ヒトヒトの実 幻獣種 モデル“両面宿儺”   作:笛吹き男

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楽しき暇つぶし

 

 

 

 

 ヤマトの覇気習得から半年。覇気を習得としたからと言っても完璧ではない。冒険の合間を縫ってはナナシはヤマトを鍛えていた。

 そのヤマトはというと、今まで見たこともないような冒険に心を踊らせていた。 

 年中季節が変わらない夏島や冬島。常に雨が振り続けている島。空に浮かんでしまう島。

色々な島を冒険したヤマトは冒険がどれほど幸せなのかを身に沁みていた。

 

 そして、現在ナナシとヤマトは新世界において、シャボンディ諸島と同等の性質を持つ島。いわゆるシャボンディ諸島新世界バージョンの島にいた。

 何故、そんな島にいるのか。それは魚人島へ行くためである。

 

「凄いよ!!シャボンが浮かんでるよ!!」

「ここのコーティング職人に船のコーティングを頼まないと魚人島へはいけない」

 

 魚人島。それは赤い土の大陸(レッドライン)にある聖地マリージョアの真下。海底1万mの世界で唯一海底に陽光が指す海域に存在する巨大なシャボンで包まれた島。

海底の楽園と言われる偉大なる航路(グランドライン)の名所でもある。

 

 その遠さと水圧から魚人と人魚以外が行くにはシャボンで船を覆ったコーティング処置をした上で潜水しなければならない。

しかし、深海には様々な障害があるので魚人島に向かう船は到達前に七割が沈没すると言われている。

 

 何故、そんな危険なところに向かうのか。

それはヤマトが魚人島へ行きたいと言ったからである。おでんの日記に書いてあった魚人島の詳細。ヤマトの興味がそそらない理由もない。

 

 ナナシ自身も魚人島へは行った事が無いので、特に反対することはなかった。

 

「コーティングには四日かかるぞ」

 

 コーティング屋に船のコーティングを任せた後、

四日間この島に滞在しないといけない。

とりあえず、ナナシとヤマトは観光することにした。

 

「凄い遊園地だ!!乗り物がいっぱいだよ!!」

 

(そう言えば、こいつはまだガキだったな。年相応に遊園地などが好きみたいだ)

 

「ナナシ!!観覧車乗ろう!!」

「………あぁ」

 

 特別ナナシは遊園地が好きというわけではない。あくまでヤマトが遊園地を楽しみたいので付き合っているだけである。

ナナシの本音としては早くコーティングが完成してほしいだ。

 

「凄い!!高いよ!!」

「そうだな」

「むーーーーーッ!!ナナシは遊園地楽しくないの?つまらなそうにしてる!!」

「楽しい楽しくないは別にして、この観覧車はつまらん。はっきり言って、何が良いのか分からんな」

 

 全く隠さないで本音を言うナナシ。

気心知れていると思えば良いが、実際は本音を隠す意味がないというだけである。

 

「この半年。ナナシと冒険して、とても楽しかった。今も楽しい。でも、ナナシは半年前のあの日の様には笑ってくれないよね」   

 

 ヤマトは半年前の事を思い出す。

覇気を習得した時に笑みを浮かべて褒めてくれた事を。あの時の顔が忘れられないでいた。

 

 ナナシは笑わないわけではない。誰かと戦っている時に笑みをこぼす事はある。

だが、それはヤマトが求めている微笑みではない。ヤマトが求めているのは半年前の優しい微笑みだった。何よりもナナシには楽しんでほしいというのがヤマトの気持ちだ。

 

「僕は楽しいけど、ナナシは楽しく無さそう」

 

 ヤマトとナナシにとって初の観覧車は気まずい結果で終わることとなる。

特にヤマトは楽しんでいただけあって、がっくりしていた。

 

 コーティングが済むまでの四日間、ヤマトとナナシには気まずい雰囲気が常に流れていた。

会話は必要最低限。互いに気まずさは感じているが何もしない。

ナナシはそこまで悩んでいないが、ヤマトはどうすれば良いのか分からないでいた。

 

 

 

 

 コーティングが完成した日。

ナナシとヤマトは船の方に向かっていた。

会話もなく、ただただ街を歩いている。

しばらく歩いていると、突如として街中の住人は跪き出す。

二人は何事かと道が開けている場所を見る。

見た先にはこの世界の神同然とされている天竜人がいた。

 

「……天竜人か」 

「あれが……天竜人……」

 

 天竜人は大きな体格の奴隷に座り進んでいる。

人を人として見ていない。

だからこそ、天竜人は膝まづいている人間を気に入らないという理由で撃ち殺した。

 だが、誰も手を出す事は出来ない。

それをすれば、海軍本部より大将率いる軍艦10隻が即座に派遣される。しかも、天竜人には世界最強の諜報機関が控えている。

天竜人は権力を持ち過ぎているのだ。

 

「あいつら!!一般人を殺した!!」

 

 バリバリッ!!!

 

 天竜人の行き過ぎた行為。

ヤマトを怒らせるには十分だった。

それを知らない天竜人は膝まづいている人間たちをどんどん殺していく。まるで遊んでいるかのように。

 

(ほう?怒りで覇王色の覇気が漏れ出ているな)

 

 ナナシはヤマトから漏れ出ている覇王色の覇気を事細かに感じ取った。

そして、カイドウと同等以上の覇王色の覇気だと理解する。

 

 

「止めろ!!!!!」

 

 ドンッ!!!

 

 我慢出来なかったヤマトは天竜人を金棒で殴り飛ばす。そして、周りにいた天竜人の取り巻き達も吹き飛ばした。

 

「天竜人が吹き飛ばされた!!」

「海軍大将が来るぞ!!!」

「お、おれは関係ない!!」

「とにかくこの場から逃げるんだ!!!」

 

 街中の人間が逃げていく。

巻き込まれたくないと思うのは無理もない。

 

「ナナシ。ごめんなさい。この人たちを殴ったから海軍大将が……。本当にごめんなさい。迷惑ばかりかけて」

「何を謝る必要がある?ムカついたから手を出したのだろう?だったら、謝る必要はない。むしろ、……誇れ。お前は正しい」

「えっ?」

「何よりもお前がやっていなければ、俺がやっていた。どのみち結果は変わらなかったぞ」

 

 残念残念と手を振るナナシ。

海軍大将が来ようとも彼にとっては関係ないものだった。

 

「ヤマト。この数日間お前の言葉を考えていた。そして、改めて言う必要があるのか悩んだが言うことにした。この間も言った通り、観覧車はつまらなかった。だがお前との時間は楽しくないわけないぞ」

「えっ!!??」

「そもそもお前との冒険は暇つぶし。それも極上の暇つぶしだ。この先一生無い楽しい時間だ。楽しくないわけないだろう」

「それって……僕との冒険は楽しいって事?」

「そう言った」

「えへへへ///そうなんだ!!僕との冒険は楽しいんだ!!」

 

 嬉しそうにしているヤマト。

ナナシが自身と一緒に冒険することが楽しいと言ってくれた事がよほど嬉しかったようだ。

 

「喜んでいるのは構わないが、そろそろ船に向かうぞ。いつまでもこの島にいたところで意味はない」

「うん!!」

 

 二人は船のある方へ歩き出す。

しかし、天竜人を吹き飛ばした事によって海軍本部は動くことになる。

 海軍本部では天竜人に手を出したナナシとヤマトを殲滅するために海軍大将率いる軍艦10隻が即座に派遣された。

今回派遣された大将の名はドライ。通称“白龍(はくりゅう)”。

 

 

 

 海軍大将が軍艦10隻を引き連れてやってくる。

それは島にいる海賊たちが逃げ出すには十分だった。

逃げ出す海賊たち。

だが、島から出ようとする海賊たちの目の前に軍艦が大量にあった。

 

「ふざけんな!!海軍が来るには早すぎるだろうが!!」

「お頭!!駄目です!!島全体が海軍に囲まれてます!!逃げ場はねェ!!」

「ほ、砲撃してきたぞ!!!」

「逃げろーーッ!!」

 

 逃げようとした海賊たちは海軍の一斉攻撃によって沈没していく。

 

「全く。天竜人に手を出すとは、命知らずのバカがいたものだ」

 

 島に上陸した男。彼は正義のマントを背負い海賊たちを潰していく。

彼の名は白龍。海軍大将である。

 

「白龍大将!!シリウス聖を殴り飛ばした者達の風貌と逃走経路が判明しました!!」

「そうか。部隊を編成して直ちに追うぞ!!この島から決して逃がすな!!」

「はっ!!!」

 

 白龍の指示によって海兵たちは動き出す。

この時、ナナシとヤマトはまだ船に着いていない。島に元々いた海軍たちと戦っていた事と船の場所が遠いからだ。

だが、所詮海兵は数が多いだけ。

ほんの少しの時間稼げにしかなっていない。

 

「無駄に多い。ヤマト、さっさっと行くぞ」

「うん。この人たち何であんな人たちに味方するんだろうね?」

「バカだからだろう。くだらん奴らだ」

 

 ナナシとヤマトは海兵を簡単に退けていく。

すると、後方から斬撃が飛んできた。

二人は見聞色の覇気でそれを避ける。

 

「貴様らが天竜人に手を出した愚か者だな」

 

 ナナシとヤマトに斬撃を飛ばしたのは海軍大将白龍だ。三部隊の海兵隊を引き連れて二人の前にやってきた。

 

「愚か?それはお前たちだろう。……それにしても早かったな。大将が来るのはもう少し先だと思っていたぞ」

「偶々近くの海域にいたものでな。貴様らの顔は見たことが無い。名のある賞金首でもないようだな。……天竜人に手を出したのだ!!死して償え」

「はぁー。うざっ。一人一人の相手は面倒だ。纏めて相手してやる。かかってこい」

 

 その言葉を聞いた海兵たちはナナシに襲いかかる。しかし、ナナシにたどり着くことはない。

襲いかかった海兵全員の首が即座に吹き飛んだからだ。

 

「ッ!!?何をした!!?」

「さぁな。当ててみろ。………クハッ!!死ね」

 

 ナナシは更に海兵たちの首を飛ばす。

何も出来ずに海兵たちは倒れて行く。その様を白龍は見せつけられる。そして、最後には白龍だけがその場に残っていた。

 

「さて、これで少しはやりやすくなった。大将の実力がどの程度なのかを見せてもらおうか」

「貴様!!!よくも私の部下たちをーーーッ!!!!」

「怒れ 怒れ!!お前の力を見せてみろ!!」

「後悔しながら死ぬと良いーーッ!!!」

 

 白龍は体を変質させていく。

その姿はナナシもヤマトも見覚えのある姿だった。白龍はカイドウと同じ龍へと変質したのだ。カイドウと違う点は色が白だと言うこと。

 白龍が食べた悪魔の実はウオウオの実幻獣種モデル“白龍”。

つまるところカイドウと色違いの龍なのだ。

 

「中々面白いがお前の能力を見て俺は戦う気が失せた。所詮はカイドウの劣化版だ。……ヤマト。戦ってみろ」

「僕が!?」

「元々お前が招いた事だろう」

「僕がやらなきゃナナシがやってたって言ったじゃん!!」

「実際にやったのはお前だ」

「むーーーーーーーッ!!!!」

「そう膨れるな。これはカイドウと戦う良い練習になるぞ。まぁ、練習だがな」

「えっ!?」

 

 カイドウとほとんど同じ龍となっている大将白龍。カイドウよりは弱いが練習相手としてはちょうど良いとナナシは考えていた。

故に打倒カイドウという目標を掲げているヤマトにとっては良い練習になる。

 

「俺は見ているから頑張って倒してみろ」

「うん!!……倒す!!お父さんモドキを!!!」

「誰がモドキだ!!ナメるなクソガキ!!!!!!『熱息(ボロブレス)』!!」

 

 白龍は獣形態で口から強力な炎を吹く。

それを見たナナシはやはりカイドウモドキだと思う。カイドウと同じ技を使ったにも関わらず威力がカイドウの半分だ。

これならヤマトでも良い勝負が出来ると考えている。

 

「『雷鳴八卦(らいめいはっけ)』!!」

 

 武装色の覇気を纏わせた建という金棒を振り抜く。その速度は速い。動きが鈍い白龍は当然避けきる事が出来ない。

 

「グハッ!!!何だこの威力は!!」

 

(まだまだ甘いが出会った時よりは遥かに強くなったな。俺の指導の賜物か。流石は俺だな)

 

 自画自賛しているナナシ。

確かにナナシの指導が凄いと言うのは正しいが、ヤマトの才能がかなりあるというのもここまで強くなった要因だ。

 

「この反乱分子共が!!天竜人はこの世界の神だぞ!!逆らうことなど許されない!!!」

 

 白龍は怒りで尻尾を振り回りしてヤマトを弾き飛ばした。

 

「天竜人は絶対だ!!逆らうな!!下民共!!!奴隷なのだ!!下界に住んでいる者は生まれながら皆奴隷だ!!!!」

 

 バリバリッ!! バリバリッ!! バリバリッ!!

 

「ふざけるなーーーーーーッ!!!!生まれながらの奴隷だとーーッ!!そんな事があってたまるかーーーーーッ!!!」

 

 ヤマトは白龍を叩き潰す。

武器には武装色の覇気の他に覇王色の覇気も纏われていた。

 

(カイドウと同等の覇王色の覇気。怒りによって無意識に出ているな。しかも、纏っている。俺が血の滲むような努力と二度カイドウに挑んで、ようやく出来るようになったというのに。こいつはここまで簡単に出来るとは)

 

「『雷鳴八卦(らいめいはっけ)』!!」

 

 武装色の覇気と覇王色の覇気を纏わせた攻撃。先程の雷鳴八卦とは明らかに威力が違う。海軍大将白龍は能力が解けるほどの大ダメージを負った。

 

「ゴホッ…ゴホッ……ゴホッ………。このクソガキが…………この私が…こんな…ガキに……」

「やはり弱かったな。お前が大将とは、海兵の質が知れている」

「……黙れ。私は…まだ…負けていない……」

「能力も覚醒していない。覇気も弱く、覇王色の覇気は持っていない。大将とはその程度の存在か。正直がっかりだ」

「………黙れ」

「さて、俺たちに挑んだ事。それは覚悟あってのものだろう。……………死ね」

 

 

 ザシュッ!!

 

 

 海軍大将白龍。

天竜人の要請により、賊を殺しに来たがあえなく敗北。白龍直属の三部隊、計150名と共に死亡が後日確認された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




登場オリキャラ
白龍……海軍大将。
シリウス聖……天竜人。
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