『もしもーし』
「…生塩?」
ピコン、とかかってきた電話
休憩の途中であった為俺は特に不快に思うことも無く取った
電話の主に聞き覚えがあり、といってもそれほど関わりの無い人物からの電話であった
『あら、覚えていて下さったんですね…嬉しいです先生』
「生徒のことは一応覚えてる、ミレニアムとはあまり関わりは無いがな…」
ノア個人もそうだが、ミレニアムそのものとも関わりはあまり無い
ゲーム開発部の問題は俺では無く副担任共が解決したし副担任の問題以外に関わりは無い
ユウカとノア位が会った相手だろうか…?あとエンジニア部だ、あそこには良くしてもらってる
『本日は当番として行かせていただきます、メールや終わらせる書類など…お手伝いさせて頂きます』
「本来は俺一人でやる仕事だが…まぁ人手は多い方がいいからな」
シャーレの仕事、ゴミ!クソ!多すぎ!
連邦生徒会長はこれを全部ワンマンでやっていたとかアホなのかよ!?
心の中で愚痴を吐きながら彼女の言葉を聞く
『はい…ところで何か必要なものは?もう少しで着くのですが……』
「エナジードリンク……」
『ダメです♪健康に宜しくありませんよ?コタマさん曰く今週で50本目ということではありませんか』
「ああそう……ちょっと待て今のどういうことだ」
『さぁ?どういうことでしょうね────』
「びしょ濡れじゃないか」
「雨が思ったより酷くて…タオルと少しあちらを貸して頂けませんか?」
「ご自由に」
シャーレに来たノアの姿はびしょ濡れだった
履いているタイツが鈍く輝いているのがわかる
アレキツくないのだろうか、ベルトでピッチリするのはいいのだがああいうのは嫌だな……
「タイツも濡れているのでスリッパお借りしますよ〜」
「あぁ、いいぞ」
休憩時間もちょうど終わっている
今日の分をささっと終わらせてしまおう、副担任達は他学園に出張だし俺がやらなければならない
留守電やらなんやらの確認が忙しいことだ
「猫の捜索…銃の落とし物……怪盗の被害………(クソデカため息)
ㅤワカモ、ノアと俺の分のコーヒー入れといてくれ」
「はい、あなた様」
少し眠い、キーボードを叩く手が少しだけにぶる
良い子は寝ている時間なのだ、つまるところ眠気がする俺は良い子と言うこと(暴論)
とはいえ仕事を終わらせなければ寝れないのでやるしかない
これだから事務仕事は嫌いなんだチクショウ
そう思っていると対面にノアが座った
彼女ははにかみながら資料を手に取る
「すみません…思いのほかタイツが脱げなくて」
「気にするな、それより早く終わらせて寝てしまおう」
「あら、私が来たばかりと言うのに?」
「お前は俺の恋人か?」
「そうかも?───いえ、やめておきましょう」
「なんだそりゃ…」
俺の問いに彼女は答えない
ただ胡散臭い細目の笑みを浮かべるだけである
…この女、どうも苦手だ
心の中で顰めっ面をしながら俺は仕事を終わらせていくのであった
※隠居してぇのに自分から首突っ込むのはおかしいだろってことで少し話を変えました
ふとしたきっかけで見つかる方が整合性があると思います(KONAMI感)
『相変わらず化け物みたいな動きをしやがる』
どうも、最近はゲームが趣味になりつつあるフレッドです
元は先生だった人物がゲームで遊んでていいのかと思うが、もう先生では無いのでオーケー
もう仕事に縛られないと考えると最高だな!
…で、それは置いておこう
今1番の問題は眼科で繰り広げられる戦闘だ
色鮮やかな銃弾が飛び交い、ミサイルが煙を引いて飛んでいく
『な、なんだアレ!当たらないぞ!?』
『弾幕の間をすり抜けて来るなよ!?化け物か!?』
白の塗装と赤のグラデーションが駆け抜けていく
それに追随するように板のようなものが飛んでいき、変則的に動き始めビームを放つ
そいつが外した弾丸は無く、合ってもそれは誘導の為に使われた物
『い、いつの間に───』
『死ぬかよぉ!死ぬかよぉおおお!!』
あっという間に2人は刈り取られ爆散
相手側の圧倒的勝利である
『流石と言ったところか』
誰が言ったか『白い悪魔』、『リアルホワイトグリント』
ゲームの中にいる最強格の動きを再現出来、またコンマ1秒に差し込むことの出来る超人
恐らくあれは人ではなくオートマタが直接コンセントを繋いでいるのだろう
でなければ、フィンファンネルをあのように使いこなせるものか
一度あのフィンファンネルに付け狙われた事がある
ろくでもない思い出だ、あぁ思い出したくもない
俺にそんな、不快なトラウマを与えたのは…
『UZQueen……』
他でもない、ランカートップのUZQUEENである
『さて……』
こうしてただ奴を見ている訳にもいかない
なぜならやつは視線を感知できるのか『そこっ!』という声と共にビームライフルをぶっぱなしてくるからだ
アニメで言うニュータイプはああいうのじゃ無いだろうか?リプレイ映像を何度見したことか
ああいうのはまともに相手してちゃ埒が開かない
このゲームを触って1週間も経っていない初心者がランカーに挑もうなど言語道断である
早いところ離脱してしまおう、そうしよう
『待って……』
そうしてスコープドックの操縦桿を握った瞬間、無線に何か聞こえてきた
俺は何も聞かなかったことにしてローラーダッシュを始動させる
俺は何も見ていない、"こちらに迫り来る白い影"なんて見えてない
『あの…待って下さい……』
『Don't Come near Me!!!』
こっち来んなバカ!ランカーに狙われるとか運がねぇな!?
キュイイインと特徴的な音を鳴らしながら必死で逃げる
このスコープドックの弱点であるデケェローラーダッシュ音、音は作中屈指の良さだがデカすぎで敵にバレやすい
ステータスは改造しなければ平凡である、改造すれば割と化ける
『あの、止まって…』
『来るなよ!』
ああもうあったまきた!(ブチ切れ)
ターンピックを駆使し、90°回転しヘヴィマシンガンを放つ
今回のスコープドックはターボカスタム、いつものスピードが30%増しのカスタムだ
ローラーダッシュ時にブースターを展開するのが特徴である
また、左肩に7連装ミサイルポッドを装備しており火力が高いのである
…まぁ相手が相手な為意味は無いだろう
しかし捕まるのが1番不味い、撹乱用として使い潰してやる
『ッ!…』
こちらのヘヴィマシンガンの銃撃をグルリと回避しそのままエネルギー弾を放ってくる
右左へとターンピックを駆使してそれらを避ける
全てが正確だ、少しの油断命取りとなり得よう
エネルギー弾は破壊力は低いものの連射力が早い
相手が使っているのは威力は十分にありながらも連射力もその武器にとっては必要レベルにはある
3点バースト、もしくはセミオートのみしか撃てないようだがそんなの関係ない
威力が高いにせよ低いにせよ、どうせこの『スコープドック』にとっては四肢破壊の危険性しかないのだから
こいつの装甲信頼性の無さはびっくり飛び越えて乾いた笑いが出る
その柔らかさたるや、ロボ用ハンドガンでもコックピットをぶち抜けば死ぬ可能性があるということ
設定的に生産性を優先した結果装甲が薄くなったようだが、プレイヤーからすれば薄いどころじゃない
何せゲーム内最低火力でさえ2、3発当てれば腕が吹き飛ぶのだ
"最低火力"でそれなのだから最高火力など言うまでもない
して、こちらの使用するヘヴィマシンガンは基本的なマシンガンである
140発の大容量マガジン、一発限りのグレネードランチャーと特徴的なものはこの限りだ
こちらは兵器としてキチンと設計されており壊れることはほとんど無い
弾詰まりも殆どない優秀なマシンガンだ…"物理"であることを除けば
悲しいがこれは実弾兵器、玉落ちや距離威力減衰の少ないエネルギー平気にはどうも分が悪い
実弾兵器のみを持とうものならエネルギー弾に永遠に遠距離からチクチクされるハメに会う
俺の場合、面倒だからそんな輩とは戦わないのだが
『繊細な操作と正確な照準、そしてその本体の反応速度』
彼女がUZQueenたる理由はまさにその反応速度
今まさに実演してるように弾と弾の間をすり抜け的に近づくテクニック
弾幕の安全地帯を見極め、そこに駒を置き変わる安全地帯にまた駒を置く
移動と視認を両立するのだ
『ジッサイ、俺に勝ち目なしって奴なんだよなぁ』
俺は彼女のように反応速度がいい訳でもない
繊細な操作も面倒だ、基本的に感覚で避けている
いちいちそこまで細かくやれるもんでは無いのである
よって今回の戦闘の勝ちはどう逃げれるかである
ログアウトすりゃ1発とか、面白くないことを言うでないアホ
『吹っ飛べ』
『…っ』
7連装ミサイルポッドの内三発を発射する
煙を引きながらヒュルルルと飛んでいく
『抜けられる』
しかし当たり前のようにミサイルを回避して彼女は接近してくる
撹乱にすらなりゃしない、クソゲーかよアレ
『よう抜けようと思うな!』
『物理ミサイルはエネルギーミサイルに比べて誘導性能は低い
ㅤフィンファンネルや屈折弾に比べれば避けやすいもの…』
『お前は避けやすくても、俺は無理なんだわ』
当たり前のように超理論を展開するUZQueenに対して呆れる
やはり生きる次元が違うのだと俺は理解出来る
それが俺を追いかけているの言うのだから恐怖である
『ターンターンターン…そこだな』
『く…』
崩れた建物を盾に動き回りながら相手を翻弄する
的確に姿を確認しそこに弾丸を叩きつける
距離が少し離れていて弾かれることもあるがダメージは確実に蓄積されている
狙い目は「負荷限界」、度重なる攻撃により蓄積されるダメージが限界に達することによって引き起こされる怯み状態
奴の使う機体は回避を前提にしているからか蓄積に対する耐性は殆どない
撹乱し当てれているのがチャンスだ!
何故に、UZQueenの動きが"どんどん鈍く"なっている気がするが気の所為だろう
それを確信して大ダメージを与えに行き、反撃される方がマズイ
そして、その時が来る
『……っ!!』
ガァン!という派手な音と共に奴の機体が膝をつく
チャンス!これ以上無い大ダメージをぶち込み逃げ切るチャンス…!
『終わらせる…!』
接近、ヘヴィマシンガンを連射しながら接近
そのままぐるりと回転し、遠心力を活かしながらアームパンチを…
『フィン、ファンネルッ…!』
『……っ!!』
その時、右側が爆ぜた
一瞬何が起こったのか分からなかった
視界がいきなり開けた、コックピットに大穴が開いている
俺はすぐに何が原因か、そして彼女が何をやったのか瞬時に理解する
『ミサイルポッドにフィンファンネルを撃ったのか…!』
4発残していたミサイル、それに対して彼女はフィンファンネルで攻撃した
結果それが誘爆、爆発したミサイルポッドは右肩とコックピットの右側を吹き飛ばしやがった
『だが、これじゃあ止まらんぞ…!』
怯むが止まる訳には行かない
相手の怯み体勢がそろそろ終わってしまう
ヘヴィマシンガンとミサイルポッドを失った状態で優位を取れるものか
距離を稼ぎ、そのまま白い機体に接近し……
『これで……!』
ぐるりと回転した上で杭打ち機のように作動したアームパンチは白い頭を吹き飛ばす
頭部カメラを失った白い機体は、そのままズシャリと地面に倒れる
余韻を残すように、ガシャンと戻った左腕から黄金色の薬莢が飛び出る
『じゃあな』
頭部カメラがなけりゃ当たりを見ることは不可能
このゲームの摂理だ…スコープドックのような設計だとそうでも無いのだが
まぁいい、やることはやった
俺は自分にそう言って機体をひるがえして離脱を───
『見てないとでも、思いましたか』
『な────』
測る前に、俺は閃光に包まれたのであった
ユズが天パみたいな動きしてますがまぁ誤差だよ誤差