異世界でTS幼女はおいしみを食べたい   作:あさねこ

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第6回 ポリョンヌ大感謝祭 本祭

 

 

 俺はどうしてここにいるんだろう・・・

 

 ふと後ろを振り向けば、小さな白い旗を両手に1本ずつ持ってピラピラ振っているオイシミの姿。しっかりと立って無表情にぴらぴらしている姿は可愛いというかシュールそのものだ。

 

 その隣ではニヤリと笑っているグレイハルトの野郎。あんにゃろう、終わったら絶対に抉る。

 

 何故俺が祭りの大会に参加せねばならないんだと声を大にして言いたいが、なんだかんだとオイシミが楽しみにしていたので、やらざるを得ない。止めにグレイハルトの奴が終わった後の報酬まで組み込んでるからやめる訳にもいかん。

 

 しかたねぇ、オイシミが楽しんでいるなら・・・

 

 楽しんで・・・

 

 楽しんで・・・でるのか? あれは?

 

 とっても無表情に絡繰りみたいにぱたぱた動かしてる姿を見ると実は楽しくないのでは・・・あ、いや、あれは楽しんでるわ。時々右に左にふらふら揺れてるわ。

 

 あいつが右や左にふらふら揺れる時は嬉しい時だって最近理解したからな。特に美味い食い物食べたら揺れるスピードが上がるぞ? そうだな、最大1,2倍速って感じだ。ふらふらが、ふわふわになってる感じだな。よーし、軽く頭茹ってるぞ俺?

 

 にしてもポリョンヌを投げつける大会ねぇ。あれは確かに美味いんだが、毎日食ってると流石に飽きてくるんだよな。それに肉みたいな味はするけど、普通にモンスター狩りして生きてりゃ普通の肉も食えるからわざわざポリョンヌを食おうと思わん。

 

 あくまで救荒作物としては肉みたいな味がする上に、色々調理できるから美味いってだけで、これ以上に美味い! っていう食料ではねぇんだよな。

 

 だがまぁ、これだけ人がいるって事は町興しとしては成功してるんだろうな。まさかの競技まで作ってるとは思わなかったが。ガイウスの奴と旅してた頃は基本は狩り、狩り、酒場、娼館、狩り、酒場、娼館だったからなぁ。

 

 今は流石に行ってないけどな。行ける訳ねぇだろオイシミがいるのに。その透き通った瞳で睨まれるのは勘弁だぞ? 

 

 代わりに酒場はよく利用してるがな。可愛い踊り子ちゃんとかは見ても許されるだろ。たまにオイシミを連れて行ってやってる。酒は飲ませられんがツマミとかは普通に食べられるしな。

 

 絡まれたり? する訳ねぇだろ? 俺が居るんだぞ? 

 

 さて、そろそろ2回戦目か。相手はポリョンヌ仮面とか言う何故か凄く人気の奴だな。顔を覆うフルフェイスマスクが特徴的な奴だ。背中に何故か【ポリョス観光大使】って書いてある旗を2本クロスさせて身に着けている。

 

 ・・・こいつこの町の主催側じゃねぇの? 実況の話だと優勝経験2回で、前回は準決勝進出だったそうだが。

 

 確かに見た目が奇抜ではあるが、感じる気配はそれなりのモンスター狩りっぽいな。そんな男が両手にポリョンヌ人形を抱えている姿は格好いいという言葉から180度かけ離れてるが・・・いや、俺も同じ格好してるんだが・・・

 

 何にせよ俺は参加を頼まれただけで優勝してくれと言われてる訳ではない、ここでさっさと負けてもいいが、後ろで応援してくれてるオイシミがいるからな、わざと負けるのだけはやめておくか。

 

 さて・・・それじゃあ勝負と行こうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の手持ちは残り4 3発のうち2発が命中。合計で8点。

 

 相手は手持ち3 4発のうち3発を命中。合計で9点。

 

 ここから俺が逆転するにはこの4発のうち2発を当てなくてはならない。運よく残りの4発全部当てられれば12点ではあるが、相手もかなりの熟練者。ポリョンヌ仮面なんだの言われる実力はある。

 

 ここで1発当てられれば同点だが、力任せに投げれば当たるものではない。何せ相手は点数がリードしている以上、回避専念すればそれだけで有利なのだ。ここで当てて漸くイーブン。逆にここを外せば俺の負けが一気に近づく。

 

 お互いに1発だけ回避出来ているが、相手はやたらと回避が上手い。2回当てられたのは割と幸運だ。何故俺はこんな本気でポリョンヌ人形投げ大会に参加してるんだろうという無益さが襲い掛かって来たが、流石にこんな所で負ける訳にはいかんだろう。

 

 後ろでは俺を心配そうな表情で応援しているオイシミが居るのだから※・・・!

 

 

 ※【幼女ははらへったなーと見て応援してるだけです】※

 

 

 安心しろオイシミ、俺はこんな所じゃ負けないからよ!※

 

 

 ※【幼女は別に勝っても負けても怪我しなければ割とどうでもいいようです】※

 

 

 3回投げてわかったのは、こいつは右方向の回避が若干甘い。それはあえて隙を作ったかは判断が難しいが、あの回避が演技とは思えん・・・狙うか。

 

 人形を軽く握り、フェイントを掛け苦手だと思われる部分に叩き込む! よし! 狙い通りだ! 1発が命中、そしてその驚いている所にもう1発だ!

 

 相手に息もつかせぬ間に連続で叩き込んだ人形2個は全弾命中。これで俺の手持ちは残り2個で合計10点、無駄に嵩張るこれを持ちながら回避するのは面倒だったからな。これで漸く全力で回避専念できる。点数も俺の方が有利だ!

 

 見ていたか? オイシミ※

 

 

 ※【幼女は今、グレイハルトからもらった肉串食べてます】※

 

 

 流石に油断は出来ないから、後は見れないが恐らくあいつはいつもの様に俺を応援してくれているだろう。その期待に応えないとな※

 

 

 ※【幼女はおいしみを食べて半分寝かけています】※

 

 

 マスクだからわからんが、どうやら本気を出してきたようだな。良いだろう、護る物がある俺に、たかが大会参加者程度の人間が当てられると思うなよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後相手がミスし、無事俺は決勝戦に進んだ。

 

 さぁ、ラスト勝たせてもらおうか―――

 

  

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