「制圧完了、てところだな」
倒れ付したうさぎをヴァルキューレが捕らえているのをスコープ越しに見ながら私は呟く
撃った後に即座に反撃されたのは肝が冷えたが、当たる前に気絶させられてよかった
というか、かなり頭に3回程ぶち当てたのに気絶しなかったのはどうなんだよ
その後白ヘルメットも気付いていたようだし…なんなんだよ…オイ……
『こちらヴァルキューレ、目標の制圧を完了した』
「コピー、これよりそちらに向かう」
パラパラと降り注ぐ雨、時折顔に当たって少し冷たい
俺は少し白い息を吐きながら彼女達の元へと向かったのだった
〇
「…不覚をとった……まさかスナイパーが居るんなんて…」
「連続的な射撃、それなのに正確に私の頭に当てて気絶させるなんて…」
四人の人物が縄で巻かれ、座らせれている
彼女達の周りにはヴァルキューレの生徒たちが逃げないように囲っている
まるで人の檻のようだと彼女は思った
「シャーレが直々に来るとは…貴方も暇人なんですね」
「すごく大きいね(態度が)」
ミヤコが前に立っている大人に対して吐き捨てるように行った
HAHAHAと笑いながら彼は笑顔でそんなことを言う
その笑顔が気に入らなくてミヤコは聞こえるように舌打ちした
「なんでこんな素人なんかに…」
サキは兵法書通りだったのにと文句を言いながら呟いた
自分達は他とは違い、特殊な訓練を受けて育ってきた者達だ
キヴォトスの正義を遂行する為に血反吐を吐きながら進んだ道なのだ
それをぽっと出の、しかもセクハラ副担任に簡単に止められたのだ
戦闘の知識も、銃の使い方も知らなさそうな奴にである
「あぁもう終わりですぅ…このまま私たち豚箱行きなんですぅ…」
「あんたは最初からどこにいたのさ…」
後方支援隊員のモエの指摘がミユに入る
素晴らしい指摘なのだがどうせ言っても信じて貰えないのでモエは言わないことにした
誰が信じるだろうか、戦場において自分と同じようにゴミ箱に入ってた大人に不覚をとったなどと
今思えばゴミ箱をデリバリーのような感じで使っていたような感じがする
元はあそこから移動し各個撃破だったのだろうが…
そう思っていると、今まできっちり並んでいたヴァルキューレの生徒達がバッと敬礼をした
それを見たRabbit小隊は何かが来る、と直感した
「──────────」
"それ"は来た
小さく金属音を鳴らしながら、歩いてきた
時折大きく息を吐き、白い息が空に昇っていく
歩き方と装備類からみてどう見ても素人では無い
明らか戦闘訓練を受けた上でその先を行っているものの動き方だ
彼は縛られている彼女達の前に立ち被っていた緑のフードを取った
「…ッ」
そこには、明らか自分とは次元の違う人間が居た
そこらの副担任や自分達とは生きてきた世界の違う顔だと、彼女達は直感で分かった
「お前らがRabbit小隊か、SRTとかいう学園の」
「そうですが、何か?」
ミヤコの吐き捨てるような口調に鼻で笑いながら彼は言う
「…ふん、エリート気取りが偉そうに
ㅤまだ政府の正規軍の方が骨があったかね…」
「私たちは正義を執行するもの達、自信があって悪いのですか?」
「正義?滅び掛けの正義なんてクソだな、小隊長さんよ」
「…なるほど、そういう事ですか」
「あぁ、言いたいことがお互いあるようだな」
ギロリとミヤコが彼を睨む
それを蔑むような表情で彼は見る
数秒後、彼らは言った
「「
〇
…でだ、俺はその後ミレニアムに行った
理由はアリス、アイツの口調の確認のために来ている
後年相応の価値観を育てて貰うために似た年齢のモモイ達に任せたのだ
『まっかせてよ!私達の感性を舐めないんでよッ!!』
俺は年相応の感性も取って欲しかったからその言葉が有難かった
後輩のような存在ができたアイツらも良かっただろう
セクハラという問題があったが私に対してそこまで嫌悪感が無いのか快く了承してくれたのは嬉しかった…
しかしね、しかしねぇ…
「パンパカパーン!アリスは導きの師と再会しましたー!」
「えっ、導きの師って何…?」
…なんか、口調がレトロゲームみたいになってないか?
「…成程な、レトロゲームを専門にやってたのかお前ら」
「そう!私達はレトロゲームを専門にやってたのさ!」
ゲーム開発部はどうやらレトロゲーム専門だったようである
最近のVRとかSwitch2とかプレステInfinityでは無く…ファミリンコンやゲスボーイとかのレトロゲームだったようである
彼女達の部室をよく見てみれば、成程レトロゲームがかなりある
最近のゲームもあるものの、量では負けている様子
…だが前にちらっと見た時より多いような……賠償金か…
「だからといってこんな口調にはならんだろ…」
「?… ❗アリス、知ってます!」
「やめなってアリス!」
…他にも変なのが付いている気がするし
流石に冗談だよな?…それは置いておいて…
「まさか四六時中レトロゲームやらせたとか…」
「あー…その、夜が明けるまでやってたっぽい…?」
「……」
そうか、そうなのか…
…うん、彼女がアンドロイド、もとい人じゃないから良いんだけどさ
人じゃ無いから人権のない彼女だからいいんだけどさぁ…
…まともな感性育ってる?コレ
「?導きの師よ!何をそんなに悩んでいるのですか?」
「…いや、……うん、なかなか感性は育ったようだな…」
「アリスは勇者です!未来を明るく照らす勇者なのです!」
…眩しい
目の前でスタングレネードが爆発した時よりも眩しい
目を瞑ろうとも問答無用で貫通してくるこの光は一体なんなんだ…?
少なくともこんな無邪気さは俺には存在しなかったな…
「…アリス、まだここにいるか?」
「…はい!私は仲間達とクエストを完了しておりません!
ㅤクエスト完了するまで導きの師の元へは戻れませんので…」
「…ところでそのクエストは誰から頂いたのかな?」
私は会話のやりくりが全く変わっていないことにため息をついた
…いや変わったには変わったよ、少しだけ
どちみちにしろコイツと喋るの違和感感じるよ…
それはそれとしてどんなクエストだそれ
「大魔王ユウカを倒すクエストです!素晴らしいゲームを作ってゲーム開発部を有名にするんです!」
「…そうか、頑張れよ…勇者アリス、私はその先で待っているからな」
「…!はい!アリス、導きの師までたどり着きます!」
…待ってるよ、アリス
お前がまともな感性に戻ってくれたらいいんだがなぁ…
…戻らんか