疲れたよ、隠居するね皆   作:回忌

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3話

「……」

「あんな、俺……私とお前達じゃ耐久力が全然違うんだよ

ㅤさっきのも運が良くなければ肉片だったぞオイ」

「ほ、本当に申し訳ないわ……」

 

対策委員会部室

アビドスには多額の借金があり、今にも滅びかけの高校である

…ていうか私が来る前までに良く滅び無かったものだ、うん

 

 

で、私の目の前には縄でグルグル巻にしたアビドス生が居る

後オタク副担任に次いでにセクハラされた便利屋68という奴らである

こいつらに関してはゲヘナの奴ららしい、なんでここにいんの?

……まぁ、いいや

 

「申し訳ないで済んで良かったよ畜生、死ぬところだった…」

 

溜息をつきながら砂まみれのコートの汚れを払う

身につけていたベレー帽も血で汚れてしまった、洗うか買い換えなければな…

もうなんかやることが多くて疲れるよ……うっ

 

「……で、話を続けよう…再確認ウチの副担任がセクハラをしたってことだな?」

「うん、そうだよ……解いてくれない?コレ」

「誘い込んで殺そうとした奴を解放する理由は無い

ㅤ……その補填をこちらの方で考えた」

「そう……(ギロッ)」「ひいっ!?(白目)」

 

え、逆になんで解放されるとでも……

私からすれば話し合いに行こうとした所を撃ち落とされたんだが?

電話での喧嘩腰と言い、殺そうとしているに違いないだろ

昔がそうだった、あの場所に慈悲は無い

 

……尚この勘違いは彼がキヴォトスでは死が禁忌ということを知る時まで続くようである

 

 

 

 

「で、こちらでアビドスの借金を全て返済するって話になってる」

「……は?」

「これに署名すりゃ"シャーレ"がお宅の抱えている借金を払うわけだ」

 

私はそう言いながら書類を出した

何の変哲もない無い契約書である、借金の話だ

さっさと署名して帰って寝たい、もしくは死にたい

 

……等の本人たちは唖然とした顔をしているんだが?

 

「……嘘だよね?」

「確認しろ」

 

少し投げやりになりながら私は言う

その声色に少し不満があるのか目を細めながら書類を確認する

どんだけ確認しても無駄だ、そこには「借金返済肩代わり」の旨がある筈なのだ

 

「本当にいいの?おじさん達とてここまでする気は無いんだけど」

「後々後ろから刺されるのが怖い、早く終わらせて寝たい、以上

ㅤ他になんか質問あるか?小鳥遊ホシノ」

「……先生、一旦寝よ?疲れてるよ貴方」

「隈出来てるお前に言われたくない」

「?…………へー」

 

俺が借金返済を肩代わりする理由は簡単だ

それが最も単純でシャーレへの信頼を取り戻せる(笑)方法だと思ったからである

借金が無けりゃ個人個人にお金を給付したりするんだがね

 

「逆にお前達は他に必要としていることは無いのか」

「……物資の補給が欲しいですね、特に弾薬の」

「心得た、それに関しては……後日配達させておく」

 

先程盾にしたメガネ娘が嫌そうな顔をして言ってきた

確かにお前達弾少なそうだしな、そこに「弾薬は節約!」みたいな張り紙あるし

 

「ん、先生とロードバイク乗りたい」

「初対面に言うことじゃ無い、却下」

「ん、行く、先生多分キヴォトス人レベルで体力ある」

「死にかけてんだぞオイお前」

 

お前はどうしてロードバイクに乗ろうとか言ってくる?

どう考えたら出てくるんだよそういうのがよぉ

…こうして意見を出していくせいか他の奴らも便乗し始める

 

「じ、じゃあ!毎月個人個人にお金の給付を……」

「テメェはシャーレのヒモになりてぇのか?あの野郎のヒモになるようなもんだぞ」

「遠慮しておくわ」

 

「じゃあ、新しいダンベルが欲しいです〜☆」

「ダンベルダンベル……何キロだ?」

「50です!片っぽ50キロ!」

「金渡すから自分で買え、片っぽしか持てんわ」

 

なんか凄い図々しくなってねぇか?

まぁいいか、そういうものだろう子供というのは

勝手にやってろバァァカ!!!

 

そう思っていると、胸を張りながら行ってくる角付き

 

「じゃ!便利屋に活動資金が欲しいわ!」

「確かに、最近お金使いが激しくてすっからかんだしね……社長のせいで」

「そ、そんなことないわよ!?今から貰えるじゃない!?」

「くふふー、アルちゃんいつもの白目〜」

 

どうやら便利屋68の社長は金遣いが荒いようだ

何に使ったか分からないが、どうせ見栄の為に使ったのだろう

私から見て分かるがありゃ悪党の目じゃない、根は真面目な奴の目だ

周りに担ぎ上げられたのかそうでないか知らないが、興味無い

 

 

 

……で

 

 

 

 

 

 

 

「え?嫌だが?」

「「「「……え?」」」」

「嫌だと言ったが?」

「な、なんですってぇええ!?(いつもの)」

 

彼は笑顔で却下した

医療キットから鎮痛剤を取り出し、飲みながら言う

それが一瞬理解出来なかったのか思わず聞き返す便利屋の方々

 

HAHAHA、どうして君達はそんな唖然としている顔をしてるんだい

 

白と黒の髪色をした顔の怖い子が睨むように言ってきた

 

 

「私達、セクハラを貴方のところの副担任に受けたんだけど」

「俺はお宅の社長に殺されかけたんだが?」

「あっ、いや……その、あれは……」

「おい言い訳があるならハッキリ言え、こっちはお前のせいで死にかけたんだ」

 

ギロリと睨んだ後煙草を咥え、着火する

おかしいな、キヴォトスにきて子供達の前だから流石に禁煙しようと思ってたのに出来ねぇ

畜生これも陸八魔アルって奴の仕業かよ

 

「……ええ、そうね、私のせいで貴方は死にかけた」

「そうだ」

「お詫びとして、私達便利屋68は補填を要求しないわ、これでいいわよね?」

「最後の開き直るような言い方は癪だが良いだろう……うん、これで全員か……」

 

はぁーと溜息をつきながらシッテムの箱を操作

……うへっ、副担任のこともうニュースになってら

噂の真相!みたいな感じであるが、それがマジモンの真実だと知ればこいつらどう思うんだろう

 

なんかもう嫌、……嫌ァ

 

 

「畜生なんで俺がこんな目に…

ㅤとっとと終わらせて隠居してぇもんだクソ…」

「……先生って苦労する職なんだね」

「違う、職は苦労するようなもんじゃない

ㅤ毎日のようにクソみたいな書類が来るがそれは問題じゃ……あ、それはそれとしてサインしろ小鳥遊ホシノ」

「…あ、そうだったね」

 

彼女は懐からペンを取り出すと、自分の名前を記入し始めた

流れるように自分の名前を書いて私に対してそれを差し出す

「小鳥遊ホシノ」っと、完璧だなこりゃ

 

「というかおじさんじゃなきゃダメなの?コレ」

「そりゃそうだろ、連邦生徒会から認められてない組織の所属者のサインなんて意味無いからな」

「……えっ?対策委員会って認められてないの?」

 

黒髪猫耳が会話に割り込む

え?逆にお前ら知らずにやってたの?寄せ集め各位がやってるのかと思ったわ

その会話に、メガネ娘が歯がゆそうに言う

 

「…対策委員会は正式な部活じゃない……作る頃には、とっくに生徒会は無くなってたから……」

「初めて知ったんだけど!?」

「だからこそ最後の生徒会員である小鳥遊にサインを貰う必要があるわけだ

ㅤ……言っとくがこの学校には不法者が三人いるのと変わりねぇぞ」

 

私の発言に愕然とする彼女達

もしかして本当にご存知なかった?そりゃ可哀想に

まぁどちみち知ることになるだろうし、良いだろう

 

「…補填追加、対策委員会を正式な組織にして」

「んじゃこっちの書類に…ホシノ、サインしとけ」

「やけに準備が良いんだね、おじさんびっくり〜」

「どうせ言うと思ったから持ってきただけだ」

 

シロコの要求に私は書類を出す

こんだけ書類を出してるとそろそろなんか疑われそうだ

実際ホシノがこんだけ準備してることに疑問を抱いているように見える

 

ま、全部調べて初めて知ったことだからな

最初から全て知っていて放置した訳では無いのである

……というかあの野郎のセクハラ無きゃ関わりねぇんじゃねーの…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……サインを書き終え、校舎から帰ろうとした時ホシノがついてきた

連邦生徒会に連絡して飛んで来るヘリが着陸するまで会話しよう、という話である

 

会話と言ってもほとんど文句だがね、ご友人

 

「……先生は、先生だよ、あの二人と違って」

「そう思ってくれるんなら良い、気持ちが楽になる」

「あの人達がいなければ……いや、野暮な話かな?ははは」

 

どうでもいい会話、文句、愚痴

それがお互いわかっているかのように飛び交う

 

「先生、寝なよ。疲れてるんでしょ?

ㅤノノミちゃんなら多分太もも貸してくれるよ?」

「硬い地面の方がマシだ、寝慣れてるしな」

 

たばこの煙が揺らぐ

紫煙がゆらりゆらりと空へのぼっていく

 

「これからも、苦労するだろうね」

「苦労してきた、午前にもう1人の副担任が馬鹿やったからな」

「…え?もう1人ももしかして……」

「性的な言葉を囁いたりして傷心させた、ハハハッワロタ」

「……先生、私が膝貸してあげよっか?」

「お前より煙草の方が優しい」

「病院より精神科がいいかもね、先生」

 

聞くだけ悲惨、言うだけ惨め

これ程心に良くない文句はあるものか

 

「……そいや、あのセクハラ野郎は?」

「ほら、そこに箱詰めされてるでしょ?」

 

ふと横を見てみればギチギチになったダンボール箱があった

どうやら中にあの馬鹿が入っているようである

中から「せ、拙者この程度の拷問に耐えるでござる!!」と聞こえるような聞こえないような

 

「白ひげ危機一髪でもやるか?」

「やりたいけど、ナイフが無いじゃん」

「お前のショットガンで良いだろ」

「ルール知ってる?」

「え?白ひげをどこまで吹っ飛ばすかだろ?」

「違うよ?」

「E?」

 

クソみたいな会話をしていると、ローター音が聞こえた

見てみれば青と白の色合いをしたヘリがこちらに飛んできている

ようやく迎えが来たらしい

 

「じゃあな小鳥遊、せいぜい潰れないようにな」

「……助けが必要なら言って、一回だけ先生を私たちが助けてあげるよ」

「良いのか?セクハラされたろ?」

「先生には、されてないからさ……はは」

 

思いついたように言うホシノ、疑問に思う私

補填についての話みたいだ、立場が逆になっている気もしないが

にしても一回か……「カード」を使うのを最低一回は抑えられると……ふむ

 

「……その時になったら、モモートークに送ろう」

「期待してないで待ってるよ」

「そりゃよかった」

 

連邦生徒会ヘリが着陸する

中から顔を真っ青をしたリン代行が駆け寄ってくる

……あ、そうか、俺の白コートとベレー帽真っ赤なのか

良くこの状態で会話してたなさっき……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……先生」

「…なんだ?」

 

後ろからの声に振り返らずに聞く

彼女の、静かで、厳かな声

 

 

彼女は、聞く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、昔は……来る前は、()()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は、そう質問した

 

私は鼻で笑いながら、リンの方に歩いて行ったのだった

 

 

 

 

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