクリアだ。
彼女はまだ知らない。
だが、才能を使い慣れている他の天才組にとっては既知の感覚だ。
成城と美山は常に【それ】を使っている。
アリアは豪速球を投げる度、その世界に
霧島も、長門も、廣目も、クレアも平然とその力を使い、その
だが、中宮 秋奈は初めてだ。
男子級の才能を使うのは。
彼女達が、女子でありながら男子並みの能力を才能として有し、それを使用する時。
―――
そして、そのその瞬間は今だ。
「おい!ふざけんな、ユイ!3球連続胸元要求ってわざとだろ!お前、わざと打たせたな……!?」
「すみません……っ!どうしても……どうしても、今必要なことなんです。中宮先輩に、
アリアと廣目の叫び声がうっすらと聞こえる。
でも、なんだか遠い。
それにどうでもいい。
今はただ―――目の前の送球を。
今の私は、刺すことが命の怪物だ。
「秋奈!行ったわよ!」
うるせえな。
知ってるよ!!
「塁に出るな。誰も」
────【
レフト前に落ちた打球。
それを
私の好きな理想的なフォームで―――放つ。
「……っ!!」
「アウト!アウトです!!」
「は!?えぐ……っ!秋奈!?」
「……っし!!」
また刺した。
一塁に走る涼香を殺した。
あぁ……何この感覚。
超気持ちいいじゃん。
これが才能。
これが通用するっていうこと。
誰かと競うってこんな感じなんだ。
知らなかった。
凄いね。
この味……癖になるかも。
「ははっ」
あれ?笑ってる?
あぁ、そっか。
こんなに楽しくスポーツしたの久々だ。
そう考えると……陸上をやってた時は陸上そのものは楽しかったけど、周りの雑念が多くて楽しめなかったのかも。
皮肉だね。
結果ばかり求められるのが嫌だったのに、結果を出せるようになると楽しくなってきた。
……結局
でも、今は認めるよ。
この感覚、楽しい以外の何物でもないって。
だから、今、このスポーツを手放せない。
私は、このプレイが好きだ。
超感覚。この快感―――
「やめられねえぜ」
深く、息を吐く。
興奮は咀嚼した。
次なる快感が、欲しいから。
「さぁ、行こうか。……あぁ、こういう時、バッチコイだっけ?」
次の打者がバッターボックスに入るのを確認する。
今度はあの背の高い
確か……長門さん。先輩だよね。
あの人はホームランしか打たないんだっけ。
じゃあ、刺せないか。
いや、アホアリアが相手ならわかんないよね。
刺したいな。
私の中のツリーから1マス開いた。
でも1番中心の大事で金色に輝いた凄いヤツ。
私が
早く刺したい。早く刺したい。
あぁ……早く。