「ルミに話しかけられるとは思わなかった」
「私もです、まさか話しかけてくるとは」
食べ歩きから帰宅して、リビングで俺達はそう行った
ただ外で美味しいものを気分転換に食おうとしただけなのに顔見知りと出会ってしまった
しかもそれはルミだった、美味しいチャーハンを作る子である
キサキの変装を一目で見破る位には観察眼がある
オクトカムとはいえ妙な違和感を感じられて見破られる可能性があった
何やら気分があまりよろしい様子では無かったので気付かれなかったが…
「…変に出歩くのは不味いかもな」
「そうですね、どこで顔見知りに会うかも分かりません」
「あぁ、変に皆と関わっちまってるからな」
シャーレであった時、俺はキヴォトスの名だたる地区へ足を運んだ
そこで様々な問題を解決した…ことが仇になって今俺の喉元にナイフを向けている
"目立ちすぎた"…言ってしまえばこれに限る
シャーレの活動は大々的に放送されてしまっている
もちろんそこに居る先生であった俺は顔をキヴォトスに居るほぼ全ての人間に知られているであろう
面倒な話である、今や失踪の身である為見つかったら不味い
一般人からすればさほど問題が無いように見えるが1部の奴は俺が死んだと思っている筈なので面倒なことになるのだ
「本来ならここで資金を稼ぐ予定だったが…少し不味いかもしれんな」
「えぇ…いつしかこの店まで来そうです」
「まぁ、こんな片田舎に人が来ること自体珍しいだろう
ㅤ食べ歩きは控えた方がいいかもな…」
態々賑わっている方に食べ歩きに行くんじゃなかった
この片田舎の方の店に食べ歩き行った方が良さそうだな…
俺がそう、少し後悔している時であった
「…?」
「…おやおや」
外より銃声が聞こえてきた
それと共に怒号のようなものも聞こえてくる
アビドスやゲヘナで何回も聞いたことのある声…
争い事の声だ
聞く限りでは何やら縄張りがうんたらかんたら言っているようである
シマとか何やら聞いていないが…まぁ知ったことでは無い
「…ありゃ近いうちに銃撃戦が起きるぞ」
「面倒です、どうしましょう?」
「…先に沈めちまおう、流れ弾で店が傷付いたら困る」
アイツらが俺達の家に弾丸を当てたとて、奴らは俺達に対して弁償代を払わない
それで損するくらいなら最初から黙らせた方が楽である
弾代だけで済むならば良いものなのだ
そう思いながら俺はユキノのアサルトライフルを取り出し、チャージングハンドルを引いた
〇
「ここは百鬼夜行だぞ!なんでカタカタヘルメット団とかいう奴らが喧嘩売りに来てんだ!」
「知るか!わたしゃここで美味い店を聞いただけだぞ!そしたらそっちが喧嘩腰になったんじゃねぇか!」
百鬼夜行の少しハズレ、所謂田舎
そこの道のど真ん中にてとある集団がメンチを切っていた
片方は百鬼夜行特有の和服を着た集団
片方はアビドスにて活動していたカタカタヘルメット団である
睨み合いの理由は定かではない
というかそもそもそんなチンケな物はなく、目が合った瞬間にこの態度である
「聞いただけ!?睨んできた癖にか!?」
「睨んだァ〜〜???そんな訳ねぇだろタコがッッ!!!」
「なんだァ…?テメェ……?」
お互いのボルテージが上がり、引き金に指がかかる
それを見た周りの人物はこの先起こることを予見しそそくさと離れていく
店を持つものは臨時休業の板をくるりと回し、見ているだけの観客はスマホを構える
「こんのクソが───」
そしてどちらかの誰かが、引き金を引こうとした瞬間であった
彼女の頭が揺れ、ばたりとその場に倒れてしまう
「おい!?どうし──うわっ!」
「えっ?…うぐっ!?」
それに気付いた一人が駆け寄った瞬間に倒れまた一人もんどうりうって倒れる
あまりにも早くヘルメット団は制圧されていく
「なん…えっ…?」
目の前で起きるソレを和服を着た集団は見ていることしか出来ない
驚愕している間にもヘルメット団はみるみる倒れていき……
そして目の前には誰も立っていなかったのである
「クリア」
老舗から一人の女が現れる
明らかに玄人の手が入ったカスタムアサルトライフルを持ちカタカタヘルメット団の方を睨んでいた
「アビドスのヘルメット団か、遠出に来たのかよ」
彼女はヘルメットに付いたマークを見たそう言い捨てた
倒れているヘルメット団の人間を適当に隅に追いやっていく
ズルズルと引き摺っていきそのまま放り投げる
ヘルメット団全員を投げ捨てた彼女は未だに立ち尽くす和服の集団に向かって一言
「あんたらも仲間か?」
「「「ちっ、違いますッッッ!!!そ、それではーーー!!」」」
あんなふうにやられては溜まったものでは無い
自分から好き好んで痛い目に会う輩がこの集団に居る訳もなく、蜘蛛の子を散らすように逃げて行った
その情けない背中を見ながら彼女はため息をついたのであった
〇
それは悪意がある訳では無かった
むしろキヴォトスでは当たり前のような、常識のような…そのようなものであり気にするものでは無かった
しかしフレッドにとってそれは非常識で…どうにも受け入れ難いものであった
即ち戦闘、いや喧嘩の録画
外の世界で痴話喧嘩を面白おかしく録画する輩のように…あの後に起きる戦闘を録画しようとする輩が居たのだ
1人だけでなく、2人…もしかすれば何人も居たのかもしれない
録画するだけならどれだけ良い事か
卓越したフレッドの射撃技術、気付かれずにヘルメット団を全員気絶させること
面白おかしく題名を付けて、投稿するのは……子供しか居ないキヴォトスでは到底止めれないものであった
「……この、銃は……」
確かに再生された
それなりに、少しキヴォトスの住民達の記憶に焼き付く位には再生された
違法コピーされ拡散され……ありとあらゆる人がそれを見た
「…これって」
「"ミヤコも、見覚えがある?"」
「見覚えのあるも何も────」
無論、"彼"を追っている者達もである
フレッド「ふわああぁ!いらっしゃぁい!よぉこそぉ↑せん↓じょー↑へ~!どうぞどうぞ!ゆっぐりしてってぇ!
いやま゛っ↓てたよぉ!ようやくお客さんが来てくれたゆぉ!嬉しいなあ!ねえなんにぃのんむぅ 色々あるよぉ、これね、ヘイロー破壊クラスター爆弾(流暢)って言うんだってぇベェ↓アトリィー↓チェ↑から奪ったンの!(ゲス顔)」
フレッド「え?連れ戻しに来ただけ?……そっかぁ…ペッ」