疲れたよ、隠居するね皆   作:回忌

40 / 42
いつの間にかこの作品に64人もの評価者が居られました
久々に見てたまげました、こんな駄作にこんなにも高評価してくれるとは…

今年も良いお年になりますように…


炎にむせる

「クソぉぉぉおお…くっそォォォォォ…」

 

久方振りにこのような悔しい気持ちをかんじた

ゲームとはやはり偉大だな、失った昔の気持ちを思い出させてくれる

 

盛大に舐めて負けた、慢心して負けた

戦場において慢心は死に繋がるというのに日常的に銃弾の飛び交うキヴォトスに居たせいでそれが薄れていた

そもそも奴がメインカメラを潰されながらも攻撃を当ててくるとは思わなかった

 

 

ここまで長くキヴォトス居ようとも元の世界の感覚がついてまわる

照準を壊され、覗き窓も壊された戦車が正確に砲弾を放つことは無い

盲目の兵士が的確に弾丸を当てるなど以ての外である

 

俺にとっての"当たり前"がガラガラと音を立てて崩れていくのを実感する

やはりキヴォトスは頭おかしい、なんなんだよこの世界

 

「…次はぶち殺す」

 

さてどのような兵装で潰そうか?

背中にも目が付いている奴にはやはり物量の暴力だろうか?

何も出来ない、手出しもできないレベルの弾幕を展開すればいけるか…?

 

 

「……けっ」

 

俺はため息をついてゲーム機を置いた

あの後UZQueenとフレンドになって終わった

何か聞きたいことがあったようだが、聞かれる前に切った

負けたって言う感情がこれ程大きいとは…少し大人気ないなコレ

 

というかこんなことにキレていても仕方がない

何か甘いものを食べよう、糖分も取りたいし…いやお腹も減ったなぁ…

 

「今日はお昼でシューリョーと…」

 

店内に人は居ない、ワカモが鼻歌を歌いながら掃除をしているくらいだ

朝から昼までゲームをして疲れたので今日は昼で終了である

 

個人経営だからこういうのは自由にできるのがありがたい

どこかでバイトをしている訳では無いので気楽である

 

「ワカモ、今日はどこか食べに行かないか?」

「いいですよ、仕込みも既に終えています」

「良し、行こう」

 

百鬼夜行に似合わない服装、着るのはコートだ

よく刑事とかが着ている渋いコートである

 

一応財布も持ってきている

祭りがポンポンあるようだが今日は無いため適当な屋台の焼き鳥でも食べようか

ああいった物を食べるのも悪くない…久しぶりに食べよう

 

「準備は出来ております」

「おー…いい着物だな」

 

ワカモは既に晴着を着ていて準備万端である

食べ歩きにしてはちょっと着飾りすぎな気もするが…

まぁ気にするものでもない、厄災の狐がこのはれぎをきているだけで誰も気にしない世界なのだ

 

節穴なのか関わる気が無いのかはさておき、助かるので良し

 

今誰かに関わられても困る、勘のいいヤツなら俺の正体に気付きかねんからな…

 

 

 

久しぶりにこちらの方へ来た

今日は店が休業なので気分転換に屋台でも回ろうと思っているのだ

 

いつも昼飯が自分が作ったチャーハンだから、時には変えても良いと思ったのだ

 

「うーん、今日もいい天気!」

 

虚勢を張りながら私はそう言う

どうしても、…何を言っても先生と結びつけてしまう

どうしてだろうか?どうして彼と結びつけてしまうのだろうか?

 

私が出した大量のチャーハンを完食してくれたからだろうか?

 

あの時の私はシャーレが来ると聞いて歓迎しなければと意気揚々としていた

ちょっとやり過ぎて調理器具いっぱいのチャーハンを作ってしまったが…

 

『食べ物は無駄にしてはダメだからな』

 

彼はそう言って私の作った大量のチャーハンを間食してしまった

その時間僅か40分、大食いコンテストにも出れそうなスピードであった

 

その後に苦しくないのかと聞いたら、あの人はこう答えた

 

『美味い物が苦しい訳ないだろ』

 

常識を問われたかのように…当たり前のように彼は言った

それが料理人である私にはどうしても嬉しくて…どうしても恥ずかしくなった

 

同性には何回でも言われたことがある、しかし異性には無い

人生で初めてあった男性は、私のミスで生まれたクソデカチャーハンを食べきったどころか…それを美味しいと評してくれた

 

これが嬉しくない訳が無い!最高だった!

また、そう言われたかった……そう、言われたかったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今朝、シャーレのフレッド先生が行方不明となりました────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのニュースを見るまでは、そう思っていた

たち消える私の気概、私の料理に対する自信

 

私が悪い訳じゃない、私が彼に負担をかけていた訳じゃない…

 

 

その、筈なのに………

 

 

 

 

「貴方様、こちらの焼き鳥は美味ですよ」

「そうか、じゃあ頂こうかね」

 

その声で、ハッと私は顔を上げた

その声が…前者の声が『厄災の狐』のものであった為顔を上げたのだ

 

彼女は"1人の女"と共にそこに居た

ヘイロー…?のある恐らくどこかの生徒さん、コートを着ている

ヴァルキューレだろうか?いやしかし彼女達があのような渋い服装をするわけもない

 

彼女は屋台の定員から焼き鳥を受け取り美味しそうに食べていた

その表情はあどけない少女そのものであった

 

 

 

 

 

…しかし、どこか違和感があった

 

被り物をしているような……そう、キサキのように変装をしているような違和感

しかし話しかけようにも横の『厄災の狐』が居るせいで話しかけづらい

 

 

「あら、どうされましたかルミさん?」

「あ、どうも……ちょっと食事に行こうと」

「そうでしたか…ではごゆっくり」

 

彼女は笑顔でそう言うと隣に居た子を連れていこうとする

 

「あ、待って…」

「どうされました?」

「その子はどこの子なの?」

 

私はコートを着た彼女を指さしながら言った

彼女はこちらに一切目を合わせず、焼き鳥を食べていた

ワカモは何も言わない彼女の代わりに言う

 

「探偵さんです、ほら…シャーレのフレッド先生が失踪したでしょう?」

「あぁ、ワカモちゃんシャーレ所属だったし探さないといけないんだっけ」

「……………えぇ、そうです…あの人を探しているんです」

 

彼女は目を細めながら言った

少し背筋が凍る、怖いものであったが私は気のせいと決め付けた

 

「…ワカモ、行こう」

「はい、行きましょう……それでは」

「あ、邪魔してごめんなさい」

 

探偵さんの声と共にワカモは一礼して去っていく

時間を取ってしまった事を謝り、私は彼女達の後ろ姿が見える範囲に立つ

食べ歩きをしているようで屋台を回っている

 

 

探偵…のようには見えない、そのような動作をしていない

昼飯を食べるにしてものんびりしすぎでは無いのだろうか?

 

 

 

 

「…あれは、探偵じゃない」

 

 

探偵なんかじゃない、食べ歩きをする探偵なんて居てたまるか

だとすれば一体何者なのか?誰なのか……

 

 

しかし、その答えはすぐそこにあった

彼女の隣に居る狐坂ワカモこそがその答え

 

彼女はフレッド先生以外にあのような態度をしない

あのような信頼を置くのは先生以外無かった

 

 

 

「ワカモが、態々昼飯の時に隣に居るほどの相手…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、そんな人を1人しか知らなかった

 

 




なんかルミが後藤になってる気がするけど気の所為だよ気の所為()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。