貞操観念逆転世界で低レベルな女子野球部を指導してやろうとしたら逆に分からされた 作:伊つき
「うおっ!?やべ。引っ掛けた!」
チェンジアップを覚えた吉田さんにより、9番バッターであるピッチャーの後藤さんの三振に引き続き、取本さんもセカンドゴロを放ってしまう。
その打球を原田先輩が捕球してファーストのクレアに送球。
クレアはキッチリそのミットにボールを収めてスリーアウト。
なんと、
「取本ォ!」
「あーはいはい。ごめんなさーい!」
また叱られてる取本さん。
彼女がベンチに戻って、今度は兎美徳が守備だ。
が、3回裏。
攻撃が渋いのは獅ノ宮とて同じ。
先頭打者は霧島先輩だが。
「あー、クソ。どうもバッティングはダメだな」
後藤さんの132km/h、131km/h、130km/hのストレートで三振。
続くクレアは毎度の事ながら安打で出塁するも、ソユン先輩が進塁打で進めてツーアウト。
そうして迎えるのは美山先輩なので当然見逃し三振でスリーアウト、チェンジ。
やはりノーアウトでクリーンナップを迎えないことには厳しそうだ。
次は4回表。
マウンドに上がるのは引き続き吉田さん。
左打席に入るのは、2番ライト
3年生、昨年夏の甲子園でホームランを3割7分4本の
果たして、さらにハイレベルなバッターにも通用するのかどうか。
「……っ!!」
「おっ」
吉田さんが選んだのは高めの112km/hチェンジアップ。
それをファールゾーンの網まで持っていく吉高さん。
「初球からチェンジアップか。食えないな」
「……っ」
そう言いながら彼女はまた打席に立つ。
初球チェンジアップを見極める選球眼に、後からでも当ててくるバットコントロール。
幸い、先に当てるだけで済んでファールになったが、恐ろしい打者だ。
ベンチで見てる俺にも緊張感が漂ってくる。
甲子園優勝校
対するは、甲子園準優勝校
勝負の行方はどちらに。
「……っ!!」
「……っ!」
胸元!またチェンジアップ!
今度は110km/h。
吉高さんは空振り!
「今度はこいつだ……!」
「甘い!」
3球目は胸元高速スライダー121km/h。
それを捉える吉高さん。
しかし、打球は鋭く一塁線の上を弾丸のように飛び、その先にはファーストのクレアだ……!!
「……っ!?」
正面の速い打球を身を逸らしながらクレアはミットを待ち構えて、捕球の成功する。
やった!捕った!
これでワンアウト……!
「むっ。あれれ、ちょっと早かったか」
反省を口にしながら吉高さんはベンチへと戻る。
そして、彼女とすれ違い入れ違いで右打席に入るのは、3番バッターレフト
2年生で昨年夏の甲子園で3割9分とほぼ4割。
「……っ!!」
最後にチェンジアップを投げて空振り三振。
そして、迎えるは4番でキャプテン、
昨年甲子園で10本の本塁打を放った凄まじいアーチスト。
取本、吉高、赤井石の高打率組を抑えても安心できないのは、その後に1発を放つこの人がいるから。
これが
「1発、かましてさしあげますわ」
「……っ」
バットの先をスタンドへ向けて予告ホームランを魅せる東地さん。
吉田さんは呑まれそうになるが、廣目とアイコンタクトをとった後、息を整えてプレートを踏む。
「いくぞ!」
「……っ!」
気合を入れて叫ぶ吉田さんに、そんなタイプとは思っていなかったのか意表を突かれて目を見開く東地さん。
だが、すぐに好敵手として判断して不敵な笑みを迎え、本気で構える。
そこに投じるは3球。
全てストライクゾーン。
ど真ん中、低め、外角低め。
全て―――チェンジアップ。
「なっ……あっ……!?」
「よっしゃぁぁあ!!」
3球三振。
スリーアウトチェンジ。
長打を狙って身構えていた東地さんの裏をかく配球、それに応えた吉田さん。
これは勝負。
食われる方が悪い。
「ひ、卑怯ですわーーーーーっ!!」
まさかの全球変化球で、打席で地団駄を踏み、結果アウトなので諦めつつもキー!と悔しそうにハンカチを噛む東地さん。
育ちはいいんだな……と思わせる仕草を挟んで、彼女はベンチへ帰っていった。
場の空気にも呑まれない、チームを勝たせるための完璧なピッチング。
吉田