「……はぁ」
溜息をつきながら、私は煙草を咥える
なぜだかキヴォトスに来る前とストレスが変わらないと思いながら火をつける
この機内で煙草を吸うのはアレだが、気にする必要も無いだろう
……現在、ミレニアムからVTOL機を借りてアビドスに向かっている
このVTOLはエンジニア部が作ったそうで、無人なのだ
凄い、キヴォトスってすっごい技術進んでるんだね
…んで、アビドスへの会談は午後からなので午前中にミレニアムの用事を終わらせたのである
それのせいでもう彼のメンタルはボロボロ(来た時からそう)である
もうなんか嫌である、どうして俺が先生になってんだよ
え?ミレニアムの用事がなにか?
ケツピン語録副担任によるセクハラですが?
野郎ゲーム開発部という奴ら以外にも手を出しやがったらしい
そのせいで私はもう……w(乾いた笑い)、なんか疲れちったよ
「テメェは放し飼いが趣味かよ?」とチビメイドに言われた時は思わず笑いそうになった
こっちから願い下げだわあんな奴の放し飼いとか
一応、人手が1人増えたことには感謝してる
ただ心慰めに行った場所に全裸の女の子が鎮座しているとは思わなん──────────
瞬間、VTOLの壁が爆ぜた
「何の光ィ!?」
『敵からの攻撃!ブレイク!ブレイ─────』
人工知能叫びながら操縦するが途中でそれは途絶える
コックピットの方を見れば展開してあったホログラムは消えている
……おい!?マジかよ!?
「畜生どこのどいつだクソがぁ……!」
揺れる機内を移動しコックピットにたどり着く
現在地はアビドス高等学校が見えるくらいの地点!
どこから撃たれたか不明!\(^o^)/オワタ!
内心神に祈りながら操縦桿を握る
ヘリならやったことがあるがVTOL、しかも最新技術なんてやったことねぇよクソが!!
心の中で叫びながら操縦桿を思い切り引き上げる
機首が僅かに上がるがそれでも無理だ
超スピードで前に突っ込んで行っちまってる!
ふと、表示された計器を見てみた
なんということでしょう、右エンジンをご覧下さい
真っ赤どころか真っ黒に染まっているではありませんか
エンジンとかそういう話以前に機体が真っ赤である
なんてこった、もう助からないぞ
「……クソがぁぁぁあああ!!!」
操縦桿をかちあげるが機首は上がらない
そのまま彼とVTOLは仲良くアビドス高等学校の庭に突き刺さったのであった
○
「……」
「社長がまたあの顔してる」
「そりゃそうでしょー、まさかこうなるとは思っていなかったんでしょ」
……やってしまった
陸八魔アルは思わずそう思ってしまった
あのジェット機を落としたのには相応の理由がある
ウチの社員がセクハラを受けたという理由があるのだ
しかし、それは賠償しに来る彼は関係あるのか?
怒りのあまり撃ち落としてしまったが、今から来る先生には非があるのか?
そして何より、ここで死んでしまったら───────
「あ、出てきた……!?」
「……っは!そ、そうよね!アイツらの仲間なら変に耐久あるわよね!」
カヨコの小さな呟きを聞きハッとして墜落したVTOLに目を移す
横のアビドス生達が凄い眼光でこちらを睨んでいる気がするが気にしない気にしない
どうせ今から来る彼がどうにかしてくれ……
そう思って彼を見てみた
血塗れだった
「…!…!」
「ちょっちょっ!?アルちゃん!?どーすんのアレ!?」
「えっいや!?わ、わたしそんなつもりで撃ち落とした気じゃ……」
彼女達は理解していない
彼……基先生方の耐久力は生徒達程頑丈では無い
まるで格好つけるように撃ち落とされても、生身の人間からすれば死んでもおかしくないのである
だからこそ彼は血塗れなのだが……
校庭にまばらに存在している遮蔽物に入り込んでいく彼
それをなぞるように血が後をつけていく
「…を……うち……たな!?」
「ちょ!なんか言ってる……」
「み、皆!兎も角助けに──────────」
アルの声に硬直していた皆が反応し彼に近寄ろうとする
「やっ」
「…へっ?」
声がした
アルは驚いて前を見る
アルの鼻に触れそうな距離に、「小鳥遊ホシノ」が立っていた
その身には防弾チョッキ等の重装備を着込んでいる
「えっ!?え!?」
「私が……2人?」
思わず後ろにいるはずのホシノを見るアル
そこには重装備じゃないホシノが居た
「ん、弱シロコ」
「ん"!?」
そんな混乱をしている内に、彼女が顔面をストックと盾でぶん殴られた
とても痛かったです
○
「…………」
頭が痛い、視界が歪む
眠りそうになる意識をなんとか振り払いながら視界を確保する
コックピットに座り込むような体勢になっている、目の前には潰れた機首がある
アビドスの校庭に突っ込んだ?そういう事か
付けてもいないシートベルトを外して這うように機体から出る
横の扉は自動で開いていた、蒸し焼きにならないようにするための配慮だろうか
エンジニア部達の奴らが俺に対して怒りをぶつけなくて良かった
……いやあの子たちは被害を受けていないのだが
懐からシッテムの箱を起動
画面に心配するような顔をした「アロナ」が現れる
水色の制服が可愛いね、なんで守ってくれなかったの?
「あ"ぁ"……クソッ、アロナ何やってんだこの野郎!!!」
『先生が電源切っているからバリアを貼れなかったんです!!!先生のせいです!!!』
「ごめんなさい」
そうか、そりゃ私のせいだ
しかし自動的に発動しないそっちも悪いんだぞアロナ
「クソが……兎も角医療キットを……グボッ」
『先生!?大丈夫ですか!?』
血反吐を吐いた
中に血の塊が見える、……くそ、重症だ
そう思っているとホログラムが現れ、医療キットが実体化される
シッテムの箱の便利機能、ものを生成出来る機能である
ホログラムの3Dプリンターとでも言うべきか
しかもプラスチックオンリーではなくちゃんと使えるというキヴォトスクオリティ、凄い
まず最初に鎮痛剤を飲み、包帯を卷く
本当なら本格的な処理をしたいがこの程度しか出来ることは無い
荒い息を吐きながら、悪態をつく
彼の耳には、銃声が響いていた
彼の目には、黒い煙が、爆発が見えていた
「畜生やってやる……!やってやるぞ……!
ㅤアロナァ!FAL寄越せ!部隊も総動員してやる……!」
『ッ!?カードを使うんですか!?そんなことしたら先生の体が……!』
「るっせぇ!殺される前に殺してやる!」
アロナを黙らせ、カスタムFALを手に取る
そのまま流れるように胸元に入った光るカードを当たり前のように使用する
……それは、先生が生徒に使うべきでは無い力
先生が生徒が向けるものではない力
それを、解放する
「シロコ*テラー!ホシノ!アイツらを上から叩け!
ㅤノノミ!ワカ「お呼びしましたか?」本人が来るな帰れ!「ハァイ…」……ワカモ!行くぞ!」
「おっけー」「ん、分かった」「分かりました〜」「はい、貴方様」
ホシノが飛び上がり、屋上に上がる
追随するようにシロコ*テラーが追いかけ屋上で戦闘が始まる
その間に三人は銃を構えながら構内に入り込んだ
作戦内容は簡単な話、挟み撃ちである
上からホシノ(臨戦)とシロコ*テラーによる攻撃により校舎内に敵を押し込む
そして押し込んだところと後ろからズドンという訳である
『クっ!なんなのアイツら!?』
『つ、強い……!?』
しかもシッテムの箱により位置もバレバレだ
こちらは相手の行き場所を知れる上に待ち伏せが出来る
未だ屋上で戦っているようだが、いつしかこちらに来るのは確定だ
……ん?
「…そこの部屋に突入、中に一人いる」
「分かりました〜☆」「はい」
シッテムの箱を仕舞い、彼女達の後方に立つ
「対策委員会」と札がある部屋だ、言った通り中に一人いる
ハンドサインを交わし、タイミングを……合わせる
ゴー
「……」「えっ!?……うっ!?」
扉を蹴り開け、そのまま突入
中には赤い眼鏡を掛けた子が一人だけいた
こちらに気付いた瞬間にワカモが彼女を蹴り上げ、そのまま締め上げた
恐らく何をされたか分からない内に気絶しただろう
「クリア、移動する」
シッテムの箱を確認、周りに敵反応無し
あるのは……屋上のみだ、まだやり合っているらしい
今のうちに待ち伏せの場所に移動しよう
「…上からここに来るルートはここだけだ、待機」
「はーい☆」「分かりました」
即席バリケードを作成、そして目の前に先程のメガネ娘を置いた
意味はあるしこれがどのような効果を発するか分かる
特にこれが奴らの味方であるのならば
『っく……!撤退!中に入って相手するよ!』
『……っ、アルは置いていくか……!』
なーんて、言ってると来たか
そう思いながらFALを障害物に沿うように構える
既に蜂の巣にする用意はできている
……来た
「…!?待ち伏───────」
「10-5ダウン」
真っ先に階段に降りてきた黒髪猫耳の顔面にFALカスタムを叩き込み黙らせる
それに続くように大量に奴らが降りて……いや、大量じゃないが……
「射撃開始」
「は〜い☆」
「えっノノミちゃ」
何かを言おうとしたピンク髪のやつごとノノミのガトリングがなぎ倒していく
何人もやられていくが、数人それから逃げているようである
それを逃さないのがワカモと俺の仕事である
「……」
「眼鏡ちゃんを盾に!?なん───────」
黙らせる
そうしてその場にいた奴を全員黙らせたのであった
……あれ?俺なにしに来たんだっけ?
先生らしくない先生ですが、先生です
……というかゲーム内の先生が聖人すぎるだけで普通はこう
特に前職とか関わってくるともう、ね