疲れたよ、隠居するね皆   作:回忌

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アタック・エンド・ラン

壁をぶち破ってきた彼女達に手を振りながら彼は言う

 

「迷惑をかけるな…二人とも後で何かしてやる」

「感謝の極」「了解、撫で撫での為にも敵を殲滅します」

「なっ…なっ…!?」

 

ふと声の方向を見てみればアコが有り得ないものを見るかのような目で俺を見ていた

察するに厄災の狐を手駒にしているとは思わなかったようである

奇遇だな俺もだよ、この子いつの間にかシャーレに入ってたんだからさ

 

「情報と…情報と違いすぎます!?」

「インテリジェンスってのは戦いの要だからな、まぁ把握してないそっちが悪い」

 

ある意味副担任達には感謝かもしれない

余りにも標的をずらしてくれたのだから、…目立ちすぎてくれたのだから

特にオタク、お前には感謝するよ……ダンボール飯からドッグフードにランクアップだ

 

「こちらに、車両は確保しております」

「分かった。アロナFALを貸せ…ケツピンお前は頭下げとけ」

「むっきゅんッ!(拒否権無し)」

「当機は3人の援護をします」

 

虚空より生成されたFALを受け取り、そのまま行動する

外に居たもの達は既になぎ倒され立っているものは少ない

後ろからアコの「に、逃がさないでください!」という声が聞こえるがまだ来ない事だろう

 

「せ、先生!止まって……」

「邪魔だ」

 

まだ立っているチナツが慌てて声をかけるが今のゲヘナに信用出来る奴は居ない

頭に弾丸を叩き込み、怯んだところをワカモがまた頭を撃って倒す

問答無用だ、止まって捕まっては意味が無い

 

直ぐにシャーレの車両が現れる

 

「早く乗り込め、俺は上の銃座を担当する

ㅤ…お前銃は使えるか?」

「……」

「まぁいい、取り敢えず狙って撃て」

 

先に副担任を乗り込ませる

その後彼に生成したFALを彼に渡して上の銃座についた

レールガンを撃ち放っていたアリスが気付き運転席に入り込む

ワカモは乗らないようだ、まぁ乗らなくてもその身体能力があるからいいだろう

 

 

二人が乗ったことを確認したアリスはアクセルを踏み出した

派手に正門を吹き飛ばしてグイグイ進む、まるで行き場所が分かっているようだ

流石アンドロイドモドキ、頭の中に地図でも投影されているのかね?

 

銃座に設置されたMG42を掴む

古い銃だがその連射速度はピカイチ、現代化もされているとか

俺としてはこの大量の弾幕が素敵だ、大好きだ…

 

カチリと照星を向ける

その間に集まってきた風紀委員会達が銃を向けている

…が、撃ってこないようである…まぁ当たり前か

 

俺はハッと笑いながら叫ぶ

 

「撃ってみろッ!俺はお前らと違って受けたら死ぬぞ!」

「先生、発車します」

 

俺が叫んだ瞬間アリスがアクセルを踏み込んだ

下で「ンニャーッ!!!」とかいう叫び声が聞こえたような気がする、気のせいか

俺はそう思いながら引き金を引く

 

 

 

瞬間電ノコが起動したかと錯覚するような連続的な発砲音が響く

それを風紀委員会達に向けてみれば彼女達はバタバタと倒れていく

耐久力の高いキヴォトス人でも一瞬の内に弾丸を何発も叩き込まれれば流石に倒れるか…

 

「アリス、ゲヘナの国境線はどのくらいだ?」

「回答、もう数キロ先です」

「了解」

 

下の方からは「この野郎醤油便…!(全ギレ)」となにやら怒っている様子の副担任ボイスが聞こえる

FALの発砲音が聞こえるので恐らく撃ちまくっているのだろう

それにしては人が倒れていない、恐らくど素人なのだろう

まぁ一般人の命中率なんて期待できたものじゃない、彼は銃とは無縁なのだろうし

 

…声を使わない書類仕事くらいは出来るか?

オタクの方は仕事遂行率はクソだと確定しているがケツピンはよく分からない

戦闘指揮は二人ともからきしだが…そこら辺はまた今度考えるか

これで文字もケツピン語録だったら笑える

 

「にしても、マンモス校って感じだな……」

 

大量の風紀委員会達が現れるのを見て俺はポツリと呟く

明らかに量が減っておらず、なんなら増えている気がする

まだ対車両火器が使用されていないが使われるのも時間の問題だ

 

そう思っていると、後ろから二台のエンジン音が響く

振り向いてみれば銃座の設置された装甲車が瓦礫を吹き飛ばしながら迫ってきている

 

「本当にマンモス校って感じだなオイ!?」

 

銃座をぐるりと回転、ソイツらに向けて狙いを定める

ケツピンも「ンニャーッ!!!(危機)」と叫びながら車両を撃っているようだが効いている様子が無い

フロントガラスにヒビすら入らないのである、……んが、そもそも当たってないのか……?

 

それはどうでもいい 、どうにかして振り切らなければ

 

 

奴らのフロントガラスに照星を向ける

瞬間乗り出していた風紀委員会の1人がロケットランチャーをぶち込んできた

 

「テメェら人をなんだと思ってる!?」

 

幸いにもランチャーは外れたが奴がリロードしているのが見える

下手に生かす意味は無い!穴だらけにしてやるわ!

まず運転手が居る方に引き金を引く、相手はフロントガラスと共に砕けた

……いや、恐らく気絶した。運転手が気絶した装甲車は制御を失いゴロゴロと横転し始める

 

 

あれでも中は悲惨なことになってないというのだから不思議である

 

仲間がやられたことに気づいたもう一台の銃座が火を吹いた

直ぐに装甲に身を隠す……貫通はしていないようである

アーマーどころかヘルメットすら被ってないヤツに容赦なさすぎだろ!?

 

いつもの感覚で撃ってるのか!?それともなりふり構わなくなってるのか!?

 

……多分後者かな、子供だし

 

 

 

「畜生がこの……!」

 

頭を上げて狙おうとするがそれを相手の銃座が許してくれない

シャーレの車両は防弾仕様であるもののあまりに受けすぎると宜しくない

前を見てみれば風紀委員会達を跳ね飛ばしているアリスとベコベコに装甲車と戦車を凹ませたワカモが居る

 

……戦車動員されてらァ…うそん……

 

「…俺たちなんかしたっけな」

「む゛う゛う゛ん…(男泣き)」

 

めっちゃ泣いてる、滝かな?

いやそれどころじゃねぇよクソがァ!

心の中で叫びながらベレー帽の位置を直しシッテムの箱からグレネードを作り上げる

 

ピンを抜き、少しだけ装甲車を見る

未だにズダズダ大量の弾幕をばら撒いてきている

頭は出せそうに無いし、ワカモとアリスはそれぞれ忙しい

 

 

上手くやれるか?、……いや、上手くいくしかない

 

 

 

安全装置を外してそのまま奴に向けて投げる

綺麗な放物線を描いたグレネードはそのまま綺麗に銃座を通っていき、車内に入っていった

 

ハッとした銃座手が俺を見開いた目で見る

その後どうなるか想像をする前に、装甲車は内部から炸裂した

 

 

持っていたグレネードのピンを残骸に投げて一言

 

 

「飛んでいきな」

 

イタリア人じゃ、ないけれどね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……それから進むこと数キロ、国境線もすぐそこの所であった

 

「……追撃も止んだくさいな」

 

銃座にずっと張り付いているが敵の気配は無い

ワカモも先程車両に乗ってきたので敵はもうほぼ居ないのだろう

ケツピンもガタガタと歯を震わせながら辺りを警戒している

 

本当にしつこい野郎だった、あの天雨アコとか言う女

どれだけ手に置いておきたかったんだ?それほどまでに"条約"とやらは重要なのか

 

ため息をつきながら煙草を咥える

 

「やれやれ、とんだ災難───────」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が煙草に火をつけようとした瞬間目の前が紫色に爆ぜた

何かを言おうとしたのも束の間、凄まじい衝撃が俺達を襲った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタンガタンと何度も横転し、止まる頃には私の意識は無くなっていた

 

 

 

 

 

 

 

「……あァ、……クソ…」

 

意識が覚醒する

重い痛みが頭を支配している

一体どうなっているんだ?何が起こっているのか分からない

 

辺りをよく見渡して見ればどうやら車内では無いらしい

それもそうか、銃座にいたから外に放り出されたのだろう

身体中が痛いが何とか立ち上がる

 

「……アイツらは…」

 

シャーレの車両は見つかった、横転した状態で

アリスは既に抜け出しているようでケツピンを救助しているようだ

俺は口の中に入っていた煙草の欠片を吐き出してそちらに向かう

 

 

 

 

……嫌な程、血が流れていた

 

 

「……ックソ!アリス!奴の状態は!?」

「損害甚大、左腕が特に酷いです」

 

見てみれば背中を車両に当てている

ぐったりとしており、左腕は血まみれになっている

恐らく車内に居た時もみくちゃにされ、結果的に左腕が下敷きになったのだろう

 

 

恐らく左腕はもうダメだ

 

 

「……ァ……いた、い…」

「ッ……!」

 

意識はあるのか、まだ動く右手を俺に対して伸ばしてくる

血まみれの右指がズルリ、と俺の頬を撫でた

懇願するような彼の手が太ももにあるホルスターに伸びていく

 

 

反射的に、俺はその手をはじいた

 

 

「馬鹿野郎動けるヤツが死ぬ気になるんじゃねぇ…!」

 

シッテムの箱から応急セットを生成

出血箇所を包帯で巻き、鎮痛剤の入った注射器を注入する

ふと振り向いてみればワカモと……ちっさいコウモリ羽の生徒が戦っていた

モップのような長い髪、体躯に合わない大柄なLMG

 

それとワカモは善戦している

 

 

 

 

 

 

 

「ッ、ソイツを押し止めてくれ!!何でもするからな!頼む!

ㅤ猶予は俺達の撤退まで!終わればお前も撤退しろ!」

「───────ッ!仰せのままに!」

 

 

思わず叫ぶ

何か意図があった訳では無い……考えてた訳じゃない

ただ本当に無意識に、反射的に言ったのである

 

「ッう!?」

 

俺の声を聞いたワカモはそのまま白モップを薙ぎ倒し、顔面に三回連撃を叩き込む

モップに反撃を許さずにワカモ優勢で戦いが進んでいるようだ

 

シッテムの箱を確認、敵の潜在数と部隊数を数える

いつの間にか瓦解したはずの風紀委員会は足並みを揃えてこちらに来ていた

 

アコか、畜生No2というのは間違いでは無いのかよ

 

 

「畜生このまま運んでると風紀委員会に囲まれる」

「提案、当機にいい考えがあります」

「……分かった、言ってみろ」

 

彼を抱え直しながら俺は聞く

この状況だしさぞかしいい案があるのだろう

そう思って彼女の案を聞いたのである

 

「当機が副担任を輸送します、先生は光学迷彩を使用し脱出を」

「……そうか、光学迷彩が……お前の方は大丈夫か?」

 

ウタハから貰ったステルス迷彩を取り出す

確かにこれがあれば数なんて関係ない、ゲヘナにはそういった探知機も無い

簡単に逃げることが出来るだろうな、確かに

 

それはそれとしてお前はどうする?囲まれてステルス迷彩も無い

そう思っていると彼女は答えた

 

「本機の機動力を生かし連邦生徒会まで逃走します

ㅤビル群を飛び抜ける想定になりますが副担任への衝撃はありません」

「分かった、後で落ち合おう」

 

ホルスターからハンドガンを取り出しながら俺は言う

頷いた彼女はそのまま飛び上がり消えてしまった

路地裏に身を隠しステルスを作動させながら俺はため息をつく

 

 

アリスのアンドロイドらしい喋り方、どうにかならんものか

あの喋り方にケチをつける訳じゃないが人前じゃ気まずいものである

今度同い年くらいの……そうだな、ゲーム開発部に預けてみるか

言語学習と言えば行ってくれるだろう……愛らしいマスコットが居なくなるのか……

 

乾いた笑いを漏らしながら俺はそのままゲヘナの外へ向かっていくのだった

 

 

 

 

 




「……アコ、これはどういうことなのか説明してもらう」


「それでは、私は退散しますわ」


「厄災の狐……まさかシャーレの部員になっているとは
ㅤ破壊と混乱が趣味の貴女らしくない、心変わりでもした?」


「どうでしょう……ま、直ぐに分かることですし……
ㅤあぁ、そうだ、貴女のせいで副担任が左腕切断になったそうで」







「……え?」
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