ヒトヒトの実 幻獣種 モデル“両面宿儺”   作:笛吹き男

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魚人島

 

 

 海軍大将白龍との戦いから数日。

ナナシとヤマトは魚人島へ行くために深海を旅していた。

 

「まだ着かないのか。コーティング屋の奴から買い取った『魚人島への行き方』という本によると、もう少しで着くはずだが見当たらん」

「ナナシ!!凄いよ!!火山があるよ!!」

「そうか。火山か。………火山だと!!?」

 

 ナナシは急いで奥を見ると、そこには海底火山と呼べるべきものが多数存在している。マグマがドロドロと出ており、もう噴火寸前だった。

 

「クハッ!!これはヤバいな。噴火に巻き込まれたら死ぬかもしれん」

「ナナシ。舵は?」

「海流に任せているから動かせん」

 

 ナナシの言う通り、船の舵は全くと言っていいほど動かない。

謎の海流に捕まり身動き取れないでいた。

 

「なるようになるだろう。船の外には出るなよ。流石に助けられん」

「わ、分かってるよ!!…………ナナシ!!海流が荒れ出した!!」

 

 海流の流れが変わり、ナナシとヤマトが乗っている船は大きく巻き込まれる。

海底火山すらも崩れていく程の強い威力。

抵抗することもなく、本当にナナシは流れに任せている。

 

「ナナシ!!船が回ってるよーーーッ!!!」

「クハッ!!船の外に振り落とされるなよ!!」

 

 謎の海流に巻き込まれているせいで、船はグルグルと回りながら進んでいく。

そして、それは数十分間にも及んだ。

 

「海流から抜け出した!!」

「あぁ。そして、やっと着いたな。魚人島に」

「あれが魚人島!!!!」

 

 

 シャボンに囲まれた島。

やっと魚人島に二人はたどり着いた。

 魚人島に入るには手続きがいる。門番に何の目的で来たのかを問われた。

 

「観光だ」

 

 ナナシは無難な答えを言う。

幸いにも現在のナナシとヤマトは賞金首では無いので、特に咎められる事もなく入国を許可された。まさか、彼等が天竜人に手を出したなどとは夢にも思わないだろう。

 

「ここが魚人島!!すごいよ!!おでんの日記に書いてあった通りだ!!」

「確かに興味深いな」

 

 ナナシとヤマトは船を降りて早速魚人島を観光する。数日色々と島内を回った二人だが、特に二人の目を引いたのは魚人島のお菓子だ。

とても甘くて美味しい。今までに食べたことのないような美味しさだった。

 

「魚人島。中々良かったぞ」

「特にお菓子がでしょ?」

「ああ。あのレベルの菓子は世界中探しても見つからんだろう」

「ナナシってグルメだよね」

「まぁ、食べることは楽しみの一つだからな」

「だから、料理上手なんだね」

「お前は下手くそだがな」

「僕は良いんだ!!ナナシが作ってくれるから!!」

 

 二人はそんな仲睦まじい感じに会話をしていた。すると、何やら街が騒がしくなる。

騒ぎのある場所に向かうとそこには数隻の海賊船があった。魚人族が人間を拍手で迎えている。それは珍しい光景。

 海賊旗のマークを見た二人は誰がこの島に来たのか分かる。それと同時に彼等が歓迎されている理由を理解した。

 

「白ひげか」

「おでんの兄貴分だよーーーッ!!!!!!!!」

 

 目をキラキラと輝かせながら叫ぶヤマト。

おでんの兄貴分の白ひげだ。喜ぶのも無理はない。

 

「ナナシ!!おでんの兄貴分だよ!!」

「それはさっき聞いた。……会いに行くか?」

「良いの!!?」

「構わん。だが、あいつらは海賊だ。一応は警戒しておけ」

 

 二人は大海賊白ひげのところへ行く。

白ひげの噂は聞いていたので、どの程度の奴なのかナナシは少し楽しみにしていた。

 

「貴様が白ひげか」

「何だ小僧。俺に用でもあるのか?」

「用はない。だが、会ってみたいとは思っていた。世界最強の海賊とやらにな」

「グララララ!!生意気な小僧だ!!」

 

 白ひげとナナシ。二人が睨み合っている時、ヤマトは白ひげを見て喜んでいた。

 

「この人が白ひげ!!おでんの兄貴分!!」

「グララララ!!おでんを知っているのか?」

「うん!!おでんは僕の憧れなんだ!!僕は光月おでんみたいになる!!」

「お前みたいなガキが?」

「憧れるのは自由だよ!!」

 

 白ひげ相手にも引かないヤマト。

こういうところは親譲りだとナナシは思う。

 

「確かに憧れるのは自由だよい。俺もおでんの自由さには憧れてるよい」

 

 そう言ったのは、髪型が特徴的な男。彼は白ひげ海賊団一番隊隊長のマルコ。

白ひげ海賊団の中では白ひげの次ぐらいの実力がある男。

 

「その服装、ワノ国から来たんだろう?おでんは元気にしているのか?」

「おでんは死んだよ。見事な生き様だった」

「そうか。見事な生き様だったか」

 

 白ひげはかつておでんと旅した日々を思い出す。楽しかった日々。バカなことをした日々。弟分の死は残念でならないものだった。

 

「おでん様が死んだだと!!?」

 

 おでんの悲報を聞いて、一番ショックなのはこの男。白ひげ海賊団16番隊隊長イゾウだ。

イゾウはおでんの家臣だった。白ひげ海賊団だが、今でもおでんを敬愛している。

 

「何故、……死んだんだ?」

「負けたからだ。それ以外にあるとでも?」

「おでん様が負けた…だと!?………誰に!!」

「カイドウ。奴がワノ国を支配下に置いているのは知らなかったか?」

「噂では……聞いていた……」

 

 カイドウが相手なら仇討ちは出来ない。

理由は立場だ。イゾウは白ひげ海賊団の人間なので、カイドウに挑むことは不可能。

挑めば、カイドウ率いる百獣海賊団と白ひげ率いる白ひげ海賊団がぶつかってしまう。

それは誰もが望まない戦争だ。

冷静に判断して仇討ちは出来ない。

 

「見事な生き様ってことは少なくとも後悔して死んだわけじゃないんだろうよい」

「うん!!笑って死んだ!!僕はあの生き様に感動したんだ!!」

「グララララ!!笑って逝ったか!!まるでロジャーのようだな!!おでんらしくて安心した!!」

 

 それからヤマトはマルコたちにおでんとの冒険話を聞いていた。

日記よりも当事者から聞く話はとても楽しいもの。ヤマトは一言一句聞き逃さずに聞いていた。

 

 

 一方のナナシはマルコたちの話には交じらずに独りで自ら作ったつまみを食べながら酒を飲んでいた。

そんなナナシに白ひげは話しかける。

 

「グララララ!!俺にも酒を寄越せ!!」

「……何のようだ?」

「少してめェと話したくてな」

「…………あっそ。……味は保証しないぞ」

 

 敵対しているわけではないので、二人は酒を飲み交わす。

白ひげはナナシの作ったおつまみが美味しかったのかボリボリ食べていた。

 

「話というのは何だ?」

「おめェは強ェ。だからこそ、危険だ」

「危険か。お前に言われたくはない」

「確かにおれは危険だが、世界を滅ぼす気はねェ。おれが望むのは愛する息子たちの成長を見届けることだ」

 

 昔から白ひげは家族が欲しかった。

前に所属していた海賊団では決して成し得ない望み。それ故に今の日々は全て宝なのだ。

 

「随分とつまらなんな。……………………いや、今のは訂正する。随分と控えめなのだな」

「そんなんじゃねェ。おれは平和を望んでいるだけだ」

「クハッ!!全てを手に入れられる癖に全てを手に入れようとしない。これを控えめと呼ばずして何と言う?お前なら手に入れられるぞ。海賊王という称号、ワンピース、世界。何もかもだ」

「そんなもの手に入れてどうする?興味はねェ。ふっ……おめェにも手に入れる力はあるだろう。おめェは興味が無さそうだがな」

「ああ。興味はないな」

 

 ナナシと白ひげ。

二人は多大なる力を得ている。だが、ワンピースを手に入れて海賊王になろうとは思っていない。

何よりも、世界を手に入れる気は毛頭ない。

 

「何のためにおめェは旅をしている?」

「……………………さぁな」

 

 それ以上二人が話すことは無かった。

二人の目の前にある光景。ヤマトと白ひげ海賊団の面々がおでんの話で盛り上がっている。    

それを見ながら二人は酒を飲む。

 

(白ひげ。存外つまらん奴………でも無かったな)

 

 

 

 

 

 

 

          ◆

 

 

 

 

 マリンフォードにある海軍本部では慌ただしい騒ぎとなっていた。

その原因はナナシとヤマトとである。

天竜人シリウス聖に手を出し、海軍大将含む海兵150名が死亡。

否応でも騒ぎになってしまう。

 

 

 海軍本部にある会議室では多くの海軍上層部が集まっていた。

海兵の中でも上位の地位や強さを持つ海兵。

彼らは目の前に映し出されている写真を睨んでいる。

 

「今回の一件!!海軍にとっては面子を潰されたも同然です!!天竜人シリウス聖は意識不明の重態!!白龍大将と白龍大将の部隊は全滅!!しかも、たった2人によって!!!」

 

 バンッと机を叩いた音が部屋中に響く。

海軍にとって天竜人に手を出されたというのも問題だが、大将が殺されたというのが一番の問題であった。

海軍の最高戦力と呼ばれる大将がこうもあっさり殺られてしまっては威厳も何もない。

 

「無名の者達に大将が殺られた。これは誠に遺憾であります」

 

 大将が殺られたという事で、海兵たちは顔をしかめている。

 

白龍(ドライ)は大将としての実力が無かっただけじゃ。そもそも考え方が上の阿呆共と同じような考えじゃったからな。良いように利用されていただけじゃ」

 

 そう言ったのは、白龍よりも遥かに強い力を持っている者。

彼はいつでも大将になれるのに、天竜人の直属の部下になるのが嫌という理由で中将の地位に留まっている。

 彼の名はモンキー・D・ガープ。海軍の英雄と呼ばれている男だ。

 

「いらん事を言うなガープ!!」

 

 ガープに注意したのは海軍本部元帥であるセンゴクだ。ガープと同期であり、自由奔放なガープがしでかした後始末をよくさせられている苦労人だ。

 

「本当の事じゃろ。クザンたちの方がまだマシじゃよ」

「やかましい!!そもそも白龍が半端者だったとしても、あっさり倒されるのはおかしいのだ!!倒した者たちは相当な実力だぞ!!」

「確かにそうじゃな。しかし、賞金首になっておらん奴らじゃ。何処で鳴りを潜めておったんじゃろうな」

 

 白龍がいくら半端者でも、倒すのはかなりの強さを持っている者たち。

海軍としては油断ならない。

 

「天竜人を吹き飛ばしたのはこの少女!“鬼姫”ヤマト!!白龍大将と互角以上に戦っていた程の実力者!!子どもながら大変危険だと思われます!!懸賞金は5億ベリー!!!」

 

 初手の懸賞金が5億ベリーというのは異常だ。

しかし、海軍がヤマトの親を知ったらさらに懸賞金が上がる事だろう。

 

「そして、白龍大将直属の部隊計150名を一瞬で壊滅させた男。“鬼人”ナナシ!!残忍性と戦闘能力!!これらを考慮して3億ベリー!!!」

 

 こちらも初手で3億ベリーは凄い事だ。

ヤマトの懸賞金がナナシより高い理由はやはり大将と互角以上に戦っているところを見られていたからだろう。ナナシはトドメを刺しただけなので目立っていなかったのだ。  

 

 

 まだ、ナナシとヤマトは魚人島にいるので、賞金首になっているとは知らない。

 二人が賞金首になったのを知るのは魚人島を出てから数日後となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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