異世界でTS幼女はおいしみを食べたい   作:あさねこ

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今年最後の投稿になります。
皆さんいつも閲覧ありがとうございました。

小説投稿の再開は明日からとなります。
それではみなさん良いお年をです。


第6回 ポリョンヌ大感謝祭 前日

 

 

 私達がこの宿場町【ポリョス】に到着した時から、周りがとても賑やかだったのは分かっていたが、丁度良く翌日から町独自の祭りが開かれるとの事だった。

 

 これは丁度良いタイミングで来れた物だと思う。祭りの日は露店を出せばかなりの確率で色々な物が売れる、いわば稼ぎ時とも言えるだろう。正直な所そこまでがめつく稼ぐ必要はないのだが、あの子の願いを叶えるにはかなりの長旅を要する事になる。

 

 それは自動的に必要な食料や物資が必要になる。あらかじめ稼いでおけば後々楽になるだろう。かなりの高確率で成功が約束されている仕事だ。ここに賭けなくては商人ではない。

 

 邪神軍を滅ぼす。あの子は、オイシミはそう言った。普段の様なか細い声はそのままで、だがしっかりと彼女は邪神軍という存在を【敵】として認識したのだろう。

 

 哀れな奴等・・・とは思わない。我々人間にとって、邪神軍は天敵、滅ぼすべき存在。お互いに憎み、殺し合う存在なのだ。

 

 奴等がある限り【窶れ】は発生し、人は狂い、壊れ、死んでいく。恐怖が理性を壊し、善人であろうとも邪悪に変えてしまう。

 

 先日の窶れによって村を追い出された愚か者達の様に。あれらも本来は真面だったのかもしれない。だが日々の脅威、モンスターによる襲撃、助けを求めて助けてくれない国に心も体も疲弊し、いつしか心まで病んでいく。

 

 邪神軍が滅びれば少なくとも、今以上におかしくなることは少なくなるだろう。0になるとは言わない。邪神軍があろうとなかろうと、人間の心根なんてものはそうそう変わらないのだ。

 

 善人は善人だし、悪人は悪人。邪神軍が滅びた所でそれが変わる事はない。寧ろ暫くの間は山賊等が増える事だろう。仕方の無い事だ。モンスターを操る邪神軍が居なくなれば、モンスターの襲撃も頻度が激減するだろう。

 

 そうすればモンスター狩りを生業にしている者達は食いはぐれる。そうすれば他の仕事をするしかなく、それも出来なければやれることはその力を生かして誰かから奪う、山賊の出来上がりだ。

 

 窶れになるよりはマシだろうが・・・いや、普通に生きる者達にとっては窶れも山賊もモンスターも等しく脅威だろう。何せ口さがない者達はモンスター狩りの彼等の事ですら、ただの乱暴者程度にしか認識していない奴等も居るのだから。これは主に平和な都市の市民に多い。

 

 まぁ、今はそれはいい。折角の祭りだ、大いに稼がせてもらうとしよう。それにこれだけの規模となれば美味な料理を出す店も出てくる筈だ、そうすればあの子が喜ぶ。店が落ち着いたりすれば、あの子を連れて色々食べさせてあげるのもいいな。

 

 そうすれば私に対する信頼度も上昇するだろう。これからを考えれば信頼を稼ぐ事は急務である。またいつか私達を置いて行ってしまう可能性があの子にはあるのだから。

 

 所で祭りの名前は何なのかと聞いてみると【ポリョンヌ大感謝祭】との事だ。まさかのポリョンヌである。大体どこの村でも栽培されている救荒作物の一つだ。

 

 どれだけ栄養がない土でも問題なく育つ事ができる野菜の一つで、子供が良く好む味だ。触感が野菜とは思えず、どちらかと言えば肉を食べているような触感と味がする。薄い鶏肉という味わいだろうか。調味料などで煮込んで出せば子供は我先にと食べる代物だ。

 

 栄養価も高く、これがあれば最低限飢える事はない。強いて言えばポリョンヌの見た目があまり良くないのでそれで食欲が失せたりするかもしれないが。私も幼い頃や貧乏な頃はポリョンヌに依存した日々を送っていたものだ。

 

 まぁ、こんな救荒作物があったとしても、その畑をモンスターに破壊されたり奪われれば結局は飢えてしまう。それにこの救荒作物はどうしようもない欠点がある。

 

 欠点・・・いや、欠点か。それは【美味い】事だ。人間が食べても美味い食料。簡単に育てられ量産できる食料。ならばそれを求めてモンスターや窶れ、山賊が襲ってくるのは最早確定事項ともいえる。

 

 だからこそあえてこれを育てない村もあるほどだ。腹一杯食えるが常に襲われる恐怖と、飢える可能性が高くなるが、襲われる可能性が低くなること。村や町によってどうするかは様々だ。

 

 どうやらこの宿場町は元々このポリョンヌを育てて成り立った村が繁栄して宿場町になったので名を肖って【ポリョス】という町名にしたらしい。

 

 とは言えポリョンヌ以外に目立ったものがない小さな宿場町では客が来なければ何れ廃れてしまう。だからこそ今回の様な祭りを企画したのだそうだ。結果は大好評。人間は日々疲弊し疲れている、だからこそ小さな祭りであろうとも、少しでも楽しい時間を作り、楽しみたいのだ。

 

 そう言えば祭りの企画は何をしようとしているのか。

 

 聞いてみる事にしよう。

 

 チャリチャリとあの子がくれた魔貨を手慰みに弄りつつ情報収集を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

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