異世界でTS幼女はおいしみを食べたい   作:あさねこ

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残されたものは拒絶し奪う事

 

 

 

 何度騙され

 

 何度殺され

 

 何度

 

 何度

 

 何度

 

 何度

 

 何度虐げられてきたか。

 

 最早町の外の存在に一切の希望を持つ事はなくなった。奴等は奪うものだ、盗んでいくものだ、傷つけていくものだ、壊していくものだ。

 

 食料を、飲み水を、壁を、家屋を、家畜を、畑を、人を

 

 何度信じただろうか、次の人はいい人かもしれない

 

 その次の人はいい人かもしれない

 

 結果手に入れた物は何もない

 

 奪われただけだった。

 

 俺の隣で門番をしている男は彼女をモンスター狩りに奪われ凌辱され殺された。

 

 俺は招き入れた商人に家の金を盗まれ、それを止めようとした両親を殺された。勿論そいつは俺が殺した。

 

 俺達が何をしたというのか。

 

 ただ、出来うる限り善性であろうとしただけだ。その結果がこれだ。

 

 武具屋の奴も

 

 食料品店の奴も

 

 宿屋の奴も

 

 だれも彼も、傷つき、奪われ、壊された。なんなら一家全員殺された。

 

 理由はなんだ? 他の店より1割高かったからついカッとなった?

 

 ふざけるな。ふざけるなといいたい。

 

 あぁ、そうか。これが外か、俺も外には出た事はない、周りには恐ろしいモンスターもいるし、周囲の村で発生した窶れが居る。

 

 俺達で町を守らなければ、中で畑を耕し、内職をし、必死に生きている民が家族が、仲間が殺される。

 

 国は助けてくれない。稀に騎士が来たら食料と金を徴収していくだけだ。助けを求めた町長の息子が、不敬罪だと首を切られ晒された。せめて埋葬しようとすれば、それもまた不敬罪だと宣う。

 

 お前達は一切助けてもくれないのに、俺達から奪うだけ奪って、笑うのか。ただ懇願しただけの少年を殺して笑うのか。

 

 その時だろう、町長が諦めた。

 

 俺達も外は諦めた、どれだけ辛くとも厳しくとも、俺達は俺達で護らなくてはならないんだ。奪われる位なら奪ってやる。一切の情を見せてはいけない、そうすれば騙されて奪われるだけだ。

 

 俺達は決死の覚悟で騎士と貴族を殺した。恐ろしいほどに弱かった。門番の俺の相手すら騎士は出来なかった。あまつさえ自分達の主人を生贄に差し出して金を出すから見逃してくれと泣き喚いて騒ぐ。

 

 俺達はこんな奴等が助けてくれると信じていたんだな。

 

 国のお貴族様達が居れば、色々徴収されたとしても邪神軍から、モンスターから、野盗や窶れから守ってもらえると信じていた。

 

 誰も助けてくれなかった、それ所か此方が与しやすいと考え商人は騙し、モンスター狩りは脅し、他の町村の奴等は盗みに入り、国の貴族と騎士は目の前のゴミ共。

 

 運が悪かっただけかもしれない

 

 中にはいい人間が居るのかもしれない

 

 だがそんな僅かな善性を信じるには、俺達は、この町は絶望し諦め荒んでしまった。

 

 奴らがどこまでも悪辣になるのなら、対抗するには此方も悪辣になるしかない。お人好しだと町の人間に言われていた俺が今では仲間内でも揶揄われる位に、町の外の存在には下劣な対応を取っていた。

 

 まぁ、奴らもその時点で理解するだろう。この町は貴様等を一切認めないと、助けるつもりもなく、救うつもりもない、だから出て行け、貴様等の場所で勝手に育てばいい、関わらなければ俺達も平穏でいられる。

 

 町の人達は今までの善性を保ちつつも、外の人間にはどこまでも苛烈に、悪辣になった。そうしなければ奪われるのだ。どれだけ心が苦しくてもやりきる必要がある。

 

 そんな中、3人組が街に訪れた。恐ろしさすら感じさせるモンスター狩りと金の事ばかりを考えてそうな糸目の男。そして場違いなほど可憐な少女。

 

 そいつらは町への滞在を希望した、なのでいつもの法外な値段を提示し追い返そうとした所、糸目の男がそれ等を払ってきたのだ。

 

 これは厄介だ。商人、特にあくどい事を考える商人はこういう事を良くやる。そして町の中で我等が町の外の常識を知らないからと、ゴミのような商品を高値で売り捌き、何でもかんでも買い上げていく。

 

 この町が誰もを入れていた時に毎回やられた手だ。

 

 だが、それなら寧ろ丁度いい。どうせお前等等まともに対応する町の人間等いない。精々町の中で悪意に晒されるといい。

 

 問題はモンスター狩りの男だ。こいつが暴れたら町の人間が危険に見舞われる、直ぐに合図をだし、中の自警団に奴等を見張らせる事にする。

 

 少女については・・・多分、この子は普通の子供だろう。どういう間柄なのかは知らないが、知る必要はない。俺達はもう町の外に関わらないと決めたのだ、そう決めた以上その子に関しても知るつもりはない。さっさと中で悪意に晒されて出て行けばいい。

 

 その方がお互いにとって一番良いものだ。

 

 結局奴等は俺達の作戦通りに夕刻を待つまでもなく、町を出て行った。もう二度と近寄らせない様に出る時も法外な金を巻き上げた上で。これで逆上される可能性もあるが、その時はその時、全力で対応するだけだ。

 

 俺達は自分達の町を守る為に命を懸けている。モンスターも邪神軍の尖兵も窶れも、野盗も、俺達自身で倒しているのだ。下手なモンスター狩りなど相手にもならない。

 

 目の前の男は決して弱くない・・・いや、確実に俺達の誰よりも強いだろうが、それでもやりようはある。内心肝が潰れる思いだったが、此方を侮蔑の表情で見た後出てってくれた。

 

 あんな小さな少女が自らついて行っている以上、もしかしたら善性若しくは普通の人間だったかもしれない。だが、俺達はこの町はその想いを総て裏切られてきたのだ。

 

 ならば初めから、信じない方がいいのだ。

 

 あんた達も運が悪かった。この町の事は忘れて他の場所に行けばいい。俺達もあんた達の事は忘れる。それでいい、それでいいのだ。

 

 例え、俺達ではどうしようもないモンスター達が現れたとしても、助けを求めることなどない。俺達はもう、諦めてしまったのだから。

 

 今日も俺達は門番を続ける。

 

 町の人の為に、こんな悪意しかない世界で、せめて町の人達とだけは優しい心でいたいから。その他全てを切り捨ててでも・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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