新エリー都で………振り切るぜ!   作:気まぐれな富士山

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W風のタイトル考えるの楽しいですね。


転移者A/俺に質問するな

 

「変………………身ッ!」

《ACCEL!》

 

怒りの炎に心を包み、真紅の鎧に身を包む、俊足の戦士《仮面ライダーアクセル》の誕生だ。

 

「さあ……………振り切るぜ!」

 

背中に携えたエンジンブレードを引き抜き、構える。

本来はかなり重いはずの剣《エンジンブレード》を軽々持ち上げてるということは、やはり仮面ライダーに変身してパワーが上がっているのだと感じる。

大型エーテリアスも本格的にこちらを脅威とみなしたようで、咆哮と共にこちらに切り掛かってくる。

 

「フンッ!」ギャリギャリギャリッ!

 

アクセルの装甲もある強化皮膚《ランディングアーマー》は中型エーテリアスの斬撃でも傷一つつかない。

先程まで恐怖の対象だったエーテリアスが、段々と小さく見えてきた。

 

「終わりか?次はこちらの番だ!ハァッ!!」

 

ガイアメモリの力で強化された三半規管と動体視力でエーテリアスの攻撃を躱し、エンジンブレードの斬撃を二撃、斬撃と叩きこむ。

 

「ハァァァ!!」

 

エーテリアスの硬い装甲も、徐々に削れてきた。

さらにエーテリアスも斬撃でダウンしたようで、今ならば強力な一撃でヤツを破壊できるだろう。

 

「これで決めるぞ!」

《ACCEL!マキシマムドライブ!》

 

ベルトのスイッチを押し、ハンドルを何度も捻ってエンジンを蒸す。

 

「ハァ……………!!フッ!」

 

助走をつけて高く飛び上がり、エーテリアスに飛び後ろ回し蹴りを繰り出す。

アクセルの必殺キック、アクセルグランツァーである。

 

「ハァァァ!!」

 

エーテリアスを赤い閃光が斬り裂く。

 

「絶望が、お前のゴールだ。」

 

決め台詞とともにエーテリアスが爆発四散する。

そのままシュラウの死体を確認する。

やはり息を引き取っているようだ。

 

「シュラウさん……………絶対、外に連れてきますから。」

 

 

 

一体どれ程の時間が経っただろうか。

キャロットを映した端末の電池は切れ、どこを歩いても元の場所に戻される。

ホロウの恐ろしさを、この身にひしひしと感じていた。

身体は空腹で動かない。喉も乾いてきた。

死体の重さもどんどんと増しているように感じる。

意思だけではどうにもならず、ついに身体は限界を迎える。

 

「っあ…………」

 

小石に躓き、地面に倒れ込みながら小さく呻き声をあげる。

視界がぼんやりとして、指一本動かせない。

常に昼のような明るさのホロウの中で、俺の視界は端から暗くなっていった。

 

「ッ!おい店長!そこに倒れてる奴がいるぞ!」

『ホントだ!早く救助しないと!』

 

最後、視界の端に何者かの声が聞こえて、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

夢を見た。それは、自分ではない誰かの記憶。

復讐に燃える炎のようで、それでいて非常にクレバーでクール。

その全てを燃やし尽くさんとする炎は、やがて優しい温もりをもたらしてくれた。

大切なものを守るための炎。そんなふうに感じた。

そんな炎の先に見える、一人の男の姿。

その男に、咄嗟に問いた。

"俺も、あなたのようになれますか"と。

男は振り向くことなく、こう答えた。

 

『……………俺に質問するな。』

 

 

 

 

「ッ……………ここは………………」

「おや、目が覚めたようだね。」

 

部屋の中に響く男性の声。

身体を起こすとそこには、銀髪の美青年が立っていた。

パッと見だと、歳下に見える。

 

「はいこれ。コーンスープだ。インスタントだけど。」

「…………ありがとう。」

「気にしないでくれ。妹が連れてきたのを介抱しただけさ。」

 

一匙流し込むと、温かいスープが胃の中に入っていくのがわかる。

 

「…………君は、聞かないんだな。俺が何者か。」

「そういうことは聞かないのが定石だ。知られたくないことは多いはずだからね。お互いに。」

「確かにな……………っ、そうだ。俺の他にもう一人いなかったか?」

「……………いや、聞いていないよ。」

「そんな筈はない!俺は確かにあの人を運んでっ…………」

「僕が聞いたのは、君のそばに、エーテリアスの死体ならあったということだけだ。それと、そこのアタッシュケースもね。」

「侵食………?エーテルっていうのは、死体にまで侵食するのか?」

「?おかしなことを聞くじゃないか。エーテルが有機生命体を侵食したのがエーテリアス、それ以外の物質も侵食を受けるよ。死体だとしても有機生命体、エーテル侵食を受けて死体のままエーテリアスになったのだろう。」

「そう、か……………」

「……………悔やむのも無理はないさ。落ち着いたら下の階に来てくれ。」

「いや…………君たちに、迷惑をかけ続けるわけにもいかないからな。早めに出ていくとしよう。」

「判断が早いのはいいことだけど、迷惑と言うならお門違いだ。それは、君を救助した妹と彼らに言って欲しい。」

 

そう言われ、下の階に案内されると、複数人の姿が見える。

 

「みんな。彼起きたよ。」

「よかった〜!無事で何よりだよ!」

「ホント、最初見た時は脳内デバイスがヒヤヒヤしたぜ!死んだかと思ったのに全然生きてるし!正に不死身だな!」

「紹介がまだだったね。そこの4人が、あなたを助けた人たちだ。」

 

4人に向かって深々と礼をする。

 

「俺を助けてくれて、本当にありがとう。今は何も返せないが、この恩は必ず返させてもらう。」

「えぇ、当然よ。私たちに命を救われたんだから、相当なものを返してもらわないとね。」

「ちょっとニコ〜?怪我人からお金毟り取るようなことしたら、許さないからね!」

「金は…………生憎無い。今無いとかじゃなく、ずっと無い。俺はその………記憶が無いんだ。」

 

俺は、転移したことを上手い具合にはぐらかし、記憶が無いので完全に無一文であると伝える。

 

「なら、ウチで働きなよ!ね、お兄ちゃん、いいでしょ?」

「リン…………まぁ、それ以外無いか。」

「いいのか………?本当に、本当にありがとう………!」

 

下げた頭が上がらない。

この兄妹には感謝してもしきれない。

 

「そういえば、まだ名乗ってなかったね。僕がアキラ。こっちが妹のリンだ。」

「ねぇ、あなたの名前は?」

「俺か。俺、は………………」

 

かつての名前を使おうか。

しかし、もうあの時の思考には戻れそうにない。

ここは一つ、憧れのあの男の背中を追いかけてみよう。

 

「照井竜……………俺の名は、照井竜だ。」

 

こうして俺の、新エリー都での第二の人生は幕を開けた。

 

 

 

 

竜さんが居候を初めて二週間ほど経った。

 

「照井くんはいるかい?」

「照井さん、今日は働いてないんですか?」

「竜さんに会いたかったんですけど……………」

 

彼は中々にイケメンな部類で、女性客からかなりいい評判をもらっている。

しかし、困っている点が一つ。

 

「うん?君は、新しいアルバイトかのぅ?」

「そうだ。借りたいビデオがあるなら言ってくれ。」

「それがのぉ、中々決まらなくてなぁ。君のおすすめはあるかのぅ?」

「俺に質問するな。そういうのは自分で決めてくれ、爺さん。」

「ちょっと竜さん!?お客様お客様!」

 

この"俺に質問するな"という決め台詞が厄介。

彼は、詮索されたりするのが苦手らしく、こう返してしまうらしい。

ハードボイルドというスタイルからすれば100点だが、接客業としては0点だ。

しかしまぁ、彼は冷静かつ明晰。

いつも客に合ったビデオを紹介してくれるので、彼が入ってから売り上げは右肩上がりだ。

 

「今度、竜さんをダシにカフェでも開こうかな…………」

「冗談でもやめてくれアキラ……………」

 

そして、裏稼業でも彼の優秀さは発揮された。

依頼を受けた時の専属エージェントとして格安で請け負ってくれる。

尚且つ、彼は強い。並のエーテリアスでは相手にならないし、中型のエーテリアスですらかなりの速度で倒してしまう。

 

「本当、いい人材を拾ったよ。」

「そう言ってもらえると助かる。今の俺には目標も何も無い。少しでもお前たちの役に立ちたいよ。」

「竜さんって、ホント女の子にモテるよね〜。そのくせ女っ気はちっともないし。」

「俺は、一途だからな。愛すると決めた女なら愛するさ。」

 

買い物の帰り、二人の荷物待ちをしながら、少しの幸福を噛み締めた。

 

(俺はなる…………この街で、本当の意味での仮面ライダーに。)

 

自ら名乗ったその名前に覚悟を乗せて、俺は今日も生きていく。

 

 

 

ヒロインは誰にする?

  • リン
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  • 朱鳶
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