明日から夜勤の為
もしかしたら投下できないかもしれません。
一応明日は時間があるので投下できると思いますが明後日以降ですね。
1時間あれば書けるので、後は気力とネットの問題でしょうか。
皆さんにはご不便をおかけしますがご容赦の程を。
魔術都市は救われた。
急に現れた巨大な赤錆びた鎧を着た騎士、
獣頭の謎のモンスター、
前の時に都市を救ってくれたという大魔術師。
それが僕の目の前に現れた。
正確には僕達の宿で過ごしていたヘンテコな3人組の1人で、とても可愛らしい少女が呼び出したのだ。
あの日、再びモンスター・・・邪神軍が襲って来ていた。この期に及んで貴族様達は自分達だけを護る為に強大な結界を形成した、だけど僕達市民や戦えない人達の周りには一切形成していない。どうやら彼ら貴族は僕達市民達を完全に見捨てる様にしたようだ。
結界内から偉そうな声色で我々は耐えて後程掃討するから市民たちは適宜避難しろと、無理な事を伝えて完全に引きこもった。中には貴族の衛兵が居て怒鳴り込んだ市民やモンスター狩りの人を事もあろうに殺してしまう姿があった。
嫌でも理解する。僕たちは貴族達に見捨てられたのだ。
前々から魔術都市は魔力が高い貴族ばかりが優遇されるそんな場所になっていた。僕達の様な一般人はそのおこぼれで何とか生かしてもらっている感じになっていた。
父さんが言うには、自分が子供の時はもう少しましだったらしいけど、その頃から貴族たちは自分達の権力ばかり気にして傲慢になっていたらしい。世界三大都市、人間達の守護神と呼ばれる魔術都市がこの体たらくだ。
邪神軍が世界を襲い人心が荒んできたとは言うけど、それがなくても力を持った者達は傲慢になっていたのかもしれない。
結局僕達は誰にも守ってもらえる事が出来ず・・・一生懸命に戦っていたモンスター狩りの人達は壊走し逃げたり、必死に戦っていたりするが飲み込まれて死んでいく。こんな小さな宿屋はモンスター達に踏みつぶされて終わりだろう。
でも、あの子が。
オイシミと呼ばれていた少女が、つい先日良く分からない理由で転がってきて非常に満足した表情で頬をムフーとかしてた子が、とても真剣な表情で必死に止めようとしているログンソンさんやグレイハルトさんを押しのけ――
持っていたナイフで自分を突き刺したのだ。
一瞬何をと思ったが、誰もが止める間もなくそこから奇跡と圧倒的蹂躙が始まった。先ほど言った彼等が現れて襲ってきたモンスター達をあっという間に返り討ちにしていったのだ。
この宿からでも見える反撃の狼煙。
追いかけていたモンスターが今度は逆に逃げていく。恐怖に怯え逃げていくのだ。それを騎士たちは一切見逃す事なく殲滅していく。
ただし、貴族街に向かって行くモンスター達には一切触れる事もなく。いつしか市民街にいたモンスター達は殲滅され、結界が破壊された貴族街にモンスターがなだれ込んでいくのが見えた。
僕はいつしかその光景に見惚れていて、いつの間にか居なくなっていた彼女達の姿に気付いたのはそれから少し経った後だった。
翌日の事だ。
貴族たちの半数近くがモンスターに殺されたらしい。この都市を再び救ってくれた彼等を差別主義者だの我等を殺すために準備していた悪党だのと罵っているらしい。
それでも半数の貴族は生き残り口々に文句を言い続けているらしい。都市は救われたのにあんまりではないだろうか。それにモンスター退治は我等魔術の祖が行うものだと豪語してる彼等が守ってくれなかったからと叫んでいる所に情けなさすら覚える。
多分、僕達一般市民と貴族たちの溝が決定的になったのはこの日だろう。
まぁ、それはいいんだ。
どうせ僕達に出来る事は少ない。何もしてくれない貴族しかいないのなら僕達はこの都市を捨てるだけだ。何もない廃墟の貴族でもやっていればいい。
問題は救われた僕達だ。
大多数の人は助けてくれた彼等の事を絶賛している者達が多い。特にモンスターと戦っていた彼等モンスター狩りはほぼ全員が好意的に思っている。
でも、市民の一部は【化け物が化け物と戦っている】と声高高に叫んでいた。こともあろうに助けてくれた彼等に罵声を浴びせたのだ。もういなくなったからこそ好き放題言えるのだろう。
命の危険がなくなったからこそ叫んでるのだろう。
誰もが彼等に助けてもらったのに、少女が自分を傷つけて迄呼び出した彼等を罵倒するのだ。そしてそれに追従するのはそう言う言葉に賛同する心無い人間達。
彼等は解ってるんだろうか?
助けてもらえたから、今僕達はここに居る事を。
君達がそんな罵倒を浴びせる事が出来るのは、彼等が助けてくれたからだという事を。
それに感謝もせず、勝手に恐怖して自作自演だの俺達はあの化け物に騙されてるだの叫ぶ彼等の滑稽さを。
一部の失うものが少なった者達はそれに付き従う。もっと早く助けにこいだとか、もう少し都市の建物を慮れとか言いたい放題だ。
貴族もそうだが、彼等は何様なんだろう。
彼等が居なかったら等しく滅んでいたのに、よくそんな事が言えると思う。
学があまりない僕でもそんな事分かるのに。彼等が叫ぶほど状況を理解している皆は彼等を白い目で見ている。
これが
こんなのが人間なのか?
これが邪神軍とは違い、神聖なる存在だとか嘯く人間の本性なのか?
だとすれば、あまりにも・・・あまりにも醜い。
助けてくれたオイシミたちがこれでは救われないじゃあないか。本来なら賞賛されてもいい筈だ。あの魔術師様の事は前は絶賛していたのに掌返したように化け物だの、貴族同士の争いでやりたい放題やってただの、モンスターはあいつらが連れてきたマッチポンプだの・・・
情けない
彼女達が戻ってこないのはこうなる事がわかってたのかもしれない。
父さんは彼等の顔を忘れない様に恨みの籠った目で見つめていた。そして僕にあいつらは金輪際うちの宿を使わせねぇと言っていた。
ログンソンさんを介護していたヘルパーさんは憎悪すら籠った瞳で彼等を見ていた。
邪神軍に滅ぼされても・・・仕方ないんじゃないかと思うほどには・・・僕は人間の本性というものを見たような気がする。
そして・・・将来僕が大人になった時、宿を任されるようになった時、少なくともあんな最低な人間にはなりたくないと心に決めた。
いつか・・・もしかしたら彼女達が戻ってきてくれたら、快く迎え入れるために。