平和な1日である
業務に追われず気ままに仕事できるとはなんと素晴らしい事だろうか
客からの注文通りに食べ物を作り、客に出す
それをするだけで簡単に日銭が稼げていく
未だにクレーム等も来ていないせいかかなり楽に過ごせている
やろうと思えばなんとかなるものなのだな…
「そう思うとシャーレは業務詰め込み過ぎだろうよ…」
オムレツを作成しながら呟く
シャーレの仕事は終わらせても終わらせても先の見えないものであり、やり残しがあれば問答無用で積み重なっていく
少し出張した後に戻ってくれば高い高い書類の山を見ることができるのだ
取り敢えず連邦生徒会は自分で業務を削ることを覚えようか
総決算は間違いなく俺の仕事では無いし猫の捜索は便利屋にでも依頼しろ
シャーレは超法的機関であって何でも屋じゃねぇんだぞ!!!
…ふう、取り乱した
俺はご飯を卵で覆いオムレツを完成させる
店内を見渡してみるが、今の所5人くらいの客が居るようである
「客足はぼちぼちだが…」
まぁ不満を垂れる程でも無い
十分生きていける程の銭は稼げているのだから…まぁ文句を言う程終わってる訳じゃない
怖いもの試しか単に食べに来たのか知らないが見知らぬ顔もチラホラ見える
人が増えるのは結構だが、果たしてそれがいい事か…
「…失礼します」
その時、1人の生徒が律儀にも礼をしながら入ってきた
青い羽織のような服に長い白髪、そして百鬼夜行特有の日本銃
…と、特徴を並べて行くもののフレッド自身関わりが無いわけでは無い人物であった
「…ナグサか」
前に見た時より萎れてる?いつもか
元気の無さそうな彼女を見てそう呟く
一体全体何をしに来たのかと警戒するが、それ以前に俺は公的には失踪した身
深く考えなくてもいいだろう
「いらっしゃいませ、ご自由な席へどうぞー」
「…では」
なんかもうどんよりしてんなぁ…
ワカモの接客を静かに受ける彼女を見ながら呟く
彼女はとぼとぼとした足取りで俺の目の前…つまるところカウンター席に座る
俺の調理姿をダイレクトに晒している、少しでも調理ミスすりゃもう恥よ
ていうかナグサ、ある意味いつも通りっぽいが…他の百花繚乱はどうした
キキョウとか…あの紫頭は来てないのか?
1人で?…ストレス解消か?
…もしかして百夜堂は人が多すぎて無理だったとかそういう…
「…すいません……店主さん……」
『どうされましたか』
そう思っていると彼女から声をかけられた
か細い声がいつも以上にか細く聞こえる
こりゃなんか面倒事あったなぁ、と思いながら話を聞いてやる
…これって喫茶店として合ってるよな?
「最近、その…友達、というより仲間達が……その」
『まぁ、落ち着いて…ゆっくりと話した方が楽ですよ』
それっぽい?バーのマスターっぽくない?
確か退役軍人のバーがこんな感じだった気がするんだよな
まぁあまり覚えてないし現役はお呼びじゃねぇと直ぐ蹴飛ばされたし…
「…そうですね、少し落ち着きます…コーヒーお願いします、ブラックで」
『よろこんで』
あ、ワカモオムレツお願いね
という訳でコーヒー豆をなんかそういう機械に入れて作ります
これで簡単にコーヒーが出来るって凄いなぁ、前世じゃ考えもつかねぇ
コーヒーメーカーから抽出されたコーヒーをコップに入れ手渡す
「頂きます─────ニガッ」
なんかストレスデカすぎて入れる素振りも無かった…
ていうか普通に苦いのかよ、砂糖入れろよ
心の中でそうツッこんで居る内にどんどんコーヒーが消えていく
「…ふー、私の愚痴を、少し…聞いてください……あとおかわりを…」
『もちろん、クッキーもどうぞ?』
すっげぇ、コーヒーが一瞬で消えた
あのフレーバーはかなり苦い奴の筈なんだが…あれ俺の選択が甘かったか?
それともストレスで胃に穴が開き、流れ出てるのか…?
なんかもうお労しすぎるので俺はクッキーをオマケした
チョコチップの少し柔らかいヤツである
「ありがとうございます…それで…仲間の話なんですが…」
そこから俺に浴びせされるのは様々な仲間へ対する愚痴
尚その中には無能とかそういう系の愚痴では無くどちらかというと行動に対する愚痴であった
「キキョウが勝手に消えたり…ユカリはなんかもう…レンゲはスケバン達に喧嘩を売りまくってて…」
『…お疲れ様です』
あいつらそんな事やってんの?
取り敢えず被害を受けたスケバン達に合掌である
「どうして…どうして……」
そこからただひたすらに愚痴を受け止めてナグサの接客をしていたのであった
〇
「そこを退け」
さて、それから数日経ったある日…俺は"機内"でそう言った
『誰が退くかよ!死ね!レッドショルダー!』
相手に降参する雰囲気は無く、逆に攻撃してきた
俺は即座にそれをくるりと避け攻撃を開始した
飛んでいく弾丸、迫り来るミサイル
それの間をするりするりと抜けていき動いていく
ターンを活用し相手の攻撃を回避しながら接近していく
「終わらせる」
『うぉおおおお!!!』
相手の懐に突っ込み、コックピットに対してパイルバンカーをぶち込む
その杭は乗っていたパイロット事貫いたようで少し稲妻が迸った後爆散した
「…やれやれ」
……最近のゲームってこんな進化してんだな
ヘッドセットを外しながら俺は呟く
初めてこういった遊戯を楽しむが、存外楽しいものである
しかしまぁ、殆ど現実のようにしか思えない
俺はヘッドセットとカセットを見比べながら呟く
ゲーム名『VRプレイヤー』とソフト名『ロボットブレイカー』
エンジニア部が開発して売り出したゲームである
所謂VRを利用したゲーム機なのであるが完成度がとても高い
制作会社にもよるが少なくともこの『ロボットブレイカー』は楽しい部類だ
まぁ簡単に言えばロボットをカスタムして戦うオンラインゲームだ
カスタムの幅が多くてとても楽しい、ちなみに最初はステルスパイルバンカーを永遠に擦っていた
途中から透明化してんのに的確に当ててくるバカが居るため擦るのを止めたのである
…こうして娯楽を楽しめるくらいには金が溜まりつつある
偶に見かける生徒が来店するも気づかれた様子も無いため気にする程でも無い
生徒達に関してはキヴォトスの状況がテレビ以上にわかる為それなりにありがたい
…そう思っている時であった
「…ん?」
ヘッドセットの方から何か聞こえた
誰かが俺に話しかけているらしい
俺はヘッドセットを被り直し、布団にINする
『聞いているの!?レッドショルダー!』
『モモイ…多分聞いてないよあれ…』
ゲームに帰還して最初に見えたのは緑と桃色の機体が居た
どうやら彼女達が俺に話しかけていたらしい
にしても何用だろうか…
「何の用だ」
『何の用!?この三日間このロボットブレイカーを荒らしに荒らした貴方が言うこと!?』
エッ荒らした?やだなぁステルス迷彩とパイルバンカーを擦ってただけじゃないですかアハハハ
馬鹿かお前よお
『…まぁ、つまるところ苛立ってるの、お姉ちゃんは』
「そうなのか?なんでだ」
『あなたのせいだよー!ぶっ殺す!』
俺が…俺が何をしたっていうんだ…
ため息をつきながら俺は操縦桿を操る
「無駄弾を使うつもりは無い」
駆る機体は「スコープドッグ」、ステルス擦りから変えて今だに変えてない機体である
見た目は緑のドラム缶に手足が生えているような見た目だが、ローラーダッシュとターンピックにより素早く動ける機体構成である
尚使用率は低い、紙以下の装甲だからである
一発でも被弾しそれがもしコックピットに命中したとすればもうそれでお陀仏である
で、相手はそれなりのスピードを持った機体に見える
手に持っているのはアサルトライフル、左手に持つは補助の武器か
…まぁどちらでもいい
「終わらせる」
〇
「あぁぁああ!!!負けたぁぁあ…!!!!」
「一方的だったね、…あ逃げられた」
目の前で一方的に行われた戦闘
機体にある機動性を駆使しモモイの攻撃を掻い潜りマシンガンで反撃
足の負荷限界が来た瞬間ターンピックを用いた右腕のパイルバンカーで仕留められた
「なんなの!?どうしてあのスピードに反応速度がついてけるのさ!?」
「ファンネルに意思があるかのように動かす人よりマシでしょ」
驚くことなかれ、その人はチートを使っていないのである
もうなんかそのゲームに特化してるんやなって…
「ユズでも勝てるの?あのスピードとかさ」
「……勝つことは簡単、それ以前の問題があるかな」
ヘッドセットを外してため息をついているとモモイがとなりに居る部長に対してそう言った
しかし彼女はまた別のことを考えている様子である
「それ以前の問題…?それってどういうこと…?」
ユズは真剣な目でヘッドセットを見つめながら言った
「…声、かな…聞き覚えのあるような声だった気がする」
ネフェ〇ロのパクリだぁ?寝言言ってんじゃねぇ!