疲れたよ、隠居するね皆   作:回忌

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虚空に飲まれる

「…あっかい空だな」

 

シャーレの屋上にて、俺は呟いた

先程まで真っ青で美しい空は一瞬にして世界の終わりのような赤い空へと変わっていた

あの煙ひとつない、美しい空が俺は好きだったというのに

 

「……クックック、余裕なのですね貴方は」

「ふむ、キヴォトスに来て妙なことには慣れたというべきだろうな」

 

いつの間にか現れた黒服を横目に俺はそんなことを言った

服装を「アウトフィット」からシャーレの白い制服へと着替え、「先生」として俺は立っていた

 

「にしても酷い姿だな」

「あなたも本質は似たようなものでしょうに」

「あぁ、俺もお前ももう人の道には戻れまい

ㅤ実験で何人殺した?10か?それとも50?…それ以上か?」

「ふむ…神秘の実験に数人程?」

「嘘をつくなよ……で、なんの要件だ」

 

軽い会話を交わした後、俺たちは本題に入ることにした

冗談とも本音とも捉えられるソレはいつの間にか前座として捨て置かれた

 

「──ゲマトリアは壊滅しました、フレッドさん

「色彩」が…遂に到来してしまったのです、いや…侵略でしょうか?」

「ベアトリーチェの儀式か…余計な置き土産をしてくれたな」

 

吐き捨てるように俺は言う

あの女は面倒事しか運んでこないし、やることもなすことも生徒たちに害をなす

また、その置き土産が俺たちに牙を向いているのである

 

「…「色彩」はキヴォトスのありとあらゆる神秘と恐怖、そして祟高の概念を吸収し自らのものにしようとしています…

ㅤ既にアレは狼の神と接触し、反転した彼女は自身の本質が赴くままにこの世界に終焉をもたらすことでしょう」

「狼の神…シロコか」

 

大量の不在着信の中に、シロコが居なくなったというメッセージがあった

ホシノから…というよりアビドスの全員から送られてきていた

そして黒服の会話から察するに…「色彩」とやらはシロコを攫ったようである

 

「まさか自ら行動に出るとは…意志などないと判断していたのですがそうではなかったようです」

 

後悔するように、嘆くように黒服は言う

俺はそれを沈黙しながら聞きタバコに火をつけていた

鈍い味がするそれに目を細めながらも、話を聞く

 

「そして、あの六つの塔は「名も無き神」が築き上げた技術の1つ

ㅤアレが「色彩」の光を世界中に伝播させキヴォトスに存在する全ての神秘を恐怖へと反転させるでしょう

 

ㅤ───あの、狼の神のように」

 

「………?」

 

会話の中に、僅かな違和感を感じた

喉に小骨がつっかかるような僅かな違和感

しかしそれに気づく前に彼は話を進めていた

 

「我々の"秘儀"と"検証結果"は全て奪われてしまった

ㅤデカマグラトンのパス、複製の秘儀、「聖徒の交わり」、ライブラリー・オブ・ロア

ㅤこれら全てを手にした「色彩の嚮導者」は…貴方と敵対することになる」

「…"色彩の嚮導者"?」

 

聞き慣れぬ単語に俺はおもわず聞き直す

黒服は少し黙った後に、その名を言った

 

 

「───その名を"プレナパテス"」

 

 

プレナパテス

 

それが、今回の敵であり…この騒動の元凶的な存在

俺はそれを聞いてタバコを屋上から投げ捨てた

 

「…アロナ、シャーレからの緊急声明だ」

『は、はい!なんと言えばいいでしょうか!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「各自治区の生徒は、黒い塔の付近には近寄らず直ぐに避難してください、ってな」

 

やることは変わらない

世界の危機であるならば、世界を救ってやろう

過去に救えなかった命を救うように、この世界のみんなを守るのだ

 

そう決意を固め…"大人のカード"を取り出した

 

 

それを見た黒服が、厳かに言った

 

「…1つ、忠告をしましょう」

「なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ステージⅡです、フレッド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…親切になったな、お前」

「あなたの過去を見て…少し同情してしまっているだけです」

 

少しの同様もなく、俺はそう返した

分かっている…彼が何を言おうとしているのか俺には分かっている

 

しかし、他に道があるというのか?

子供たちに戦闘を任せっきりにするのは、本当に大人と言えるのか?

全てに対して寛容なのは本当に大人と言えるのだろうか?

 

そうした、心持ちがあるからで…

 

 

 

 

 

 

もう既に、体も心も…

 

 

 

「警告しますが、このまま行けば貴方は…ふむ、タイトル通りの行動をした後10年もせずに…」

「分かってる、そこまで分かってるさ」

「…これはあなたの"友"…いや、"競争相手"としての忠告ですよ」

 

黒服は、そう言うと霧のように消えて行った

最初から…いなかったかのように彼は消えていた

 

 

 

そこに対して…俺は呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪い、約束破るわ」

 

 

 

「"…皆、シャーレに集まってきてくれてありがとう、まずその事に感謝するよ"」

 

シャーレ会議室にて集まった彼女たちを見て彼は言った

集まった5人、そして連邦生徒会の3人と副担任1人

少ないが彼女達が選ばれたのは理由がある…彼が彼女たちを選ぶとは思わなかったが

 

「"結論から言うけど、我々はあの塔を二週間以内に破壊しなくてはならない"」

「……」

 

背後のモニターに六つの赤い丸が円状に現れる

「虚空のサンクトゥム」だ、このキヴォトスを破壊するエネルギーを持っている

 

「"信じ難いことだけれど、アレには人を狂わせる力がある

ㅤ 誰かがその犠牲になる前に…一刻も早く壊さなくてはならない"」

「ほ、本当なの…?」

『先程エンジニア部から例のタワーを分析してくれまして…

ㅤ彼の言っていることに嘘偽りは無いようです』

 

嘘偽りは無い…なんたって、僕の見聞きした"真実"なのだから

未だに忘れたところがないことに驚きだけれども…この状況ではありがたいのだ

 

「約300時間、二週間後に「色彩」が世界に広まる…早期決着をしなければなりませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界が終わる前に、「虚空のサンクトゥム」を破壊する必要がある、そういうことだ」

「……?誰の声?」

「シンプルな…え?誰ですか?」

 

突然聞こえた渋い声に彼女達は目を見合せた

今まで聞いたことの無い"男性の"声であったからだ

 

「…悲しいな、そんな事を言われるとは」

「………エェッ!?オタク副担任の声ですかコレ!?」

「嘘でしょう?何をどうやったらそんな渋い声が出るんですか?」

 

そのしっぶい声の主は…オタク副担任

しかし今までのへらついてふざけた口調はどこへやら、かれの目はスっと細められていた

 

「あんな"演技"をしてる場合か?」

「あれが…演技……?」

「ともかく、虚空のサンクトゥムを壊さなければならない」

 

彼はだんと机を両手で叩きながら言葉を続ける

 

「アビドス砂漠、D.U.近郊の遊園地、ミレニアム郊外の閉鎖地域、トリニティとゲヘナの境界付近、ミレニアム近郊の新しい都市…そして、D.U.の中心地点」

「この中ですと、D.U.のエネルギー体が1番大きいのでまずは他の5つを破壊するのが先決かと…」

 

『…でしたら良かったのですが…そう簡単なお話でも無いようです』

「ヒマリ先輩…!?」

 

作戦会議中に様々なホログラムが現れて口を挟む

今回現れたのは全知ことヒマリのホログラム

突然現れた先輩の姿を見てユウカは思わず名前を呟いていた

 

『ふふっ…えぇ──…ミレニアムの超天才美少女ハッ「そういういいから早く言え」…ハッハッハ、その声録音しましたからね?

ㅤ後で覚えておくことですよ副担任さん、私は止まりませんからね!』

 

なっがいセリフを言われる前に彼が口を挟む

それに青筋を立てながらコホンとヒマリは咳をした

 

『…まぁ、ぶっちゃけるとアクセスしようとして防衛している存在に阻まれました

ㅤ通常の戦力では太刀打ちできない者共…第3預言者「ビナー」、アミューズドール「シロ&クロ」、「ヒエロニムス」…第4預言者「ケセド」、第8番預言者「ホド」…』

 

様々な名前が出てくる

その名前を副担任2人は知っている、"ゲームの中で戦ったことがある"

自分が戦った訳でも、そこにいた訳でもない…しかし、知っているのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから、自治区の防御や護衛について話した

全ての自治区が…一丸となって協力している

その光景に副担任二人は実物を見れたことに僅かながら興奮していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、当然疑問が1つ……たった一つ出てくる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…先生は、一体どこへ?」

「確かに、一番の重要人物がいませんね」

「副担任さんの発声機能があるとしても問題があるのでは?」

 

 

シャーレの先生、フレッド・リー

未だにこの場に出てこないこの物語の主人公

本来ならもういるはずの彼は…何故かこの場に来なかった

 

 

それに対する答えは、ただ1つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"…狼の相手をすると、モモトークで来ていたよ"」





「…これで、終わり」

地を揺るがす大地の音が響く
既にガラガラとなったブラックマーケットの少し開けた場所
激しい戦闘があったのかそこかしこの建物が凹んでいる、激しいなんてものでは無い


彼と彼女はその小綺麗な広場で向き合っていた。


彼は、血まみれの状態で

彼女は、少し汚れてドレスが破れた状態で

「ああ、クソが…」

べチャリと血の塊が彼の口から吐き出される
苦しそうに悶える彼をゴミでも見るかのように彼女は見ていた

「恨みがあるらしいな、シロコ
ㅤ…いや違う、色彩の手先と言うべきか…このクソ…うぅっ!」

悪態をつく彼に対してハンドガンが三回叩き込まれる
ボディアーマーを着ていた為貫通には至らない…しかし痛い
死ぬほど…いやそもそも既に神秘込みのライフル弾をモロに受けているのだ
そもそも生きていることがおかしい

「慈悲ってもんがねぇのかよ…!」
「怒りに呑まれてあの人を撃ったお前に慈悲なんてない」

カチリ、と右目にハンドガンの銃口が向けられた
背中に回したアサルトライフルを使う必要もないらしい
彼女は無表情でこちらを睨みながらスライドを引く

「シッテムの箱は充電切れ、貴方はカードの反動で動けない」
「……は、ははは…そうだな」

彼女はそう言って引き金に手をかけた




「さよなら」
「あぁッ───」






乾いた銃声が響いた







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CV:おw、拙者の出番でござるディフwww→CV:大塚明夫

みたいな感じ、こんなん誰でもビビる
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