ズイズイ進んでいく
市街地には多連装ミサイル砲や迫撃砲等のおおよそ市街地の雰囲気に似合わ無いものが放棄されている
放棄されている、と言っても使おうと思えば全然使えそうな見た目をしておりアリウス自治区の異常性をこれでもかと表している
「…ちょっと待って、誰かいる」
「…歩哨じゃない、ユスティナ聖徒会だ」
そして、使えないはずのユスティナ聖徒会がそこに居た
エデン条約が取り消された以上使役が不可能なハズの存在が…歩哨として歩いている
「…アリウス自治区は複製の能力を確保している…?」
どんどんと、確証が固まっていく
彼女達に課せられた任務の、本当の意味が明らかになっていく
「複製は、1度でも成功させればいい」
「…つまり私達の本来の任務は『姫を古聖堂に連れて行って複製を発動させる事』だけだった…?」
彼女に課せられた任務
それは、複製の能力を確保すること
それに気づいた時には、遅かった
大人が、現れる
「ここは私の支配下にある領地
ㅤ皆さんの位置や目的地などとうに分かって──────」
現れたベアトリーチェのホログラムに対して銃弾が放たれる
撃った人物は他でもない…先生だ
彼は鬼気迫るといった顔でベアトリーチェを睨んでいた
「黙れ、このクソ野郎が」
「…大層な挨拶ですね、フレッド・リー」
彼はFALを構えたまま警戒の動きを解かない
この場に彼女本人が居たならば直ぐにカードを使い、殺す動きに入っていただろう
「お前の手口なんて知ってるし、やることも知ってる……アツコを返してもらおうか」
「くくくっ…それは、私が貴方の子供の頃の大人に似ているからですか…?」
ベアトリーチェの言葉に彼は答えない
代わりに無言の弾丸をユスティナ聖徒会に対して叩き込む
不意打ちの弾丸を食らった彼女達はバタバタと倒れていった
彼はギリ、と歯を軋ませながら言う
「お前を殺す、一本の骨も残らないくらい、塵に返してやる」
「ふふふ…バシリカにてお待ちしておりますよ?先生」
子供達は、鬼神のようなオーラを放つ彼に怯えていた
〇
「ようやく…会えたな、ベアトリーチェ」
「先生、歯が…」
折れた奥歯を吐き出して彼は言う
戦闘の余波で一本ダメになってしまったが気にする事はない
口の端から垂れる血を拭い、アサルトライフルを構える
絶えずユスティナ聖徒会と戦闘してきたスクワッドと彼は疲弊していた
が、彼にとってそれは些細な問題である
「お待ちしておりました、先生…私の敵対者よ」
ようやく会えた、こいつに…全ての元凶に
彼は今すぐにでも引き金を引きそうになるのを堪えて無線を操作する
発声は彼女に聞かれる為モールス信号にて送信する
「遅かったですね…既に儀式は進行しています」
「…っ!」
「ロイヤルブラッドの神秘を搾取し…キヴォトス外から到来する力を借りて私はより高位のものへと昇華しています」
彼女の大層な言葉の裏で、計画が進行していく
勝ちを確信した敗者の前で彼は冷静に怒りを爆発させないように動く
銃を構えたまま、撃たないように…必死に指を制御しながら
「……私たちはこの世界を通じて各自が望むことを追求しています
ㅤあなただって…同じ、何にでも成ることができるし、全てを織ることができる」
頭の痛い、頭痛の痛む話だ(?)
彼にとってどうでもいいことを永遠と垂れ流している
まるで"他の誰かに言い聞かせている"みたいだ、気持ち悪いやつ
長い長い、彼女の演説はそろそろ終わろうとしている
「────────あなたなら分かるでしょう?この価値を
ㅤ全ての生徒を審判することも救うこともできる貴方なら…!」
「悪いが時間だし、その価値に興味は無い」
「…は?」
彼は、バッサリと彼女の言葉を切った
瞬間天井が吹き飛び、瓦礫がゴロゴロと落ちてくる
「ゴーゴーゴー!」
「突入する!」
爆炎と共に降りてきたのは───────Rabbit小隊
オタク野郎によるSRTのシャーレ編入が上手くいったようだ
「俺は、審判者じゃない。誰かを裁く権利はない」
壁が吹き飛ぶ、またしても違う生徒が現れる
「行くよ〜みんな〜」
「借金の借りをここで返して上げるわ!」
「ん、ツケはこれで終わり」
アビドス…あ、覆面水着団か…あの後帰らずに待機していたようだ
帰っても良かったのだが…まあ、ありがたいってところか
因みにあれが結成されたのはシロコのおかげだとか
何でもアビドスだとバレずに介入する理由を探した結果が…
んでもって何故かリーダーはヒフミ、意味がわからない
そして、それの後ろに…とある姿を見た
「"僕は救済者ではない。この世界の苦痛を消し去ることは出来ない"」
優しげなバリトンボイスで、彼は言った
正義実現委員会を連れてバシリカになだれ込む
彼の左腕に付けられた、ミレニアム製のバイオアームが鈍く光る
深紅の色をしたそれは彼の深く燃える意志を体現したかのような光を放っている
そしてまた、違う生徒が現れる
「風紀を乱すものは全員牢屋送りだ!」
「はぁ…めんどくさい」
風紀委員会、ゲヘナの奴らだ
彼女達には勿論参戦してもらった
あちらも異議なしである、なんでだろうね?
「拙者は絶対者では無い。この世界の罪悪を無くすことは出来ない」
ここに、シャーレの総戦力が集まる
「いつの間、に…!?」
「最初からだ、…とはいえここに全員集合とは思わなんだ…」
「"君はそうでもしないと無茶するでしょ"」
「そうでござる、既に奥歯が一本折れてるようでござるが…」
元の作戦は、挟み撃ち
ベアトリーチェとの戦闘中に聖女バルバラを抑えているミカを援護してくれる程度で良かった
それだと言うのに…ゲヘナ、トリニティの二校舎が協力してここにいる
いがみ合っていた両者が…団結してシャーレを助けてくれている
「…先生、これでも分かったんじゃないかな」
ピンク色のバラクラバを身につけた生徒がいった
青と黄色のオッドアイがフレッドを見ている
その目に、体型に見覚えがある彼は彼女の言葉を静かに聞いていた
「貴方は…貴方達は、貴方が思っている以上に…信頼されているんだよ」
「…!ふざけるな!こんな暴挙があっていいはずがない……!」
それを否定できない哀れな大人が1人
彼女は目の前に対する光景に対して拒絶をし、高位に至る
その体は醜く代わり、腕は枝のように伸びていく
その様子を見て、彼はハッと鼻で笑った
「ようやく中身に合う見た目になったな、化け物が」
「"…それが、正体なんだね…ベアトリーチェ"」
「さっさと終わらせてエンディングに直行でござるよ〜」
各々が、カードを構える
存在意義の違う、それぞれの"意味"を持ったカードを
凄まじい、青い光がカードから放たれる
「お前らは手を出すな…これは、俺の戦いだ」
「"僕の戦いでもある、私は…個人的に君が嫌いでね"」
「拙者も…お前のことは大嫌いでござるよ」
全て、終わった
やることを終え…SRTも編入した彼らに平和が戻った
結局ベアトリーチェは殺せなかった
撃った、黒服達に連れ去られる前に確かに撃ったのだ
なんのミスかそれが逸れてしまい…私は彼女を殺せなかった
しかしまぁ、それで良かったのだと思う
殺人が禁止されているキヴォトスで…また、人を殺すことになるなどと…
いや、どうだろう
ベアトリーチェは高位に至って…もはや人のそれでは無かった
そもそも見た目からして人では…まぁ、いいか
「先生!まぁた変なロボットにお金を費やしましたね!?」
…こんな、平和な日々が続けばいいのに───────
そんな心を裏切るかのように…空が、赤く染った