それに抗えぬ大人が二人
「数多すぎだろホンマ!」
「弱音言ってるとぶっ飛ばすぞ!!!」
叩き込まれる弾丸の嵐、後砲弾
建物群の中に立てこもり続けてかなり時間が経った
まだまだ弾や砲弾はあり、まだ全然降伏する程度では無い
今現在は中心の一番大きな建物で篭城戦をしているが……
状況は宜しくない
「野砲がやられた!」
「陣地を建て直してもう一個持ってこい!」
偶然あった8.8cm砲を使用しているものの状況は宜しくない
相手が強すぎるというより単純に数が多すぎて対応しきれないのだ
最初の頃はまだ大丈夫だった、まだ懐に入り込まれていなかった
今はもう懐に入り込まれ……それの処理にも追われている
ネズミのようにすばしっこい奴らが獣のように腸を食いちぎろうとしているのだ
皆が私にみたいに強い訳では無い、ボスのように強い訳でもない……
そんなのを理由にする気は無いが押されているのは確かである
「懐に入り込んだネズミ共の処理を急げ!
ㅤ手の空いているヤツらは下を手伝ってやれ!」
「「「了解!」」」
そう言って向かわせるが…しかしそれでも足りないだろう
今はまだいいのだ、風紀委員や正義実現委員会の雑魚共しか居ない今ならば
しかしあまりにここを落とすのにてこづっていれば……自ずと最大戦力達が投入されることだろう
「ケヒャハハハハハハハハハ!!!!」
「オラオラオラァッ!!!」
「早めに終わらせてやる」
そう、今まさにこのキヴォトス中の強者が突っ込んできたようにで────
「───総員退けェッッ!!!」
「どういう「ケヒャッ!」うぐァ!?」
突入してきた1人によって隊員1人が吹き飛ばされる
「畜生気やが「アァっ!?死にてぇのか!?」あがっ」
それを見た機関銃手がサイドアームを向けるものの引き金を引く前にネルになぎ倒される
「来たぞぉおお!来た「うるさい」うぐぁぁああ……」
報告しようとしたやつはLMGで蜂の巣にされてしまった
…部屋にいる人員達じゃこいつらに勝ち目はまず無い
そしてそれぞれが各学園の最高戦力ばっかりだ
特に美甘ネルは不味い
やつの近接戦で勝った奴は誰もいないというのだ
だからこそ約束された勝利、00なのだが…
「あ?何見てやがる」
「きひひひひ…」
「あなたがこの分隊のリーダー?」
そいつらが一気にこちらを睨んできた
睨んでいるのは1人だが、圧は睨みを効かせているのと大差無い
久々に感じた狐坂ワカモのような圧に少し興奮しながら私は言葉を続ける
「……だったらどうする?」
「ぶっ飛ばしてお前から先生の場所を聞いてやるよ」
「キーヒャヒャヒャヒャヒャハァッ!!!」
「早く潰すわ」
1人会話不能だわコレ
どちみちにしろ戦闘の道しか残されていないことにため息をつく
その間にも近接戦最強のネルが殴り掛かるように攻撃を───
来た、キタキタキタキタキタキタ!!!
低い重低音と共に辺りがゆっくりになっていく
極彩色の感覚に身を悶えるかのような快楽に震える
目を閉じ、開けて……ゆったりとした動作で今まさに私の顔面を殴ろうとしているネルの姿が目に入る
殴り掛かろうとした彼女の脇腹や右間接などに攻撃を叩き込み行き先を逸らす
水が耳の中から抜けるかのような音と共に、全てが元に戻る
想定もしていない反撃を受けた彼女は目を見開いてするりと後ろに下がった
そして、殴られた脇腹や関節部を見ながら二ッと笑う
「ハッ、思いのほかやるじゃねぇか」
「君にそう言われて光栄だよ、近接戦最強なんでしょ?」
「確かにそうだが…アタシばかりに構うのもどうかと思うぜ?」
彼女の言葉と共にツルギが躍り出る
ショットガンを低く構え、獣のように接近する
「ケヒャハハハハハハハッッッ!!!」
「遅いね」
「あくびが出るくらい遅い」
私にとって銃弾を超えるスピードとか、音速だとかは意味が無い
ベアトリーチェによる実験の産物である私にはそう言える
時を操り、未来を見通す程の能力がある私にならば
(だからこそ、毎回君を選んだんだよフレッド)
君に着いていくルートならば
ボスと呼べる貴方について行けば何もかもいい最後を辿れるのだ
何度だって私はついて行く、何度だって、何度死んだって。
私はそう笑いながらツルギのショットガンを躱す
そのままAEKの銃口を腹にねじり込むように押し付けて引き金を引く
全弾を叩き込む勢いで撃った、反撃される前に直ぐに私は後ろに下がる
弾丸を全弾受けるとは思わなかったのか、ツルギは笑いながら後方に引き下がる目の前にいる奴がそこらのヘルメット団リーダーとは違う存在だと思っているらしい
「お前…見えてるな…?私たちの攻撃が、全て」
「どうだろうね?何回死んだか覚えてすらない」
「死ぬ…?ヘイローがあるのに死ぬもクソもあるのか」
「そんなことはどうでもいい、さっさとやろう」
会話をブツ切りにし、リロード
その間にも後ろからヒナによるLMGの弾幕が貼られた
あれは痛いんだよな…あまり喰らいたくない代物だ
私はそれを掻い潜りながらネルとツルギの猛攻を凌ぐ
「コイツァ…どうだ!?」
「遅い遅い、止まって見えるね」
「ケェヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
「流石兵器と呼ばれるだけはある、直ぐに再生するのが面倒くさい」
くるりと回避して攻撃
ツルギに当たってもすぐに再生されて意味は無い
ヒナはそもそも今はまだ遠距離からの援護だ
動くのが面倒なのかこちらに来る様子は無い
狙うのは約束された勝利の女神ただ1人、というところか
「まぁ、最初からそうだけど…」
「独り言かァ!?余裕なことだな!」
「実際受け流すことに関しては余裕だね、気を抜いたら死ぬけど」
時が遅くなるというのは強者に対する大きなアドバンテージだ
基本的に彼女達の攻撃は早い、目で追えぬほどの凄まじいスピードで攻撃してくる
暁のホルスがいい例だろう、本当に早すぎてロクでもないわアレ
あんなのに比べりゃ遅い遅い
「そこだ」
「うぐっ!?」
ナイフの一突き
人にしてみれば硬い人差し指で殴られるようなものだが…
鳩尾となればそうはいかないだろう?まだ人間の領域である筈だし
「中々ぁ…アリスとの戦いを思い出すぜ」
「誰?」
「ミレニアムの奴だよ、知らないだろうけどな」
私は彼女の言葉を聞いて、スっととある方向を指さした
「あの光がそう?」
「ん?スーパーノヴァだっけ───」
目の前に立っていたネルは光に呑まれて吹き飛ばされた
もう一歩前に出ていたら私が呑まれるところだった
「ケヒャハハハハ!!!」
「私も前に出よう」
…いやまぁ、だからといって状況は好転しない
ていうかネルが倒れたのを見てヒナが前に出てきてしまった
少しやらかしてしまったようであるが…うーんどうしようこれ
攻撃を受け流しながら無線を起動
フレッド達に通信を送る
「こちらエイジャックス、ツルギとヒナ、ネルと戦闘中
ㅤネルは何とか気絶させたけど…もうそろダメそう」
『コピー、こちらフォレスト。副担任を拘束していると言え』
「…コピー、エイジャックスアウト」
用意周到、完璧なタイミングと言うべきだろうか
私はそう思いながら2人から距離を取り二ッと笑う
急に態度を変えた私に疑問を持ったのか少し銃声が止まった
「…どうした?」
「副担任はこちらで拘束してる、どういう意味か分かる?」
「…なるほど、だから急に笑ったのね…後、ありがとう」
ヒナは納得したように言った
そりゃそうだろと言いたくなるが黙っておく
彼女ははぁと深い溜息をついた、人質を取られたせいだろうか
───にしても
「礼なんて…どうして今なのさ?」
「的が急に止まってくれて嬉しいわ」
「良くないなぁ、そういうのは」
瞬時に向けられた銃口
紫色のオーラが彼女から溢れたかと思いきやそれが銃口に収束し、大量の弾幕を放つ
分かっていたことなので即座に時を遅くしてするりするりと銃弾の間を抜けていく
そのまま飛び上がって瓦礫の上へと立ち止まった
「私もそろそろお役御免、ということで帰らせてもらよー」
「逃がすか──……スモークか」
ツルギが追おうとするものの、白い煙が充満し彼女の行く手を阻む
そもそも、副担任が拘束されている為彼女は追うことを辞めた
スタリ、と廃墟とかした建物群に着地する
そして彼女はゆらりと起きあがって一言
「…アイツ、アリウスだな」
「あの赤いベレー帽をしたリーダー?」
「あぁ、エデン条約の時に見かけた」
「そんな奴とは鉢合わせなかったのだけれど…」
彼女のつぶやきに反応したヒナは会話を交わす
ツルギは奴がエデン条約の時に会場に居たと言った
しかしヒナにそんな記憶は無い、あったことも見た事すらも
「…まぁ、後方で指揮をする役目だったろうから見た私がおかしいのだろうが……」
「───ぁあっ!?クソ気絶してたのかよ!?」
その時、倒れていたネルが跳ねるように起き上がる
落ちていたサブマシンガンを向けるものの既に戦闘が終わっていることを目の前の2人が証明していた
彼女はため息をついてサブマシンガンを下げる
「クッソ今度あったら…」
「それよりも副担任が交戦してやられてるらしい、私達はそちらに早く向かおう」
「マジか…副担任がやられるとなると……」
「フレッド先生しか居ない、間違いなくな」
「…C&Cの奴らもそろそろ来るだろ、残党狩りが終わりそうだ」
「風紀委員もね」「正義実現委員会もだ」
それぞれの目的は決まっている
「フレッドの野郎を連れ帰って…一発殴ってやる」
「…私みたいに仕事が嫌になったのかしら」
「私でも、相談相手にはなれるのか…?」
ブツブツと、それぞれの思ったことを呟きながら廃墟から3人は出るのだった
エイジャックス・ジョーンズ
そこらのヘルメット団のリーダーだった子
ショート黒髪の緑色の瞳、タレ目
上記の名前はフレッドに付けられた偽名であり、過去も全て捨てている
元より技量が高いもののそこにフレッドの特別訓練もあってかなり強くなっている
持ち武器はAEK、使いやすくて気に入っているそうだ
男みたいな名前だけど女であり、元アリウス、処女を知らない巨乳…胸ベルトでめっちゃ強調されている
謎の力…恐らく神秘により時間を遅くすることが出来る
これは自分の知覚のみであり全員が遅くなる訳では無い
本来ならば動きも遅いもののキヴォトス人の反応速度ならチョチョイのちょいである
次で逃走回は多分終わりです
さてさーて、どうなる事やら