貞操観念逆転世界で低レベルな女子野球部を指導してやろうとしたら逆に分からされた 作:伊つき
アップも終わり、軽めの練習もして、ユニフォームにも着替え終えた。
ベンチに戻ってきた榛名先輩が俺の近くにドカッと座る。
「あー、あっち。身体あっためすぎたわ」
「……っ!?」
ベルトを外してユニフォームをたくし上げる霧島先輩。掴んだユニフォームで顔を全面的に拭いた。
そして、そんなことをすると当然肌を露出する。白くて柔らかそうなお腹からもちろん胸元まで。それはもう全開。
スポブラに包まれた二つの膨らみが完全に露出した。咄嗟のことに思わず俺はガン見してしまった。
「あ?なんだよ。顔赤いぜ。もうバテちまったか?そんなナリしてっからな。お前、普段ひきこもって体力ねえタイプだろ」
「あっ、いや……」
「この季節でそれじゃ夏は耐えられねえぜ。監督なんてもう諦めちまった方がいいんじゃねえか?」
「……大丈夫です。これはそういうのじゃ……ないんで」
「ハッ。そうかよ」
俺は目を逸らしながら返す。霧島先輩は何も気にせずユニフォームの裾をまたズボンの中にしまった。
俺のすぐ近くでベルトをカチャカチャと付け直す女性。男ならズボンとベルトを直す時、もうほぼ脱ぎ掛けに近い時があるだろう。
無論、今の霧島先輩も同様だ。チラチラと彼女の下着が目に映る。これで俺は上も下も見てしまった訳だ。まあこれから試合するからスポーツ用だったけども。
貞操観念が逆転してる世界だから、女は男に下着を見られても女子は気にしない。だから、ここで俺が動揺するとかえってややこしくなる。
内心うおおおお、下着!!と興奮したのを必死に抑え込んで何とかギリギリなんでもない風を装った。
霧島先輩は俺の様子が多少変だとは思ったようで、首を少し傾げはしたが、特に深追いはせずスポドリなどを定位置に置きに行く。
男がパンツを異性に見られようとなんとも思わないように、この世界では女子が下着を異性に見られようとなんとも思わない。
趣味を奪われたことに頭がいっぱいになって以降、こんな貞操逆転の醍醐味みたいなラッキーイベ想像もしてなかった。だから、正直まだ耐性がない……。
「……Eカップはあったな」
「何の話よ」
「うおっ!?」
振り返ると成城先輩がいた。この人なんかいつも絶妙なタイミングでいるな。
突然現れるからビクッとしてしまった。
当然俺が、手のひらにちょうどフィットする絶妙な大きさの胸を、脳裏に焼き付けている様子も見られた。
霧島先輩はEカップ。また何よりも重要な情報がインプットされた瞬間を、だ。
「ちなみに紗永はEもないわよ。あの
「……あっ、はい。そうですか」
なんでだろうな。さっきみたいな興奮を覚えないのは。
ほら、私の方が凄いでしょう?とでも言いたげに胸を張る成城先輩。渾身のドヤ顔で俺を見下ろしている。
あ、これあれだ。前の世界でいう聞いてもないのに筋肉自慢してくる男と同じだ。
女子は筋肉好きだけど押しが強いのは好きじゃないから大体渋い反応されるんだよな。
つまり、今俺が抱いてるのもそれと同じか。……なんかこの世界に来てから前の世界の女子の気持ちが少しわかるようになってきた。大変だったろうなって。
まあでも、結局性別が違うから共感に限度はあるけどな。
成城先輩はEカップ……一応メモしておこう。
「……成城先輩って顔は良いですよね!」
「顔以外は良くないみたいな言い方やめなさい」
塩対応してしまったので、一応気を使って褒めたら真顔で指摘されてしまった。もしかしたらちょっと気にしてるのかもしれない。あんまモテないらしいと聞いたし。
モデル級の美女なのは間違いないんだけど、前の世界ならともかく貞操観念が逆転してるとなぁ……美女は美女ってだけでモテるけど、意外とイケメンはイケメンってだけじゃモテないよね。
「あは~。何の話~?モテ自慢~?優希モテるよ~!」
「……誰も聞いてないから」
ベンチ裏から美山先輩と原田先輩も出てきた。続々と準備が整ってきたようだ。
そして、彼女達の後ろからヌッと巨人が出現する。
「私はモテたくない……」
しぬほど暗い顔でゲンナリしてる長門先輩。
まあ、貴女はそうですよね。同情するよ、ほんと。
「よし、やるぞー!」
『おぉー!』
助っ人ズも続いて、これで全員が出揃った。
いよいよ試合開始だ!