疲れたよ、隠居するね皆   作:回忌

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フォレストスクワッド
↓ 汚ぇ絵、アナログなので注意


【挿絵表示】



堕ちた翼

こぽり、こぽり

 

 

水の音が鼓膜を通じて聞こえてくる

母の中にいるような安心感が…いや、冷たくてそうは思えないけど…

寒くて、寒いけれども気持ちよくて……

 

 

 

「────ッ!!!」

 

 

 

自分が溺れかけていることに気づく

もはや思考はぐちゃぐちゃだが、まだ死ぬ訳にはいかないのだ

目を見開き、上下を確認する…逆さまなのか、それともそうでは無いのか

 

下を見てみれば、そこのしれぬ深淵。

上を見てみれば、僅かに月光が見えた

 

「ガボガボガボガボ───!!!」

 

 

死ぬ気で腕と足を動かす

あれほど高い滝から落ちてまだ俺は生きているのだ

奇跡というもの以外他ならない、死ぬ気で生還しなければならない

 

「…はぁっ!はぁはぁ…」

 

そう強く思いながら泳いでいたおかげか、思いのほか直ぐに俺は空気を吸うことが出来た

久方振りに吸った酸素はとても新鮮で気持ちの良いものである

 

沈まないようにうつらうつらしていると、いつの間にやら底に足がつく

幅はそれほど無かったのだろうか?それともいつの間にか流されていただけか…

 

考えようにも頭がぼやけている

 

 

ともかく陸に上がろう、川がかなり冷たい

 

 

 

 

 

「ふう、ふうふうッ……うぅ」

 

這いずるように川から出る

度重なる戦闘のせいでアドレナリンはもう出ない

ごろりと仰向けになる、まだ膝ほどまで川の水がある

 

死に損ねたか?

死ぬ気は無かったが…しかしここで死ぬ訳にもいかないだろう

 

「ッっいてて……」

 

なんとか立ち上がって進もうとするものの体のそこら中が痛い

滝に落とされた時とその後の流された時に何回もぶつかったのだろう

そうじゃなきゃ説明出来ないぜ…畜生

 

そう思ってリグに入れてあるキヴォトス性の鎮痛剤を取り出す

注射器型の即効性のある鎮静剤だ、キャップを外して針を突き刺す

 

 

 

 

これで少しはマシになる筈だ

 

 

 

 

 

 

「クソが……」

 

 

体を引き摺って木に背中を預ける

大体の持っていた装備類は滝に落ちる時に紛失している

FALはヒヨリに撃たれた時に落とした…クソっ

ハンドガンや軽い薬品類はあるものの…今後を考えると川に捨てた方が……

 

「…ッうう」

 

鈍い痛み

体を少し動かそうとする度にこれだ

鎮痛剤が本当に効いているのか怪しい所まである

それ程までに俺の体は限界を迎えているのだろう

…使えない体だ、前まではこんな痛みなんてヘッチャラだった

 

 

 

若いからだろうか?まぁ気にするほどでも───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───パキリ

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ッ」

 

 

誰か来やがった

俺はそう判断してすぐさまカードを引き抜き力を使う

先程まで痛みが走っていたところが全く痛くなくなる

それどころかリグやアーマーの重ささえ感じなくなる

 

使ってはいけないのは分かってる

 

しかし、……相手によってはそうはいかない

 

「FOX1、現場に到着」

「FOX2、現着」

「FOX3───」

 

FOX小隊だ

牢屋にぶち込んでやったのだが…俺を捕まえる為に出しやがったな?

そこから根無し草になる可能性もあるというのに…いや、SRTならそうはいかんか

 

 

派手に戦闘することは出来ない

してしまえばFOX小隊どころか敵の本部に通達され…俺が捕まる

 

奴らはエリートだ、確かに…奴らは信じたくは無いが…

油断していてはやられるのはこちらの方、そして数で負けている

取り押さえられたりした時点で俺の負けはほぼ確実

そうなればジョーカーを切る他ない

 

「ターゲットの姿は見えない、移動する」

 

敵の構成はスナイパー、ショットガン、サブマシンガン、アサルトライフル…

ポイントマンとしてFOX3の盾持ち野郎が居る、それの援護としてスナイパー、型番バレット82だった筈だ

 

流石に…いや、流石に50口径を叩き込んでくるなどしないはず

死ぬぞ?叩き込まれたら俺死ぬぞ???

 

 

 

 

 

まぁ、良い…昔と違い俺には"最新"の装備がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ステルス迷彩&オクトカム、起動

 

辺りの地形が仕込まれた迷彩にロードされていきどんどん地形そのものへとなっていく

一目見ただけではそこに人がいるとは思えない、暗闇ならば尚更だ

 

"一度"は不意打ちが出来る

その1度で全員を仕留めることは不可能だ、また殺すことも論外

 

 

…まずはスナイパーから終わらせる

 

 

 

 

サプレッサー付きPSG-1を召喚

初弾を装填、チャンバーチェックを行いサーマルの搭載されたスコープを覗き込む

 

鬱蒼とした森の中、スナイパーにとって最高であり最悪の地形だ

隠れるのは容易であり発見を困難を極める…それは敵もまた同じである

 

 

どちらが先に見つけるか…まぁ、言えば双方が鬼であり逃げる者であるかくれんぼである

 

 

尚本来のかくれんぼと根本的に違うのは見つかったらオワタ\(^o^)/式であることである

 

 

 

今現在の俺の立ち位置は川沿いの場所

小隊がまず初めに調査するのは恐らくこの辺り…川沿いを進むことだろう

ミレニアムの計算か何か知らないが、もし居るならばこの辺りと検討を付けたのか?

 

どうでもいい、場所を変えよう

 

 

中腰になり川付近から離脱

そのまま森の中をするすると進んでいく

 

川から離れる直前、敵の装備が見えた

…奴らの装備は本隊と違い舐めているものじゃない…本気だ

見た限りナイトビジョンを装備しているのが見えたし、もしかしたらもっと近未来的な何かを持っているかもしれない

 

だとしたらかなり厄介だ、厄介極まりない

 

地形が分からないのもそれに拍車をかけている

もし敵が把握した上で来ているのならばこちらは相当な不利だ

あ"ぁ"…クソが……

 

 

 

 

 

 

 

 

────ただ、森林戦に慣れているのはどっちかな?

 

キヴォトスにはこういった森林は少ない

少なくともSRTはこういった場所ではなく市街地や閉所での戦闘が多い筈だ

そうだと俺は思いたいのである

 

 

 

その上こうして隠れているが…隠れる必要があるか?

カードがある、使用すれば寿命が縮まる…だからなんだと言うのだ?

 

もとより後10年ほどしか生きられない身、それが9年だろうと5年だろうとあまり代わりは無い

そもそもここに来る前は戦場のど真ん中で寝ていたのだ

…もしかすれば既に死んでいるのかもしれない

 

あぁ、キヴォトスは天国で天使たちは生徒だということか?

だとすれば全員俺を放っておいて欲しいものである、…全く

 

 

 

「さて」

 

 

 

カードを使用

 

昔の仲間達を呼び出し陣形を形成する

 

チリ、とカードから焼けるような匂いがするが気にする程でも無い

やることは簡単なのだ、目の前の邪魔者を倒せばいいだけなのだから……

 

 

SRTが復活した

確かに、シャーレに主導権が渡り世間的には超法的機関の管理下にあることになっている

 

しかし、だからと言ってあのころの生活が戻ってくる訳でもない

そうしてカヤの話に載せられて……ここまで来て……

 

 

 

最後に、"本物"の戦闘指揮を見せられて敗北した

彼による指揮を受けた後輩達の動きはタクティカル、憧れていた軍人そのもの

私たちの今までが霞んで見えるほどの連携に的確な行動

…後輩達とは思えないほどの動きで…一種の嫉妬を覚えてしまう位だった

 

私達がお前達だったら、その人の指示を受けれたのか

 

 

 

───いや、それは無理だったろう

 

 

 

 

 

 

FOXEATの時が顕著だ

エンジェル24から食料類を全て消し飛ばした…というか無くしたのだ

シャーレの扉を叩いて誰も居ない、空腹を紛らわせるために仕事でもしているのか…

そう思ってニコが扉を開けた瞬間シャーレの扉が爆ぜた

 

 

吹き飛んだニコに2人が唖然としているとするりと扉から出てきて2人を制圧したのである

まずオトギからスナイパーライフルを奪い、そのまま顔面に顔面を叩きつけて気絶

そこから流れるように銃口をクルミの顔面に向けて五回連射

 

…文にしてみるとなんと無慈悲なものか

 

その後に無造作にほっぽり出して要件を聞いた後ぽーいと捨てられたそう

敵に対する慈悲が欠片すらない、…外の世界を生きてきた軍人なら当たり前か─────

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、耳が僅かに異音を捉える

何かが飛んでいく音、木の葉を貫通していく音……

 

「…ッ!FOX4!応答しろ!」

『………』

「FOX4!…ッ!やられた…!?ナイトビジョンもあるのに…!」

 

通信の応答は無い

さっき聞こえた音はサプレッサーによる狙撃音か…!

にしても相手は丸腰ではなかったのか?聞いたところではFALを落としているらしいのだが…

 

そうとは思えない、どういうことだ…?

 

「─ううっ!?」

「ぎゃあ!?」

「…なんだ!?」

 

そう考えていると隊員が撃たれた

集中的な攻撃を受けて為す術も無く2人が倒れる

すぐさま銃口を撃たれた方向に向ける

 

 

 

 

 

その先に居たのは、緑のブラクラバを身につけた兵士

緑の戦闘服を着た…フレッドと似た身長をした奴らがいた

カスタムされたM4やFALを構えていたのだ

 

 

「お前ら、もしかして外国から────うがっ!?」

 

 

そいつらに対して銃を向けていると、突然背中から衝撃を受けた

誰かが蹴り飛ばすように、そのまま地面に押し付けるように体重をかけてくる

 

僅かに見えたその体型に私は直ぐにわかった

 

 

一度、矯正局に叩き込んでやった奴───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狐坂ワカ───」

 

 

 

いい切る前に、私は気絶させられた

 




ブラクラバ

アホシロコ…もとい覆面水着団が被ってたアレ
目出し帽とも呼ぶが私個人的にブラクラバと呼んでいる
まぁそこは人によるので注意である
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