貞操観念逆転世界で低レベルな女子野球部を指導してやろうとしたら逆に分からされた 作:伊つき
「やった!」
「無失点で終わったの初じゃね!?あーし、やっと皆と肩並べた的な感じする!嬉しい!」
「も、もう終わりだぁ……あ、やっぱなんかいけそうかも……。うへへ」
7回アンダスローの田中さん。
8回るきあ。
そして、9回は予定通りクローザーの
3人ともランナーは出したものの無失点に抑えた!
結果は、6 - 2 で
2回戦突破だ!
「勝ちましたね!」
「えぇ、そうね」
最後は9回表、獅ノ宮の守備だったのでベンチに残っていたのは俺と控えと監督代行の成城先輩だけ。
俺は成城先輩に声をかけて、彼女は微笑みを返してくれた。
2人でハイタッチをする。
「皆!お疲れ様!」
「あぁ……かたじけない」
「いや、武士か」
「だぁー!疲れた!」
「今日は疲れたわね、ほんと。どっかの誰かがやる気出すといっつもこれだわ」
「同意。無駄な疲労。かさ増しサービスてんこ盛り」
「要らないんだけどそんなサービス……」
「あは~!なんかみんなピリピリしてる~!生理~?」
『お前のせいだろ!黙れクソ女!』
「あはは~!優希、何のことだかわかんなーい」
タオルと飲み物を持って皆を迎えたら、全員が試合とは別のストレスを抱えていた。
しかもその張本人はシラを切って悪びれる様子もない。
最後に投手の
「……まあ今に始まったことではないですし、とりあえずは勝利という結果を得れたのを素直に喜びましょう」
「今日凄かった……マジ病む」
「
確かに山田さんの時は酷かったな。
「山田さんはマジでお疲れ。ちょっとイニング消費するくらいの役割だったのに……まさか最初からあんな展開になるなんて、災難だったね」
「ほんとだよぉ。ありがと~津川くん」
労いの言葉をかけたら彼女は素直に嬉しそうな反応をくれた。
今日1番疲れたのは間違いなく彼女だ。
だから、「荷物代わりに持つね」と試合終わりの撤収の際に肩代わりしようとしたが、「えっ!そんな……!男の子に持たせるなんて悪いよ!」と奪い取られてしまった。
常識が逆だと男に荷物持ちなんてさせられないらしい。
こういう力仕事は女がする!みたいなのはまだ慣れないなぁ。
「ハナコ、なら私が持ってやる」
「えっ!?そんな……先輩にも悪いですよ!」
「黙れ。私が持つって言ったら持つんだよ。口答えすんな。シバキ倒すぞ」
「えぇ……」
試合中に山田さんを勇気づけたあの姿勢はどこへやら。
野球が関わってないとサービスは終了しましたとでも言うように、アリアは再び暴君へと戻ってしまった。
山田さんはしばかれたくないので渋々荷物を渡す。
厚意のはずなのになんで脅迫で承諾させられてるんだ……。
「それじゃあ今日はダウンして1度学校に戻ってストレッチをしたら解散。明日は午前中休みで、午後から少しだけ練習その後ミーティング。そして、明後日に第3戦よ」
『はーい』
キャプテンの成城先輩の言葉を受けて全員が返事をする。
初戦第2戦と組み合わせの都合で3日間はあった試合間隔が、ここに来て2日に1回ペースになった。
敗退したチームもいるのだから当然だ。
地区大会もあと残るはウチを含めて4校。
あと1回勝てば決勝、そして甲子園。
だが、決勝のその先へ行く前に、立ち塞がるのは恐らく……あの強豪校だ。
ふむ、実際にぶつかる前にある程度調べておくか。
マネージャーとはいえ俺もどんな相手と戦うのか頭に入れておいたほうがいいし。
皆との会話の中で的はずれなことを言ってしまわないよう、とか。
試合中だと余計にそれでいざこざが起きてコンディションに関わっちゃいけないしな。
果たして、どんなチームなのだろうか。