異世界でTS幼女はおいしみを食べたい   作:あさねこ

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ただ、あるがままに、あるがままを

 

 

 

 世界はとても広くて、とても暗かった。

 

 村の外は最初は怖かったけど、でも慣れたらどうという事はないみたい。

 

 少し前までは村の外なんて考えた事もなかったけれど、いざ歩きだして見ればそこまで怖くも寂しくもなかった。

 

 寂しくないのは私の中に居る皆のお陰、怖くないのは、窶れ達は私の敵じゃあないから。モンスターもたまに襲ってくるけど、それはそれで美味しいごはんになった。

 

 オイシミはごはんをおいしみって言ってた。自分と同じ名前なんて面白いね・・・あ、はい、反省します。私は元ガイザックです。

 

 それにしてもお腹が空いた。

 

 ほら、お前達餌を探してこい。

 

 私にそう命じられてふらふらと歩いて行くそれらは私達の元復讐相手。あの都市の騎士達。ううん、こいつらに騎士なんて立派な称号はもったいないよね。

 

 一人、一人私に壊されていく度に、身体のいたるところから体液を漏らして命乞いする奴等が、私や皆の知る騎士様な訳がない。

 

 全員悉くみんなと一緒に壊していった、肉体を、心を、尊厳を、自我を、何もかもを。自身を形成するあらゆるものを破壊して奪って、壊して、舐って、生きた屍に変えた。

 

 窶れにもなれず、最低限人としての姿を保ち、生きたまま死んでいるそれら。魂を壊れた肉体に縛り付け、絶えず激痛を送り続ける。やっている事に意味もないし、楽しいかと言われればまったく楽しくないけど、皆がこいつらに苦しみを、苦しみを、と言い続けるからそうしている。

 

 そして私自身こいつらなんてどうでもいいので、それならみんなのお願いを聞いてあげる方がいい。だから今のこいつらは壊れた自我で全身と魂を苛まれながらも私の命令を聞くしかない屍になっている。

 

 割と便利だ。今の私では戦うのが大変なモンスターにでも、肉盾として使えるのだから。倒したモンスターも私が取り込めば新たな肉盾が出来上がる。

 

 それにしても都市が遠い。この騎士達から手に入れた情報通りならこのまま歩けば数か月はかかってしまう。

 

 途中でオイシミに会えるかななんて思いつつも歩いているけど、ただ歩いてるだけは少しだけつまらない。

 

 でもまぁ、仕方の無い事かもしれない。それを選んだのは私だから。

 

 みんなの復讐、私の復讐、選んだのは私だから。

 

 そして何処かにいるお兄さん、オイシミを助けて、護って、もう誰からも襲われない楽園を作ろう。都市を全て破壊して、私達だけの村を作ろう。

 

 きっとまた一緒に楽しい時間が過ごせるよね。

 

 みんなでまた乳しぼりしたり、オイシミが考えた遊戯で遊んだり、たくさんたくさん色んなことをして。平和に暮らして・・・それを邪魔する奴等は全員壊して、殺して、村を護る盾として使えばいい。

 

 私達の平穏を壊す奴等は、全部いらない。

 

 だから、私達の平穏を壊した騎士たちが住む都市もいらない。

 

 問題は今の私達だけで都市に居る人間達をどうにかできるか・・・かな。邪神軍が襲って来ても大丈夫だったって言ってたから、今の私達だけじゃ力が足りないかもしれない。

 

 進む先で、窶れやモンスターや悪い山賊とかの人を取り込んでいけばいいかな。村や町は襲わない。だってそれをしてしまったら私はあの騎士たちと同じになってしまう。私達が都市を襲うのは復讐の為。

 

 復讐の為に、他の村や町を襲うのは・・・きっとオイシミが悲しむと思うから。

 

 でも、襲ってきたらその限りじゃあない。だって敵だもの、敵は見逃したらだめだよね。皆がそう言っている。だからきっと間違いない。

 

 少しずつ進んで、少しずつ取り込んで、少しずつ強くなろう。

 

 最近は私も戦えるようになったのだから。

 

 私はどうやら・・・恥ずかしいけど、魅力的らしい。

 

 私を見た窶れやモンスターの大半は、私を見た瞬間に頭を下げて仲間になりたいと言ってくる。一部の山賊の人達も私を見て怯えたと思ったら、全員頭をガクガクと震わせて、全身が思い切り震えた後、その場で全員窶れになって、オイシミがやっていたあの・・・土下座? をして、私の部下になりたいって言ってきた。

 

 我等の姫って言われるようになった。

 

 オイシミ、私お姫様になったみたい。そしてね? 部下が出来る度に私の力が強くなっていくのが分かるの。そして魅力も上がっているらしいの。

 

 元山賊だった窶れが、大きな鏡を見せてくれた。

 

 そこには小さかった私じゃなくて、お兄さんと一緒にいたお姉ちゃんみたいに綺麗になっていた。未来の私はこんな感じなのかなって思った。

 

 足首から先は黒い粘液みたいになってるんだけどね? これね、私の部下達を吸収して取り込んであるの。取り込んだ窶れ達はね? 私の力になるし、私の肉盾になるし、こうなったら何度死んでも、取り込めば元に戻るよ。

 

 私も、取り込んだだけ死んでも大丈夫になったよ? これでオイシミ達をちゃんと守れるようになるよね。これでもう私の大切な人たちが傷つく事は無くなるよね。

 

 あ、私が取り込んでいない騎士達が戻ってきた。

 

 奥からは・・・沢山の人間達。山賊かな? ううん違うかも、普通の服着てるし、近くの町か村の人かな? そういう人達は襲ったらダメって教えたから戻ってきたのかな?

 

 あ、私に気付いた。こんにちは――――

 

 酷い・・・私をバケモノって・・・あ、窶れは化け物には変わらないのかな? 

 

 悲しくはないよ。

 

 だって、私は皆と一緒にいる。

 

 今なら何もしないから逃げていいよ・・・と、思っていたら彼等も前の山賊の人達の様に、全身がぶるぶる震えて頭をガクガクを痙攣したかのように震わせると、その場で人から窶れに変わっていった。

 

 特に何もするつもりはなかったのに、目の前の人達はこぞって私を姫と、あるじ様と呼び始めた。

 

 ん・・・まぁ、いいかな。

 

 お腹空いたし、皆で食べられるもの探しに行こう。

 

 都市までは、まだまだ遠いんだから。

 

 オイシミは今頃何をしてるかな。

 

 私と同じで、ご飯食べてるといいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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