ひつまぶしにどうぞ
突然何倍にも膨れ上がった強大な悟飯の気がコチラまで風圧となってベージの全身をなびかせた。
来てもいいともいけないとも誰も何も言わない。我慢ならないとこれ幸いと言わんばかりにすっ飛んで震源地とも言える場所に向かう。
すると着いた時には悟飯は居なくなっており、そこには自分が感知していた分の気の持ち主たち…3人がいた。
「おい、一体どうなったのかそろそろ話しやがれ!!
いつまで俺を除け者にする気だ!?」
「あっ?…あ!おめえたしか…別世界のベジータのガキんちょ!」
「ベージさん!すみません…!」
は、とした表情を作ったカイオウシンは酷く居心地悪そうにこちらに謝った。
だがその口から次に出たのはまたしても「後で話す」であった。ふざけている。
「後で話すだと!?
随分と長い後だな、神には有り余りすぎるだろうが俺は時間は無い!俺はこことは別に帰る所があって、そこで面倒なヤツらをぶっ倒さんとならんのだ!
ここもなにやら邪悪な気がある…それもどうにかならん事には俺もそう出来ん!だからこうやって悠長にしているが…!!」
「まあ待て、そう焦る気持ちも怒る気持ちもよう分かるが今は堪えてくれんかの」
捲し立て、言いたいことも飲み込んでいたことも口にしている所に初めて聞く…しゃがれた老人のような声が待ったをかけた。
カイオウシンと全体の色は同じだが、落ち着き具合は随分と違う。
「……今はだと?俺は随分そうやって堪えさせられて来ている お前達はそうやって今起こっている事にも関わらせず何もさせず、一体何考えてやがる」
「だからそれを今はぺろっと喋れんからそこの界王神も待ってくれしかお前に言わんのじゃろうが
別に意地悪して子供に酷い事しとるわけじゃないぞ」
ぎ、と歯を噛む。
カイオウシンは隣で慌てているし、そんごくうは何の話かと片眉を少し上げてじっと聞きに回っている。
「勿論界王神もわしも、今お前がどういう立場におるか分かっとる。
が、今魔人ブウで大変な事になっとるからどうにかしてやるどころじゃないってわけだ
まあ待っとれ、お前の対応はもう決まっとる
とりあえずあんましこの周りにはおらん方がええの。
遠くで待っとれ、終わったらちゃんと呼びにいってやるから修行して待っとるんじゃぞ」
「…………、……………………くそ…
……ふざけやがって!くそ!!」
ゴウと唸るように気を爆発させて遠くまで飛び去る。
感情も状況も整理の付けようがない。だが行け、と全く相手にされない場所で何をどうしようが、更にどうしようも無くなるだけに違いなかった。
全員消えてしまえと思ってしまう程のむしゃくしゃとしたやるせなさに身が焼けそうになる。 …結局元いた位置まで戻って、遠慮なく木を殴った。
「…なあ老界王神さま。なんでアイツだけダメなんだ?
あいつはただのガキンチョだぜ、なんも悪いことしてねえんだろ」
「おう。全然全く悪い事はしとらん。
だが責任っちゅうのが降り掛かっとる。残念じゃがの」
「責任?…ふーん…界王神さま達に関係ある事なのか」
「まーね」
察しの良い悟空にかかればなんのその、といったところ。
老界王神は吹っ飛んだ漫画に付着した土や草を払って読み直しながら思った。余計な詮索までは入れないあたり、分かっている。
最初に説明しない時点で話してもらえるとは思っていなかったであろう悟空は「ま、早いとこタイミング見つけて呼んでやってくれよ。1人じゃかわいそうだぜ」というと水晶玉の前に座り込んだ。
「それによ…あいつ、オラと戦いたくてたまらない、ってんだぜ。
オラもちょっと手合わせしてみたいしよ」
残念ながらまだオーケーが出ないし、なにより魔人ブウがいる時点でそれどころではあるまい。
結局話す為に呼んだわけでもなく、魔人ブウが界王神界に来た影響でタイミングも良く無いのに引っ掴んでナメック星に飛んだ訳だが。
…とりあえず、ほっとけばいいか。クライマックスだし。