なんとか書けた…………年明けにもう一本出せるように頑張ります!
取り調べ室に入り、中の者と交代する。
胸ポケットからメモリを取り出し、机の上に置く。
「これはあなたのポケットに入っていた物だ。見覚えは?」
「………ない。そんなおもちゃ。」
「本当か?お前は、これが何か知ってて犯行に及んだんじゃないか?」
「知らないって言ってんだろ!早く娘の所に帰してくれ!」
「…………知ってるかどうかは、体に聞いた方が早そうだ。」
照井がメモリのスイッチを押すと、禍々しい音声が鳴る。
《ICEAGE……………》
「これを押せば、どこかにマーカーが……………」
しかし、音声をいくら鳴らしても、マーカーは現れない。
「なんだ、何がしたい!」
「どういうことだ…………なぜマーカーが出ない………!!貴様が、貴様が連続凍死事件の犯人では無いのか!」
「おい照井!もうやめろ、時間の無駄だ!」
激情から胸ぐらを掴む照井を刃が抑え、取り調べ室から連れ出す。
「アテが外れたみたいだな…………容疑はあっても、
「そんな…………!照井さんがあそこまでドーパントを追い詰めたのに、全部無意味だったなんて…………!!」
「我らの不得もあるじゃろう…………申し訳が立たない。」
完全にお手上げ。
ここにいる全員が、唯一の容疑者の犯罪を、証明できない歯痒さを噛み締めていた。
この男、一人を除いて。
「いや……………この調査は、無意味なんかじゃ無い。」
「照井さん………?」
「これでようやく、真犯人がわかった。」
街灯だけが暗く照らす公園の一角。
1人の少女が、ぼんやりと夜の景色を眺めていた。
そんな少女の元に、赤いレザージャケットを着た男と治安官のベストを着た女が近寄る。
「……………………」
「
「………………そうですけど。」
「俺はルミナスクエア署の照井という者だ。君に、殺人の容疑が掛けられている。署までご同行願おう。」
「ちょっ、照井さん!そんな直球な……………!」
「ふふっ、いいの。お姉さん。ねぇ、照井さん。私みたいな女の子が殺人の容疑をかけれてるってことは、それなりの理由があるんだよね?」
「あぁ。みなまで言わなくとも、そこのアパートで起こった殺人事件のことだ。」
「それで、あなたの推理は?」
そして照井は、自分の推理を語り始めた。
「まず君は、どこかのタイミングで星宇氏が三股をかけていると思った。君の調書からは、星宇氏への明確な恋情が感じられたからな。そして、それは残り2人の被疑者にも言えることだった。実際、第一の容疑者の松野カエデ氏は表向きに交際していたからな。君はそれを歯痒く思い、彼女らを殺して星宇氏の好意を自分だけに向けさせたかった。」
「…………………それで?仮に、その推理が正しかったとして。おじさんの部屋は氷漬けになったはずよね?私1人に、そんなことが出来ると?」
「出来るさ。このメモリを使えば、ね。」
照井が胸ポケットからメモリを取り出す。
「君は知ってると思うが、このメモリには特別な力がある。こうしてスイッチを押して、体に浮かび上がったマーカーに差し込めば、怪物になれる。」
「それ、本気で言ってる?」
「試してみようか。」
いつの間にか、明玉の声は震えていた。
「さあ、腕を捲ってくれ。朱鳶。念の為足元も確認しておいて欲しい。」
「わ、わかりました。」
「よし、せーのでいくぞ。せー……………」
「やめて!!」
照井がスイッチを押そうとした直後、明玉は照井の手を握り、スイッチを押す手を止める。
「お願い…………それを押してしまったら、私はまた……………」
涙を流しながら訴える明玉。
照井はメモリから手を離し、朱鳶が彼女を宥める。
「何があったのか、話してくれないか?」
そうして明玉は、ぽつりぽつりと語り始めた。
あれは、2週間ほど前のことでした。
「ただいま〜!ってあれ、叔父さんどうしたのそれ?」
「おぉ明。おかえり。いやー、なかなか珍しいものを仕入れれたんだよ。」
あの日、星宇叔父さんは、知人から珍しいものを貰ったと、そのメモリを私に見せてくれました
マーカーを付ける機械も貰っていたようで、タトゥーのようでかっこいいと語っていたのを覚えています。
そして……………叔父さんは、このメモリを使ってしまったんです。
「な、なんだこれ!姿が変わった…………!?」
「お、叔父さん大丈夫!?」
「あ、あぁ大丈夫だ。でもなんだろう、この漲る力は…………!!」
怪物に変身してしまった叔父さんは、手始めにいろんなものを氷漬けにしてました。
最初は、ただのトンデモな能力だとしか思ってなかったんでしょうけど、次第に叔父さんは狂っていきました。
酷く怒りっぽくなって、周りの物に当たり始め、とうとう私にも当たり始めました。
「おい、頼んだやつと違うやつじゃねぇか。」
「え?あ、ご、ごめんなさい。肉料理ならなんでもいいと思って………………」
「俺は!ハンバーグが食べたい気分だったんだよ!その程度も察せれねぇのかテメェは!」
「うぎッ!?くっ、苦しいよぉ!くびっ………絞めないでぇ……………!」
あの日、私は殺されかけました。
ただ、あの人が食べたかった料理を出せなかっただけで。
だから、とにかく必死で。
「おい!何勝手に触ってやがる!」
マーカーを手につけて、そのメモリを使うって脅したんです。
「そ、それ以上近づかないで!出ないと、私この力を使う!」
「クソガキがぁ!誰のおかげで飯食えてると思ってんだぁ!」
それで、反射でスイッチを押してしまって。
《ICEAGE……………》
その瞬間、私の意識はそのメモリに支配されました。
頭の中を、怒りと憎しみ、そして自分を守ろうとする防衛本能が過剰に働いてたような。
気がつけば私は、あの部屋を氷漬けにしていました。
それからは、自分の犯行を認めようにも、メモリを使った感触が忘れられなくて……………。
頭の中で、必死に理由を考えていました。このメモリを使っていい理由を。
それで、叔父さんを狂わせたのは周りの女のせいだって思い始めて。
「全部、全部私が悪いんです……………欲に負けて、また人を殺そうとしてしまった!さっき、治安官さんに自首してしまえば楽だとも思いました!でも、覚悟ができないんです…………!頭が、脳みそがそのメモリを欲しがっている!今でも、どうやってそのメモリであなた達を砕こうか必死に考えてしまってる!お願い…………助けて!」
それは、1人の少女にできる、最大級の懇願だった。
そして、救いを求める声を、彼らは決して無視したりしない。
「よく頑張った。君のことは、俺たち治安局が責任を持って保護する。よく耐えたな。」
少女を抱きしめ、照井は朱鳶に目配せをする。
事件は、これにて一件落着。
とは、ならなかった。
《CYCLONE!》
一陣の風が照井と明玉を包み、吹き抜けていく。
突風と呼ぶにはあまりにも唐突すぎて、威力が高すぎた。
「な、何だ!」
「いけないわ。その娘は特別な存在なのよ。」
黒い帽子に、夜に似合わないサングラスとロングコート。
「朱鳶…………この子を守れ。」
「はい!照井さんも、お気をつけて!」
朱鳶も警戒体制をとり、背後に明玉を隠す。
「ふふふ、そんなに慌てなくても、私から攻撃はしないわ。」
「どうかな。さっきの突風、あれもメモリだろう。」
「あら、ご明察。中々広い情報網をお持ちのようね。でも…………手元はお留守みたいね。」
そう言うと女は、ポケットからメモリを取り出す。
大きく記された、Iの文字。
「ッ、いつの間に………!!」
「さて、実力の方もお手なみ拝見と行きましょうか。」
「やめろぉぉ!!」
女は無常にもスイッチを押し、メモリを起動させる。
《ICEAGE……………》
「いやぁぁぁぁぁ!!」
女が投げたメモリは明玉の体に浮かんだマーカーに吸い込まれ、明玉の体が変化していく。
「な、何!?」
「まずい………!朱鳶!逃げろ!」
「う………ウガァァァ!!」
彼女の意識はもう殆ど残っておらず、メモリによって増幅させられた欲に支配されてしまっていた。
「そこの娘、このメモリにとぉーっても適合してたみたいなの。悲しみと、恐怖に支配された今なら、昼の強さの比じゃないわ。さあ、どうするの?仮面ライダー。私に構っている場合?」
「……………貴様は必ず逮捕する。首を洗って待っておけ!」
《ACCEL!》
「変……………身!!」
ブルンブルンというエンジン音と共に、照井の姿が、仮面ライダーに変わっていく。
「さあ!振り切るぜ!」
照井は自分が乗ってきたバイクからエンジンブレードを取り出し、明玉ことアイスエイジドーパントに立ち向かう。
「ぐるるぅあぁぁ!!」
「やはり、冷静じゃないな!」
「照井さん!そのまま倒してしまったら……………!」
「ああ。民間人を、危険に晒すわけにはいかん!だから……………」
エンジンブレードを構え、距離を取る照井。
「一撃でカタをつける!!」
《ENGINE!マキシマムドライブ!》
「砕ける音、聞かせてぇぇぇ!!」
「ハァッ!」
エンジンメモリのマキシマムドライブでAの形に切り裂く。
それだけでなく、エンジンメモリをベルトにも刺し込み、バイクモードでマキシマムドライブを発動する。
赤い閃光がアイスエイジドーパントを貫き、アイスエイジドーパントが爆散した。
「て、照井さん!なんてことを…………!!」
「フフフ!そうよ、そうしなければ!彼女の適合係数なら、ツインマキシマムでもしなければ殺せない!」
「そんな……………照井さんが、容疑者を……?」
朱鳶が噴煙の中を見つめてると、明玉をお姫様抱っこした照井が煙の中から出てくる。
「誰が殺すか。容疑者は無事だ。」
「う、ううぅ……………」
爆散した後の煙の中から明玉を抱えた照井が出てくる。
明玉の体からメモリが煙を上げて排出され、砕ける。
「さて……………業務執行妨害、窃盗、そして彼女への殺人教唆と誘拐未遂。諸々署で聞かせてもらうことがある。ご同行願おうか。」
「ふ、フフフフフ!流石ね、仮面ライダー!話では聞いていたけど、これほどまでとは思わなかった!まさか、メモリ使用者からメモリを摘出、破壊までできるなんて!さらには、加速の記憶を流用したエネルギーの保持!ツインマキシマムを使っておきながら、顔色一つ変えないなんて!」
興奮し、身悶えする様子の女。どうやらかなりの変人らしい。
朱鳶が銃を構え、女に近づく。
「あら、それ以上近づいてご覧なさい。3枚に下ろすわよ。」
《CYCLONE!》
音と共に女は禍々しいドーパントメモリを体に刺し込み、ドーパントに変身する。
「今日は見逃してあげるわ。あなたとは、同士にもなれそうだしね?」
「ほざけ。俺は貴様らのような犯罪者には加担しない。」
「さぁ、それはどうかしらね。ハッ!」
突風による竜巻が巻き起こり、ドーパントの体を包む。
「また会いましょう、仮面ライダー!財団Xは、いつでもあなたを歓迎します。」
そう言い残すと、竜巻に乗ってドーパントは消えていった。
「財団X……………貴様らは、一体何を………………」
「照井さん!救急車が来ました!」
「っ、あぁ。今行く。」
数日後、ルミナスクエア署内。
「例の凍結事件の犯人。未成年で結局、精神不良と錯乱による情状酌量で刑罰無しだってよ。」
「えーマジで?あれ連続殺人でしょ?流石に無視は…………」
「いや、4回目の事件は前の連続殺人とは無関係の模倣犯らしい。」
「なんだ、それなら有り得なくも無いか。」
「それに、その事件を解決したのはあの照井班長と本部の朱鳶治安官だってんだからすげぇよな。」
「マジかよ!今をときめくエリート二人じゃねぇか!」
「あの人たちには敵わねぇよなぁ。」
六分街連続凍死事件の話題は、すぐに広まった。
インターノットでも話題に上がり、朱鳶と照井の評価も多くの人に知れ渡ることになった。
しかし、当の本人たちは浮かない顔をしていた。
「ふむ、浮かない顔じゃな。朱鳶よ。」
「先輩。お疲れ様です。」
「先の事件、まだ何か思い当たる節があるのか?」
「いえ、事件自体にはなにも…………ただ今回の事件、私は照井捜査官に頼りきりでした。それが、なんとも不甲斐なくて……………」
「ガイアメモリ、ドーパント、財団X…………我らにとって初めての事ばかりだった。気に病むことはない。次に活かせばよかろう。」
「そう、ですね…………ありがとうございます、先輩。」
青衣に励まされ、少し笑顔を取り戻した朱鳶。
「おっ、朱鳶さんに青衣さんじゃねぇか。まだルミナスクエアに寄ってくれてたとはな。」
「刃治安官。」
「いやー、アンタらが居てくれてホント助かったわ。事件も早期解決したし、前から照井が提唱してたガイアメモリの存在も認知されたしな。」
「我々都市秩序部の方でも情報を共有しておきます。また何かあれば、いつでも連絡してください。」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。ま、新エリー都は狭いからな。またすぐに会えるさ。」
「ええ。次また一緒に仕事ができることを願ってます。」
「おや、もう行くのか。」
照井が人数分のコーヒーを持って現れる。
「おや、コーヒーですか?」
「ああ。最近凝ってしまってな。時間があるなら、一杯どうだ。」
「いただきます。」
「うむ、いただくとしよう。」
コーヒーとチョコレートで少し和むと、朱鳶が照井に切り出す。
「照井さん。ずっと聞けなかったんですが、どうして今回の犯人が明玉氏だと分かったんですか?」
「?理由は報告書にも記載した通りだが。」
「そうではなく。私の推理では、犯人は父親の高浩でした。しかしあなたはその先の真実を見抜いた。何が理由だったんです?」
「そうだな…………これは、あくまで推理だが。俺たちがショッピングモールでアイスエイジドーパントに出会った時があっただろう。あの時、俺たちはドーパンとメモリを持つ高浩を見た。つまり、彼は娘にドーパントメモリを押し付けられ、俺たちに高浩が使ったかのように見せようとしたんだろう。」
「あっ………!確かに、あの時暴れていたのが高浩氏なら、取り調べ室でメモリを起動させたときにマーカーが浮かび上がるはず………!変身を解除した状態で、理由も聞かずにメモリを高浩氏に渡せる関係者は、明玉氏しかいないから………!」
「まぁ、確たる証拠は無かったがな。」
「すごい…………まるで事件の全貌を予見していたようです。」
「まさか。君たちの助けなしでは、成し得なかった。礼を言う、朱鳶。青衣。この先ドーパント関連の犯罪も多く出るだろう。その時は、真っ先に君たちを頼らせてもらうとしよう。」
「是非とも!いつでもご協力しますよ。」
「うむ。照井殿さえよければ、この前の転属の話もすぐに通させてもらおう。」
「まぁ、考えておく。」
仕事のことを話しながらも、皆で照井の淹れたコーヒーに舌鼓を打った。
物々しい機械が連なる謎の空間。
中心には怪しく発光する培養液が満たされた人口カプセルがあり、中には人が浮かんでいた。
「戻ったわよ。ルージュ。」
「あら、おかえりなさいシュバルツ。仮面ライダーには会えたんですの?」
「ええ。確かにあれは、計画に使えそうだわ。」
ルージュ、と呼ばれた女とシュバルツ、と呼ばれた女。
一人は美しい真紅のドレスを可憐に着こなし、もう一人は黒いコートにサングラスと全身黒ずくめだ。
「シュラウが持ち出した《アクセルドライバー》とその関連物…………特に《TRIAL》のメモリは《あの方》復活の鍵となる。」
「ええ。そのためにも、我々は迷える人々に与えましょう。ドーパントという、唯一無二の力を。そして、残りの《T1ガイアメモリ》も集めて………………」
真紅の麗人はカプセルによりかかり、頬擦りする。
その顔は紅潮しており、愛おしそうにトロンした瞳を見せる。
「あぁ…………♡愛おしき我らが王の復活は、もうすぐですわ……………♡」
胸の谷間からガイアメモリを取り出し、軽く口付けをした後にスイッチを押す。
まるで、中の人物に音を聴かせるかのように。
《ETERNAL!》
「せいぜいお役に立ってくださいね………?仮面ライダー。」
新エリー都に、邪な風が吹き込んだ。
いかがだったでしょうか?
一応ラスボスの構想までは立ててあります。書けるか心配……………。
コメント、誤字報告、大変励みになっております。なんとかして完走はしたいので、引き続き応援をよろしくお願いします!
今回のタイトルは原作を意識してちょっと適当になりました。
Iを止めないで→愛、ICEAGE
次回もお楽しみに!
ヒロインは誰にする?
-
リン
-
エレン
-
朱鳶
-
青衣
-
ジェーン
-
その他