「敵小隊の全滅を確認、状況終了」
カードで呼び出した昔の仲間を戻す
昔と同じような的確な射撃を見せてくれる、まぁただの模造品だが
ユキノを蹴り飛ばして気絶させたbeta4がこちらに歩み寄ってくる
あの蹴り方には大分私怨が入っているようであった
まぁ彼女が矯正局にぶち込まれた元凶でもある事だし、それはそうか
「他隊員は?」
「全員捕まりました、貴方を逃した罪で矯正局行きでしょうね」
「どうせ脱獄する、そう指示した」
カードで補修していた所を治していく
包帯だったり外科治療だったり…応急処置でしか無いものの無いよりマシである
「ここはどこだ」
「百鬼夜行の近くです、…最寄りが百鬼夜行というだけですが」
百鬼夜行か、マシな部類だな
終わりかけのアビドスでもいいのだがもし何かしらで俺の噂が広まれば不味い
先生として顔を知られている俺だから、もし噂が立ったら…
ブラックマーケット…というか怪しいところが軒並み"掃除"されることだろう
面倒なものだ、外国に行きたいものの金もなにもかも無くなった
FOX小隊リーダー、ユキノからアサルトライフルを借りる
その他装備品を見てみるものの特にめぼしいものは無い
身分証は何も意味が無いし、オクトカムで変装したとしてそもそもこいつらは矯正局に送られているのが一般の知識だ
使えないものだ、畜生
リグにアサルトライフルのマガジンを入れて立ち上がる
「先程旅人らしきやつが野宿をしているのが見えた、殺して俺の服を着せて川に流す」
「……成程、偽物と…しかしお顔は……」
「どうにかする」
キヴォトスに近いそうなのだが見た目的に遭難者では無かった
焚き火を作っているものが遭難者な訳ないだろう、装備も裕福だった
音を殺して目標に近づく
彼は焚き火の近くに倒木を置き、そのうえでギターのようなものを引いていた
自分が作曲した歌でも歌っているのだろうか?少なくともキヴォトスでは聞いたことが無い
どちらであれ、死ぬことには変わりないのだが
「──むぐっ!?──!?───!…!………」
後ろからサッと飛びかかり、首をへし折る
遠くから撃ち抜いていいもののもしキヴォトスの連中に見つかったら面倒だ
誰かが殺したことになってしまうしもしかしたらソレで言い合いになるかもしれない
だとすれば、滝からの落水による衝撃で死んだと思わせる方が楽だ
「キャンピングにでも来てたのか?こんな所に…」
着ていたものを脱がす
長袖、パーカー…ズボン、一般的な服装だ
キヴォトスじゃ珍しいかもしれないが…ま、気にする程でも無い
顔は───
「まぁ、そうだよな……」
全く違う、似てすらない
自身の顔は欧米系だとか、そういう洋画系の顔なのだがコイツはコリアンな顔だ
少なくともこのままこいつに装備を着せて川に流しても何も意味は無い
…さて、あまりやりたくは無いのだが
「よいせ」
がしりと後頭部を掴んで顔面を手頃な岩に叩きつける
ぐしゃりと鈍い音が響く、血が飛び散る
「…まだ原型がある」
元の人物がわからないくらいに、悲惨な…考えられないくらいグチャグチャに
何度も何度もコイツの顔面を岩に叩きつけて───
「これで…大丈夫か」
髪が黒でよかった、自分の髪が黒色でよかった
地毛で金髪だったりしたらどうしようも無いところだったな…ハハハ
その時は腕の1本でも落としておくか?
そんなifを想像しながら自身の服を着せていく
ワカモは辺りの警戒をしているだろう
通信の取れなくなったFOX小隊を確認しに来るのは間違いな──
「…あークソ、ひと手間加えなきゃいけねぇじゃねぇか」
そこで気付く
我々が戦闘したのは落水した後、俺の生存確認際だ
あの時までは俺の生死はアンノウン、不明だった
しかしこのまま川流しするとFOX小隊と戦闘したのに落水で死んだ遺体が出来てしまう
矛盾、圧倒的矛盾が出来てしまうのだ
…どうしたものか……
──あ、そうだ
ナイフを取り出し、遺体に切り傷をつけていく
大型の動物…そうまるで熊が襲ってきたような傷を与える
所々に痣を作り顔面に大きな切り傷を作る
食いちぎられたように腕も切断しておこう
「………こんなんだったか?覚えてないんだよな…クマに襲われた奴がどうなるか……」
忘れているのは仕方ないのだ、何せ何年も前のことなのだから
子供だましにも程がある、本業が見れば嘘だとすぐ分かるだろう
しかし、相手は子供…しかも死を見たことも無い奴らなのだ
死体を見つけた時点で比べ物にならない鬱が来るだろう
感情に任せてしまえば多少の違和感は気にならなくなる
なんとかなる、本当にそうなのだから
ボコボコになった死体を適当に放置する
自分の戦闘服をボロボロにするのはいたたまれないが、カードで何時でも出せるのだ
そこまで引きずる物でも無い、気にしないでおこう
「ワカモ、行こう」
「百鬼夜行でしょうか?」
「近くじゃそこしかないだろう…後あまり名の知れてない場所の筈だ」
「私のセーフハウスへまず行きましょう、そこで今後の計画を」
「…そうだな、そうしよう」
百鬼夜行、特に記憶が無い地区
覚えているのは百物語のイキリ立ったガキの顔面をひたすら地面に叩きつけたことだろうか
コクリコにドン引きされたが、やつのやった事を考えると当たり前のはずだが…
そういえば、キサキはこの戦闘に参加していないようだ
見た限り山海経の勢力は見られなかった…そう言った余裕がないのか?
まぁいなくて結構ではあるものだが…いても彼女の頭脳が敵になるだけだ
にしても久々にルミのチャーハンが食べたくなってきた
アレ中々に美味しいんだよな…量がとても多いが
百鬼夜行の思い出を探りながら、俺達はセーフハウスへの長い道をズイズイと進んでいくのであった
〇
先生が死んだ
死因は野生動物による襲撃
滝から落水した上に無茶な動きをし、そして逃げようとしたところを熊に襲われて死んだ
遺体は見るも無惨な状態であり、弄ばれたかのような、生きながらに殺されたのが分かる状態だった
───最初に見つけたのはホシノだった
共に彼を散策する時に見つけてしまった
気乗りせず、逃げ切ってくれていればと思っていた時に見つけた彼女
『こんな所に居たんだね』
静かな森に響く伽藍堂な声
今まで聞いたことの無いくらい無機質な声に思わず驚いたものだ
しかしそこでしり込みしていれば教師の名折れ、その場に向かったのだ
さすればあったのは酷い状態の彼の遺体
グチャグチャになった…特に顔面が判別出来ない程酷い遺体
『全くもう、探したんだよ……』
息をしていないそれを抱えて愛おしそうに言う彼女
慎ましさが、悍ましさがありありと溢れたホシノ
あの瞳はゲームで見たことがある、現実でも───
『フレッド先生』
…ゲームではユメ先輩を見つけたスチル、現実ではシロコ*テラーの瞳
なんとも皮肉なことに彼女は昔と似たように大切な存在を失ってしまった
そしてああして大切な人物の遺体を見つけるのは彼女にとって二度目の筈
またしてもテラー化しそうで怖い、こうしてシャーレで仕事している時もアビドスが心配でならない
何回もアヤネにホシノは大丈夫か聞いている
今現在テラー化されたら対処出来るか怪しい
鎮圧は出来るけどそれまでに発生する被害がシャレにならない
もしかしたら今までホシノがテラーになっていないのは奇跡かもしれない
───どうにかして彼女のメンタルを癒す方法を見つけなければな
とはいえどう考えようとも良い案は浮かんでこないものだ…
「失礼するわ、副担任さん」
「おっ^」
仕事を終わらせているとヒナが入室してきた
僕は外していた言語変換装置を首に取りつける
元の世界の映画にあった爆発する首輪みたいな奴だ、顔芸万歳
僕がチョーカーを取り付けると、ヒナは言う
「フレッド先生のことなのだけれど───」
「"確か、遺体は連邦生徒会の所のはずだよね?"」
「ええそう…"本当"の死体が見れるってセナが見に行ったんだけれど………」
彼女は、一旦言葉を区切って言った
「…あれは、フレッド先生じゃない
ㅤ顔すら似ていない…別人、だそうよ」
良かったねホシノ!背負うものが増えたね!
君がユメ先輩を見殺しにして、今度は気絶してたせいで先生までも失っちゃったよ♡
でも君に立ち止まる暇は無いよ!そんな余裕は精神的に無いだろうからね
あそこでユメのことを責められてフレッドが死んで頭おかしくなったホシノがフレッドムーブするのは見てみたい
そのユメ先輩みたいに長い髪を昔みたいにバッサリ切って昔みたいに防弾チョッキ着て形見のFALを使っているのは実に感動を覚える!
ユメ先輩の盾は背中に、右手にeyes of Horus、左手に形見のFAL
うーん、君の武器は故人のものばっかだねぇ!なんでだろうね?ホシノ