異世界でTS幼女はおいしみを食べたい   作:あさねこ

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世界が変わっていくのが分かる

 

 

 この数か月で色々な事があった。

 

 村人が何人も殺され、逃げていく者達も多い。一緒にモンスターと戦った仲間はモンスター複数体に襲われて生きたまま食われた。

 

 泣き叫びつづけ助けを求めるが既に間に合わず、俺が出来たのはそのモンスター達を全部倒す事だけだった。

 

 ついこの前来た行商人の話通り、都市が襲われてからますます邪神軍の動きが活発になってきているようだ。こんな田舎にまでここまでの頻度でモンスターや窶れ達が襲ってくるのだから。

 

 何とか対策を考えてはいるが、行動に移す事も出来ずに居る。残っているのはもう戦えない老人や子供ばかりなのだ。

 

 動ける男手たちは挙って家族を連れて逃げて行った。こんな村で死ぬよりは違う都市や町に逃げた方が生き延びられる可能性があるとがなり立て、それに応じた村人の半数近くが居なくなってしまった。

 

 残ったのは俺達や、家族を見捨てられない者達、そして物理的に逃げられない老人たち。ますます現状を維持する事すら困難になっていく。

 

 唯一、必要な食料が少なくなった・・・が、何の慰めにもならない。

 

 俺達は朝から晩まで、いや、半日交代で常に村を警備する事にした。モンスター達には昼夜の概念がない。・・・語弊があった、邪神軍に連れられているモンスターはその概念がないと言った所か。

 

 あいつらは日中だろうが深夜だろうが、人間を見つけたら襲い掛かってくる。どうしてここまで執拗に狙ってくるのか分からない位に、奴等は人間を襲う。

 

 そしてそれに感化された他のモンスターや、窶れてしまった存在が呼応し、ほぼ毎日と言っていいほど村は襲われるようになった。

 

 ここまで凌げているの事が奇跡だろうか。

 

 既に聞いた話ではあちこちの村や町が壊滅したり半壊して都市などに逃げているという噂がある。途中で襲われて出戻ってきたが、怪我が酷くて亡くなった村人も居た。

 

 誰もが疲弊していた。

 

 俺も姉さん達も。だが、運よく警備に回っていた仲間から邪神軍の小さな基地がある事を知らされたのだ。そこを破壊すれば奴等もこの頻度で村を襲う事は出来なくなるだろう。

 

 勿論相手の本拠地に行くのだから危険性は高い。

 

 だが、このまま手を拱いていれば奴等はさらに強大になり、何れは護り切れなくなる。一か八かの賭けだったが、俺と姉さんの3人で強襲する事になった。

 

 本当はもう少し数が欲しかったが、手勢が足りない。これ以上は村を守る人が居なくなってしまう。村の為に戦いに行って戻ってきたら壊滅していたでは話にならない。

 

 驕る訳ではないが、今ならば俺も姉さんも都市の騎士や魔術師にも負けない強さがあると自負している。前に滞在してくれていたログンソンさんやガイウスさんに色々手ほどきをしてもらったからだ。

 

 あの二人が居た時は本当に楽だった。そもそもモンスターがここまで襲ってくる事もなかったし、いざ襲われてもあの二人があっという間に倒してくれたのだから。

 

 だからこそ俺達も強くなるためや生きるために金を稼ぐためにモンスター狩りの仕事も出来ていたのだから・・・

 

 そして俺達はなんとか勝てた。

 

 致命的な怪我もなく、俺を含めて全員ボロボロだが何とか勝つことが出来た。これで少しはモンスターの襲撃も減ってくれるだろう。

 

 まだまだ、あの時見たログンソンさんやガイウスさんには遠く及ばない。

 

 そして、あの時に助けてくれたとても凄い騎士には足元にも及ばないだろう。

 

 だがいいんだ、別に英雄になりたい訳じゃあない、それは今でも同じだ。俺達全員と村が平和ならそれで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戻ってきた時、俺は二重に驚く事になった。

 

 村にログンソンさん、そして行商人の人、最後にあの時の少女がやってきていたからだ。疲弊してなかったら直ぐにでも挨拶に行きたいと思っていたが、身体はそれを許してくれなかった。

 

 必死に休み回復させ翌日、俺はログンソンさんに挨拶しに行った。

 

 そして色々教えてもらった・・・

 

 ガイウスさんが都市での襲撃で亡くなった事。

 

 行商人のグレイハルトさんが今は一緒に行動している事。

 

 名も知らなかった少女がオイシミと呼ばれている事。

 

 ログンソンさんの両足と右手が義肢になった訳。

 

 此方に戻ってきた理由等―

 

 あれほど強かったログンソンさんがこんな状態になり、ガイウスさんが亡くなったなんて信じられなかった。だが、相手が邪神軍なら仕方ないのかもしれない。

 

 英雄ですら倒し切れないあの化け物たちに寧ろログンソンさん達だけでも生き残っていた事を賞賛すべきだろう。

 

 そしてあの時の少女。自分自身あの時に彼女をそう呼んでいたが、その後も彼女は色々な場所でオイシミと呼ばれるようになったらしい。まぁ、やはりというか本名ではないようだ、彼女はどうにも自分の事はほとんど何も話さないらしい。

 

 普段は超然として口数も少なく、かと言って人が嫌いと言う訳でもないらしい。時々思い出したように近づいてきたり甘えてくる事があるようだ。

 

 喋る事もほとんどなく、唯一分かっているのは【食べる事が好き】という事だけ。そこだけ聞けば結構即物的な少女だとも思えるが、何故か一カ所に留まろうとせず、何かあれば率先してだれよりも動き、俺達が見たようなあの奇跡を為す。

 

 あの子が、どういう理由で旅を続けているのかはログンソンさん達もわかっていないらしい。それでも、一緒について行くと約束したそうだ。彼女と、そしてガイウスさんと。

 

 義理堅い人だと思う。このご時世、誰かのために動ける人なんてほとんどいないのに。前に二人は自嘲しながら英雄なんかじゃあないと言っていたけど、俺はログンソンさんも、そしてグレイハルトさんも立派な、【少女の英雄】なのではないかと思う。

 

 少しずつ・・・

 

 世界が変わっていっている。昨日までの当たり前が、今日から当たり前ではなくなっていくそんな世界。いずれ邪神軍の本体がこの村を襲撃するかもしれない。

 

 それがいつかは分からないが、漠然と・・・このままじゃだめだと心の中で叫ぶ声が聞こえた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 所でグレイハルトさん。あの子、オイシミが着けてる腰に付ける水筒っていくらになりますか? え? 魔、魔貨8枚・・・?

 

 4、4枚にまけられませんか? あ、だめですかそうですか。

 

 いいなぁ、あれ・・・遠出するのに便利だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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