新エリー都で………振り切るぜ!   作:気まぐれな富士山

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ひっっっっっさびさの投稿ですね。
こっからは週一ペースで更新していきたいと思っています。(思ってるだけ)


Iを止めないで/存在しない凶器

 

 

 

現場に到着した一行は、鑑識の元へ向かう。

 

「おっ、照井さん。お疲れ様です。」

「お疲れ様です、長谷部さん。こちら、今回操作に協力してくれる、本部の治安官さんです。」

「初めまして。朱鳶と申します。お噂は、かねがねお聞きしております。」

「はっはっは、あの最優秀治安官さんが来てくれるとなれば、この連続未解決事件もなんとかなりそうだ。あぁ、ご遺体の様子でしたね。こちらへどうぞ。」

 

鑑識歴18年のベテラン、長谷部治安官。

歳は上だが、誰にでも敬語を外さない謙虚な人。

彼に案内され、部屋の中に入ると、部屋の中は氷が未だに溶けておらず、冷凍室のような寒さを感じる。

 

「部屋に霜が降りておる…………相当な温度で凍らされたようじゃの。」

「部屋は明らかに連続凍死事件の現場とは違う…………前の現場は、遺体だけ凍っていたぜ。」

「長谷部さん、遺体の状況は?」

「前回と似たような感じですよ。でも、前回とは明らかに違う点が一つある。」

「違う点?」

「えぇ。前3回の遺体は、どれも水を凍らせたようなイメージです。肌に付着していた水滴跡から察するに、水をかけられて、その水分が凍った、と考えられます。しかし今回の遺体は、水と言うよりも液体窒素に近い。ほら、この辺り。表皮が剥がれているでしょう?これは急速な凍結で皮が剥けてしまっているんだ。遺体の状況と、この部屋の状況からして……………」

「………この事件は、未解決の連続殺人事件の手口を模倣した、別人による犯行だと?」

「鑑識としては、その線を押します。まだ犯行時刻の特定等には至ってないので、追って連絡しますね。」

 

長谷部から一通り情報を貰い、次に一行は被疑者の元へ伺うことにした。

 

「こういうのは、俺たちより朱鳶さんたちの方が向いてるな。」

「俺もそう思います。同性ゆえにわかることもあると思われますし。」

「任せてくだされ。我らも捜査に貢献せねばならんからな。」

「私と先輩が被疑者への聴き込みを行いますので、お二人は目撃情報の聴き込みをお願いします。」

 

照井と刃はそのまま車に残り、朱鳶と青衣が向かう。

 

「まったく、優秀な治安官様だこと。あのナリで戦闘も並ぶ者無しだそうだ。」

「頼もしいじゃないですか。この事件、どう考えても関連がある。知恵は多い方がいいですよ。それじゃ、俺たちも聞き込みに行きましょう。」

 

各々が聞き込みを終え、署で情報を共有する。

 

「こっちはダメだ、てんで目撃情報がありゃしない。監視カメラの映像も再三確認したが、最初の情報から進展はねぇな。」

「こちらは少し手掛かりがありました。明玉氏のお宅に訪問した際、保護者の方に少し違和感がありまして…………」

「確か、あそこの家はジュエリーの加工と販売をしていたはずだが…………それが何か?」

「ええ。あそこの亭主がですね……………」

 

朱鳶は、明玉(ミンユー)の家で見たものを語った。

 

 

 

私と先輩は、明玉氏一家の経営する店舗に伺いました。

 

「いらっしゃ………なんだ、また治安官さんたちか。」

「度々申し訳ありません。私、治安官の朱鳶と申します。」

「同じく治安官の青衣じゃ。」

「あぁ、どうも。《クラウン・ジュエル》オーナーの高浩(ガオハオ)だ。しかし悪いね、娘は丁度外出中だ。私でよければ、娘から聞いたことをお伝えしますよ。」

「お願いします。もう一度、確かめたいことがありますから。」

 

聞いた限りは、署で最初に聞いた情報と変わりありませんでした。

しかし、問題はここからだったんです。

 

「しかし、あなたたちは星宇(シンウー)という男がどういう人間なのか、知っていますか?」

「星宇氏が、ですか?」

「ハァ…………あの男はね。ウチの家業を捨てて、古物商なんていう古臭い商売をやってたんですよ。親と勘当して次男の私に全部押し付けて…………それだけならまだしも、黒い噂も多いですよ。古物として違法なエーテル物質なんかを取り扱ったり……………兎も角、碌な男じゃありませんから。」

 

………価値観は人それぞれですから、特に口は挟みませんでした。

そしたらその直後に。

 

「あっ、ちょっとパパ!また勝手に治安官の人と話して!」

「明玉……!?お前、友達のところに行ったんじゃ!」

「治安官さん!パパはこんなこと言ってるけど、星宇叔父さんは本当にいい人なんです!無理言って私を泊めてくれてたし……………信じてください!」

「明玉!お前は少し黙ってなさい!兎も角だ!ウチはもうあんな男に関わりたく無い!帰ってくれ!」

 

そんな調子で、追い返されてしまいました。

 

 

 

「あの狼狽え様、どこか引っかかりまして……………」

「成程なぁ。娘を誑かされ、元々軽蔑していた兄を凍死させた…………物語にしちゃ出来過ぎだが。」

「コイツを使えば、そんな物語も現実になる。」

 

破損したメモリを取り出し、机の上に置く。

 

「俺は、今回の事件にもこのガイアメモリが深く関わってると思っている。」

「その理由をお聞きしてもよろしいか?」

「理由は二つ。一つ目。今現在、この犯行を証明するのは不可能だ。どう考えても膨大な量の液体窒素か、エーテル関係のものが必要だし、それをするメリットも少ない。二つ目。現場に残る残留物が"少な過ぎる"。足跡、指紋、その他様々な痕跡…………仮に最初の犯行の証明が出来たとして、人間が侵入したら何かしらの痕跡が残る。仮に犯行を証明したとして、ガイアメモリ以外で証拠を消す方法は無いと思う。これが理由だ。」

「確かに…………しかし、前例が無さすぎます。犯罪者として拘束する理由には、少し無理があるかと。」

 

存在しない凶器で、人は殺せない。

犯罪を立証するには、殺人の動機と確たる証拠が絶対に必要になる。

 

「どうする照井。俺たち現場は分かっていても、上が納得するかどうか……………」

 

頭を働かせるも、その場で結論は出なかった。

 

 

 

 

 

「結局、捜査はふりだしですね。」

「未解決の前例に酷似しているが、それとは異なる殺害方法……………確実に偽装された犯行だ。それが出来るのはガイアメモリだけ……………しかしそれをどう証明したものか。」

「直感だけで犯人を逮捕できぬのが、治安官の辛いところじゃな。」

 

青衣、朱鳶とともに、また被疑者への聞き込みに行く。

机上で話し合っていても解決しない、と照井が切り出し、書類仕事があった刃を署に残して2人を誘ったのだ。

 

「照井さん。少し聞いてもいいですか。」

「俺に質問をする………しないでくれ。失礼、質問されるのが苦手なんだ。」

「あ、ごめんなさい…………それじゃあ、照井さんが治安官を志した理由を教えてください。」

 

照井に嫌がられない、直球な言い方をする朱鳶。

やはりかなり頭がキレるようだ。

 

「…………恩返し、だな。」

「恩返し、ですか。」

「あぁ。詳しくは話せないが、俺に力を託してくれた人や、俺をドン底から救ってくれた人たちがいる。そんな人々が、ドーパントの恐怖に怯えながら生活するなんて、俺には耐えられない。六分街だけじゃない。この、新エリー都全体を包む、ドーパントという暗雲を晴らすため、俺はここにいる。」

「なるほど……………素晴らしい志ですね。」

「うむ。治安官の鏡のような発言じゃな。お主のような人物が本部の特務捜査班に来てくれればありがたいのだが。」

「まぁ、考えておく。そら、もうすぐショッピングモールだ。まだ松野氏は勤務中の筈だが…………」

 

そんなことを話していると、ショッピングモールの中から叫び声が聞こえてくる。

 

「まずいな………!行くぞ!」

 

ショッピングモールから客が我先にと飛び出してくる。

 

「朱鳶と青衣で避難誘導を!俺は犯人を捕まえる!」

「了解です!」

 

二人に現場を任せて中に入ると、フロアの一部が白く変わっていることに気づく。

 

「いやぁぁぁ!!誰かっ、誰か助けて!」

「もう無駄だよ…………自分が砕ける音を聞きな!」

 

冷気を纏った拳が女性に触れる、その瞬間。

 

「危ないっ!」

「きゃっ!」

「チッ、余計な真似を!」

 

照井が女性を庇い、ドーパントから距離を取る。

 

「ここは危険だ、走って逃げろ!」

「は、はいっ!」

「お前…………何してくれてんだよ。そこの女を殺す予定だったのに!」

「罪無き市民を襲う者には、俺が立ち向かう!」

《ACCEL!》

「変…………身!」

 

真紅の戦士、アクセルに変身し、ドーパントと対峙する。

 

「さあ、振り切るぜ!」

「まさか、あんたが噂の仮面ライダー!?」

「犯罪者に名乗る名は無い!」

 

エンジンブレードを公用車に置いてきてしまったので、近接で殴り合う。

ドーパントの動きは大雑把だが、触れれば凍らされるという強みを持っているため、触らせるのは好ましくない。

 

「フンッ!」

「グッ……………!仕方ない、ここは一旦退却だ!」

 

ドーパントは地面を凍らせ、スケートのように滑走する。

 

「朱鳶!青衣!そっちに行ったぞ!」

「っ!あれが例の…………!」

「朱鳶!民間人を守るのじゃ!」

 

青衣が三節棍を取り出し、ドーパントと対峙する。

 

「市民を脅かす悪鬼…………ここで滅す!」

 

青衣の素早い動きに翻弄されるドーパント。

しかし、青衣にとってドーパントは全くの未知。いくら高性能の玉偶といえど、対応は難しい。

 

「ガァァッ!」

「何!?」

 

地面に気体を大量に発射し、周囲を一気に凍らせる。

不意打ちを食らった青衣の足も地面に貼り付いてしまう。

 

「ぬかった………!!朱鳶!そちらに向かったぞ!」

「っ!それ以上動けば発砲する!!」

 

朱鳶の警告も虚しく、ドーパントは高く飛び上がり塀を越え、脱出を図る。

躊躇わず朱鳶が発砲するも、特殊エーテル弾は空を切ってしまう。

ドーパントの影を見失いかけたその時、赤い閃光が天を駆ける。

 

「俺が追う!応援を呼んでくれ!」

「りょ、了解です!」

「朱鳶よ!こちらは我に任せて、其方は照井殿の応援を!」

「わかりました先輩!」

 

ドーパントはとにかく逃亡をしたいらしく、凄まじい速度で滑走し、近くの公園まで走り抜けていくドーパント。

 

「逃がさん!!」

 

すかさずバイクモードに変身し、アクセルはドーパントを追いかける。

 

「グッ…………!」

「投降しろ!お前が人間ということは既に調べはついている!」

 

エンジンブレードの切先を向け、投降を促す。

しかしドーパントは諦める様子はない。

 

「愚かだな……………」

《ACCEL!マキシマムドライブ!》

 

ブルルルとエンジン音が響き渡り、冷気を発しながら近づいてくるドーパントに構える。

 

「砕けろぉぉ!」

「ハッ!」

 

仮面ライダーカブトから着想を得た、新たな必殺キック。それがこのカウンターグランツァー。

本来の跳び後ろ回し蹴りを背面回し蹴りに変更し、相手の動きに合わせて必殺のカウンターを放つ。

マキシマムドライブのエネルギーがドーパントに移り、ドーパントの体が爆散する。

 

「ッ、何!?」

 

しかし、メモリブレイクした感触はなかった。

 

「これは…………………」

「照井さん!怪物はどこへ!?」

「……………氷で分身体を作っていたようだ。奴め、小賢しい真似を!朱鳶、すぐに周囲を捜索だ!犯人はまだこの公園の中にいる!」

 

周囲を見渡すと、丘の上にドーパントの姿が見える。

 

「追うぞ!」

「はい!」

 

走って追いかけると、丘を下った先には。

 

「あれは………………!高浩さん!?」

「待て!」

 

逃げようとした高浩の前に立ち、逃げ道を塞ぐ照井。

 

「治安局だ!お縄につけ!」

「ぐっ…………!離せこのっ!」

 

暴れる高浩を取り押さえ、手錠を掛ける。

 

「貴様には連続殺人の容疑がかけられている。署まで同行してもらおうか。」

 

 

 

 

「照井!高浩を取り押さえたってマジか!」

「刃さん。お疲れ様です。」

「取り調べの様子は?」

「やってないの一点張り、調査したいなら令状を持ってこいと強気ですね。」

「まぁ、犯罪証明自体まだ上手くいってないからな。鑑識も死亡推定時刻の特定に至ってないし……………」

 

高浩は容疑を否認していた。

説明できない犯行。存在しない凶器。確かにこの状況は、治安局側があまりにも不利だろう。

 

「そろそろ、か…………俺が行きます。」

「おう。気をつけろよ。」

 

取り調べが、始まる。

 

 

 




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