新エリー都で………振り切るぜ!   作:気まぐれな富士山

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序章最終回です。次回から一章に入ります。


Dを恐れよ/俺のすべきこと

 

 

目覚めた男は、先程の様子は見る影もない弱々しい男だった。

 

「知っていることを全て吐け。特にそのメモリの入手先と、自体の調達場所をな。」

 

軽く脅すと、ペラペラと話し出した。

 

「なるほどね……………謎の女にメモリを貰って、ホロウの中で好き勝手してたと……………プロキシもいないのに、よくホロウを出入りできたね。」

「あのドーパントメモリとかいうのには、そういう機能もついてるんだろう。全く、プロキシ泣かせなアイテムだ。」

「ホロウをプロキシ無しでも出入りできる能力。それに加えて、各メモリごとに違った効果を付与され、超人的な力を得る……………これが新エリー都全体で流通されれば、とんでもないことになるぞ。」

 

超人的な能力を得れる上にエーテル耐性とプロキシ無しのホロウの出入りを可能にするアイテム。

デメリット込みで買い手は少なくないだろう。

 

「そんなことより、コイツどうすんのよ。なんなら私のお友達のところで働かせてもいいけど?」

「もう抵抗する気はないみたいだし、解放してあげようよ。」

「そうだな。メモリには一定数の中毒症状があるが、比較的速い速度で解消される。野に放っても問題なかろう。ただ、少し脅す必要があるな……………」

 

上の空の男の胸ぐらを掴み、目をこちらに向かせる。

 

「おい馬糞野郎。俺の声が聞こえるか?」

「え………あ………はい……………」

「お前が使ったメモリは、悪魔との契約書だ。引き剥がしてもらったことを光栄に思ったまま、これまでの日常に戻れ。もしまたメモリを使うようなことがあれば………………わかるな?」

「は、はいぃ…………もう二度と使いましぇん……………」

「それでいい。」

 

男に金を握らせ、家に帰らせた。

 

「一件落着だね〜!よかったよかった!」

「あぁ……………」

「浮かない顔だね。竜さん。」

「…………流石に見破られるか。」

「そりゃあね。僕らで力になれることかい?」

「……………お前たちには、我儘ばかり聞いてもらっているからな。これ以上は言うまいよ。」

「ワガママなんかじゃないよ!私たちだって竜さんにすごい助けられてるし。だからこれはそのお礼!」

「……………本当、お前たちには頭が上がらないよ。それなら、俺も覚悟を決めないとな。」

 

ずっと考えていた。

俺がここに来た理由、この力を託された理由。俺のすべきことを。

もしかしたら、理由なんてないのかもしれない。

本当にたまたま偶然、なんてことかもしれない。

でも、これがただの偶然には思えなかった。

それを踏まえて、俺は何をするか。

『照井竜』なら、何をするか。

 

「俺は、治安官になろうと思う。依頼の来た人だけじゃなく、もっと多くの人々を、ドーパントの魔の手から守りたい。多分それが…………俺がここに来た理由だ。」

 

勝手な自己満足かもしれない。

でも、それでも。『照井竜』なら、そうするはずだ。

 

「ち、治安官!?流石にそれは……………」

「かまわないよ。」

「お兄ちゃん!?」

「アキラ……………いいのか?」

「それが竜さんのやりたいことなら、信用するさ。」

「で、でも、私たちの活動が治安局に伝わっちゃったりしたら……………」

「心配ないさ。一応、竜さんの弱みは握ってるし。」

「あぁ。俺の住民票や身分証明書を偽造した証拠はアキラが持ってる。もしバラせば、俺も逮捕される。」

「うーん…………まぁ、竜さんなら心配ないか!」

「ありがとう…………本当に、ありがとう。それしか言う言葉が…………見つからない。」

 

一体何度、この兄妹に助けられただろう。

俺の第二の人生は、仮面ライダーとしての宿命と、恩を返す旅になりそうだ。

 

「よし!ラーメンでも食いに行くか。今日は俺の奢りだ。」

「ホント!?やったー!」

「いいのかい?それじゃ、お言葉に甘えさせてもらうよ。」

 

 

 

 

 

とある路地裏。

一人の男が、猫背で金を握りしめて歩いていた。

男は、しきりに何かに怯えているようだった。

 

「うぅ…………やめろ、やめてくれ…………」

「おや?あの時の方、ですわよね?」

「えっ?あっ、あっ!あんた、あの時の!!」

 

男の目の前に、美しい女が現れる。

豊満な乳房と臀部に、美しい体のラインはモデル級だった。

また、格好や装飾品、言葉遣いから、かなりの高級層の女だとわかる。

 

「おやまぁ…………デスメモリはお気に召しませんでしたか。」

「あ、あんたのせいで散々な目に遭ったよ!それに、こんな恐ろしい副作用があるなんて聞いてない!」

「副作用?一体どんな?」

「こ、これだよ!コイツらがずっと俺の耳元で話しかけてくるんだ!よくも殺したな、よくも殺したなって!殺したのは俺じゃないのに…………!!」

「まあまあそれは…………素晴らしい収穫ですわ。ご協力、感謝いたします。」

 

ペコリと礼儀正しく礼をする女。

 

「なぁ、頼むよ!これ止めてくれ!メモリが必要ならくれ!」

「そういうわけにも参りませんの。あなたの体に合うのがあのデスメモリだったいうだけで、今私の手持ちにあなたに共鳴するメモリはございませんわ。」

「ふ、ふざけんな!どう責任取るつもりだよ!」

 

男が掴みかかろうとすると、女はひらりと躱し、男が転ぶ。

 

「代わりと言ってはなんですが、素晴らしい安眠法をお教えしますわ。心臓を止めるので、少し苦しいかもしれないですけど……………」

「は?心臓?」

 

女はニタリと笑い、腰に謎のベルトを巻き、大きな胸元から、メモリを取り出した。

 

《TABOO…………》

 

腰のベルトにある凹みにメモリを差し込むと、おぞましい怪人の姿に変貌する。

足は蛭のような軟体で上半身は人間に近い。その姿は、ギリシア神話のエキドナを彷彿とさせる。

 

「それでは、最後に永遠の安眠をお届けしますわ。」

「ひぃ!!た、たすけ」

 

断末魔を上げることもなく、男の体は光球に蝕まれ、消えた。

 

「ウフフ…………尚更興味が湧いたわ。仮面ライダー………あの方の復活まで、精々楽しませて頂戴ね?」

 

新エリー都の闇が、照井自身の間近で蠢いていることを、彼はまだ知らない。

 

 

 





今更なんですが、序章のタイトル解説です。全話ダブルミーニングになるようにしてますが、〇〇者とつく時は一つの意味にしてます。

転移者A→アクセルのA(ACCEL)
Dを恐れよ→デス・ドーパントのD(DEATH)とデッドエンドブッチャーのD。

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